(読売 2月27日)
人間の筋肉の動きを同時進行で透視できる「魔法の鏡」を、
東京大学IRT(情報ロボット技術)研究機構の
中村仁彦教授らのグループが開発。
モデルが体を動かすと、テレビ画面の透視画像も鏡のように同時に動き、
使われている筋肉だけが黄色から赤に変化する。
動きが止まると、黄色に戻る。
筋肉の活動度を測る筋電計16個を体に付け、
周囲に設置した10台のカメラで体の動きを撮影。
足にかかる力を床で計測。
これらのデータをまとめてコンピューターで瞬時に解析し、
筋肉の動きをテレビ画面に映し出す仕組み。
中村教授は、「さらに技術開発を重ねて装置を簡略化し、
スポーツジムやリハビリテーションセンターに設置したり、
テレビゲームに応用できるようにしたい」
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090227-OYT1T01080.htm
2009年3月9日月曜日
ほめられる子は思いやりも育つ…科学の目が初めて証明
(読売 2月28日)
乳幼児期に親からよくほめられる子供は、
他人を思いやる気持ちなどの社会適応力が高くなることが、
科学技術振興機構の長期追跡調査で明らかに。
育児で「ほめる」ことの重要性が、科学的に証明されたのは初めて。
筑波大の安梅勅江(あんめときえ)教授(発達保健学)らの研究チームは、
2005~08年、大阪府と三重県の計約400人の赤ちゃんに対し、
生後4か月、9か月、1歳半、2歳半の時点で成長の度合いを調査。
調査は、親へのアンケートや親子の行動観察などを通して実施。
自ら親に働きかける「主体性」や相手の様子に応じて行動する「共感性」など、
5分野25項目で評価。
その結果、生後4~9か月時点で、父母が「育児でほめることは大切」と
考えている場合、その子供の社会適応力は1歳半時点で高い。
1歳半~2歳半の子供に、積み木遊びを5分間させたとき、
うまく出来た子供をほめる行動をとった親は半数程度いたが、
その子供の適応力も高い。
調査では、〈1〉規則的な睡眠習慣が取れている
〈2〉母親の育児ストレスが少ない
〈3〉親子で一緒に本を読んだり買い物をしたりする――ことも、
子供の適応力の発達に結びつくことが示された。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090228-OYT1T00545.htm
乳幼児期に親からよくほめられる子供は、
他人を思いやる気持ちなどの社会適応力が高くなることが、
科学技術振興機構の長期追跡調査で明らかに。
育児で「ほめる」ことの重要性が、科学的に証明されたのは初めて。
筑波大の安梅勅江(あんめときえ)教授(発達保健学)らの研究チームは、
2005~08年、大阪府と三重県の計約400人の赤ちゃんに対し、
生後4か月、9か月、1歳半、2歳半の時点で成長の度合いを調査。
調査は、親へのアンケートや親子の行動観察などを通して実施。
自ら親に働きかける「主体性」や相手の様子に応じて行動する「共感性」など、
5分野25項目で評価。
その結果、生後4~9か月時点で、父母が「育児でほめることは大切」と
考えている場合、その子供の社会適応力は1歳半時点で高い。
1歳半~2歳半の子供に、積み木遊びを5分間させたとき、
うまく出来た子供をほめる行動をとった親は半数程度いたが、
その子供の適応力も高い。
調査では、〈1〉規則的な睡眠習慣が取れている
〈2〉母親の育児ストレスが少ない
〈3〉親子で一緒に本を読んだり買い物をしたりする――ことも、
子供の適応力の発達に結びつくことが示された。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090228-OYT1T00545.htm
2009年3月8日日曜日
盛岡市長「20億円負担」 国体主会場誘致で表明
(岩手日報 3月4日)
盛岡市の谷藤裕明市長は、県営運動公園陸上競技場の
第1種公認に向けた整備について、
「われわれが求める形で方向性が固まるならば、応分の負担として
(総事業費の)2割程度、約20億円を負担する」と表明。
2016年の2巡目岩手国体の主会場誘致に向けた強い決意。
谷藤市長は、福井誠司氏(盛友会)の一般質問に答弁。
負担割合の理由について、「長崎県など他県では、
総事業費の1―2割程度を負担。整備後は、
盛岡市民が一番利用する機会が多く、2割程度の負担があっていい」
県営運動公園陸上競技場は、現状のままだと日本陸連の新基準で
第3種公認競技場となり、第1種公認が条件の国体陸上競技は開催できない。
県は、09年度当初予算案で、県営運動公園陸上競技場について
第2種公認として整備する事業費を計上。
園内には、ドーム型の練習施設も整備する。
ドーム型の施設整備により、県営運動公園は建ぺい率がいっぱいとなり、
第1種公認の陸上競技場整備は不可能。
谷藤市長は、「ドーム整備は要望していたが、県営運動公園内への建設を
望んだことは一度もない」と不快感を示し、
「盛岡南公園や旧競馬場跡地など場所はいろいろあり、
盛岡広域市町村でも求めている所はある。
違う場所をわれわれも一緒に探したい」
谷藤市長が示した「約20億円」の負担額は、
総事業費を約100億円以上と見積もった場合の試算。
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090304_5
盛岡市の谷藤裕明市長は、県営運動公園陸上競技場の
第1種公認に向けた整備について、
「われわれが求める形で方向性が固まるならば、応分の負担として
(総事業費の)2割程度、約20億円を負担する」と表明。
2016年の2巡目岩手国体の主会場誘致に向けた強い決意。
谷藤市長は、福井誠司氏(盛友会)の一般質問に答弁。
負担割合の理由について、「長崎県など他県では、
総事業費の1―2割程度を負担。整備後は、
盛岡市民が一番利用する機会が多く、2割程度の負担があっていい」
県営運動公園陸上競技場は、現状のままだと日本陸連の新基準で
第3種公認競技場となり、第1種公認が条件の国体陸上競技は開催できない。
県は、09年度当初予算案で、県営運動公園陸上競技場について
第2種公認として整備する事業費を計上。
園内には、ドーム型の練習施設も整備する。
ドーム型の施設整備により、県営運動公園は建ぺい率がいっぱいとなり、
第1種公認の陸上競技場整備は不可能。
谷藤市長は、「ドーム整備は要望していたが、県営運動公園内への建設を
望んだことは一度もない」と不快感を示し、
「盛岡南公園や旧競馬場跡地など場所はいろいろあり、
盛岡広域市町村でも求めている所はある。
違う場所をわれわれも一緒に探したい」
谷藤市長が示した「約20億円」の負担額は、
総事業費を約100億円以上と見積もった場合の試算。
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090304_5
「安全運転」支援 世界標準は夢か
(日経 2009-02-26)
交通事故の未然防止などを目的とした「ITS(高度道路交通システム)」
の公開実証実験が始まった。
官民一体で公道において実施する日本初の大規模実験で、
国内の自動車・電機メーカー約40社に加え、独メーカー3社も参加。
ITSは、日本が世界をリードしているが、
メーカー間の規格争いや所管官庁間の足並みの乱れが指摘。
袋小路に入らないためには、オープンな取り組みが重要。
今回の実証実験は、「ITS—SAFETY2010」と呼ばれ、
内閣官房や関係する4省庁、民間団体のITSジャパンなどで組織する
「ITS推進協議会」が主催。
開会式には、野田聖子IT(情報技術)担当大臣や
豊田章一郎ITSジャパン会長らが出席。
日本科学未来館を起点に、副都心周辺を回る50分コースと、
首都高速道路の新宿線を走る140分コースの2通りで実験。
実験内容は、高速道路での安全運転支援を目的とした「スマートウェイ」、
衝突防止などを狙った「ASV(先進安全自動車)」、
信号の見落としなどを防止する「DSSS(安全運転支援システム)」の3つ。
スマートウェイは、高速道路のETC(自動料金収受システム)に使われる
「DSRC(狭域無線)」技術を使った路車間通信がベース。
ASVはDSRCによる車車間通信、
DSSSは光ビーコンを使った路車間通信技術を使っている。
実験では、様々な無線車載機を搭載した実験車をトヨタ自動車やホンダ、
日産自動車などが約30台提供。
マスコミや自動車関係者など、約300人に試乗。
記者も早速、50分コースを体験。
実験車は公道を走るため、第三者からも一目でわかるように
「ASV」といったロゴを大きく表示し、一部はボディー全体を黄色に塗り替えた。
車内には、実験用に改造されたカーナビゲーションシステムが搭載、
ブレーキを踏まずに交差点に差し掛かると、信号の所在を文字や音で知らせ、
別の実験車が近づいたことをカーナビの地図上に表示。
現行のカーナビシステムに比べ、受信できる情報量が5倍あり、
安全走行に必要な様々な情報を素早く入手。
公道で大規模な実証実験ができたのは、2006年1月に政府が定めた
「IT新改革戦略」に、ITSの推進が初めて盛られた。
自動車メーカーなどで構成する民間団体のITSジャパンを中心に、
実証実験や普及活動を進めてきたが、
新たに官民共同のITS推進協議会を設置。
所管官庁も国土交通省や警察庁、総務省、経済産業省が
別個にITSジャパンに協力してきたのに対し、
新戦略では内閣官房に事務局を置き、4省庁が一体的に協力できる体制。
実証実験や展示会に参加してみると、官民一体とはいうものの、
同床異夢の様相も否めない。
スマートウェイは国交省の道路局、ASVは国交省の自動車交通局、
DSSSは警察庁の交通局が進めてきたプロジェクト。
技術展示が別であり、車載機もそれぞれ別個の装置が載せられ、
実験車の開発コストは1台あたり2000~5000万円。
カーナビ画面も、実験内容が変わるたびに切り替わり、
ドライバーの視点から見ると、縦割り開発の域を出ていない。
自動車メーカーも、実証実験には各社の技術者が手弁当で参加し、
連携体制をとってはいるが、肝心な戦略技術の話になると、秘密主義に。
実験には、メルセデス・ベンツ日本やフォルクスワーゲングループジャパンなども
参加し、企業間の競争を考えれば仕方がない面も。
日本が、ITSの分野で世界標準を勝ち取り、市場をリードするには、
メーカー間の共同技術開発や規格の共通化などももっと進める必要。
ITSにおける国際的な協力活動は、1990年代半ばから始まり、
日本でも97年に横浜、04年に名古屋で世界大会が開かれた。
ITSジャパンなど、各地域の推進団体が持ち回りで開く同大会は
13年には再びアジア地域で開かれる。
大規模実験を臨海副都心で行ったのは、16年のオリンピック招致を狙う
東京都の意向が反映され、公開実験を大規模に行った意義は大きい。
日本では、携帯電話の「ガラパゴス現象」に象徴されるように、
技術や機能を国内メーカー同士が競った結果、
世界の需要とは異なる方向に技術が進化し、
海外市場への販路を失ってしまったという問題。
値段が30万円もする日本の高機能カーナビについても同様。
安全対策が目的のITSも、日本の道路事情を前提に
特殊な技術を開発すれば、ガラパゴス現象をさらに助長しかねない。
政府は03年、小泉政権のもとでITSを推進する理由として、
「12年までに交通事故死者数半減(5000人以下)」という目標。
安倍、福田、麻生政権と続く政治的混迷の中で、
IT政策やITS計画に対する日本政府の取り組みは後退。
今回の実証実験に対する取り組みでも、国交省の腰がひけている印象。
ITSの分野で、日本が世界を本当にリードしていこうというなら、
官民がもっと協力して新技術の開発や標準化などを進めていく必要。
世界需要の急激な落ち込みに苦しむ日本の自動車産業の屋台骨を
強めることにほかならない。
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/ittrend/itt090225.html
交通事故の未然防止などを目的とした「ITS(高度道路交通システム)」
の公開実証実験が始まった。
官民一体で公道において実施する日本初の大規模実験で、
国内の自動車・電機メーカー約40社に加え、独メーカー3社も参加。
ITSは、日本が世界をリードしているが、
メーカー間の規格争いや所管官庁間の足並みの乱れが指摘。
袋小路に入らないためには、オープンな取り組みが重要。
今回の実証実験は、「ITS—SAFETY2010」と呼ばれ、
内閣官房や関係する4省庁、民間団体のITSジャパンなどで組織する
「ITS推進協議会」が主催。
開会式には、野田聖子IT(情報技術)担当大臣や
豊田章一郎ITSジャパン会長らが出席。
日本科学未来館を起点に、副都心周辺を回る50分コースと、
首都高速道路の新宿線を走る140分コースの2通りで実験。
実験内容は、高速道路での安全運転支援を目的とした「スマートウェイ」、
衝突防止などを狙った「ASV(先進安全自動車)」、
信号の見落としなどを防止する「DSSS(安全運転支援システム)」の3つ。
スマートウェイは、高速道路のETC(自動料金収受システム)に使われる
「DSRC(狭域無線)」技術を使った路車間通信がベース。
ASVはDSRCによる車車間通信、
DSSSは光ビーコンを使った路車間通信技術を使っている。
実験では、様々な無線車載機を搭載した実験車をトヨタ自動車やホンダ、
日産自動車などが約30台提供。
マスコミや自動車関係者など、約300人に試乗。
記者も早速、50分コースを体験。
実験車は公道を走るため、第三者からも一目でわかるように
「ASV」といったロゴを大きく表示し、一部はボディー全体を黄色に塗り替えた。
車内には、実験用に改造されたカーナビゲーションシステムが搭載、
ブレーキを踏まずに交差点に差し掛かると、信号の所在を文字や音で知らせ、
別の実験車が近づいたことをカーナビの地図上に表示。
現行のカーナビシステムに比べ、受信できる情報量が5倍あり、
安全走行に必要な様々な情報を素早く入手。
公道で大規模な実証実験ができたのは、2006年1月に政府が定めた
「IT新改革戦略」に、ITSの推進が初めて盛られた。
自動車メーカーなどで構成する民間団体のITSジャパンを中心に、
実証実験や普及活動を進めてきたが、
新たに官民共同のITS推進協議会を設置。
所管官庁も国土交通省や警察庁、総務省、経済産業省が
別個にITSジャパンに協力してきたのに対し、
新戦略では内閣官房に事務局を置き、4省庁が一体的に協力できる体制。
実証実験や展示会に参加してみると、官民一体とはいうものの、
同床異夢の様相も否めない。
スマートウェイは国交省の道路局、ASVは国交省の自動車交通局、
DSSSは警察庁の交通局が進めてきたプロジェクト。
技術展示が別であり、車載機もそれぞれ別個の装置が載せられ、
実験車の開発コストは1台あたり2000~5000万円。
カーナビ画面も、実験内容が変わるたびに切り替わり、
ドライバーの視点から見ると、縦割り開発の域を出ていない。
自動車メーカーも、実証実験には各社の技術者が手弁当で参加し、
連携体制をとってはいるが、肝心な戦略技術の話になると、秘密主義に。
実験には、メルセデス・ベンツ日本やフォルクスワーゲングループジャパンなども
参加し、企業間の競争を考えれば仕方がない面も。
日本が、ITSの分野で世界標準を勝ち取り、市場をリードするには、
メーカー間の共同技術開発や規格の共通化などももっと進める必要。
ITSにおける国際的な協力活動は、1990年代半ばから始まり、
日本でも97年に横浜、04年に名古屋で世界大会が開かれた。
ITSジャパンなど、各地域の推進団体が持ち回りで開く同大会は
13年には再びアジア地域で開かれる。
大規模実験を臨海副都心で行ったのは、16年のオリンピック招致を狙う
東京都の意向が反映され、公開実験を大規模に行った意義は大きい。
日本では、携帯電話の「ガラパゴス現象」に象徴されるように、
技術や機能を国内メーカー同士が競った結果、
世界の需要とは異なる方向に技術が進化し、
海外市場への販路を失ってしまったという問題。
値段が30万円もする日本の高機能カーナビについても同様。
安全対策が目的のITSも、日本の道路事情を前提に
特殊な技術を開発すれば、ガラパゴス現象をさらに助長しかねない。
政府は03年、小泉政権のもとでITSを推進する理由として、
「12年までに交通事故死者数半減(5000人以下)」という目標。
安倍、福田、麻生政権と続く政治的混迷の中で、
IT政策やITS計画に対する日本政府の取り組みは後退。
今回の実証実験に対する取り組みでも、国交省の腰がひけている印象。
ITSの分野で、日本が世界を本当にリードしていこうというなら、
官民がもっと協力して新技術の開発や標準化などを進めていく必要。
世界需要の急激な落ち込みに苦しむ日本の自動車産業の屋台骨を
強めることにほかならない。
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/ittrend/itt090225.html
(下)深層循環 急停止も
(読売 2月16日)
顕微鏡の中の見覚えのあるプランクトンに、
北海道大学大学院生の松野孝平さんの目はくぎ付けに。
昨年9月、海洋研究開発機構の調査船「みらい」で向かった、
北緯76度の北極海でのこと。
ネットですくい上げたこのプランクトンは、太平洋産のカイアシ類の一種。
アラスカ―シベリア間のベーリング海峡から来る海水で運ばれたもの。
松野さんを指導する北大准教授の山口篤さんによると、
プランクトンは海洋生態系の変化を探るカギを握ると同時に、
海水の流れを追跡する目印の役割。
例年なら、海氷に覆われている高緯度海域に紛れ込んだ太平洋産の生物。
その存在は、北極海の奥に流れ込む暖水の流れが
勢いを増していることをうかがわせた。
アラスカ沖の北極海の9月の表層海水温は、この10年で5度上昇。
温暖化と、この暖水の影響が相まって、
太平洋側の北極海は、氷が形成されにくい海に変わりつつある。
北極海の海氷の動きには、二つの大きな流れ。
一つは、カナダからアラスカ方向に時計回りに動く「ボーフォート環流」、
もう一つはベーリング海峡から北極点周辺を通り、
グリーンランド東岸に沿って大西洋に抜ける「極横断漂流」。
極横断漂流の出口にあたるグリーンランド沖の海域は、
地球全体を巡る「深層循環」の出発点。
ここで沈み込む北大西洋深層水(NADW)は、
深層循環を回すエンジンの役割を担っている。
海氷が出来ると、周辺の海水の塩分は高くなる。
海水が凍るときには水だけが凍り、塩分は氷の外に押し出される。
水が主体の海氷が解けると、周囲の海水は薄まって塩分は低くなる。
海水は、冷たく塩分が高いほど重い。
グリーンランド沖の海域で、海水が高温になったり、
急激に海氷が解けて塩分が薄まった海水が大量に流れ込んだりすれば、
海水は軽くなり、NADWの沈み込みが弱まる可能性。
海洋機構研究員の菊地隆さんによると、NADWが沈み込む海域の塩分は、
1970年代から30年間にわたって低下を続けてきた。
2000年以降、低下は止まったとの観測もあるが、
いつまた低下し始めるかわからない。
菊地さんは、「塩分低下の主な原因は、北極海の海氷減少と、
北極域とその周辺での降水の増加だと考えられる」
深層循環が止まったらどうなるか?
