2008年7月16日水曜日

当世留学生事情(13)海外の実情 現地で実習

(読売 7月3日)

海外での国際協力活動に力を入れる大学がある。

夕日が差し込む、広島大学大学院国際協力研究科の会議室。
机の上に並べられたアフリカ・ザンビア共和国の写真を前に、
院生たちが意見を交換。
集まったのは、国際協力研究科が国際協力機構(JICA)と連携して
2002年から始めた「ザンビア特別教育プログラム」の参加者。

「滞在中に、AIDS(後天性免疫不全症候群)で同僚の先生が亡くなった。
生徒の半数は親がいないなど、貧困にあえぐザンビアの状況を肌で感じた。
隊員活動と研究の両立はしんどかったが、
生徒と粘り強く向き合った体験が将来役立つはず」。
05年秋から参加した池谷拓人さん(27)は、現地での活動をそう振り返った。

青年海外協力隊員として2年間、現地で理数科教員をしながら
研究も行う同プログラム。
赴任前の研修、帰国後の論文執筆を含め、標準で3年半修士課程に在籍。

同大は、JICAが1994年からフィリピンなどで実施した
理数科教員研修プロジェクトに参加。
ザンビアでは、義務教育を7年から2年間延ばした結果、
8、9年次の教育を担う教員が不足。

国際協力研究科長の池田秀雄教授(57)は、
「夏期休暇には、現地に教員を派遣して集中講義を行い、単位を取得させる。
JICAの支援を面的に広げ、国際協力の現場で活躍する学生を育てたい」。

天理大学では、被災地でのボランティア活動を単位として認定する
「国際参加プロジェクト」に取り組んでいる。

01年、大震災に見舞われたインド西部で支援活動をして以来、
これまでに4か国に計111人の学生が出向いた。
現地での活動は2~3週間。事前研修と帰国後の報告書作成にも力を注ぐ。

橋本武人学長(73)は、「海外で、現地の人と復興に汗する体験が重要。
広い世界に目を向け、自分自身を見つめ直すきっかけにしてほしい

昨年、フィリピンでのプロジェクトに参加した
国際文化学部ヨーロッパ・アメリカ学科4年の久保真百子さん(21)は、
情操教育の一環として子供たちにリコーダーを教えた。
「学びたい、という子供たちの思いをひしひしと感じた。
世界が広がり、何事にも積極的になったのが大きな財産。
この経験を、教育に携わる仕事で生かしたい」

金や物の支援だけでなく、国際貢献の最前線で活躍する人材が着々と育っている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080703-OYT8T00231.htm

減量介入が2型糖尿病の患者に有効

(Medscape 7月8日)

『Diabetes Care』で報告されたAction for Health in Diabetes(Look AHEAD)
臨床試験の結果によると、多様な減量介入に従った体重超過または
肥満の2型糖尿病の成人患者は、体格指数(BMI)がより低かった。

Look AHEAD Research Groupでブラウンメディカルスクール/ミリアム病院の
Hollie A. Raynorらは、
「2型糖尿病の患者に対して、意図的な減量が推奨されるが、
患者が試みる方法と、体重管理に関する有効性は不明」

「この研究では、Look AHEAD臨床試験への登録時に2型糖尿病を有した
体重超過の被験者からなる多様な標本において、
意図的な減量方法およびBMIとの関連について報告した」。

横断的分析では、Look AHEAD試験に登録したBMIが25kg/m2以上の
45~74歳までの女性3063例と男性2082例におけるベースライン時の
減量方法を調査。

減量方法には、体重の自己測定の頻度、食事パターン、
体重コントロールの実践が含まれた。
半数未満(41.4%)の被験者が、少なくとも週1回は体重の自己測定を行った。

被験者は、週に6.0±1.8日朝食をとり、
食事と間食を合わせて1日に5.0±3.1回食事をし、
週に1.9±2.7回ファーストフードを食べていた。
果物と野菜の摂取量を増やすこと、甘いものを食べないこと、
高炭水化物食の摂取を減らすこと、
この3つが、最も一般的に報告された体重コントロールの実践法。

約60%の被験者が、前の年に少なくとも20週間、これらの方法を実行。
調整モデルにおいて、BMIがより高いこととの関連が認められた因子は、
体重の自己測定回数が週1回未満であること、
週あたりのファーストフードの摂取回数が多いこと、
週あたりの朝食摂取回数が少ないこと。

研究の限界には、性別および人種または民族を特定したBMIの
多変量解析を実施できないこと、
被験者が自己報告した測定値は後ろ向きの性質をもつこと、
摂食パターンと体重コントロールの実践の自己報告に関連する
バイアスの可能性があること、
被験者のBMIの範囲が限定的であること、
試験デザインが観察的かつ横断的であること。

「Look AHEAD試験集団において、規則正しい体重の自己測定と
朝食の摂取は、ファーストフードの摂取頻度が低いことと併せて、
BMIがより低いことと関連」。

「これらの方法は具体的で、包括的な減量方法(摂取カロリーの制限)よりも
容易に実施、監視、および遵守できる可能性がある。
今後の研究では、2型糖尿病の成人患者における体重コントロールを
助けるため、特定の方法を持続的な使用を奨励する介入を検討すべき」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=77184

熱中症:屋内でも多発 患者の3割、重症者の6割/高齢者は特に注意

(毎日 7月11日)

◇気温35度超すと危険
 ・めまい→体冷やし水分、塩分
 ・吐き気→すぐに病院へ搬送

蒸し暑い夏に気をつけなければならないのが、熱中症。
地球温暖化や都市部の気温が高くなる「ヒートアイランド現象」の影響で、
発症の危険性は高まる。
「重症なら死に至る。甘く見てはいけない」と専門家は警告。
予防法や応急措置を知り、夏を元気に乗り切りたい。

体がほてり、汗が止まらない。
ペットボトルの水を一気に飲むと、逆に寒気がしてきた。
気分は悪く、めまいがし始めた。

私が4月、炎天下のベトナムで2時間取材した後に経験した症状。
当時の気温は30度前後で蒸し暑かった。
日陰で休息しながら水分をとり、汗で失われた塩分を含む食事をすると、
大事に至らずに2時間ほどで回復。

帰国後、みやさか内科医院(東京都)の宮坂隆院長にこの話をすると、
「軽い熱中症だったのでしょう」。

◆見分け難しく

熱中症とは、暑さで体温を一定に保てなくなり、体内の水分や塩分の
バランスが崩れて異常が表れた状態を指す。
「熱失神」、「熱けいれん」、「熱疲労」、「熱射病」とも呼ばれ、
医師でも緊急性が区別しにくい。
現在では、軽い症状から順に1、2、3度と分類。

人の体温は通常、36~37度の狭い範囲。
暑くなれば、自律神経の働きで、皮膚に血液を集めたり、汗をかいたりして
体温の上昇を防ぐ。
蒸し暑い夏には、体温調節の機能が追いつかず、体に熱がたまる。
熱中症の「準備段階」。

この段階を過ぎた1度では、めまいや立ちくらみなどの症状
すぐに涼しい場所に移動させて体を冷やし、水分と塩分を与えることが必要。
なかなか改善しなかったり、吐き気やけいれんなど症状が出てくれば、
すぐに病院に搬送しなければならない。

