2009年7月7日火曜日

インタビュー・環境戦略を語る:INAX・川本隆一社長

(毎日 6月22日)

バス、トイレ、キッチン、タイルなど身近な住宅設備の
大手メーカー、INAX。
製品を「つくる」、「つかう」、「もどす」という3つの場面で、
先進的な環境活動を展開。
08年、「環境宣言」では、2050年にCO2総排出量を、
90年比で80%削減するという高い目標を掲げた。
川本隆一社長に取り組みを聞いた。

--環境についての基本的な考え方は?

会社は、社会の公器だというのが、1924年創業以来の企業理念。
経済活動が大きな環境負荷を与えている、企業も行動しなければ、
ということで、92年から6回の環境宣言。
INAXは、たくさんの窯を持っているが、産業活動を続けながら
CO2排出量を減らすことが重要な課題。
昨年の宣言では、2050年、先進国が目指すべきだという議論がある
「80%削減」を目標。

--「つくる」過程でのCO2削減をどう進めてるか?

◆既に窯の燃料を、石油から天然ガスに替えることで、
CO2排出量を大きく減らし、窯の熱効率を上げる技術に取り組んでいる。
10年から、知多事業所に風力発電機を建設する予定。
伊勢湾に面し、北西風がよく吹く場所。
テストケースだが、これを足場に大規模な投資を考えている。

--消費者が「つかう」場面での省エネには、どんな工夫を?

◆社内の基準をクリアした「エコ推奨商品」を、売上高の90%が目標。
4月から、INAX製品を使った時、90年比でCO2排出量を
どれだけ減らせるか、カタログやホームページ、ショールームでの
表示を始めました。
冷暖房のエネルギー削減では、湿度を安定させる「エコカラット」という
建材があり、エアコンの使用を減らす。
給湯エネルギーの削減では、シャワーの流量を減らしても、
同じ爽快感を得られるよう、お湯の出方を工夫。

--製品を、資源に「もどす」取り組みもしている。

◆製品には寿命があるので、廃棄される時にいかに環境に
負荷を与えないかが重要。
07年、本社がある愛知県常滑市に「エコセンター」をつくり、
我々自身でリサイクルを始めた。
リフォームでお風呂を壊すと、INAXが作ったものではない
木材やセメントも一緒に出て、それらを全部エコセンターで引き取る。
徹底的に分別・分解し、新たな資源としてまた社会に還元。
現在は1カ所だけ、全国的な展開も考えている。
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◇かわもと・りゅういち

早稲田大理工卒。76年伊奈製陶(現INAX)入社。
住空間事業本部設備事業部長、取締役専務執行役員などを経て、
07年6月から社長。愛知県出身。56歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/06/22/20090622ddm008020020000c.html

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