東北大学教授の花輪公雄さんによると、深層循環は南北の気候の差を
緩和する役割を果たし、その影響は地球全体に及びかねない。
大西洋では、底層を南下する冷たいNADWと入れ替わるように、
表層の「ガルフストリーム」という海流が、赤道近くの暖かい海水を北に運ぶ。
その流れが止まれば、欧州の気候は寒冷化すると予想。
温室効果ガスを増加させた状態の気候を、コンピューターで予測する
「温暖化実験」の多くは深層循環の弱まりを予想するが、
実際の海洋ではまだ、その兆候は観測されていない。
01年、ノルウェーの研究者らがNADWの沈み込みが過去50年で
20%減少していると発表して注目、調査はその後、間違っていたことが判明。
07年の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次報告書も、
「深層水の形成量に大きな変化は見られない」と結論。
花輪さんは、「急激な海氷減少が今後も続き、低塩分の海水供給が増えていけば、
深層水の沈み込みが急に止まってしまう可能性もある」
北極の温暖化で、深層海流はどう変わるのか?
その影響を探る研究が注目される。
◆深層循環
海水の温度と塩分の違いによる密度差を駆動力として流れる海洋循環。
熱塩循環とも呼ばれる。
全体を動かす原動力は、グリーンランド沖で沈み込む北大西洋深層水と、
南極大陸周辺でできる南極底層水。
北大西洋深層水は、インド洋や太平洋で表層の循環とも交わりつつ、
最終的には出発地点のグリーンランド沖に戻る。
今から1万年前に約1000年続いた寒冷期には、
深層海流が実際に止まっていたとの説が有力。
当時、北米大陸を覆っていた氷河が温暖化で大西洋に崩れ落ち、
これが解けて塩分が低下したため。
http://www.yomiuri.co.jp/eco/kaihyou/ka090216_01.htm
顕微鏡の中の見覚えのあるプランクトンに、
北海道大学大学院生の松野孝平さんの目はくぎ付けに。
昨年9月、海洋研究開発機構の調査船「みらい」で向かった、
北緯76度の北極海でのこと。
ネットですくい上げたこのプランクトンは、太平洋産のカイアシ類の一種。
アラスカ―シベリア間のベーリング海峡から来る海水で運ばれたもの。
松野さんを指導する北大准教授の山口篤さんによると、
プランクトンは海洋生態系の変化を探るカギを握ると同時に、
海水の流れを追跡する目印の役割。
例年なら、海氷に覆われている高緯度海域に紛れ込んだ太平洋産の生物。
その存在は、北極海の奥に流れ込む暖水の流れが
勢いを増していることをうかがわせた。
アラスカ沖の北極海の9月の表層海水温は、この10年で5度上昇。
温暖化と、この暖水の影響が相まって、
太平洋側の北極海は、氷が形成されにくい海に変わりつつある。
北極海の海氷の動きには、二つの大きな流れ。
一つは、カナダからアラスカ方向に時計回りに動く「ボーフォート環流」、
もう一つはベーリング海峡から北極点周辺を通り、
グリーンランド東岸に沿って大西洋に抜ける「極横断漂流」。
極横断漂流の出口にあたるグリーンランド沖の海域は、
地球全体を巡る「深層循環」の出発点。
ここで沈み込む北大西洋深層水(NADW)は、
深層循環を回すエンジンの役割を担っている。
海氷が出来ると、周辺の海水の塩分は高くなる。
海水が凍るときには水だけが凍り、塩分は氷の外に押し出される。
水が主体の海氷が解けると、周囲の海水は薄まって塩分は低くなる。
海水は、冷たく塩分が高いほど重い。
グリーンランド沖の海域で、海水が高温になったり、
急激に海氷が解けて塩分が薄まった海水が大量に流れ込んだりすれば、
海水は軽くなり、NADWの沈み込みが弱まる可能性。
海洋機構研究員の菊地隆さんによると、NADWが沈み込む海域の塩分は、
1970年代から30年間にわたって低下を続けてきた。
2000年以降、低下は止まったとの観測もあるが、
いつまた低下し始めるかわからない。
菊地さんは、「塩分低下の主な原因は、北極海の海氷減少と、
北極域とその周辺での降水の増加だと考えられる」
深層循環が止まったらどうなるか?
東北大学教授の花輪公雄さんによると、深層循環は南北の気候の差を
緩和する役割を果たし、その影響は地球全体に及びかねない。
大西洋では、底層を南下する冷たいNADWと入れ替わるように、
表層の「ガルフストリーム」という海流が、赤道近くの暖かい海水を北に運ぶ。
その流れが止まれば、欧州の気候は寒冷化すると予想。
温室効果ガスを増加させた状態の気候を、コンピューターで予測する
「温暖化実験」の多くは深層循環の弱まりを予想するが、
実際の海洋ではまだ、その兆候は観測されていない。
01年、ノルウェーの研究者らがNADWの沈み込みが過去50年で
20%減少していると発表して注目、調査はその後、間違っていたことが判明。
07年の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次報告書も、
「深層水の形成量に大きな変化は見られない」と結論。
花輪さんは、「急激な海氷減少が今後も続き、低塩分の海水供給が増えていけば、
深層水の沈み込みが急に止まってしまう可能性もある」
北極の温暖化で、深層海流はどう変わるのか?
その影響を探る研究が注目される。
◆深層循環
海水の温度と塩分の違いによる密度差を駆動力として流れる海洋循環。
熱塩循環とも呼ばれる。
全体を動かす原動力は、グリーンランド沖で沈み込む北大西洋深層水と、
南極大陸周辺でできる南極底層水。
北大西洋深層水は、インド洋や太平洋で表層の循環とも交わりつつ、
最終的には出発地点のグリーンランド沖に戻る。
今から1万年前に約1000年続いた寒冷期には、
深層海流が実際に止まっていたとの説が有力。
当時、北米大陸を覆っていた氷河が温暖化で大西洋に崩れ落ち、
これが解けて塩分が低下したため。
http://www.yomiuri.co.jp/eco/kaihyou/ka090216_01.htm
生活習慣病とメタボ腹「関連強くない」
(読売 3月1日)
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準は、
腹囲が男性85センチ以上、女性で90センチ以上あることを
必須条件としているのに対し、単に腹囲が大きいだけでは
生活習慣病の危険要因としては不十分という調査結果を、
下方浩史・国立長寿医療センター研究所部長を班長とする
厚生労働省研究班がまとめた。
メタボ基準を巡っては、男性の腹囲が女性より厳しいことなどについて
異論が続出しており、今回の結果も見直し論議に一石を投じそう。
研究班では、愛知県内の40~82歳の男女3253人について、
内臓脂肪の断面積をコンピューター断層撮影法(CT)で計測。
内臓脂肪面積が100平方センチ以上の肥満の人とそれ未満の人で、
2000年から6年間、心臓病や脳卒中を引き起こす動脈硬化の進み具合を、
心臓の冠動脈や脳血管の梗塞の有無など6項目で比較。
肥満の人は、そうでない人に比べ、動脈硬化のある人の割合が、
心臓の冠動脈は女性では約1・2倍だが男性では差がみられず、
脳内の細い血管は男性は約1・2倍だったが、
女性では差はあまりなかった。
6項目すべてで、差は1・5倍未満にとどまり、
「全体として関連はそれほど強くない」(下方部長)
メタボの基準では、内臓脂肪面積が100平方センチ以上の場合に
危険が高まるとして、該当する腹囲(男性85センチ以上、女性90センチ以上)
が定められた。
今年度始まった「特定健診」(メタボ健診)では、腹囲が基準を超えていなければ、
血圧、血糖値、脂質のすべてに異常があっても、指導の対象にならない。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090301-OYT1T00042.htm
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準は、
腹囲が男性85センチ以上、女性で90センチ以上あることを
必須条件としているのに対し、単に腹囲が大きいだけでは
生活習慣病の危険要因としては不十分という調査結果を、
下方浩史・国立長寿医療センター研究所部長を班長とする
厚生労働省研究班がまとめた。
メタボ基準を巡っては、男性の腹囲が女性より厳しいことなどについて
異論が続出しており、今回の結果も見直し論議に一石を投じそう。
研究班では、愛知県内の40~82歳の男女3253人について、
内臓脂肪の断面積をコンピューター断層撮影法(CT)で計測。
内臓脂肪面積が100平方センチ以上の肥満の人とそれ未満の人で、
2000年から6年間、心臓病や脳卒中を引き起こす動脈硬化の進み具合を、
心臓の冠動脈や脳血管の梗塞の有無など6項目で比較。
肥満の人は、そうでない人に比べ、動脈硬化のある人の割合が、
心臓の冠動脈は女性では約1・2倍だが男性では差がみられず、
脳内の細い血管は男性は約1・2倍だったが、
女性では差はあまりなかった。
6項目すべてで、差は1・5倍未満にとどまり、
「全体として関連はそれほど強くない」(下方部長)
メタボの基準では、内臓脂肪面積が100平方センチ以上の場合に
危険が高まるとして、該当する腹囲(男性85センチ以上、女性90センチ以上)
が定められた。
今年度始まった「特定健診」(メタボ健診)では、腹囲が基準を超えていなければ、
血圧、血糖値、脂質のすべてに異常があっても、指導の対象にならない。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090301-OYT1T00042.htm
2009年3月7日土曜日
逆風の中で:第3部・サッカー界は今/8止 鬼武チェアマンに聞く
(毎日 2月24日)
金融危機は、リーグに大きな影響をもたらしている。
Jリーグはいかに、危機を克服していくのか?
鬼武健二チェアマン(69)にインタビュー。
--不況がJに与える影響は?