有賀徹・昭和大教授(救急医学)は、「搬送の際、付き添いの人が
熱中症になった当時の気温や行動、既往症などを医師に伝えると
適切な診断と素早い処置ができる」。

◆体力低下時も

宮坂さんは、「高齢者は冷房が苦手。体温の上昇に気づかないことも多い」。
本人や周囲が風邪と勘違いして処置が遅れる場合があり、
「夏季に急に食欲がなくなったら、熱中症を疑ってほしい」。

5歳以下や肥満の人、睡眠不足の人は、周囲の環境への適応力が落ち、
熱中症になりやすい。

熱中症は、太陽が照りつける屋外で起こると考えられがち。
しかし、室内で全患者の約3割、重症者の約6割が発症。
「暑く蒸した換気のない室内で、アイロンをかけたり、台所で料理をしたり
する場合には要注意」と警告。

体が暑さに慣れていない時の発生が多く、梅雨明け後の約1週間に目立つ。
1日では、気温が高くなる午前11時~午後3時が危険時間帯。

◆温暖化で北上

温暖化による気温の上昇で、熱中症の危険性も高まりそう。
昨夏は、東京都と17政令市で熱中症で搬送された患者数が、
過去最多の5102人。

今後、北海道や東北地方でも熱中症発症のリスクが高まるとして、
エアコンのない世帯向けに、一時避難所の設置を提案。

国立環境研究所の小野雅司・総合影響評価研究室長は、
「熱中症で年間300~400人が亡くなっている。
最高気温が35度を超えると、熱中症のリスクが高まる。
高齢化社会を迎え、お年寄りへの支援体制に力を入れるべき」。
==============
<熱中症の重症度と対処法>
重症度1
症状
1)めまい、立ちくらみがある
2)筋肉のこむら返りがある(痛い)
3)ふいても汗が出てくる
4)頭ががんがんする(頭痛)
対処法
1)水分、塩分を補給する(塩分も補えるスポーツドリンクが最適)

重症度2
症状
1)吐き気がする・吐く
2)体がだるい(けん怠感)
3)意識がない         
対処法
1)足を高くして休む
2)水分、塩分をとる(自分でとれなければすぐ病院へ)

重症度3
症状
1)体がひきつける(けいれん)      
2)呼びかけに対し返事がおかしい     
3)まっすぐに歩けない・走れない
4)高い体温である
対処法
1)水や氷で冷やす(首、脇の下、足の付け根)
2)すぐに救急隊を要請

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/07/11/20080711ddm013100115000c.html

プロ棋士の後頭部に「脳ダコ」?活性化領域を発見

(朝日 2008年7月10日)

将棋のプロ棋士が盤面を見て考えるときに、
後頭部にアマチュアより脳が活発化する領域があることがわかった。
理化学研究所が、日本神経科学大会で発表。

理研と日本将棋連盟、富士通が共同で進める、
棋士の直感の解明を目指すプロジェクトの研究の成果。
活発化した脳の一部分が大きくなるという仮説「脳ダコ」にあたる可能性も。

理研脳科学総合研究センターは、四~七段のプロ棋士のグループと、
2組のアマチュアの計3グループを対象に脳の働きを調べた。

実戦の局面とでたらめに駒を並べた盤面を一瞬見せて、
どちらか判別させる実験では、
プロ棋士は0.1秒見ただけでほとんど区別できたのに対して、
アマチュアの四、五段グループは0.5秒、初段では1秒必要。

盤面を次々に見せながら機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)装置で
脳を調べたところ、頭頂葉の背内側部と呼ばれる部分の
2センチ立方ほどの大きさの領域の働きが活発化。

プロ棋士11人のうち8人が活発化、高いレベルのアマチュアも
難易度が低い局面では活発化。

研究チームは、活発化した領域が指のペンだこのようになる「脳ダコ」に
あたるのかの解明などを進めていく。

2008年7月15日火曜日

当世留学生事情(12)全学生 海外で英語修業

(読売 7月2日)

短期海外留学を必修としている大学がある。

宮崎県清武町に1994年に開学した宮崎国際大学。
学生数はわずか305人だが、日本で初めて全授業を英語で行った。
教員34人中27人が外国人教員で、学生は英語漬けの毎日。

1、2年生の授業では、外国人教員のほか、日本語も分かる
英語アシスタント教員の2人体制。
4月終わりの2年生の授業は、豪州とニュージーランドへの短期留学を控えた
学生のための「オーストラリア・ニュージーランドの文化」。
ニュージーランドの映画を見た上で気付いた、同国の慣習や、
映画の内容についての発表。

10分間の発表後、質問時間もあったが、予習してきた紙を見ながら
話す学生もいて、質問もなかなか出てこない。
アシスタントの助言をもらいながら、英語を絞り出す。

3、4年生の授業では一変する。
社会心理学の授業では、テミーナ・グラッドマン准教授が、
「CriticalThinking(批判・分析的思考)」について英語で授業を進める。
説明の途中でも、学生が授業を止めて英語で分からないところを確認。

同大学では、2年の後期に米英豪、カナダ、ニュージーランドの
提携16大学のいずれかに、4か月間留学することを必修。

一つの大学に派遣する学生数は、8人以内に制限。
何かトラブルがあれば、まず自分で解決し、次は現地の大学スタッフ、
それでも駄目なら宮崎まで連絡してくるよう指導。
困難な時こそ、英語を使って切り抜けることが出来れば自信に。

デジ・トム海外研修ディレクターは、
「短期留学を経て、学生は点数を取るための英語から、
コミュニケーション手段としての英語に変わる」。

春休みまで留学を3か月間延長する学生も多い。
カナダに留学した国際教養学部4年の水保卓也さん(21)は、
韓国や中国からの留学生から過去の日本の侵略戦争について
意見を聞かれたが、すぐには答えられなかった。
寮に戻ってインターネットで調べ、自分の考えをまとめて伝えた。

付け焼き刃とわかっているが、友達を失いたくない一心だった。
英語が完全でなくても、積極的に自分の意見を言っていかないと
友達の輪にも入れないことを実感した。
「帰ってきて、とにかく英語を使いたくて仕方なかった」と水保さん。
すべての授業を英語で行い、外国人教員が多い同大学には、
その欲求を満たす環境がある。

米国に留学した磯井清吾さん(20)も、宮崎国際大の授業では
「自分で考えて意思表示していかないといけない。
答えが違っていても、それに至る考え方を評価してくれる」。

留学を通じた経験をどう生かすか?
留学後の大学側の取り組みも重要。

◆日本人の海外留学

2004年現在、海外に留学している日本人は8万2945人。
海外からの留学生がここ10年で約2倍増なのに対し、約3万人増。
留学先は、米国が4万2215人で最多、欧米諸国で約7割。
最近では中国への留学が増え、1万9059人で第2位。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080702-OYT8T00255.htm

コンテナ航路が正念場 大船渡-韓国、開設1年

(岩手日報 7月10日)

大船渡港と韓国・釜山港を結ぶ外国貿易コンテナ航路が、
原油高の影響で本来の週1便から減便を余儀なくされている。

船会社が、貨物量が少なく採算性の低い港への寄港を減らしているためで、
利便性の低下からさらなる貨物の減少も引き起こしている。
本県初の定期運航として、開設1年を経過した同航路だが、
早くも正念場を迎えている。

昨年4月の航路開設から今年3月まで週1便運航だったが、
船会社の減便要請を受けて4月は3便、5月は隔週の2便に減少。
6月は、船の遅れなどが重なって1便しか寄港。

貨物量は、9月の278TEU(1TEU=約25トン積載コンテナ1個)を
ピークに、昨年度後半から減少。
今年に入って100TEU前半で推移したが、6月は23TEUにまで激減。

減便の背景には、原油高に苦しむ船会社の航路再編の流れ。
船会社は現在、燃料の重油を少しでも節約しようと
船の航行速度を落とす一方、寄港地を絞り込んでいる。
大船渡港に寄港するコンテナ船も、仙台や小名浜など国内の5港に寄港し、
他港と比べて貨物量の少ない大船渡港を省くケースが出ている。

韓国船会社の代理店を務める三栄海運(東京)の山池輝晴常務は、
「運航スケジュールを調整しているが、当面は隔週になる」。

地元水産物を輸出する大船渡湾冷凍水産加工業協同組合の
鈴木憲助参事は、「航路が安定しないのでは、荷主にとって使い勝手が悪い。
最低でも週1便を確保してほしい」。

外貿コンテナ航路は、週1便のサービスが業界の常識。
大船渡魚市場では、これからサバやサンマなどの水揚げの
最盛期を迎えるだけに、地元水産関係者にとっても利便性の低下は必至。
同港の安定しない運航スケジュールに、
便数が豊富な仙台港などに切り替える動きも出ている。

大船渡市港湾経済部の室井良雄部長は、
「週1便の運航を船会社に要請しているが、現時点で好材料は少ない。
引き続き要請を行うとともに、大口顧客の獲得を柱に貨物確保の
セールスに全力を挙げたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080710_15

企業満足度、本県は2位 人材育成を評価

(岩手日報 7月12日)

経済産業省は、企業誘致の支援体制について都道府県ごとに
企業が採点した企業立地満足度調査の結果を公表。
総合評価で、本県(昨年17位)は2位に躍進。
人材育成や立地後のフォローアップが高く評価。

1位は大分県(同2位)。上位6位には、東北では福島県(同8位)。
自動車、半導体の「連峰型」の産業集積を進めている本県にとって、
さらなる産業集積に弾みがつきそう。
調査は、4月21日~5月16日、2006年に固定資産を増加させた
2万7498事業所を対象に実施。回答数は4870事業所で、回答率は17・7%。
設問は、
▽総合評価、▽許認可手続きなどの迅速性、▽ワンストップサービスによる対応、
▽補助金や優遇税制などの経済的インセンティブ、
▽人材あっせん・育成支援、▽インフラ整備、▽立地後のフォローアップ、
▽市町村との連携―の8項目。
本県は、「インフラ整備」を除く7項目で高く評価、
「人材あっせん・育成支援」、「立地後のフォローアップ」は
2年連続で高い満足度を得た。

満足度の高い自治体について経産省は、
大分県が100社以上の企業を訪問して原油高対策の要望を聞いた例を挙げ、
「企業に小まめに足を運んで取り組んでいる」。
本県は、トヨタが国内第3拠点の東北の中核に位置付ける
関東自動車工業岩手工場(金ケ崎町)を軸にした自動車産業、
北上市に新工場建設を計画する東芝などの半導体産業の成長が著しい。
県企業立地課は本年度、約200社を目標に県外企業の訪問を始め、
既に立地した企業約300社に対してはフォローアップを展開。
技術開発や人材育成、取引拡大などに向け産学官連携を拡充。
県商工労働観光部の廣田淳部長は、
「インフラ整備は、検討課題としてしっかり取り組む。
評価に恥じないよう、支援策を一層充実させ、さらなる産業振興を図る」。

「皇居のタヌキ」陛下が論文、ふん分析し共同執筆

(読売 7月11日)

天皇陛下が皇居に生息するタヌキのふんを分析し、
研究者と共同執筆された論文
「皇居におけるタヌキの食性とその季節変動」が、
国立科学博物館発行の研究報告に掲載。

論文は、同館研究員ら4人との共著。
タヌキは、決まった場所にふんをためる習性があり、陛下と研究者は
2006年4月~07年12月、皇居内で確認された「ためふん場」30か所から
169個を採取し、水で洗って木の実や昆虫の未消化の殻を取り出し分析。

この結果、自然豊かな皇居にすむタヌキは、
残飯をあさる都市部のタヌキとは違って、
オサムシなどの昆虫や木の実をよく食べ、ふんの数から最大14頭と推計。

調査は陛下の発案で、陛下は御所近くにあるふん場に通い、
採取、水洗い、分析を自分でされた。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080711-OYT1T00173.htm

スポーツ21世紀:新しい波/274 バレー協会・個人登録制度/9止

(毎日 7月5日)

2005年元日、日本サッカー協会(JFA)は「JFA2005年宣言」を発表。
「サッカーを通じて、豊かなスポーツ文化を創造し、
人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する」との理念の下、
15年の中期、50年の長期目標を掲げた。

15年の目標は、
(1)サッカーファミリー500万人、(2)日本代表の世界トップ10入り、など。

日本バレーボール協会(JVA)も、「JVA21世紀ビジョン」を発表。
2010年までの目標に、
(1)JVAメンバー100万人、(2)7万チーム、
(3)Vリーグ観客70万人、(4)現状より年5億円の増収、
(5)男子代表の世界ベスト5、女子代表のベスト3入り--を設定。

JVAの改革は、JFAの30年を駆け足で追いかけている印象。
JVAの伊藤晃執行役員は、「登録制度を検討する際、JFAをある程度参考。
『より先進的なものを』と意気込んだのが、あだになった面がある」。

他競技に先駆け、78年に個人登録制度を採用したJFA。
その趣旨をJFAは、「競技団体は大会を運営する際、抽選会を開き、
会場を借り、審判を呼ぶ。
そうした運営費用を、サッカー界全体で分担しようという発想。
サッカーは、『アソシエーション式蹴球』とも呼ばれるように、
サッカー界にはアソシエート(仲間)意識がある」。

08年度予算で、JFAの総収入約175億円のうち登録料収入は20億円程度、
「景気に左右されない点で、貢献度は高い。
都道府県協会の足元が安定し、運営もしっかりできる」(JFA)。

「サッカーファミリー」に支えてもらう代わりに、JFAは強化の拠点となる
トレーニングセンターを各地に作り、クラブユース選手権など
学校チームに所属しない選手のための大会を設けた。

個人登録制度は収入をもたらす。その代価として、
競技団体はあらゆる登録メンバーに利益を還元する義務を負う。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

2008年7月14日月曜日

世界一幸せな国は? 世界97カ国・地域の幸福度調査

(CNN 7月2日)

全米科学財団(NSF)は、世界97カ国・地域の幸福度ランキングを発表。
世界で最も幸せな国はデンマーク、最下位は政情不安が続くアフリカ南部の
ジンバブエで、日本は43位。

調査は、各国・地域の住民に対し、幸福度と生活全般についての
満足度を尋ねた。
その結果、幸福度が高かった上位10カ国・地域は、
デンマーク、プエルトリコ、コロンビア、アイスランド、北アイルランド、
アイルランド、スイス、オランダ、カナダ、オーストリアの順。米国は16位。

幸福度は、経済成長や民主化、社会的寛容度の高さに比例し、
独裁政権下の国や貧困国は幸福度が低い傾向も判明。
「幸せでない」と感じる人が、「幸せ」と感じる人を上回ったのは
ルワンダ、ロシア、イラクなど19カ国。