「Jリーグも、いろんな意味で影響を受けるので対抗策を考えないと。
Jリーグの特徴は、地域に根ざした活動。
ファンにスタジアムへ足を運んでもらうため、何をすべきか考えるのが最大の施策」
--不況は優勝経験がある名門にも影を落としている。
「バックに大きな責任企業があるのはありがたい。
そこがおかしくなったら、クラブまでおかしくなるのではいけない。
自立して生きていける仕組みを作る必要。
10年までに、公式戦の年間総入場者数を1100万人とする
『イレブンミリオン』を達成しなければ」
--イレブンミリオン計画は07年にスタート。J2チーム数増も重なり、
06年は836万人だった入場者が、07年888万人、08年は913万人に。
「イレブンミリオンは、J1が70%、J2が50%の入りを達成すれば到達。
各クラブに協力してもらい、(見せかけの)数字を高くすることが目標ではない。
重要なのは、結果として経営体力がつくこと」
--経営体力のある会社と乏しい会社の二極化も進んでいる。
「マネジメント、監督のやり方によっては、小さなクラブが大きなクラブを
食うこともあるのがサッカーのおもしろさ。
長期間、安定した力を出すためには安定した財力が必要。
Jリーグは昨年、各クラブの担当者を欧州に派遣し、
スタジアムの勉強をしてもらった。学んだことを生かしてほしい」
--1月には、J2水戸の総括本部長兼営業部長に、
リーグで経営指導業務を担当した藤村昇司氏を送り出した。
「クラブとリーグの人事交流は、積極的に進めてきた。
クラブの人にはJリーグの仕事を覚えてもらい、Jリーグの人は地域で
ドロドロになって営業活動をしてこいと。人事交流すると、両方が強くなる。
水戸は、収入が3億円の状態がずっと続いている。
1億円はJリーグの配分金。
彼には、3年間で最高9億円の収入がある会社にしてくれと言っている」
--3年間で3倍?
「30億を90億に、と言ったらしんどいが、3億を9億にはできんこともない。
無理かもしれないが、高い志でやれば、新しいクラブの参考になる」
--将来の目標は。
「07年度、Jリーグ全31クラブ(当時)の総営業収入は約740億円。
広告料収入が約330億円、入場料収入は約150億円。
長い時間は必要だが、将来的に広告料と同等か、超える入場料収入がないと」
--地域密着はJリーグの強みでもある。
「最初の理念だし、これが一番重要。
地域のみなさんとの絆を強く、太くしていく。
サッカーから元気をもらった、と思ってもらえるリーグにしていきたい」
==============
◇おにたけ・けんじ
1939年9月、広島市生まれ。早大から62年にヤンマーに入社。
67年に監督に就任し、日本リーグ、天皇杯で各3回の優勝。
セ大阪社長、会長などを経て、06年にJリーグ3代目チェアマンに就任。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/24/20090224ddm035050006000c.html
金融危機は、リーグに大きな影響をもたらしている。
Jリーグはいかに、危機を克服していくのか?
鬼武健二チェアマン(69)にインタビュー。
--不況がJに与える影響は?
「Jリーグも、いろんな意味で影響を受けるので対抗策を考えないと。
Jリーグの特徴は、地域に根ざした活動。
ファンにスタジアムへ足を運んでもらうため、何をすべきか考えるのが最大の施策」
--不況は優勝経験がある名門にも影を落としている。
「バックに大きな責任企業があるのはありがたい。
そこがおかしくなったら、クラブまでおかしくなるのではいけない。
自立して生きていける仕組みを作る必要。
10年までに、公式戦の年間総入場者数を1100万人とする
『イレブンミリオン』を達成しなければ」
--イレブンミリオン計画は07年にスタート。J2チーム数増も重なり、
06年は836万人だった入場者が、07年888万人、08年は913万人に。
「イレブンミリオンは、J1が70%、J2が50%の入りを達成すれば到達。
各クラブに協力してもらい、(見せかけの)数字を高くすることが目標ではない。
重要なのは、結果として経営体力がつくこと」
--経営体力のある会社と乏しい会社の二極化も進んでいる。
「マネジメント、監督のやり方によっては、小さなクラブが大きなクラブを
食うこともあるのがサッカーのおもしろさ。
長期間、安定した力を出すためには安定した財力が必要。
Jリーグは昨年、各クラブの担当者を欧州に派遣し、
スタジアムの勉強をしてもらった。学んだことを生かしてほしい」
--1月には、J2水戸の総括本部長兼営業部長に、
リーグで経営指導業務を担当した藤村昇司氏を送り出した。
「クラブとリーグの人事交流は、積極的に進めてきた。
クラブの人にはJリーグの仕事を覚えてもらい、Jリーグの人は地域で
ドロドロになって営業活動をしてこいと。人事交流すると、両方が強くなる。
水戸は、収入が3億円の状態がずっと続いている。
1億円はJリーグの配分金。
彼には、3年間で最高9億円の収入がある会社にしてくれと言っている」
--3年間で3倍?
「30億を90億に、と言ったらしんどいが、3億を9億にはできんこともない。
無理かもしれないが、高い志でやれば、新しいクラブの参考になる」
--将来の目標は。
「07年度、Jリーグ全31クラブ(当時)の総営業収入は約740億円。
広告料収入が約330億円、入場料収入は約150億円。
長い時間は必要だが、将来的に広告料と同等か、超える入場料収入がないと」
--地域密着はJリーグの強みでもある。
「最初の理念だし、これが一番重要。
地域のみなさんとの絆を強く、太くしていく。
サッカーから元気をもらった、と思ってもらえるリーグにしていきたい」
==============
◇おにたけ・けんじ
1939年9月、広島市生まれ。早大から62年にヤンマーに入社。
67年に監督に就任し、日本リーグ、天皇杯で各3回の優勝。
セ大阪社長、会長などを経て、06年にJリーグ3代目チェアマンに就任。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/24/20090224ddm035050006000c.html
車代わり 富山市民の足
(読売 1月26日)
富山駅前から富山湾近くの岩瀬浜駅までの7・6キロを結ぶ
「富山ライトレール」。
旧JR富山港線を活用し、一部は路面電車化して2006年4月に開業。
環境に優しい市民の身近な足として、親しまれている。
ライトレール(Light Rail Transit=軽量軌道交通)は、
欧米の都市で発達した小型の交通システム。
富山市では、第3セクターが経営。
2両で1編成、全長18・4メートルで、定員80人。
レール下にはゴム状の樹脂が敷かれ、走行中の騒音が小さい。
導入は、車を使わなくてもスムーズに日常生活を送れる
「コンパクトな町づくり」を目指す市の計画の一環。
JR時代より運行回数と駅を増やして利便性を高めたところ、
1日平均乗客数は約4500人、平日は約2倍、休日は約4倍に増えた。
市路面電車推進室の谷口博司室長(52)は、
「車を運転しない高齢者にも重宝されている」と分析。
マイカー代わりに、ライトレールを利用する市民も多い。
富山県の1世帯当たりのマイカー保有台数は1・72台(08年3月)、
全国2位の多さ。
自動車への依存度は高いが、ライトレールの登場により
「年間436トンのCO2削減効果があった」(富山市交通政策課)と推計。
市は、ライトレールや路線バスなど19路線を公共交通の軸にして、
主要駅周辺の徒歩圏内に行政・福祉施設などを集める
「市公共交通活性化計画」を策定。
これら沿線には現在、市人口の3割が生活、
これを20年後には4割に増やし、CO2排出量の30%削減を目指す。
ライトレールを核にした活性化の成功例として、
国内外から視察が相次ぐ富山市。
谷口室長は、「車がなくても安心して暮らせる町にすることが
都市環境の改善につながる」と、改革の意義を強調。
http://www.yomiuri.co.jp/eco/wagamachi/20090126-OYT8T00663.htm
富山駅前から富山湾近くの岩瀬浜駅までの7・6キロを結ぶ
「富山ライトレール」。
旧JR富山港線を活用し、一部は路面電車化して2006年4月に開業。
環境に優しい市民の身近な足として、親しまれている。
ライトレール(Light Rail Transit=軽量軌道交通)は、
欧米の都市で発達した小型の交通システム。
富山市では、第3セクターが経営。
2両で1編成、全長18・4メートルで、定員80人。
レール下にはゴム状の樹脂が敷かれ、走行中の騒音が小さい。
導入は、車を使わなくてもスムーズに日常生活を送れる
「コンパクトな町づくり」を目指す市の計画の一環。
JR時代より運行回数と駅を増やして利便性を高めたところ、
1日平均乗客数は約4500人、平日は約2倍、休日は約4倍に増えた。
市路面電車推進室の谷口博司室長(52)は、
「車を運転しない高齢者にも重宝されている」と分析。
マイカー代わりに、ライトレールを利用する市民も多い。
富山県の1世帯当たりのマイカー保有台数は1・72台(08年3月)、
全国2位の多さ。
自動車への依存度は高いが、ライトレールの登場により
「年間436トンのCO2削減効果があった」(富山市交通政策課)と推計。
市は、ライトレールや路線バスなど19路線を公共交通の軸にして、
主要駅周辺の徒歩圏内に行政・福祉施設などを集める
「市公共交通活性化計画」を策定。
これら沿線には現在、市人口の3割が生活、
これを20年後には4割に増やし、CO2排出量の30%削減を目指す。
ライトレールを核にした活性化の成功例として、
国内外から視察が相次ぐ富山市。
谷口室長は、「車がなくても安心して暮らせる町にすることが
都市環境の改善につながる」と、改革の意義を強調。
http://www.yomiuri.co.jp/eco/wagamachi/20090126-OYT8T00663.htm
(上)黒い北極海 温暖化加速
(読売 2月9日)
北極海で、海氷の急激な減少が続いている。
観測史上最小の水準にある海氷域。
地球の気候システム全体に影響を及ぼしかねない変化が起きている。
中国の砕氷船「雪龍」は、薄氷を裂いて進んだ。
昨年8月、北緯85度付近の北極海。
中国人やフランス人の研究者たちに交じって、船上で氷の状態を
調べていた北見工業大学助教の舘山一孝さんは、
「ある程度は予想していたが、ここまでとは……」
氷があまりに少なく、状態も様変わりしていた。
この海域は、北極点まで約500キロ。
例年は、夏でも分厚い氷に覆われている海域なのに、
その表面には黒っぽいまだら模様が浮かびあがっていた。
氷のない海面に顔を出すアザラシをエサにするホッキョクグマも、多数目撃。
黒い模様の正体は「メルトポンド」。海氷の表面が解けてできた池。
海面まで突き抜けた領域も目立った。
2005年に北極点の縦断観測に参加した経験もある舘山さんの目には、
これほど高緯度の海氷域に多数のメルトポンドがある光景は、異様。
一昨年、北極海の海氷面積は観測史上最小を記録し、
昨年も過去2番目に小さい規模に縮小。
極点周辺にまで及ぶ多数のメルトポンドは、海氷面積の減少とともに、
北極海の変貌を映し出していた。
海氷の減少が懸念されるのは、それが北極海だけでなく、
地球全体の気候に大きな影響を及ぼす可能性がある。
地表の気温は、太陽から受け取る熱と反射して宇宙に放出する
熱のバランスで決まる。
白い氷は太陽光をよく反射するが、青黒い海面は太陽光を多く吸収。
虫めがねで太陽光を集めると、白より黒い紙の方に火が付きやすいのと同じ。
海洋研究開発機構研究員の猪上淳さんによると、
氷のない海面が太陽から受ける熱の94%を吸収、氷はわずか9%。
表面が解けただけとはいえ、メルトポンドの熱吸収率も55%に。
白い北極海が黒く変わることで、温暖化が加速される可能性がある。
舘山さんは、メルトポンドが海氷面積の20%を超えた海域を
「メルトポンドがある海域」と定義、宇宙航空研究開発機構が地球観測衛星に
搭載したセンサー「AMSR―E」のデータを使って、その変化を調べた。
メルトポンドの面積は例年、海氷の融解期の終わりに当たる8月中旬に最大。
海氷全体の面積に占める割合は昨年8月、AMSR―Eがデータを取り始めた
2003年以降で過去最高の54%。
注目されるのは、「メルトポンドがある海域」が昨年初めて、
北極点に達した可能性があること。
メルトポンドがある海域を地図上で赤く表示、北極点周辺も真っ赤に染まった。
米コロラド大のジェームズ・マスラニク教授らの研究チームが
一昨年発表した調査報告によると、北極海で5年以上解けずにいる
「多年氷」に覆われた海域の面積は、2007年まで25年間で56%も減少。
北極点を取り囲む中央部での減少率は88%、
9年以上の多年氷はほとんど消滅。
海氷は、融解期に解けずに生き延びた「多年氷」の方が、
新しい「1年氷」よりも厚い。
研究チームは、「多年氷」が「若い氷」に置き換わった結果、
海氷の平均的な厚さは、25年間で2・6メートルから2メートルに薄くなった。
黒く、そして薄くなる北極海の海氷域。
その下の海水にも、じつは変化の予兆が表れ始めている。
◆砕氷船「雪龍」
中国極地研究所所属の調査船(2万8000トン)、南極観測にも使われる。
全長195メートル、幅26メートル、高さ40メートル。
研究者と乗員合わせて120人が乗り込む。母港は上海。
3回目の北極航海となる昨年は、7月11日に上海を出港。
中国、日本、韓国、フランスなどの研究者も乗り込んだ。
中国は、北極基地をノルウェー北部スバールバル諸島に設置、
観測に力を入れている。
http://www.yomiuri.co.jp/eco/kaihyou/ka090209_01.htm
北極海で、海氷の急激な減少が続いている。
観測史上最小の水準にある海氷域。
地球の気候システム全体に影響を及ぼしかねない変化が起きている。
中国の砕氷船「雪龍」は、薄氷を裂いて進んだ。
昨年8月、北緯85度付近の北極海。
中国人やフランス人の研究者たちに交じって、船上で氷の状態を
調べていた北見工業大学助教の舘山一孝さんは、
「ある程度は予想していたが、ここまでとは……」
氷があまりに少なく、状態も様変わりしていた。
この海域は、北極点まで約500キロ。
例年は、夏でも分厚い氷に覆われている海域なのに、
その表面には黒っぽいまだら模様が浮かびあがっていた。
氷のない海面に顔を出すアザラシをエサにするホッキョクグマも、多数目撃。
黒い模様の正体は「メルトポンド」。海氷の表面が解けてできた池。
海面まで突き抜けた領域も目立った。
2005年に北極点の縦断観測に参加した経験もある舘山さんの目には、
これほど高緯度の海氷域に多数のメルトポンドがある光景は、異様。
一昨年、北極海の海氷面積は観測史上最小を記録し、
昨年も過去2番目に小さい規模に縮小。
極点周辺にまで及ぶ多数のメルトポンドは、海氷面積の減少とともに、
北極海の変貌を映し出していた。
海氷の減少が懸念されるのは、それが北極海だけでなく、
地球全体の気候に大きな影響を及ぼす可能性がある。
地表の気温は、太陽から受け取る熱と反射して宇宙に放出する
熱のバランスで決まる。
白い氷は太陽光をよく反射するが、青黒い海面は太陽光を多く吸収。
虫めがねで太陽光を集めると、白より黒い紙の方に火が付きやすいのと同じ。
海洋研究開発機構研究員の猪上淳さんによると、
氷のない海面が太陽から受ける熱の94%を吸収、氷はわずか9%。
表面が解けただけとはいえ、メルトポンドの熱吸収率も55%に。
白い北極海が黒く変わることで、温暖化が加速される可能性がある。
舘山さんは、メルトポンドが海氷面積の20%を超えた海域を
「メルトポンドがある海域」と定義、宇宙航空研究開発機構が地球観測衛星に
搭載したセンサー「AMSR―E」のデータを使って、その変化を調べた。
メルトポンドの面積は例年、海氷の融解期の終わりに当たる8月中旬に最大。
海氷全体の面積に占める割合は昨年8月、AMSR―Eがデータを取り始めた
2003年以降で過去最高の54%。
注目されるのは、「メルトポンドがある海域」が昨年初めて、
北極点に達した可能性があること。
メルトポンドがある海域を地図上で赤く表示、北極点周辺も真っ赤に染まった。
米コロラド大のジェームズ・マスラニク教授らの研究チームが
一昨年発表した調査報告によると、北極海で5年以上解けずにいる
「多年氷」に覆われた海域の面積は、2007年まで25年間で56%も減少。
北極点を取り囲む中央部での減少率は88%、
9年以上の多年氷はほとんど消滅。
海氷は、融解期に解けずに生き延びた「多年氷」の方が、
新しい「1年氷」よりも厚い。
研究チームは、「多年氷」が「若い氷」に置き換わった結果、
海氷の平均的な厚さは、25年間で2・6メートルから2メートルに薄くなった。
黒く、そして薄くなる北極海の海氷域。
その下の海水にも、じつは変化の予兆が表れ始めている。
◆砕氷船「雪龍」
中国極地研究所所属の調査船(2万8000トン)、南極観測にも使われる。
全長195メートル、幅26メートル、高さ40メートル。
研究者と乗員合わせて120人が乗り込む。母港は上海。
3回目の北極航海となる昨年は、7月11日に上海を出港。
中国、日本、韓国、フランスなどの研究者も乗り込んだ。
中国は、北極基地をノルウェー北部スバールバル諸島に設置、
観測に力を入れている。
http://www.yomiuri.co.jp/eco/kaihyou/ka090209_01.htm
畜産排水の窒素・リン濃度減らす技術開発
(サイエンスポータル 2009年2月23日)
養豚農家などの畜舎から出る排水を、簡単な設備を付加するだけで
さらに浄化できる技術を、農業・食品産業技術総合研究機構の
畜産草地研究所が開発。
新しく開発された排水処理法は、現在、養豚農家で通常使われている
浄化施設に2つの槽を付加するだけでよい。
硝酸性窒素とリン酸を除去するための材料は、
市販品を利用しているのが特徴。
第1槽は、園芸店などでも売られている土壌改良資材である
パーライトの表面に、硫黄と炭酸カルシウムをコーティングした
粒状資材を詰めている。
この資材表面に、自然繁殖する硫黄酸化細菌によって
硝酸性窒素が除去され、茶褐色の排水もわずかながら色が薄くなる。
第2槽では、軽量発泡コンクリートを製造する際の副産物として
市販されているケイ酸カルシウム含有資材が、リン酸を吸着して除去し、
酸性化した排水を中和する効果がある。
これら2つの槽を付加することで、通常の排水処理を行った後に、
なお残っている窒素とリンが最大95%程度除去される。
畜産草地研究所は、東京農業大学、群立機器、クリオンと協力し、
実用化を検討。
日本の畜産業は、飼料を輸入に頼っており、畜糞の堆肥化という
資源循環も行われない結果、水質や土壌への
過剰な窒素の蓄積という悪影響が心配。
畜舎からの排水については、全国一律の水質基準が定められているが、
自治体によってはさらに厳しい水質基準を課している地域もあり、
これらの地域の畜産農家は排水中の窒素・リン濃度を、
通常の処理を行った場合よりもさらに低下させることが求められている。
http://www.scienceportal.jp/news/daily/0902/0902231.html
養豚農家などの畜舎から出る排水を、簡単な設備を付加するだけで
さらに浄化できる技術を、農業・食品産業技術総合研究機構の
畜産草地研究所が開発。
新しく開発された排水処理法は、現在、養豚農家で通常使われている
浄化施設に2つの槽を付加するだけでよい。
硝酸性窒素とリン酸を除去するための材料は、
市販品を利用しているのが特徴。
第1槽は、園芸店などでも売られている土壌改良資材である
パーライトの表面に、硫黄と炭酸カルシウムをコーティングした
粒状資材を詰めている。
この資材表面に、自然繁殖する硫黄酸化細菌によって
硝酸性窒素が除去され、茶褐色の排水もわずかながら色が薄くなる。
第2槽では、軽量発泡コンクリートを製造する際の副産物として
市販されているケイ酸カルシウム含有資材が、リン酸を吸着して除去し、
酸性化した排水を中和する効果がある。
これら2つの槽を付加することで、通常の排水処理を行った後に、
なお残っている窒素とリンが最大95%程度除去される。
畜産草地研究所は、東京農業大学、群立機器、クリオンと協力し、
実用化を検討。
日本の畜産業は、飼料を輸入に頼っており、畜糞の堆肥化という
資源循環も行われない結果、水質や土壌への
過剰な窒素の蓄積という悪影響が心配。
畜舎からの排水については、全国一律の水質基準が定められているが、
自治体によってはさらに厳しい水質基準を課している地域もあり、
これらの地域の畜産農家は排水中の窒素・リン濃度を、
通常の処理を行った場合よりもさらに低下させることが求められている。
http://www.scienceportal.jp/news/daily/0902/0902231.html
2009年3月6日金曜日
長谷川香料の長谷川徳二郎社長 「高齢社会で香料の役割が増す」
(日経 2月17日)
飲料、食品からシャンプー、リンスまで、香料は幅広い商品に使われている。
国内市場は、市場自体の成熟により伸び悩むが、
大手メーカーの長谷川香料、長谷川徳二郎社長は、
社会の高齢化に需要開拓のチャンスがあると説く。
今後の展開や狙いを聞いた。
——香料の国内市場は伸び悩んでいる。
「シャンプーやリンスなどに含まれる香料は、
人口の増加に比例して市場も伸びる。
人口の減少は、香料市場にとって痛手に。
市場の先行きについては、悲観的には見ていない。
団塊世代の大量退職で、日本は本格的な高齢社会に。
高齢者が増えれば、香料の役割もますます重要になり、
当社にもチャンスが訪れる」
——その訳は。
「高齢者は、長く元気に生きたいと思っている。
健康を長く保つためには、糖分や塩分の摂取を抑えつつ、
いかにおいしい食事をとれるかが重要なテーマ。
香料をうまくつかえば、塩分を控えつつ、
塩味を摂取したような味を感じさせることができる」
——具体的にはどんな取り組みを考えているのか。
「病院の流動食向けの香料を、まず強化したい。
おいしく食べられる病院食をテーマに、味と栄養のバランスが取れた
食品向けの香料を積極的に供給していく」
——研究拠点も強化する。
「本社内にある食品向けのフレーバー研究所とシャンプーなどの
フレグランス研究所を移転。
川崎にある研究所に集約して、基礎研究から一貫した研究施設を整える。
高齢者のみならず、消費者の嗜好性が多様化する時代に対応し、
香料は多品種少量生産にシフトする方向にある。
研究所をまとめることで、製品開発面でも相乗効果を発揮したい」
——食に対する安心や安全を求める消費者の声が高まっている。
「食品会社や飲料会社が、香料の品質に対する要求水準を厳しくしている。
海外でも、日本国内と同様の品質を保つため、
全社で約120人の専門組織を立ち上げた。
社是に掲げる『技術立社』を支えるために基盤を固め、万全を期したい」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090216.html
飲料、食品からシャンプー、リンスまで、香料は幅広い商品に使われている。
国内市場は、市場自体の成熟により伸び悩むが、
大手メーカーの長谷川香料、長谷川徳二郎社長は、
社会の高齢化に需要開拓のチャンスがあると説く。
今後の展開や狙いを聞いた。
——香料の国内市場は伸び悩んでいる。
「シャンプーやリンスなどに含まれる香料は、
人口の増加に比例して市場も伸びる。
人口の減少は、香料市場にとって痛手に。
市場の先行きについては、悲観的には見ていない。
団塊世代の大量退職で、日本は本格的な高齢社会に。
高齢者が増えれば、香料の役割もますます重要になり、
当社にもチャンスが訪れる」
——その訳は。
「高齢者は、長く元気に生きたいと思っている。
健康を長く保つためには、糖分や塩分の摂取を抑えつつ、
いかにおいしい食事をとれるかが重要なテーマ。
香料をうまくつかえば、塩分を控えつつ、
塩味を摂取したような味を感じさせることができる」
——具体的にはどんな取り組みを考えているのか。
「病院の流動食向けの香料を、まず強化したい。
おいしく食べられる病院食をテーマに、味と栄養のバランスが取れた
食品向けの香料を積極的に供給していく」
——研究拠点も強化する。
「本社内にある食品向けのフレーバー研究所とシャンプーなどの
フレグランス研究所を移転。
川崎にある研究所に集約して、基礎研究から一貫した研究施設を整える。
高齢者のみならず、消費者の嗜好性が多様化する時代に対応し、
香料は多品種少量生産にシフトする方向にある。
研究所をまとめることで、製品開発面でも相乗効果を発揮したい」
——食に対する安心や安全を求める消費者の声が高まっている。
「食品会社や飲料会社が、香料の品質に対する要求水準を厳しくしている。
海外でも、日本国内と同様の品質を保つため、
全社で約120人の専門組織を立ち上げた。
社是に掲げる『技術立社』を支えるために基盤を固め、万全を期したい」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090216.html
栄養士による電話カウンセリングも体重減量に有効
(2009年2月27日 Medscape)
減量を試みる肥満患者の生活習慣改善支援の方法として、
栄養士の電話による頻繁な接触が面談カウンセリングと同等の効果。
『Annals of Internal Medicine』2月17日号に発表。
Pfizer社(コネチカット州)のAndres G. Digenioらは、
「医師は、減量のための薬剤を頻繁に処方するが、
生活習慣のカウンセリングはほとんど行わない。
両者を組み合わせると、介入の効果が高まる」
「生活習慣カウンセリングを省略する理由は、
行動カウンセリングの訓練をほとんど受けていない、
カウンセリングの時間がとれない、集学的スタッフが揃っていない、
インフラ整備が不十分、外来回数を増やしても医療保険の対象に
ならないことによる費用、といったことが考えられる」
目的は、肥満臨床試験の実施経験を有する独立研究臨床施設12カ所で
シブトラミン治療を受けている肥満患者の生活習慣改善プログラムで
提供される5つの手法を比較。
ランダム置換ブロック(ブロック長は5)のスケジュールを用いて、
肥満被験者376例(肥満指数が30~40 kg/m2)を各介入群。
試験期間中は、被験者全員をシブトラミン10 mg/日、生活習慣の手引き、
体重減量ウェブサイトへのアクセスで治療。
5種類の介入手法は、回数の多い面談による
生活習慣改善カウンセリング(n = 74)、回数の少ない面談による
生活習慣改善カウンセリング(n = 76)、回数の多い電話による
カウンセリング(n = 76)、回数の多い電子メールによるカウンセリング(n = 74)、
栄養士からの接触なし(自助努力、n = 76)。
試験の主要エンドポイントは、6カ月間での体重の変化率であり、
二次転帰は6カ月間での胴囲、脂質・糖・インスリンのレベル、血圧、
体重関連症状、生活の質の変化。
回数の多い面談の群と回数の多い電話の群は、
試験開始から6カ月後の平均減量率に差がなく、
その他の群よりも有意に大きかった。
胴囲、高比重リポ蛋白コレステロール値、トリグリセリド値、生活の質と
体重関連症状の測定値は、全介入群において有意に改善。
深刻な有害事象は報告されず、軽度の有害事象も群間に有意差がなかった。
「減量を試みる肥満患者の生活習慣改善支援の面で、
回数の多い電話による栄養士の接触はHF-F2F(回数の多い面談)
による接触に差が無かった」
「今回の知見は、健康的な生活習慣改善を促進する医療提供者や
医療システムで活用できる」
限界として、被験者のほとんどが白人女性で、知見の一般化が難しいこと、
離脱率が30%と高かったこと。
「体重減量に、生活習慣カウンセリング支援の様式と回数が大きな影響を持つ。
被験者の減量の幅は、栄養士の頻繁な面談による接触を受けた場合に最大、
栄養士の支援がない場合には最小。
薬物治療と併用した場合、電話を介した栄養士によるカウンセリングも
面談カウンセリングと同程度に有効」
Ann Intern Med. 2009;150:255-262.
http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/2/27/92753/
減量を試みる肥満患者の生活習慣改善支援の方法として、
栄養士の電話による頻繁な接触が面談カウンセリングと同等の効果。
『Annals of Internal Medicine』2月17日号に発表。
Pfizer社(コネチカット州)のAndres G. Digenioらは、
「医師は、減量のための薬剤を頻繁に処方するが、
生活習慣のカウンセリングはほとんど行わない。
両者を組み合わせると、介入の効果が高まる」
「生活習慣カウンセリングを省略する理由は、
行動カウンセリングの訓練をほとんど受けていない、
カウンセリングの時間がとれない、集学的スタッフが揃っていない、
インフラ整備が不十分、外来回数を増やしても医療保険の対象に
ならないことによる費用、といったことが考えられる」
目的は、肥満臨床試験の実施経験を有する独立研究臨床施設12カ所で
シブトラミン治療を受けている肥満患者の生活習慣改善プログラムで
提供される5つの手法を比較。
ランダム置換ブロック(ブロック長は5)のスケジュールを用いて、
肥満被験者376例(肥満指数が30~40 kg/m2)を各介入群。
試験期間中は、被験者全員をシブトラミン10 mg/日、生活習慣の手引き、
体重減量ウェブサイトへのアクセスで治療。
5種類の介入手法は、回数の多い面談による
生活習慣改善カウンセリング(n = 74)、回数の少ない面談による
生活習慣改善カウンセリング(n = 76)、回数の多い電話による
カウンセリング(n = 76)、回数の多い電子メールによるカウンセリング(n = 74)、
栄養士からの接触なし(自助努力、n = 76)。
試験の主要エンドポイントは、6カ月間での体重の変化率であり、
二次転帰は6カ月間での胴囲、脂質・糖・インスリンのレベル、血圧、
体重関連症状、生活の質の変化。
回数の多い面談の群と回数の多い電話の群は、
試験開始から6カ月後の平均減量率に差がなく、
その他の群よりも有意に大きかった。
胴囲、高比重リポ蛋白コレステロール値、トリグリセリド値、生活の質と
体重関連症状の測定値は、全介入群において有意に改善。
深刻な有害事象は報告されず、軽度の有害事象も群間に有意差がなかった。
「減量を試みる肥満患者の生活習慣改善支援の面で、
回数の多い電話による栄養士の接触はHF-F2F(回数の多い面談)
による接触に差が無かった」
「今回の知見は、健康的な生活習慣改善を促進する医療提供者や
医療システムで活用できる」
限界として、被験者のほとんどが白人女性で、知見の一般化が難しいこと、
離脱率が30%と高かったこと。
「体重減量に、生活習慣カウンセリング支援の様式と回数が大きな影響を持つ。
被験者の減量の幅は、栄養士の頻繁な面談による接触を受けた場合に最大、
栄養士の支援がない場合には最小。
薬物治療と併用した場合、電話を介した栄養士によるカウンセリングも
面談カウンセリングと同程度に有効」
Ann Intern Med. 2009;150:255-262.