最下位のジンバブエでは、ムガベ大統領による長期強権政治が続き、
超高率インフレにも襲われて、住民の南アフリカなどへの脱出が相次いでいる。

http://www.cnn.co.jp/business/CNN200807020017.html

当世留学生事情(11)母校と日本ダブル卒業

(読売 7月1日)

二つの大学を、一度に卒業できる制度を導入する大学が増えてきた。

「制度がなかったら、日本留学はできなかった」
信濃川を見下ろす丘の中腹にある長岡技術科学大学の、
大きなモーター音が響く実験室で、
留学生のレー・チュン・ズンさん(22)が振り返った。
実験を手伝うトラン・バン・ガンさん(23)、普段は隣の実験室で、
セラミックスの研究をしているチュン・トゥ・アインさん(24)もうなずいた。

3人は、同大とベトナム・ハノイ工科大の国立大同士で行っている
共同学位制度「ツイニングプログラム」を利用して来日した1期生と2期生。
すでに3人とも大学院生に。

このプログラムなら、4年半で両方の大学の学位が得られる。
学生は、9月にベトナムでハノイ工科大に入学。
2年半、基礎科目の講義を受けながら、留学に必要な日本語を習得。
十分な日本語能力と日本で専門教育を受けるだけの知識を備えた学生だけが、
長岡技術科学大3年次に編入。

3人は、辞書に載っていない日本語の表現や専門用語は、
自分で日本語から英語に、英語からベトナム語に訳して学んできた。
アインさんが作ったオリジナルノートは、五十音順に付せんがはられ、
まるで辞書のよう。

技術立国・日本で学ぼうとするアジアからの留学生を多く受け入れていた。
現在は、大学院生を含む学生2328人の9%が留学生。
学生の7割が、3年次に高等専門学校から編入する大学だという点も、
制度導入の味方をした。

ハノイ工科大も、日系企業の進出を受け、日本語や日本文化に精通した
技術者の育成方法を模索。
学長同士の会談で導入が決まり、2003年に1期生がハノイで勉強を始めた。
編入学試験に合格したのは3人。
その後も、年ごとの試験の合格者は10人に達したことはない狭き門。

長岡技術科学大の国際センター長、伊藤義郎教授(56)は、
「意欲と能力の高い学生を発掘でき、国際貢献にもなる。
学生にとってもいい刺激になるはず」。

両方の学位があれば、日越双方で進路が開ける。
これまでに卒業した1、2期生の多くが、ベトナムに進出している
日本企業やベトナムの日系企業に就職。
ズンさんたち3人のように、節約できた費用や時間を充て、
そのまま大学院に進む人もいる。

幼いころ、父親がホンダのカブを大事そうに手入れしていたことが
心に残っているというズンさん。
「日本の製品は最高だとずっと信じてきた。その日本で学べるのが幸せです」。
日本企業に就職して企業風土を学んでから、ベトナムに帰り、
日系企業で指導者になりたいという夢。

共同学位制度でスポットライトを浴びた卒業生たちの、今後の活躍に期待。

◆共同学位(ダブル・ディグリー)制度

二つの大学に在籍し、短期間で両大学を卒業する制度。
留学先で取得した単位を、籍のある大学で卒業単位に算入する
単位互換制度とは異なり、取得した単位を、両方の大学で卒業単位として数える。
2006年現在、国内の国立8校、私立29校が導入。
海外大学との単位互換制度は、国公私立160校が持っている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080701-OYT8T00226.htm

2008年7月13日日曜日

当世留学生事情(10)言葉教え合い地域交流

(読売 6月28日)

地元の住民が、積極的に留学生と触れ合う活動も広がっている。

日本有数の米の産地、新潟県南魚沼市。
世界各国の国旗が描かれたガードレールのある道を走り抜けると、
国際大学の建物が見える。
元日本興業銀行頭取の中山素平氏が設立に尽力し、
財界の支援で1982年に設立された大学院だけの大学。
約50か国からの約250人が、国際関係や国際経営学などを学んでいる。

6月のある晴れた日、留学生15人は大学近くの農家を訪れ、
はだしになっておそるおそる水田に足を踏み入れると、
腰を曲げながら苗を植えていった。
留学生も農家の人も泥だらけになり、自然に笑みがこぼれる。

国際大の留学生と地域の懸け橋になろうという任意団体「夢っくす」
企画した田植え体験ツアー。
留学生は、用意された山菜料理に舌鼓も打ち、
集落に伝わる踊りも一緒に踊った。

夢っくすは、地元の主婦や会社員ら、18歳から76歳までの約130人が会員。
2002年に設立、大学内の学生寮に併設された「夢っくすサロン」を拠点に活動。
会員は、いつでもこのサロンを借りることが出来、留学生向けの日本語教室や、
地元住民向けの英語や中国語の会話教室が開かれている。

設立に中心的な役割を果たした元同大職員、武田里子さん(52)は、
普段の生活で日本語を使う機会が少ないと思っている留学生と、
英語を練習したがっている日本人で互いに教え合い、
交流の障害となっていた言葉の壁を逆に、交流のきっかけにしたいと思った」。

活動の核が、日本語チュータープログラム。
会員が授業で分からなかった日本語や、日本語試験の復習を手助けする。
現在会員40人に対し、50人の留学生が登録、
週1回1時間程度、留学生と「サロン」で落ち合う。

仲良くなった会員と留学生が、個人的に連絡を取り合った別の活動も。
サッカー観戦、着物の着付け教室、茶道教室、中国語会話教室など様々。
定期的につながりがあるからこそ、田植えや稲刈り、小旅行といった
季節ごとのイベントも盛り上がりを見せる。
留学生の妻の出産時に、会員が一緒に病院に行って通訳したことも。

会員に最も人気があるのは、留学生による英会話教室。
留学生には、謝礼も支払われる。
5月の教室には、近所の主婦ら8人が参加し、講師を務めるネパール人留学生の
アルナ・パンタさん(35)から英語の表現上の助言を受けた。

3年半この教室に通う今成透さん(76)は、
「楽しくて仕方ない。英語はぼけ防止には一番いいよ」と笑う。
「夢っくすがなければ、交流なんて出来なかった。
あっと言う間にさみしくなくなった」とアルナさん。

夢っくすの活動は、留学生と住民をどうつなぐかの一つの答えを示している。

◆日本語教育

大学入学前、国費留学生は国立大の留学生センターで、
私費留学生は大学付属の留学生別科で日本語教育を受けることが多い。
昨年の時点で、留学生別科は61大学、留学生センターは54大学。
民間の日本語教育機関は2006年12月現在、390あり、3万人余が在籍。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080628-OYT8T00321.htm

ケセンきらめき大学講座 エコミュージアムを学習気仙まるごと博物館提唱

(東海新報 7月1日)

気仙地域の実践的まちづくり講座「ケセンきらめき大学」(田村満学長)
の公開講座が、東海新報社で開かれた。
講師の大山由美子・丹青研究所部長は、全国の先進事例を紹介、
エコミュージアムの理念を解説。

地元資源を発掘する「住民の記憶の収集」を出発点に、
自然保護と人の生活が両立する“気仙まるごと博物館”の新たな展開を提唱。

講座には、同大学生ら二十人余りが出席。
午前中は講義、午後は地元資源を掘り起こし、
誘客ストーリーまで考えるワークショップ。

鈴木迪雄・全国生涯学習まちづくり協会コーディネーターは、
「気仙には、世界に発信できる素材がたくさん眠っている」と、
地域資源の活用を強調。

大山氏は、1979年名城大理工学部卒。
89年に丹青研究所に入社、現在は文化空間企画開発研究部長。
15年前、旧三陸町で展開された“まるごと博物館”を主唱した経緯もあり、
講座ではエコミュージアムの理念と実践例、気仙での展開まで話を進めた。

エコミュージアム発祥は、1960年代のフランス。
パリへの文化一局集中を反省し、地方の文化遺産を
地方の自然の中で見る運動が始まり、
それが地方の観光振興と活性化にも貢献したことから世界に広まった。

エコはエコロジー(生態学)、ミュージアムは博物館の意味で、
日本では20年前から各省庁がこの考えを導入。
現在、全国では100カ所ほどの地域で活動。

四国のあさん(阿波・讃岐)ライブミュージアムでは、
吉野川流域の3町で「広域青空博物館」を構想。
藍染め体験やサトウキビ利用の和三盆糖生産、
山仕事の人たちが集団で食べていた「たらいうどん」の特産化などで集客。

三重県鳥羽市では、水族館中心の観光を反省。
「青都とば生活・環境博物館」として、黒潮や真珠、海女、昔の水軍、
小説の舞台などを掘り起こした活動を展開。

兵庫県豊岡市では、「コウノトリ翔る地域まるごと博物館」として活動。
コウノトリが暮らせる無農薬農業でのエサ確保、営巣ができる松の木保全、
電線地中化などで生態系を再構築。
子どもを運んでくるトリにあやかった神社のお札にも人気。

大山氏は、「自然保護だけでは人は生活できず、
鳥も人も生活もの視点が大切。
生態系を守ると、安心・安全な産物として収入にもつながる。
気仙にも多彩な資源があり、住民の記憶の収集を出発点に
連携、発信、郷土愛創造へと進んでほしい」、
気仙全体での“まるごと博物館”展開を期待。

齊藤俊明大船渡市観光物産協会長は、
「気仙の将来は、大変な事態が想定されている。
個々に取り組んでいるまちづくり活動を、一本化する時期と実感」。

http://www.tohkaishimpo.com/

教育基本計画:5年間で「世界最高水準の研究拠点」

(毎日 7月1日)

改正教育基本法に基づく教育振興基本計画を、閣議決定。
教育に関する初の基本計画で、「教育立国」を宣言し、
「公教育の質を高め、信頼を確立する」など、
今後10年を通じて教育が目指すべき姿を提示。

5年間で「世界最高水準の卓越した教育研究拠点の形成」、
「いじめ、不登校、自殺などへの対応の推進」など
77の施策に取り組む方針。

計画は、「子どもの学ぶ意欲や学力・体力の低下」、「少子化の進行」
などを課題として明示。
10年間で世界トップの学力水準を目指し、
教育内容、教育条件の質の向上を図る。

5年間で取り組む施策として、
▽子どもの体力を、85年ごろの水準に回復することを目指す、
▽各大学で教育内容・方法の改善を進め、
厳格な成績評価システムの導入を目指す、など。

文部科学省は当初、「教育予算をGDP(国内総生産)比5%超にする」、
「教職員定数を約2万5000人増員する」
との数値目標記載を目指したが、財務省などの抵抗で実現せず。

教育予算は、「諸外国における状況を参考の一つとし、確保が必要」、
教職員数は、「定数の在り方などの条件整備について検討」
との表現に後退。
「私学助成を充実する」などの記載も目指したが、
「私学助成その他の支援を行う」との記載に。

渡海紀三朗文科相は、「財政再建という国家的課題の中で、
長期計画を作るのがいかに難しいか改めて感じた」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080701k0000e010050000c.html

2008年7月12日土曜日

当世留学生事情(9)交流の懸け橋 積極歓迎

(読売 6月27日)

留学生の受け入れに積極的にかかわる自治体がある。
五月晴れのさわやかな風が吹く中、別府市立大平山小学校で、
約500人が参加して運動会の全体練習が行われていた。
モンゴル人で小学5年のトゥムル・ブジンさんの横には、
別府大学に留学している、ツェグメド・ガンチメグさん(20)が寄り添った。

教員の指示は、ガンチメグさんによって通訳され、
ブジンさんは戸惑うことなく、ほかの児童と一緒になって走ったり、
応援したりと無邪気な笑顔を見せた。

ガンチメグさんは、別府市から相談員として派遣。
相談員は、通訳など、同市内に留学している学生の子供の支援をし、
安心して留学生活を送れるようにする。

ガンチメグさんは週2回、小学校に通い、授業中はブジンさんの机の横に
座って、教諭の説明を通訳していく。
ブジンさんは、「まだ分からないところがあるけど、メグさんのお陰で
だいぶ分かってきたし、友達も増えた」。

母親のゲレルマさん(34)は、同市内の立命館アジア太平洋大学(APU)
大学院で保健行政を学んでいる。
日本語も勉強中で、学校からの配布物を読むのもひと苦労だが、
ガンチメグさんがメールや電話で補足。
「学校での娘の様子も教えてくれて、本当に感謝している。
相談員がいてくれるから、全く心配がない」。

現在、同市内では、ガンチメグさんのほか韓国人留学生2人が、
相談員として留学生家族の支援。
2000年から始まった制度で、これまで65人の支援をしてきた実績。

別府市では、学生の約半分が留学生のAPUが誕生、
国際交流都市宣言。
アジアやアフリカ諸国の大使を招いたサミットを開くなど、
情報発信にも努めてきた。
留学生数は、同年の487人から08年には3333人と急増。
出身国・地域は83にも広がった。

別府市は03年、構造改革特区制度を活用して、
公営住宅の空き室を留学生に提供できる「留学生特区」の認定も受けた。
現在もこの仕組みを使うのは、別府市だけ。
13室21人の留学生が、市営住宅に住んでいる。

温泉街だけに、留学生のホテルや旅館でのアルバイトも増えた。
その波及効果もあるのか、外国人観光客も2000年の12万5844人から、
06年には22万6013人に急増。

別府市の後藤邦俊・文化国際課長は、
「受け入れ体制は、大学だけでは限界がある。
留学生に、本国でスポークスマンの役割を担ってもらうため、
第二のふるさとと思えるように、もてなさなければいけない」。

自治体には、留学生に交流の懸け橋になってもらい、
町の活性化につなげたいという期待。
留学生を増やすなら、その受け入れ体制は考えておく必要がある

◆大分県は人口比で2番目

都道府県別の留学生数は、東京が4万316人で圧倒的に多く、
大阪(1万203人)、福岡(6017人)、愛知(5774人)など大都市が続く。
大分は3587人で10番目だが、人口比で見ると東京に次いで多い。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080627-OYT8T00248.htm

医療崩壊防ぐ対策日本学術会議が要望

(サイエンスポータル 2008年6月30日)

日本学術会議は、医療費抑制政策の転換などを政府に求める要望
「信頼に支えられた医療の実現-医療を崩壊させないために-」を公表。

要望は、桐野髙明・国立国際医療センター総長を委員長とする
「イノベーション検討委員会」がまとめ、
「臨床医学委員会医療制度分科会」の審議を合わせた検討結果に基づく。