http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/2/27/92753/
逆風の中で:第3部・サッカー界は今/7 苦戦覚悟のJ参入
(毎日 2月23日)
昨年、ファジアーノ岡山の木村正明社長のもとに電話。
「契約の話を白紙に戻す」
新シーズン、メーンスポンサーとなる予定だった企業から。
「覚悟はしていたが、ついに来たか」。不況の到来を実感した瞬間。
米系証券会社のゴールドマン・サックス証券で、
執行役員を務めた経歴を持つ木村社長は、
かつてのバブル経済崩壊と比べ、今回の景気落ち込みの速さを感じている。
「(9月の)『リーマン・ショック』から、一気に最悪の雰囲気になった」
チームはJリーグ入りを目指し、JFLで上位争いを繰り広げた時期。
J参入が決まれば、予算規模を拡大せざるをえないが、
スポンサー探しに暗雲が垂れこめた。
結局12月のJリーグ入会審査直前になって、メーンスポンサーに
岡山ガスを迎えることができた。
同社の岡崎彬社長は、地元商工会議所の会頭。
木村社長は、「窮状を救ってもらった」と感謝。
メーン以外のスポンサーにも支えられた。
親企業を持たない市民クラブとして、地域に根ざした営業を進めた効果もあり、
「こういうときこそ互いに頑張ろう」と、大半が出資を継続。
岡山は、性急な拡大路線に乗らない、小ぶりな「J2型経営」を掲げる。
JFLの08年度は、2億2000万円で収支が均衡したが、
09年度は倍以上の予算規模を設定。
これでも、J2最低レベル。
「JFL時代と同じ選手層で勝てないと分かっているが、
若いチームが試合を通じて伸びていく、というやり方しかできない」
目を引く補強は行わず、主力メンバーは、
地域リーグを戦った当時から変わっていない。
J2では苦戦が予想される。
「負けても、愛されるチーム作りが大事。成績に関係なく、スタジアムに
常時1万人入るようになることが、地方クラブの生きる道だと思う」
JFL時代にも好評だった、小学生を対象とした無料パス制度「夢パス」は、
今季も継続する。
夢パス利用の入場料相当額を、スポンサーが負担するシステムで
支援企業、地域との一体感を、より高めていく。
木村社長の経済認識は前向き。
「皆さん、悲観的すぎる。ダメージはしばらく残るだろうが、
『ここ数年は暗黒時代』という状況にはならない」
それでも、景気に左右される経営は行わない。
「日本が右肩あがりで急成長したり、バブルを謳歌できる時代は終わった」
壮大な夢は見ず、「100年後まで残るクラブ」を目指して、地道に汗をかく。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/23/20090223ddm035050089000c.html
昨年、ファジアーノ岡山の木村正明社長のもとに電話。
「契約の話を白紙に戻す」
新シーズン、メーンスポンサーとなる予定だった企業から。
「覚悟はしていたが、ついに来たか」。不況の到来を実感した瞬間。
米系証券会社のゴールドマン・サックス証券で、
執行役員を務めた経歴を持つ木村社長は、
かつてのバブル経済崩壊と比べ、今回の景気落ち込みの速さを感じている。
「(9月の)『リーマン・ショック』から、一気に最悪の雰囲気になった」
チームはJリーグ入りを目指し、JFLで上位争いを繰り広げた時期。
J参入が決まれば、予算規模を拡大せざるをえないが、
スポンサー探しに暗雲が垂れこめた。
結局12月のJリーグ入会審査直前になって、メーンスポンサーに
岡山ガスを迎えることができた。
同社の岡崎彬社長は、地元商工会議所の会頭。
木村社長は、「窮状を救ってもらった」と感謝。
メーン以外のスポンサーにも支えられた。
親企業を持たない市民クラブとして、地域に根ざした営業を進めた効果もあり、
「こういうときこそ互いに頑張ろう」と、大半が出資を継続。
岡山は、性急な拡大路線に乗らない、小ぶりな「J2型経営」を掲げる。
JFLの08年度は、2億2000万円で収支が均衡したが、
09年度は倍以上の予算規模を設定。
これでも、J2最低レベル。
「JFL時代と同じ選手層で勝てないと分かっているが、
若いチームが試合を通じて伸びていく、というやり方しかできない」
目を引く補強は行わず、主力メンバーは、
地域リーグを戦った当時から変わっていない。
J2では苦戦が予想される。
「負けても、愛されるチーム作りが大事。成績に関係なく、スタジアムに
常時1万人入るようになることが、地方クラブの生きる道だと思う」
JFL時代にも好評だった、小学生を対象とした無料パス制度「夢パス」は、
今季も継続する。
夢パス利用の入場料相当額を、スポンサーが負担するシステムで
支援企業、地域との一体感を、より高めていく。
木村社長の経済認識は前向き。
「皆さん、悲観的すぎる。ダメージはしばらく残るだろうが、
『ここ数年は暗黒時代』という状況にはならない」
それでも、景気に左右される経営は行わない。
「日本が右肩あがりで急成長したり、バブルを謳歌できる時代は終わった」
壮大な夢は見ず、「100年後まで残るクラブ」を目指して、地道に汗をかく。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/23/20090223ddm035050089000c.html
歴史に学ぶ
(サイエンスポータル 2009年2月23日)
日韓両国ともに限られた研究しかない日韓併合時代の
韓国医学教育に関する珍しいシンポジウム
「20世紀前半の韓国近代医学教育史」が、政策研究大学院大学で行われた。
2004年、韓国学術院の招きでソウルを訪れた黒川清・日本学術会議会長が、
朱軫淳・韓国学術院副会長から、38年もの間、韓国の医学教育に尽力した
恩師、佐藤剛蔵(1880-1960年)の業績を聞いたことが、
このシンポジウムにつながった。
佐藤剛蔵について調べるため、黒川氏が週刊新潮の掲示板欄で
家族の消息を問い合わせたところ、
熊本市在住の佐々木定氏が「孫」と名乗り出た。
佐々木氏は、黒川氏らとともにソウルを訪問、朱氏と感激の対面。
この日のシンポジウムは、黒川氏、朱氏、佐々木氏とともに、
佐藤剛蔵の業績をはじめとする韓国の近代医学教育史の研究を続ける
石田純郎氏(日本医史学会前理事、医学博士)、
李忠浩氏(駐福岡大韓民国総領事館領事)、
出口俊一氏(大学発起業支援サイト「デジタル・ニュー・ディール」事務局長)、
角南篤氏(政策研究大学院大学准教授)ら。
シンポジウムでは、日韓併合時代の韓国の医学教育は、
過去の歴史に日本もならった、という指摘が、李忠浩氏から出された。
「医療は、異文化社会に侵入するとき、拒否反応がなく受容されやすい」
李氏によると、韓国における医学教育は、キリスト教の普及と併せて
米国人宣教師によって進められ、
「日本の植民地統治が西洋の医療宣教師の活動を阻害し、
日本だけが韓国の医師教育を主導」
石田純郎氏によると、医師教育の役割を担った組織が
1902年につくられた財団法人同仁会(本部・東京)で、
「日本人医師を、朝鮮や中国・満州に送ることが目的」
佐々木定氏によると、祖父・佐藤剛蔵は、京都帝国大学医科大学を
卒業直後の1907年、同仁会直轄の平壌公立同仁会医院長として渡韓。
1910年まで医院付属の医学校で韓国人相手に医学教育を行ったが、
「韓国人生徒がよく、勉強し、よく覚えるので、本気で教育を行った」
総督府医務教官、同医務課長となり、
1916年、京城医学専門学校となったのを機に教授に就任。
欧州留学を挟み、1926年、京城帝大医学部教授兼京城医専教授となり、
1945年まで京城医専校長として日本、朝鮮両国の医学生の教育に。
朱軫淳氏が佐藤校長の教えを受けたのは、
1943年から終戦時までの2年5カ月。
日本人と朝鮮人の比率は3対1に決められ、学生同士の対立があった。
京城医専で受けた医学教育の内容は、
「戦時下の人、物不足で制限はあったが、大変充実した教育、訓練を受けた」、
佐藤校長を尊敬する気持ちも非常に大きい。
京城医専の朝鮮人学生の優秀さは、佐藤剛蔵も認め、
京城帝大医学部でも、「朝鮮人学生の成績の方が、日本人よりも優秀で、
成績不良で落第するのは、大部分が日本人」
李興基・ソウル大学病院・病院歴史文化センター研究教授は、
「韓国人医学生の成績は、大体上位圏に入る。
しかし、大多数が開業するのは学校、官公庁の奉職に差別があった」
日韓併合時代の韓国医学教育については、
これまで一部の限られた人だけの関心事になっていた。
今後、研究が進むと思われるが、その意義は何か?
「われわれが、佐藤剛蔵の精神を表現する使節になり、
こうした機会を、重要でよりよい未来の日韓関係のための種と土台としたい」
日本の科学技術力を、環境問題など世界的課題の解決に活用する
「科学技術外交」の重要性が叫ばれ、
途上国との具体的な共同研究プロジェクトが動き始めている。
日韓併合時代と現代とでは、状況が大きく異なるのは当然。
鍵を握るのは、資金以上に人である。
組織や体制だけでなく、佐藤剛蔵という人に焦点を当てて
歴史に学ぼうとする日韓両国の研究者たちの活動に注目。
http://www.scienceportal.jp/news/review/0902/0902231.html
日韓両国ともに限られた研究しかない日韓併合時代の
韓国医学教育に関する珍しいシンポジウム
「20世紀前半の韓国近代医学教育史」が、政策研究大学院大学で行われた。
2004年、韓国学術院の招きでソウルを訪れた黒川清・日本学術会議会長が、
朱軫淳・韓国学術院副会長から、38年もの間、韓国の医学教育に尽力した
恩師、佐藤剛蔵(1880-1960年)の業績を聞いたことが、
このシンポジウムにつながった。
佐藤剛蔵について調べるため、黒川氏が週刊新潮の掲示板欄で
家族の消息を問い合わせたところ、
熊本市在住の佐々木定氏が「孫」と名乗り出た。
佐々木氏は、黒川氏らとともにソウルを訪問、朱氏と感激の対面。
この日のシンポジウムは、黒川氏、朱氏、佐々木氏とともに、
佐藤剛蔵の業績をはじめとする韓国の近代医学教育史の研究を続ける
石田純郎氏(日本医史学会前理事、医学博士)、
李忠浩氏(駐福岡大韓民国総領事館領事)、
出口俊一氏(大学発起業支援サイト「デジタル・ニュー・ディール」事務局長)、
角南篤氏(政策研究大学院大学准教授)ら。
シンポジウムでは、日韓併合時代の韓国の医学教育は、
過去の歴史に日本もならった、という指摘が、李忠浩氏から出された。
「医療は、異文化社会に侵入するとき、拒否反応がなく受容されやすい」
李氏によると、韓国における医学教育は、キリスト教の普及と併せて
米国人宣教師によって進められ、
「日本の植民地統治が西洋の医療宣教師の活動を阻害し、
日本だけが韓国の医師教育を主導」
石田純郎氏によると、医師教育の役割を担った組織が
1902年につくられた財団法人同仁会(本部・東京)で、
「日本人医師を、朝鮮や中国・満州に送ることが目的」
佐々木定氏によると、祖父・佐藤剛蔵は、京都帝国大学医科大学を
卒業直後の1907年、同仁会直轄の平壌公立同仁会医院長として渡韓。
1910年まで医院付属の医学校で韓国人相手に医学教育を行ったが、
「韓国人生徒がよく、勉強し、よく覚えるので、本気で教育を行った」
総督府医務教官、同医務課長となり、
1916年、京城医学専門学校となったのを機に教授に就任。
欧州留学を挟み、1926年、京城帝大医学部教授兼京城医専教授となり、
1945年まで京城医専校長として日本、朝鮮両国の医学生の教育に。
朱軫淳氏が佐藤校長の教えを受けたのは、
1943年から終戦時までの2年5カ月。
日本人と朝鮮人の比率は3対1に決められ、学生同士の対立があった。
京城医専で受けた医学教育の内容は、
「戦時下の人、物不足で制限はあったが、大変充実した教育、訓練を受けた」、
佐藤校長を尊敬する気持ちも非常に大きい。
京城医専の朝鮮人学生の優秀さは、佐藤剛蔵も認め、
京城帝大医学部でも、「朝鮮人学生の成績の方が、日本人よりも優秀で、
成績不良で落第するのは、大部分が日本人」
李興基・ソウル大学病院・病院歴史文化センター研究教授は、
「韓国人医学生の成績は、大体上位圏に入る。
しかし、大多数が開業するのは学校、官公庁の奉職に差別があった」
日韓併合時代の韓国医学教育については、
これまで一部の限られた人だけの関心事になっていた。
今後、研究が進むと思われるが、その意義は何か?