「医療費抑制政策の転換」、「病院医療の抜本的な改革」、
「専門医制度認証委員会の設置」の3点から成り、
省庁の枠を超えた「医療改革委員会」(仮称)を設置することを求めている。

要望は、「長年、総医療費の抑制政策が続けられてきた。
産科、小児科などの医師不足、救急医療の疲弊など、
深刻な危機が進行、国民の不安をまねいている」と、
日本の医療が危機的な状況にあることを指摘。

「医療費抑制政策の見直し」について、
他の先進諸国と同様な水準の資源投入を行うよう求めた。
病院医療について、実働医師の不足対策を中心とした、
抜本的な改革を検討、3年以内に実施。

専門医の制度について、医学界の取り組みを含め厳しい目を注ぐ。
日本の専門医は、医学領域の各学会がそれぞれの専門分野ごとに
専門医制度を導入し、専門医試験を実施。
持続的に一定の臨床経験を持った専門医を養成するという
量的な考え方が欠けている結果、医師の偏在をもたらしたことを指摘。

専門医制度を根本的に見直し、新しい制度を確立するため、
「専門医制度認証委員会」(仮称)の設置を実現、
10年以内に新しい専門医制度の体制整備を完了することを求めている。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0806/0806301.html

組み込む遺伝子数減らせる 万能細胞で独チーム

(共同通信社 2008年6月30日)

山中伸弥京都大教授が、皮膚細胞に4つの遺伝子を組み込んで
作製した新型万能細胞「iPS細胞」は、
神経のもとになる神経幹細胞から作ると、組み込む遺伝子は2つで済む。

ドイツのマックスプランク研究所などのチームが、
マウス実験を基に英科学誌ネイチャーに発表。
人間の細胞でも同じことが確認できれば、将来の臨床応用に向け、
安全性の向上につながる成果。

チームは、山中教授が最初に報告した4遺伝子のうち、
「Sox2」と「cMyc」と呼ばれる2つの遺伝子が、
もともとよく働いているマウスの神経幹細胞を使用。
これに、残りの「Oct4」と「Klf4」を組み込むと、
iPS細胞ができることを突き止めた。

iPS細胞の安全性向上には、組み込む遺伝子数を減らすこと、
特にがん遺伝子であるcMycを入れない手法が模索。
山中教授も、cMyc抜きの3遺伝子で作製に成功。

今回組み込んだ2遺伝子については、
働きを一時的に高める化合物があるとして
「遺伝子を使わないiPS細胞作製につながる可能性がある」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=76552

2008年7月11日金曜日

当世留学生事情(8)アニメを核に海外提携

(読売 6月26日)

アニメなど、日本の強みを留学生獲得の呼び水にする大学がある。
中国、韓国、米国出身の5人の留学生が見入るテレビ画面の中の
大柄な米国人が、みるみるうちにアニメの妖怪に変化。
東京工科大学の研究室。
同大と米国の南カリフォルニア大学(USC)の学生が、
初めて共同制作した「YOKAI」。

約5分のDVDは、米国から東京に引っ越してきた妖怪一家と
隣人の日本人のやりとりをコミカルに描いている。

USC出身で、人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」が好きだという
米国人ウメナチ・メリチさん(25)は、「映像が素晴らしい」と、
後輩の作品に驚きの表情を浮かべた。

1999年に開設された東京工科大メディア学部は、
CG合成やデジタル録音編集などの最新設備のスタジオを持つ。
アニメーション制作技術を核に、東京西部地区をアニメ産業の
一大拠点にしようという「アニメバレー構想」を提唱。

USCは、映画監督のジョージ・ルーカス氏、ロバート・ゼメキス氏らを
輩出したことで知られ、映画制作技術で米国有数の大学。

同学部の金子満教授がUSC出身、2001年に両大学の提携が決まった。
これまで短期の交換留学なども行ってきた。

東京工科大が、アジアで本格的に留学生の獲得に乗り出す。
今年、マレーシアの経営科学大学(MSU)とゲームやアニメ分野で提携。
3年後に3年次に編入させる計画。
政府の補助金を得て、マレーシア以外からも留学生を受け入れる。
制作技術のほかに、ビジネスのやり方なども教える。

USCとの共同制作の担当者でもある同大メディア学部の三上浩司講師は
「アジアの国々を、ビジネスパートナーにしていき、
アジア全体でハリウッドに対抗していかないと、
ハリウッドに総取りされてしまう」と危機感。

経済産業省のコンテンツグローバル戦略研究会の委員を務めた
アニメ制作会社「シンク」の森祐治社長も、
「日本のアニメ業界の今後の成長のためには、
アジアとの連携は欠かせない」。

「日本のアニメは、動画や彩色などをアジアの国々に
発注しているのがほとんど。
日本のやり方を理解した人材がアジア圏で育つことは、
業界全体としても歓迎すべき」

日本のアニメやゲーム、映画などコンテンツ(情報内容)産業の
国内市場規模は、米国に次いで世界2位。
輸出額を国内市場で割った海外展開比率(2005年)は、
日本はわずか1・9%、米国の17・8%と雲泥の差。

世界に冠たるアニメ大国の飛躍のためにも、
アジアからの留学生は欠かせない。

◆日本のコンテンツ産業

世界のコンテンツ産業の市場規模(2005年)は、146兆円。
米国が60兆円で41.7%、日本は13.7兆円(9.4%)で世界第2位。
01~05年の国内市場の成長率は、0.7%にとどまっている。
米国は5.6%、世界全体の成長率も5.8%。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080626-OYT8T00303.htm

エコな大学を学生の手で 岩手大農学部チーム

(岩手日報 6月30日)

岩手大(藤井克己学長)農学部は、構内環境整備に向け
「ECOキャンパスプロジェクト」を本年度からスタート。
大学生の「グリーンサポーター」が、ハンギングバスケットの製作や
水やり、除草に取り組んでいる。

学生たちは、「自然豊かなキャンパスを自分たちで守っていこう」と、
身近な実践を通し環境意識を高めている。

「ECOキャンパスプロジェクト」チームは、
農学部の学生や教職員で構成。
登録制の「グリーンサポーター」には、学生17人が参加、
講義の空き時間に、交代でハンギングバスケットの水やりを行っている。

ハンギングバスケットは、6月に大学正門前などに9個設置。
卒業生で、ハンギングバスケット協会県支部長の吉川三枝子さんの
指導を受け、学生が作った。

除草は、これまで外部に発注していたが、経費面で回数も限られ、
雑草が「伸び放題」。
4月からは3週間に1度、学生が機械を操作し除草。

農学部棟玄関前の小道にも、クリスマスローズやギボウシを植えて整備。
学部棟南側の壁には、ヘチマやアサガオで「緑のカーテン」を設置。
冷暖房への木質バイオマス燃料や太陽光発電の導入なども検討。

大学院農業生命科学専攻の佐々木真由紀さんと山影陽子さんは、
「学校の役に立つことができてうれしい。
もともと興味があった『エコ』が身近になった」。

プロジェクトの代表を務める吉川信幸農学部教授は、
岩手大のキャンパスは、市民も散策に訪れる憩いの場。
身近な実践を通し、大学全体に環境意識を広げていきたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080630_6

知的障害者をサポート 成年後見NPO誕生へ

(岩手日報 6月30日)

知的障害者の成年後見業務を行う「成年後見センターもりおか」
設立総会は、サンセール盛岡で開かれた。
成年後見業務を行う団体では、県内初の特定非営利活動法人
(NPO法人)となる予定。

障害者や高齢者らを狙った悪質商法などが増加する中、
専門的で永続的な支援を提供し、権利や財産を保護する。
設立趣旨書の確認など11議案を可決。
同市の石橋乙秀弁護士を理事長に選出。
毎月勉強会を重ね、7月に盛岡地方振興局にNPO法人の認証を申請。

10月ごろに認証を得て業務を開始、
初年度は5人、来年度は15人程度の後見を目指す。

近年、全国的に障害者や高齢者ら、判断能力が十分でない弱者を狙った
財産侵害や不公正な契約、権利の侵害などの事案が多発。

知的障害者の親は、自らの加齢とともに子どもの将来への不安が
大きくなるが、行政の支援はまだ不十分で、
成年後見制度への関心が高まっている。

一個人の後見人に、子どもの将来を託すことには不安があり、
長期的に持続した後見も難しく、普及は進んでいなかった。

同センターは、法律や医療、福祉などの専門家が親と協力、
法人として永続的で多面的な支援を提供するため設立。

石橋理事長は、「費用的な問題もあり、これまで成年後見制度を
利用できるのは一部に限られていた。
NPO法人化後は、実績を重ねて信頼を築き、より多くの障害者が
安心して暮らせる仕組みをつくりたい」。

◆成年後見制度

認知症や精神、知的障害などで判断能力が十分でない人の
財産管理や日常生活にかかわる契約などを支援する制度。
後見人は、契約を代理したり、本人が行った
不利益な契約の取り消しなどを行う。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080630_11

2008年7月10日木曜日

糖尿病治療に「適度な空腹」必要 東大などマウス実験

(朝日 2008年7月2日)

生活習慣がおもな原因とされる2型糖尿病を治すには、
適度な空腹が必要であることが、
発症にかかわるたんぱく質の働きの解明から裏付け。

東京大学などの研究チームによるマウスの実験で、
このたんぱく質は空腹が続くと増え、血糖値を下げるインスリンの働きを
仲介していることをつかんだ。米代謝学専門誌で発表。

東京大の窪田直人准教授(糖尿病・代謝内科)らは、
インスリンの働きにかかわる、IRS2というたんぱく質が
肝臓にないマウスをつくり、調べた。

その結果、IRS2は、肝臓が体内の脂肪などを分解して糖をつくるのを
抑えるインスリンの働きを促し、空腹が続くほど増え、
食後にほとんどなくなることがわかった。
インスリンは、肝臓が食後に糖から脂肪をつくりためこむのを助ける働きもあり、
これにはIRS1という別のたんぱく質がかかわっていた。

IRS1の量はほぼ一定なので、食べ続けることで肝臓には脂肪がためこまれる。
2型糖尿病患者に、高血糖と脂肪肝が同時に起こる原因。
治療薬開発につながる成果。

共同研究者の門脇孝・東大教授は、
「間食をせずに、3食リズムよく食べることが大切」。

http://www.asahi.com/science/update/0702/TKY200807010538.html

当世留学生事情(7)MBA「日本流」で差別化

(読売 6月25日)

留学生を引き付けることに成功しているビジネススクールがある。
東京都千代田区にある一橋大の大学院「国際企業戦略研究科」。

6月第1週は、自分の使命(ミッション)や将来の展望(ビジョン)など、
学生が自分の思いを英語で語り、議論。
名付けて、「ナレッジ(知識)ウイーク」。

学生は、年齢も肌の色も様々。
スーツ姿もTシャツだけの学生も。
インド人学生が、「若いころから、金銭面だけの展望を掲げていいのか」と
投げかけると、次々と手が挙がった。
「じゃあ、何でビジネススクールで勉強しているの?」
「大金持ちになった後どうするかが一番問われる」。
研究科長の竹内弘高教授(61)は、教室の中心で議論に聞き入った。

MBAを取るなら欧米、という流れを覆すビジネススクールを目指し、
研究科が出来たのは8年前。現在の学生106人中80人が留学生。
東アジアだけでなく、米英仏、中東など学生の出身国・地域は28。
今秋の新入生も、留学生が約8割。

米ハーバード大のビジネススクールで教べんを取った経験のある
竹内教授は、「MBAを持って、実務経験があり、英語堪能。
この3条件を満たす教授陣を集めるのは至難の業」。
若い教授たちをベテラン教授の授業に参加させたり、
ベテラン教授が若い教授の授業を指導したりして、教育力をアップ。

教授陣に実務経験があるからこそ、企業とのつながりも強く、
留学生の日本での就職率は9割超。

日本に呼び込むためには、日本で学ぶ付加価値を持たせることも重要。
米国のビジネススクールと差別化を図るため、
社員が持つ経験や知識を全社で共有し、
商品開発や新規分野の開拓などに生かす「ナレッジマネジメント」を必修。
株主一辺倒でなく、人間中心で、社会貢献や従業員、顧客などを重んじる
日本企業の経営を教えることが特徴。

「日本は、物事の進め方がとても不思議な国。
トヨタに代表されるように、ビジネスのやり方も独特なものがある」
台湾出身で、大学を含め10年間米国で過ごした黄子軒さん(29)。

3、4人の学生に教員1人という割合で、ゼミ形式の授業が多いのも
留学生から好評。
ウズベキスタン出身のアンナ・レメシキナさん(24)は、
「学生と教授たちの間のきずながとても強い」。

教授と一緒に旅行をしたり、居酒屋で過ごしたりといった、
プライベートな交流も、留学生は好意的に受け止める。
「温かく迎えられているという心の部分の魅力も大きいようだ」。

こうした利点がネットを通じた口コミで広がる。
今秋入学予定のフランス人は、在学中のフランス人学生のチャット
(ネット上のおしゃべりの場)を見て興味を抱いた。

同科の取り組みは、魅力あるプログラムがそろえば、
海外からも学生を呼び込めることを示している。

◆MBA(Master of Business Administration)

ビジネス・スクール(経営学大学院)の修士課程修了者に与えられる学位。
実務家養成が目的で、会計、法務などのカリキュラムを実践的に学ぶ。
日本では定義が明確ではないが、ビジネス系の専門職大学院は30校。
MBA取得を掲げるのは、約20校。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080625-OYT8T00201.htm

障害者の社会参加考える 盛岡でシンポジウム

(岩手日報 6月30日)

金ケ崎町出身で岐阜県中津川市前市議の小池(旧姓小沢)公夫さんが
起こした「代読裁判」を支援する岩手の会(千田功平代表世話人)は、
盛岡市若園町の市総合福祉センターで
「障がいをもつ人の参政権はいま」と題したシンポジウムを開いた。

県内の障害者団体の代表者らが、日常社会のさまざまな問題点について議論。
聴覚障害者団体からは、「知事選の政見放送で、手話が認められていない」
などの問題が提起。

田中尚県立大社会福祉学部准教授は、
「自分と他人に違いがあることを、分かり合おうとすることが大事。
想像力や共感力が前提になる」。

大阪夕陽丘学園短大の川崎和代教授が基調講演。
障害者の社会参加を拒む問題点などについて解説し、
「人権は、時として主観的になる。
障害者がわがままとみられることがあるかもしれないが、
そこにはその人の苦しみがある」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080630_8