「われわれが、佐藤剛蔵の精神を表現する使節になり、
こうした機会を、重要でよりよい未来の日韓関係のための種と土台としたい」
日本の科学技術力を、環境問題など世界的課題の解決に活用する
「科学技術外交」の重要性が叫ばれ、
途上国との具体的な共同研究プロジェクトが動き始めている。
日韓併合時代と現代とでは、状況が大きく異なるのは当然。
鍵を握るのは、資金以上に人である。
組織や体制だけでなく、佐藤剛蔵という人に焦点を当てて
歴史に学ぼうとする日韓両国の研究者たちの活動に注目。
http://www.scienceportal.jp/news/review/0902/0902231.html
2009年3月5日木曜日
カナダRIMのドン・モリソンCOO 「スマートフォン、足元の販売は好調」
(日経 2月24日)
NTTドコモは、オバマ米大統領が愛用していることで有名なカナダの
リサーチ・イン・モーション(RIM)社製のスマートフォン(多機能携帯電話)
「ブラックベリー」シリーズの新機種「ブラックベリー・ボールド」を発売。
RIM社のドン・モリソン最高執行責任者(COO)に、
日本市場での戦略などを聞いた。
——新製品の特徴は。
「ボールドは、当社の製品群の最上位機種で、
ブラックベリーシリーズ初の第3世代(3G)携帯電話機。
(通信速度やエンターテインメント機能など)法人と個人の両方のユーザーに
満足してもらえる機能を強化し、従来機種とは別格」
——日本では、ドコモが2006年から主に法人向けに販売、
日本での売れ行きの評価と新機種の販売見通しは。
「ブラックベリーは現在、世界全体で約2300万人のユーザーがいる。
国別の数字は開示していないが、日本は新しい市場で普及率もまだ低い。
成長余地は非常に大きい。
ボールドの投入で、日本市場でさらなる販売増加を見込んでいる」
——世界不況が深刻化しているが、通常の携帯電話に比べて
価格が高いスマートフォンの売れ行きに影響は。
「不況の影響は、まだよく見えない。
楽観的に、悲観的になりすぎてもいけないが、足元の販売は好調。
法人顧客の間では、ブラックベリーはノートパソコンなどに比べて
経済的で投資効果の高いビジネスツールだと受け止められている。
これから影響が出てくる可能性はある」
——スマートフォン市場で競合するライバルをどう見るのか。
「ライバルのコメントは控えるが、多くの企業がスマートフォン市場に
関心を持ち、投資をしていることは非常によい。
成熟市場では、ライバルからいかにシェアを奪うかに注力するが、
成長市場においては、自分たち自身の成長機会を逃さず、
きちんと伸ばしていくことの方が重要だ」
——今後の課題は。
「ドコモの販売代理店のスタッフが、ボールドに関する十分な知識を持ち、
自信を持って顧客に薦めることができるように、
ドコモと協力しながら、必要な支援を提供することに最大限努力する」
——オバマ大統領は愛用しているブラックベリー端末が
「バラックベリー」と言われるほどの大ファン。
広告効果は5000万ドルに達するとの見方もあるが、販売面への影響は。
「オバマ大統領についてコメントは控えるが、米政府はブラックベリーを
初期から使ってくれている顧客の1つ。
政府系機関や警察が採用する理由は、セキュリティーの高さを評価、
セキュリティーを重視する民間企業の顧客開拓にも追い風に」
——日本政府にもボールドを使ってもらいたいと思うか。
「もしまだ使っていないなら、ぜひ使ってもらいたい」
——支持率の低下に悩む日本の首相に薦める気はあるか。
「(笑いながら)ノーコメントだ」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090223.html
NTTドコモは、オバマ米大統領が愛用していることで有名なカナダの
リサーチ・イン・モーション(RIM)社製のスマートフォン(多機能携帯電話)
「ブラックベリー」シリーズの新機種「ブラックベリー・ボールド」を発売。
RIM社のドン・モリソン最高執行責任者(COO)に、
日本市場での戦略などを聞いた。
——新製品の特徴は。
「ボールドは、当社の製品群の最上位機種で、
ブラックベリーシリーズ初の第3世代(3G)携帯電話機。
(通信速度やエンターテインメント機能など)法人と個人の両方のユーザーに
満足してもらえる機能を強化し、従来機種とは別格」
——日本では、ドコモが2006年から主に法人向けに販売、
日本での売れ行きの評価と新機種の販売見通しは。
「ブラックベリーは現在、世界全体で約2300万人のユーザーがいる。
国別の数字は開示していないが、日本は新しい市場で普及率もまだ低い。
成長余地は非常に大きい。
ボールドの投入で、日本市場でさらなる販売増加を見込んでいる」
——世界不況が深刻化しているが、通常の携帯電話に比べて
価格が高いスマートフォンの売れ行きに影響は。
「不況の影響は、まだよく見えない。
楽観的に、悲観的になりすぎてもいけないが、足元の販売は好調。
法人顧客の間では、ブラックベリーはノートパソコンなどに比べて
経済的で投資効果の高いビジネスツールだと受け止められている。
これから影響が出てくる可能性はある」
——スマートフォン市場で競合するライバルをどう見るのか。
「ライバルのコメントは控えるが、多くの企業がスマートフォン市場に
関心を持ち、投資をしていることは非常によい。
成熟市場では、ライバルからいかにシェアを奪うかに注力するが、
成長市場においては、自分たち自身の成長機会を逃さず、
きちんと伸ばしていくことの方が重要だ」
——今後の課題は。
「ドコモの販売代理店のスタッフが、ボールドに関する十分な知識を持ち、
自信を持って顧客に薦めることができるように、
ドコモと協力しながら、必要な支援を提供することに最大限努力する」
——オバマ大統領は愛用しているブラックベリー端末が
「バラックベリー」と言われるほどの大ファン。
広告効果は5000万ドルに達するとの見方もあるが、販売面への影響は。
「オバマ大統領についてコメントは控えるが、米政府はブラックベリーを
初期から使ってくれている顧客の1つ。
政府系機関や警察が採用する理由は、セキュリティーの高さを評価、
セキュリティーを重視する民間企業の顧客開拓にも追い風に」
——日本政府にもボールドを使ってもらいたいと思うか。
「もしまだ使っていないなら、ぜひ使ってもらいたい」
——支持率の低下に悩む日本の首相に薦める気はあるか。
「(笑いながら)ノーコメントだ」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090223.html
疲労:疲れたらビタミンB1、疲労度計できる可能性 大阪市大など解明
(2009年2月27日 毎日新聞社)
疲労回復に、カフェインは一時的効果しかないが、ビタミンB1はよく効く。
大阪市立大を中心とする医学チームが、5年間の研究で
疲労の仕組みをほぼ解明した。
研究は、文部科学省の研究拠点づくり事業「21世紀COEプログラム」に
同大が選定されて実施。
リーダーの同大大学院医学研究科の渡辺恭良教授によると、
疲労の原因は、筋肉や脳が活動した際に発生して細胞やたんぱく質を
傷つける活性酸素。
細胞が傷ついたことを知らせる免疫系物質のサイトカインが発生し過ぎると、
神経伝達に異常が起きて集中力などが低下する。
疲れると、副交感神経の働きが鈍ることも分かり、
その度合いは血液や唾液を基に分析することができる。
研究成果から、「疲労度計」を作ることも可能。
回復には、傷ついた細胞やたんぱく質をいち早く修復し、
サイトカインの過剰な発生を抑える必要がある。
修復には、大きなエネルギーが必要で、ビタミンなどの補充が有効。
渡辺教授は、「疲労回復には、ビタミンB1やコエンザイムQ10などの補給や、
免疫系の異常を抑える抗ウイルス剤の注入などが有効」
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/27/92760/
疲労回復に、カフェインは一時的効果しかないが、ビタミンB1はよく効く。
大阪市立大を中心とする医学チームが、5年間の研究で
疲労の仕組みをほぼ解明した。
研究は、文部科学省の研究拠点づくり事業「21世紀COEプログラム」に
同大が選定されて実施。
リーダーの同大大学院医学研究科の渡辺恭良教授によると、
疲労の原因は、筋肉や脳が活動した際に発生して細胞やたんぱく質を
傷つける活性酸素。
細胞が傷ついたことを知らせる免疫系物質のサイトカインが発生し過ぎると、
神経伝達に異常が起きて集中力などが低下する。
疲れると、副交感神経の働きが鈍ることも分かり、
その度合いは血液や唾液を基に分析することができる。
研究成果から、「疲労度計」を作ることも可能。
回復には、傷ついた細胞やたんぱく質をいち早く修復し、
サイトカインの過剰な発生を抑える必要がある。
修復には、大きなエネルギーが必要で、ビタミンなどの補充が有効。
渡辺教授は、「疲労回復には、ビタミンB1やコエンザイムQ10などの補給や、
免疫系の異常を抑える抗ウイルス剤の注入などが有効」
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/27/92760/
ヒト免疫逃れるHIVウイルス増加 「変異が原因」解明
(2009年2月26日 毎日新聞社)
人間の免疫を逃れるエイズウイルス(HIV)が広がっている原因を、
熊本大などの国際研究チームが突き止め、
英科学誌ネイチャー電子版に発表。
ワクチン開発の戦略見直しが迫られる。
HIVに感染すると、人間の免疫細胞が白血球の型である
「ヒト白血球抗原(HLA)」と結合したウイルスを攻撃する。
その働きで、感染した細胞は減少するが、完全に排除できない。
研究チームは、ウイルスが変異して人の免疫から逃れているのではないかと、
8カ国約2800人の感染者を調べた。
その結果、HLAと結合するウイルスのたんぱく質が14カ所で
変異していることが分かった。
日本では、約70%の感染者でこの変異ウイルスが検出。
エイズのために2500万人が死亡し、現在も3300万人が感染していると推定。
ワクチンは実用化されておらず、HIVが近年悪質になった。
滝口雅文・熊本大エイズ学研究センター長(ウイルス免疫学)は、
「ワクチン開発に必要なウイルスは、約20年前に見つかったタイプを使っている。
戦略を変えてワクチン開発に臨みたい」
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/26/92664/
人間の免疫を逃れるエイズウイルス(HIV)が広がっている原因を、
熊本大などの国際研究チームが突き止め、
英科学誌ネイチャー電子版に発表。
ワクチン開発の戦略見直しが迫られる。
HIVに感染すると、人間の免疫細胞が白血球の型である
「ヒト白血球抗原(HLA)」と結合したウイルスを攻撃する。
その働きで、感染した細胞は減少するが、完全に排除できない。
研究チームは、ウイルスが変異して人の免疫から逃れているのではないかと、
8カ国約2800人の感染者を調べた。
その結果、HLAと結合するウイルスのたんぱく質が14カ所で
変異していることが分かった。
日本では、約70%の感染者でこの変異ウイルスが検出。
エイズのために2500万人が死亡し、現在も3300万人が感染していると推定。
ワクチンは実用化されておらず、HIVが近年悪質になった。
滝口雅文・熊本大エイズ学研究センター長(ウイルス免疫学)は、
「ワクチン開発に必要なウイルスは、約20年前に見つかったタイプを使っている。
戦略を変えてワクチン開発に臨みたい」
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/26/92664/
逆風の中で:第3部・サッカー界は今/6 支援企業、県外に拡大
(毎日 2月22日)
昨年はナビスコ杯を初制覇し、J1リーグ戦も4位に入った大分トリニータ。
03年からJ1で活動する大分にとって、
過去最高の成績はクラブの全国的な知名度アップにつながり、
今季に向けた営業活動にも「追い風」になるはず。
そこに襲った世界的な不況。
サッカークラブ経営にも影を落とし始めている中で、大分の溝畑宏社長は
「もっと『クラブの価値』を高めなければ」と強調。
今は営業活動の視野を、大分県内だけでなく首都圏の企業にも広げ、
08年度でも広告料収入約9億円のうち、6割が県外企業。
「我々は夢を売るのが商売」と、社長自ら積極的にセールスに動く。
自治省(現総務省)から大分県に2度にわたって出向し、
「無類のサッカー好き」が高じて、94年にクラブの運営会社
「大分フットボールクラブ」発足当初から運営に携わってきた溝畑氏。
04年に社長に就任した2年後、総務省を退職して自ら「退路」を断った。
「1日50社」を訪れて個人事業者から大手企業まで、
約700社のスポンサーを獲得。
その手法は、地方のサッカークラブなどで「参考にしたい」と、
オフシーズンには数多くの視察や問い合わせを受けている。
それだけ動いても、07年度の大分の営業収入は22億6100万円、
J1平均の7割程度。
大企業の親会社を持たないクラブ運営だけに、
「地元だけ(のスポンサー募集)では限界がある」
08年度のホームゲームの平均入場者数は、J1リーグ5位の2万322人を
集め、クラブと地域住民との交流活動も盛んな大分。
クラブが目標とする「平均入場者数3万人」の達成と、
対象を首都圏など県外の企業にも広げたスポンサー確保が、
さらなる安定運営への両輪に。
同じ九州のクラブで、昨季からJ2で戦うロアッソ熊本も、
大分の営業活動を参考に、「広く薄く」スポンサーを募ってきた。
昨季のスポンサー数は、JFL時代の3倍となる約220社。
熊本の宮本博之営業部長は、「『熊本を元気にするため協力してほしい』
と訴えてきた」
08年度の広告料収入は、目標の3億円に満たない約2億5000万円。
J2に昇格しても、それがクラブの経営改善の「特効薬」にならないのが現状。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/22/20090222ddm035050135000c.html
昨年はナビスコ杯を初制覇し、J1リーグ戦も4位に入った大分トリニータ。
03年からJ1で活動する大分にとって、
過去最高の成績はクラブの全国的な知名度アップにつながり、
今季に向けた営業活動にも「追い風」になるはず。
そこに襲った世界的な不況。
サッカークラブ経営にも影を落とし始めている中で、大分の溝畑宏社長は
「もっと『クラブの価値』を高めなければ」と強調。
今は営業活動の視野を、大分県内だけでなく首都圏の企業にも広げ、
08年度でも広告料収入約9億円のうち、6割が県外企業。
「我々は夢を売るのが商売」と、社長自ら積極的にセールスに動く。
自治省(現総務省)から大分県に2度にわたって出向し、
「無類のサッカー好き」が高じて、94年にクラブの運営会社
「大分フットボールクラブ」発足当初から運営に携わってきた溝畑氏。
04年に社長に就任した2年後、総務省を退職して自ら「退路」を断った。
「1日50社」を訪れて個人事業者から大手企業まで、
約700社のスポンサーを獲得。
その手法は、地方のサッカークラブなどで「参考にしたい」と、
オフシーズンには数多くの視察や問い合わせを受けている。
それだけ動いても、07年度の大分の営業収入は22億6100万円、
J1平均の7割程度。
大企業の親会社を持たないクラブ運営だけに、
「地元だけ(のスポンサー募集)では限界がある」
08年度のホームゲームの平均入場者数は、J1リーグ5位の2万322人を
集め、クラブと地域住民との交流活動も盛んな大分。
クラブが目標とする「平均入場者数3万人」の達成と、
対象を首都圏など県外の企業にも広げたスポンサー確保が、
さらなる安定運営への両輪に。
同じ九州のクラブで、昨季からJ2で戦うロアッソ熊本も、
大分の営業活動を参考に、「広く薄く」スポンサーを募ってきた。
昨季のスポンサー数は、JFL時代の3倍となる約220社。
熊本の宮本博之営業部長は、「『熊本を元気にするため協力してほしい』
と訴えてきた」
08年度の広告料収入は、目標の3億円に満たない約2億5000万円。
J2に昇格しても、それがクラブの経営改善の「特効薬」にならないのが現状。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/22/20090222ddm035050135000c.html
2009年3月4日水曜日
リソー教育の岩佐実次会長「幼児から社会人までカバーする」
(日経 2月23日)
ベネッセコーポレーションや学習研究社といった大手を軸に、
教育業界で合従連衡の動きが相次いでいる。
業界再編の「台風の目」が、リソー教育だ。
個別指導塾に強みを持ち、2009年2月期の業績も
前期比で増収増益を見込む。
業務提携やM&A(合併・買収)の方向性などを岩佐実次会長に聞いた。
——業界再編の動きが加速。
「塾業界には、創業者が経営する会社が多くある。
全国展開できるのは、市場の大きい大学受験向けの塾くらいで、
小学生—中学生向けは、『地方の雄』が散らばっている状態。
高齢になった創業者が引退を考えて、自分の育てた会社の引き取り手を
探す例が増えているようだ」
——ベネッセなどは塾の買収に積極的。
「教育業界には、資金力のある会社が少ないので、売り手からすれば
断トツの規模を持つベネッセに声をかけたい気持ちに。
少子化などで先行きに不安を感じ、ベネッセに身売りした経営者も」
——リソー教育も買収合戦の主役とみなされている。
「難関大学向けで有数の実績を持つ、個性のある塾でないと買う意味は薄い。
マスをターゲットにした塾は、伸びが見込めない。
関東地盤の中堅塾を買わないかと持ちかけられたが、
もっと大きい塾を狙いたいので断った」
——塾以外にも狙っている会社はあるか。
「当社の強みは、子どもを囲い込んでいること。
高校生までを対象に塾を運営しているが、大学に入ってしまうと、
縁が切れるのはもったいない。
就職情報サイトの運営会社を買収するなどして、大学生向けに
アルバイトや就職のあっせんを始めるのも面白そう」
「資格取得講座などにも手を広げ、幼児向けから社会人向けまで
カバーするのが理想。
ノウハウがないので、実現にあたっては買収や提携といった手段を取るのが
手っ取り早いと考えている」
——リクルートなどと組みたいということか。
「金融機関から、『組んでみたらどうですか』という話をされることも。
子どもは、どんな業界にとっても将来有望な顧客なので、
さまざまな企業から提携先として評価してもらえる可能性はある」
——Jリーグ、東京ヴェルディの経営権を取得するという観測も。
「1月、一部メディアで報道があったが、寝耳に水だった。
これまでスポンサー契約は結んでいたが、経営権を取得する考えはない。
年間10億円の赤字を出していると言われるチームを引き取るには、
当社の規模では足りない。
そんなに資金が余っているなら、塾の規模拡大に回す」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090220.html
ベネッセコーポレーションや学習研究社といった大手を軸に、
教育業界で合従連衡の動きが相次いでいる。
業界再編の「台風の目」が、リソー教育だ。
個別指導塾に強みを持ち、2009年2月期の業績も
前期比で増収増益を見込む。
業務提携やM&A(合併・買収)の方向性などを岩佐実次会長に聞いた。
——業界再編の動きが加速。
「塾業界には、創業者が経営する会社が多くある。
全国展開できるのは、市場の大きい大学受験向けの塾くらいで、
小学生—中学生向けは、『地方の雄』が散らばっている状態。
高齢になった創業者が引退を考えて、自分の育てた会社の引き取り手を
探す例が増えているようだ」
——ベネッセなどは塾の買収に積極的。
「教育業界には、資金力のある会社が少ないので、売り手からすれば
断トツの規模を持つベネッセに声をかけたい気持ちに。
少子化などで先行きに不安を感じ、ベネッセに身売りした経営者も」
——リソー教育も買収合戦の主役とみなされている。
「難関大学向けで有数の実績を持つ、個性のある塾でないと買う意味は薄い。
マスをターゲットにした塾は、伸びが見込めない。
関東地盤の中堅塾を買わないかと持ちかけられたが、
もっと大きい塾を狙いたいので断った」
——塾以外にも狙っている会社はあるか。
「当社の強みは、子どもを囲い込んでいること。
高校生までを対象に塾を運営しているが、大学に入ってしまうと、
縁が切れるのはもったいない。
就職情報サイトの運営会社を買収するなどして、大学生向けに
アルバイトや就職のあっせんを始めるのも面白そう」
「資格取得講座などにも手を広げ、幼児向けから社会人向けまで
カバーするのが理想。
ノウハウがないので、実現にあたっては買収や提携といった手段を取るのが
手っ取り早いと考えている」
——リクルートなどと組みたいということか。
「金融機関から、『組んでみたらどうですか』という話をされることも。
子どもは、どんな業界にとっても将来有望な顧客なので、
さまざまな企業から提携先として評価してもらえる可能性はある」
——Jリーグ、東京ヴェルディの経営権を取得するという観測も。
「1月、一部メディアで報道があったが、寝耳に水だった。
これまでスポンサー契約は結んでいたが、経営権を取得する考えはない。
年間10億円の赤字を出していると言われるチームを引き取るには、
当社の規模では足りない。
そんなに資金が余っているなら、塾の規模拡大に回す」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090220.html
オバマ大統領 施政方針演説
(2009年2月26日 読売新聞)
◆経済の再建
我々の経済は弱体化し、自信も揺らいでいるかもしれない。
困難で不確実な時代を生きている。
すべての米国人にこのことを知ってほしい。我々は再建し、回復する。
米国は、以前よりも強くなって現れる--ということを。
危機の重大さが、国の運命を決定づけるわけではない。
問題への解答は、手の届かないところにあるのではない。
解答は、我が国の研究室や大学、田畑や工場、起業家の想像力、
地球上で最も勤勉な労働者たちの誇りのなかに存在する。
米国を人類史上、進歩と繁栄の最大の力とならしめた特質を十分に持っている。
今求められているのは、一致団結し、直面する課題に大胆に立ち向かい、
我々の未来に対する責任を担うこと。
長期的な繁栄よりも、短期的な利益が称賛される時代を生き、
次の支払いや、次の四半期、次の選挙の先を見ることを怠った。
黒字は、将来に投資する機会ではなく、富を富める者に配分する口実に。
規制は、健全な市場を犠牲にし、短期間に利益をあげるため骨抜きに。
人々は、たちの悪いローンを押しつける銀行や金融業者から、
支払いの無理な住宅を購入した。
重要な論議と困難な決断は、先延ばしされてきた。
その清算の日が来た。我々の未来に責任を負う時も。
経済を再生するだけでなく、永続的な繁栄につながる新しい基礎を築くため、
今こそ大胆かつ賢く行動する時。
財政赤字の削減という難しい選択をしながら、雇用を創出し、融資を再開し、
エネルギーや医療、教育といった経済を成長させる分野に投資する時。
(金融安定化の)計画には、政府からのかなりの資金が必要。
費用は巨額になるが、何もしなかった場合の損失は、はるかに大きい。
景気対策法と金融安定化策は、短期的に経済を再生するための当面の方策。
経済力を完全に回復させる唯一の方法は、新たな雇用や産業を生み、
他国との競争力を刷新するための長期的な投資を行うこと。
今世紀が米国の世紀となる唯一の道は、石油資源への依存や
高コストの医療保険、子供たちを育成しない学校、子供たちが
受け継ぐことになる債務の山に向き合うこと。
それが我々の責務だ。
議会に提出する予算案を、米国の展望、未来への青写真とみている。
予算案は、すべての課題を解決しようとするものでも、
すべての問題に対処しようとするものでもない。
1兆ドル規模の赤字や金融危機、手痛い景気後退といった、
ありのままの現実を反映したもの。
価値ある優先事項のいくつかを犠牲にしなければならない。
だからといって、長期的な課題を無視していいわけではない。
問題は自然に解決するという見方や、政府が繁栄の基礎を築くために
できることはない、といった見方を拒絶する。
◆エネルギー
不要な事業は削減するが、経済の将来に不可欠な三つの分野、
エネルギー、医療、教育に投資する。
クリーンで再生可能なエネルギーを利用する国が、21世紀を主導。
エネルギー効率の良い経済のため、最大の取り組みを打ち出したのは中国。
我々は太陽光発電の技術を開発したが、
生産はドイツや日本に後れをとっている。
新しいプラグインハイブリッド車は、米国から生み出されているが、
韓国製のバッテリーで走る。
明日の雇用と産業が、海外に根付くような未来は受け入れない。
米国が再び主導する時。
経済を真に変革させ、安全を保ち、気候変動による破壊から地球を救うため、
クリーンで再生可能なエネルギーを、利益を生むエネルギーにする必要。
市場原理に基づく温室効果ガスの規制と、再生可能なエネルギーの
生産向上につながる法案を提出するよう求める。
自動車産業について、誤った経営判断と世界的な景気後退が
自動車メーカーをがけっぷちに追い込んだと認識。
彼らを悪い習慣から守るべきではないし、守らない。
新たな手段と発想を持ち、競争して勝てる自動車産業を作る目標を追求。
何百万人もの雇用が(自動車産業に)かかっている。
自動車を発明した国は、見捨てることはできない。
◆医療制度改革
高コストな医療保険の問題にも対処。
米国で、30秒ごとに破産が起きている。
今年末までに、150万の米国人が住む家を失いかねない。
この8年間、保険料は給与の4倍の速さで上昇し、
毎年新たに100万人が健康保険を失った。
小規模な事業が廃業し、企業が海外に雇用を移す主要な原因の一つ。
我が国の予算で最も大きく、増加が速い部門。
もはや医療制度改革は待ったなし。
我々は、過去10年間よりも、医療制度改革を前進させるための成果を上げた。
本議会は、両親がフルタイムで働く子供1100万人に医療保険を与え、
守る法案を可決した。
景気対策法案では、医療の電子記録に投資する。
誤りを減らし、コストを低減し、プライバシーを尊重し、
生命を救う新しい技術に投資。
がんを克服する治療法を研究する。
予防医療に過去最大の投資も行う。
改革をどう実現するか、異なる意見が多数あるだろう。
企業や従業員、医師や保険会社、民主党と共和党を集め、
この問題への取り組みを始める。
これは難しいプロセスになる。
セオドア・ルーズベルト(大統領)が改革を呼びかけてから1世紀近く、
医療保険があまりにも長く経済と我々の良心を圧迫してきた。
疑いを持ってはいけない。改革は待ったなしだ。
◆教 育
グローバル化した経済では、知識こそが最も価値ある技能で、
良い教育はもはや機会への糸口ではなく、必須条件。
良質の教育を実施する国は、明日我々を負かす。
すべての子供に、生まれた日から職に就くまで、
完全かつ競争力のある教育を与えること。
今回の景気対策法に、教育への歴史的な投資を盛り込んだ。
すべての米国人に、最低でも1年以上を
高等教育や職業訓練に費やすように求める。
全員が高卒以上を目指すべき。
中退は、もはや選択肢ではない。
自らを放棄するだけでなく、我が国を放棄することになる。
我が国は、すべての米国人の価値や才能を必要としている。
教育政策は機会の扉を開くが、子供たちにこの扉をくぐらせるのは親の仕事。
子供たちの教育への責任は、家庭で始まらなければいけないと言う時、
私は大統領としてだけでなく、父親として語っている。
◆予算案
予算に関する(超党派の)幹部会議を開き、
財政赤字を1期目の任期終了までに半減させることを約束。
無駄で効率の悪い事業を削るため、連邦予算を項目ごとに精査する。
時間のかかるプロセスであることは、想像できる。
今後10年間で2兆ドル節約できる事業を特定。
予算では、機能していない教育プログラムと、大型の農業企業に対する
不必要な直接支出をやめる。
イラクで何十億ドルもの無駄を生んだ、入札を経ない契約を廃止し、
冷戦時代の兵器システムへの支出を削除するよう国防予算も修正。
高齢者の健康に役立たない高齢者医療保険の無駄、不正、悪用を根絶。
雇用を海外に移転させている企業に対する税減免措置を最終的にやめ、
税制の公正さと均衡を取り戻す。
予算の健全化と説明責任の明確化に努める。
イラクとアフガニスタンでの戦争に関する全コストも含まれる。
我が国は7年間、戦争状態にある。その対価を隠すことはもうしない。
◆安全保障政策
二つの戦争に関する政策を見直し、イラクをイラク人に委ね、
責任ある形で戦争を終わらせる方策を近く発表する。
友邦や同盟国とともに、アフガンとパキスタンでアル・カーイダを
打ち負かし、過激主義と戦う新たな包括的戦略をつくる。
テロリストが、地球の反対側の安全な避難場所から米国人に対する攻撃を
計画することを許さない。
軍の負担を減らすため、予算案では、陸軍と海兵隊を増員する。
軍務に就いている者に対する我々の神聖な信頼を維持するため、
彼らの給与を引き上げ、退役軍人の医療保険や給付金を拡充する。
(キューバの)グアンタナモ湾のテロ容疑者収容施設の閉鎖を指示。
収容者に、迅速かつ確実な司法手続きが行われるよう努める。
米国は拷問しないと言明する。
言葉と行動によって、新しい関与の時代が始まったことを世界に示している。
米国だけで、今世紀の脅威に立ち向かうことはできないし、
世界も米国抜きで脅威に立ち向かうことはできない。
交渉の席を避けることはできないし、我々に害を与える恐れのある敵や勢力を
無視することもできない。
我々に求められているのは、自信と率直さを持って前進すること。
21世紀の挑戦に立ち向かうため、
古くからの同盟を強化し、新たな同盟を形成する。
◆普通の国民の夢
私は人生で、希望は予想外のところから見つかるということも学んだ。
着想はしばしば、力か名声を最も持っている者からではなく、
ごく普通の米国人の夢や野心から生まれる。
私はマイアミの銀行頭取、レナード・アベスのことを思う。
彼は、自分の銀行を売却して6000万ドルを得たが、
それを自分のために働いた399人全員と、かつて彼のために働いていた
72人に分け与えた。
彼は誰にも言わなかったが、地元紙がその情報をつかむと、
彼は、「何人かは私が7歳のころから知っている。
カネを独り占めするのは、正しいことと思えなかった」とだけ語った。
竜巻で完全に破壊されたものの、住民の手で再建が進む
カンザス州グリーンズバーグのことを思う。
クリーンなエネルギーが、いかに地域社会全体を活性化できるか、
レンガやがれきの山だった場所にいかに職やビジネスを
もたらしうるかを示す世界的な例。
「悲劇はむごいものだった」。再建に力を貸した男性は言った。
「しかし、ここの連中は、それ(悲劇)がまた素晴らしい機会を与えてくれた
ということも知っている」
サウスカロライナ州ディロンで訪ねた学校に通うティシェマ・ベセアという
女の子のことも思う。
学校は、天井から水が漏れ、壁のペンキがはがれ、教室のそばを
列車が疾走するため、1日に6回も授業を中断しなくてはならない。
彼女は、学校には希望がないと言われたが、
公立図書館に行って、この議場に座っている人々に向けた手紙を書いた。
手紙には、「私たちはサウスカロライナ州だけでなく、世界も変革できるように、
弁護士や医者、あなた方のような議員、いつか大統領になりたいと
頑張っているただの生徒です。意気地なしじゃないんです」
すべての問題で、合意しているわけではない。
将来、間違いなくたもとを分かつ時があるだろう。
すべての米国人がこの国を愛し、この国の成功を望んでいることも知っている。
これこそが、今後数か月の議論においての出発点となり、
議論が終了した時に立ち返るべき所である。
米国人は、この基礎の上に共通の足場を築くよう求めている。
もし我々が一つとなり、この国を危機の底からすくい上げたなら、
もし我々が人々を仕事に戻し、繁栄のエンジンを再起動させたなら、
もし我々が恐れずに今日の挑戦に立ち向かい、あきらめを知らない
米国の不屈の精神をよみがえらせたなら--。
何年後か、子孫は彼らの子供に対し、
この議場に刻まれた言葉を実行した時だ、と伝えることができる。
「記憶に値すること」を実行した、と。
----------------------------------------------
◆米景気対策法
公共投資と減税を柱とし、2年間で350万人の雇用創出を目指す。
規模は、米国で過去最大の7870億ドル(約75兆円)。
高速道路などのインフラ整備に約1200億ドル、
低所得者向け医療保険への財政支援、教員雇用など
「州財政安定基金」への支援、エネルギー効率化投資なども盛り込んだ。
◆イラク撤退問題
2003年開戦から一貫してイラク戦争に反対するオバマ大統領は、
選挙戦で、駐留米軍の主要戦闘部隊の「就任から16か月以内の撤退」を公約。
性急な撤退による治安の悪化への懸念から、「19か月」や「23か月」など
撤退期限の先延ばしも検討中。イラクに展開中の米軍は、約14万人。
◆グアンタナモ湾のテロ容疑者収容施設
米国が1903年、独立直後のキューバから租借したグアンタナモの
米海軍基地内に設置。
国際テロ組織アル・カーイダ幹部やアフガニスタンの旧支配勢力タリバンの
兵士ら約250人のテロ容疑者が収容。
尋問で水責めなど、人権侵害が行われているとし、
国際社会から閉鎖を求める声が上がった。
オバマ大統領は今年1月、「1年以内の閉鎖」を命じる大統領令に署名。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/26/92606/
◆経済の再建
我々の経済は弱体化し、自信も揺らいでいるかもしれない。
困難で不確実な時代を生きている。
すべての米国人にこのことを知ってほしい。我々は再建し、回復する。
米国は、以前よりも強くなって現れる--ということを。
危機の重大さが、国の運命を決定づけるわけではない。
問題への解答は、手の届かないところにあるのではない。
解答は、我が国の研究室や大学、田畑や工場、起業家の想像力、
地球上で最も勤勉な労働者たちの誇りのなかに存在する。
米国を人類史上、進歩と繁栄の最大の力とならしめた特質を十分に持っている。
今求められているのは、一致団結し、直面する課題に大胆に立ち向かい、
我々の未来に対する責任を担うこと。
長期的な繁栄よりも、短期的な利益が称賛される時代を生き、
次の支払いや、次の四半期、次の選挙の先を見ることを怠った。
黒字は、将来に投資する機会ではなく、富を富める者に配分する口実に。
規制は、健全な市場を犠牲にし、短期間に利益をあげるため骨抜きに。
人々は、たちの悪いローンを押しつける銀行や金融業者から、
支払いの無理な住宅を購入した。
重要な論議と困難な決断は、先延ばしされてきた。
その清算の日が来た。我々の未来に責任を負う時も。
経済を再生するだけでなく、永続的な繁栄につながる新しい基礎を築くため、
今こそ大胆かつ賢く行動する時。
財政赤字の削減という難しい選択をしながら、雇用を創出し、融資を再開し、
エネルギーや医療、教育といった経済を成長させる分野に投資する時。
(金融安定化の)計画には、政府からのかなりの資金が必要。
費用は巨額になるが、何もしなかった場合の損失は、はるかに大きい。
景気対策法と金融安定化策は、短期的に経済を再生するための当面の方策。
経済力を完全に回復させる唯一の方法は、新たな雇用や産業を生み、
他国との競争力を刷新するための長期的な投資を行うこと。
今世紀が米国の世紀となる唯一の道は、石油資源への依存や
高コストの医療保険、子供たちを育成しない学校、子供たちが
受け継ぐことになる債務の山に向き合うこと。
それが我々の責務だ。
議会に提出する予算案を、米国の展望、未来への青写真とみている。
予算案は、すべての課題を解決しようとするものでも、
すべての問題に対処しようとするものでもない。
1兆ドル規模の赤字や金融危機、手痛い景気後退といった、
ありのままの現実を反映したもの。
価値ある優先事項のいくつかを犠牲にしなければならない。
だからといって、長期的な課題を無視していいわけではない。
問題は自然に解決するという見方や、政府が繁栄の基礎を築くために
できることはない、といった見方を拒絶する。
◆エネルギー
不要な事業は削減するが、経済の将来に不可欠な三つの分野、
エネルギー、医療、教育に投資する。
クリーンで再生可能なエネルギーを利用する国が、21世紀を主導。
エネルギー効率の良い経済のため、最大の取り組みを打ち出したのは中国。
我々は太陽光発電の技術を開発したが、
生産はドイツや日本に後れをとっている。
新しいプラグインハイブリッド車は、米国から生み出されているが、
韓国製のバッテリーで走る。
明日の雇用と産業が、海外に根付くような未来は受け入れない。
米国が再び主導する時。
経済を真に変革させ、安全を保ち、気候変動による破壊から地球を救うため、
クリーンで再生可能なエネルギーを、利益を生むエネルギーにする必要。
市場原理に基づく温室効果ガスの規制と、再生可能なエネルギーの
生産向上につながる法案を提出するよう求める。
自動車産業について、誤った経営判断と世界的な景気後退が
自動車メーカーをがけっぷちに追い込んだと認識。
彼らを悪い習慣から守るべきではないし、守らない。
新たな手段と発想を持ち、競争して勝てる自動車産業を作る目標を追求。
何百万人もの雇用が(自動車産業に)かかっている。
自動車を発明した国は、見捨てることはできない。
◆医療制度改革
高コストな医療保険の問題にも対処。
米国で、30秒ごとに破産が起きている。
今年末までに、150万の米国人が住む家を失いかねない。
この8年間、保険料は給与の4倍の速さで上昇し、
毎年新たに100万人が健康保険を失った。
小規模な事業が廃業し、企業が海外に雇用を移す主要な原因の一つ。
我が国の予算で最も大きく、増加が速い部門。
もはや医療制度改革は待ったなし。
我々は、過去10年間よりも、医療制度改革を前進させるための成果を上げた。
本議会は、両親がフルタイムで働く子供1100万人に医療保険を与え、
守る法案を可決した。
景気対策法案では、医療の電子記録に投資する。
誤りを減らし、コストを低減し、プライバシーを尊重し、
生命を救う新しい技術に投資。
がんを克服する治療法を研究する。
予防医療に過去最大の投資も行う。
改革をどう実現するか、異なる意見が多数あるだろう。
企業や従業員、医師や保険会社、民主党と共和党を集め、
この問題への取り組みを始める。
これは難しいプロセスになる。
セオドア・ルーズベルト(大統領)が改革を呼びかけてから1世紀近く、
医療保険があまりにも長く経済と我々の良心を圧迫してきた。
疑いを持ってはいけない。改革は待ったなしだ。
◆教 育
グローバル化した経済では、知識こそが最も価値ある技能で、
良い教育はもはや機会への糸口ではなく、必須条件。
良質の教育を実施する国は、明日我々を負かす。
すべての子供に、生まれた日から職に就くまで、
完全かつ競争力のある教育を与えること。
今回の景気対策法に、教育への歴史的な投資を盛り込んだ。
すべての米国人に、最低でも1年以上を
高等教育や職業訓練に費やすように求める。
全員が高卒以上を目指すべき。
中退は、もはや選択肢ではない。
自らを放棄するだけでなく、我が国を放棄することになる。
我が国は、すべての米国人の価値や才能を必要としている。
教育政策は機会の扉を開くが、子供たちにこの扉をくぐらせるのは親の仕事。
子供たちの教育への責任は、家庭で始まらなければいけないと言う時、
私は大統領としてだけでなく、父親として語っている。
◆予算案
予算に関する(超党派の)幹部会議を開き、
財政赤字を1期目の任期終了までに半減させることを約束。
無駄で効率の悪い事業を削るため、連邦予算を項目ごとに精査する。
時間のかかるプロセスであることは、想像できる。
今後10年間で2兆ドル節約できる事業を特定。
予算では、機能していない教育プログラムと、大型の農業企業に対する
不必要な直接支出をやめる。
イラクで何十億ドルもの無駄を生んだ、入札を経ない契約を廃止し、
冷戦時代の兵器システムへの支出を削除するよう国防予算も修正。
高齢者の健康に役立たない高齢者医療保険の無駄、不正、悪用を根絶。
雇用を海外に移転させている企業に対する税減免措置を最終的にやめ、
税制の公正さと均衡を取り戻す。
予算の健全化と説明責任の明確化に努める。
イラクとアフガニスタンでの戦争に関する全コストも含まれる。
我が国は7年間、戦争状態にある。その対価を隠すことはもうしない。
◆安全保障政策
二つの戦争に関する政策を見直し、イラクをイラク人に委ね、
責任ある形で戦争を終わらせる方策を近く発表する。
友邦や同盟国とともに、アフガンとパキスタンでアル・カーイダを
打ち負かし、過激主義と戦う新たな包括的戦略をつくる。
テロリストが、地球の反対側の安全な避難場所から米国人に対する攻撃を
計画することを許さない。
軍の負担を減らすため、予算案では、陸軍と海兵隊を増員する。
軍務に就いている者に対する我々の神聖な信頼を維持するため、
彼らの給与を引き上げ、退役軍人の医療保険や給付金を拡充する。
(キューバの)グアンタナモ湾のテロ容疑者収容施設の閉鎖を指示。
収容者に、迅速かつ確実な司法手続きが行われるよう努める。
米国は拷問しないと言明する。
言葉と行動によって、新しい関与の時代が始まったことを世界に示している。
米国だけで、今世紀の脅威に立ち向かうことはできないし、
世界も米国抜きで脅威に立ち向かうことはできない。
交渉の席を避けることはできないし、我々に害を与える恐れのある敵や勢力を
無視することもできない。
我々に求められているのは、自信と率直さを持って前進すること。
21世紀の挑戦に立ち向かうため、
古くからの同盟を強化し、新たな同盟を形成する。
◆普通の国民の夢
私は人生で、希望は予想外のところから見つかるということも学んだ。
着想はしばしば、力か名声を最も持っている者からではなく、
ごく普通の米国人の夢や野心から生まれる。
私はマイアミの銀行頭取、レナード・アベスのことを思う。
彼は、自分の銀行を売却して6000万ドルを得たが、
それを自分のために働いた399人全員と、かつて彼のために働いていた
72人に分け与えた。
彼は誰にも言わなかったが、地元紙がその情報をつかむと、
彼は、「何人かは私が7歳のころから知っている。
カネを独り占めするのは、正しいことと思えなかった」とだけ語った。
竜巻で完全に破壊されたものの、住民の手で再建が進む
カンザス州グリーンズバーグのことを思う。
クリーンなエネルギーが、いかに地域社会全体を活性化できるか、
レンガやがれきの山だった場所にいかに職やビジネスを
もたらしうるかを示す世界的な例。
「悲劇はむごいものだった」。再建に力を貸した男性は言った。
「しかし、ここの連中は、それ(悲劇)がまた素晴らしい機会を与えてくれた
ということも知っている」
サウスカロライナ州ディロンで訪ねた学校に通うティシェマ・ベセアという
女の子のことも思う。
学校は、天井から水が漏れ、壁のペンキがはがれ、教室のそばを
列車が疾走するため、1日に6回も授業を中断しなくてはならない。
彼女は、学校には希望がないと言われたが、
公立図書館に行って、この議場に座っている人々に向けた手紙を書いた。
手紙には、「私たちはサウスカロライナ州だけでなく、世界も変革できるように、
弁護士や医者、あなた方のような議員、いつか大統領になりたいと
頑張っているただの生徒です。意気地なしじゃないんです」
すべての問題で、合意しているわけではない。
将来、間違いなくたもとを分かつ時があるだろう。
すべての米国人がこの国を愛し、この国の成功を望んでいることも知っている。
これこそが、今後数か月の議論においての出発点となり、
議論が終了した時に立ち返るべき所である。
米国人は、この基礎の上に共通の足場を築くよう求めている。
もし我々が一つとなり、この国を危機の底からすくい上げたなら、
もし我々が人々を仕事に戻し、繁栄のエンジンを再起動させたなら、
もし我々が恐れずに今日の挑戦に立ち向かい、あきらめを知らない
米国の不屈の精神をよみがえらせたなら--。
何年後か、子孫は彼らの子供に対し、
この議場に刻まれた言葉を実行した時だ、と伝えることができる。
「記憶に値すること」を実行した、と。
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◆米景気対策法
公共投資と減税を柱とし、2年間で350万人の雇用創出を目指す。
規模は、米国で過去最大の7870億ドル(約75兆円)。
高速道路などのインフラ整備に約1200億ドル、
低所得者向け医療保険への財政支援、教員雇用など
「州財政安定基金」への支援、エネルギー効率化投資なども盛り込んだ。
◆イラク撤退問題
2003年開戦から一貫してイラク戦争に反対するオバマ大統領は、
選挙戦で、駐留米軍の主要戦闘部隊の「就任から16か月以内の撤退」を公約。
性急な撤退による治安の悪化への懸念から、「19か月」や「23か月」など
撤退期限の先延ばしも検討中。イラクに展開中の米軍は、約14万人。
◆グアンタナモ湾のテロ容疑者収容施設
米国が1903年、独立直後のキューバから租借したグアンタナモの
米海軍基地内に設置。
国際テロ組織アル・カーイダ幹部やアフガニスタンの旧支配勢力タリバンの
兵士ら約250人のテロ容疑者が収容。
尋問で水責めなど、人権侵害が行われているとし、
国際社会から閉鎖を求める声が上がった。
オバマ大統領は今年1月、「1年以内の閉鎖」を命じる大統領令に署名。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/26/92606/
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