2008年7月9日水曜日

宇宙飛行士の心と骨チェック ミスや骨量減の防止研究へ

(朝日 2008年7月1日)

国際宇宙ステーション(ISS)に日本の船内実験室ができ、
日本人宇宙飛行士が来年から宇宙に長期滞在する。
これを見すえ、宇宙航空研究開発機構などが、
宇宙飛行士のストレスを自己診断する機器の開発や無重力で骨の量が
減るのを防ぐ研究計画を進めている。
来年1月以降、ISSに約3カ月間長期滞在する
若田光一飛行士(44)らを対象。

ストレス診断器は、弱みを見せたがらない飛行士が個人用の端末で
自分のストレス具合を知ることで、作業ミスを防ぐのが狙い。
向井千秋さんが、室長の宇宙機構・宇宙医学生物学研究室と
産業技術総合研究所が共同研究。

市販の携帯情報端末のタッチパネル式画面を使う。
25種類のゲームの中から、ストレスの相関性が高かった5種類を選んだ。
10分で「抑うつ」、「疲労」など6項目のストレス程度が点数で示され、
地上での数値と比較。

無重力の宇宙にいると、骨密度が徐々に減る。
骨折しやすくなるほか、骨から溶け出したカルシウムが尿に混じって、
尿路結石になるリスクが高まる。
日米共同研究チームの松本俊夫・徳島大教授(生体情報内科学)は、
3カ月で大腿骨の骨密度が5%ほど減る。

骨をとかす「破骨細胞」のはたらきを抑える骨粗鬆症治療薬の
ビスフォスフォネート製剤を、ISS滞在中の若田さんに週1回、食前に1錠服用。
米航空宇宙局(NASA)と共同で、
地球に帰還後の骨密度や尿路結石の有無などを調べ、
薬が宇宙でも効果があるかどうか研究。

http://www.asahi.com/science/update/0630/TKY200806300132.html

当世留学生事情(6)早大 8000人受け入れ戦略

(読売 6月24日)

私学の雄が、戦略的に留学生増を図る。
キャンパスを見渡せば、様々な人種の学生がすぐに目に付き、
日本人学生と留学生が英語で会話する光景が見られる。
内田勝一副総長がイメージする早稲田大学の5年後の姿。

昨年の留学生数2435人は、日本の大学でトップに立った。
創立125周年を機に、今後10年以内の指針を定めた
「早稲田ネクスト125」を発表。
「留学生の受け入れと、日本人学生の海外への派遣を、
それぞれ5年以内をめどに、8000人に増やす」という目標。

早大の狙いは明快。
「留学生を入れることによって、研究、教育水準を高めること」(内田副総長)。
高等教育熱の高まる中国などアジア諸国から、優秀な学生を獲得。

必然的に英語での授業に力が入る。
1998年に開設した大学院アジア太平洋研究科では、
英語による授業だけで修士課程修了に必要な単位が得られる。
2004年にできた国際教養学部は、すべての授業を英語。
来年度から理工学部も、1年生から英語だけの授業を新設。

留学生のための日本語集中講座も。
「アジアで仕事をするなら日本語、英語、中国語が
今後50年は中心的な言語となる。留学生に、プラスアルファで
日本語がついてくると思わせるメリットは大きい」。

早大では、海外での情報提供や学生のリクルートを担当する
海外オフィスの整備も進める。
上海オフィスを新設、ニューヨーク、ソウル、台北でも開設し、10か所体制に。
バンコク、米オレゴン州、北京、シンガポール、独ボン、パリに拠点を持つ。

留学生が入れる学生寮は13棟(546人収容)、
交換留学生専用寮が5棟(442人収容)。
中野の警察大学校跡地に、900人収容可能な大型寮を建設中。
日本人学生と留学生を一緒に生活させ、困った時の相談相手となる
「レジデント・アシスタント(RA)」を配置するのが特徴。

西東京市の田無寮には、160人の学生が入居。
5階建ての建物には、各階に共通台所がある。
昨年1年間英国の学生寮で過ごした国際教養学部4年斉藤隼人さんは、
「海外での楽しい寮経験を、日本でも実現させたい」とRAを引き受けた。
サッカーに寮生を誘ったり、七夕イベントを企画したり。

韓国人留学生の同学部1年キム・ムンジョンさん(18)は、
「料理を一緒に作ることなどで友達が増えた。
同じ学部の人には、授業のことも聞けていい」。

様々な施策を取っても、8000人という数字は大きい。
学部と大学院で4000人ずつ増やすのが目標だが、
その実現には、より具体的な数値目標も必要。

◆英語による授業

2006年度に、英語で授業を実施している大学は227校。
英語による授業だけで卒業出来る大学には、早大国際教養学部のほか、
国際教養大、上智大国際教養学部、立命館アジア太平洋大など。
英語による授業だけで修了出来る大学院は、57校101研究科。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080624-OYT8T00237.htm

「プール熱」幼児らに流行の兆し、手洗いなど予防徹底を

(読売 7月2日)

発熱や目の痛みなどを引き起こす咽頭結膜熱(プール熱)について、
幼児を中心に流行の兆しを見せていることが、
国立感染症研究所感染症情報センターの調べで分かった。

過去10年間で最大の流行だった、06年に次ぐ規模で患者が急増、
手洗いなどの予防対策の徹底を呼びかけている。

今年の患者は、5月中旬ごろから増え始め、
先月24日現在で2万7693人。
昨年の同じ時期よりも、1200人以上多い形で推移。

大分県、長崎県、石川県などで比較的多いものの、
地域の偏りなく感染は全国に広がっている。
年齢別では、5歳以下で全体の8割。

プール熱は、39度前後の高熱やのどの痛み、結膜炎などを
3~5日間にわたり発症する病気で、目やにやつば、便などを通じて感染。
保育施設などでは、プール行事をきっかけに流行が拡大することも多い。
重症化することはほとんどないが、再登園には医師の治癒証明書が必要。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080702-OYT1T00296.htm

2008年7月8日火曜日

世界宗教者会議が札幌で開幕、平和や環境問題など討論

(読売 7月2日)

世界の宗教者が集まり、平和や貧困解消などについて話し合う
「世界宗教者会議」が、札幌市で開幕。

世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会が、
北海道洞爺湖サミットに合わせて開いたもので、
世界約20の国や地域から、仏教やキリスト教、イスラム教、ユダヤ教などの
代表者ら約300人が参加。
2日間にわたって、世界平和や、環境問題などについて、
宗教者の視点で討論する。
討論の結果を提言にまとめ、サミットで北海道を訪れる福田首相に手渡す。

WCRPは、宗教者が各宗教の壁を越え、平和や人権について
対話を進める世界的な民間活動団体(NGO)。
全員が、それぞれの宗教の作法で平和への祈りをささげて始まった。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080625-3057808/news/20080702-OYT1T00293.htm

平泉、「平和希求」前面に 文化庁が概要公表

(岩手日報 6月28日)

世界遺産登録を目指す「平泉の文化遺産」について、
国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会委員国に対する
説明資料の概要を公表。

国際記念物遺跡会議(イコモス)の「登録延期」勧告で、
証明不十分とされた浄土思想の価値について、
「平和希求」の精神がユネスコ憲章にも通じる―などと
時代や国境を超えた普遍性を強調。

説明資料は、文化庁や地元自治体関係者らが、
フランス・パリに渡り、イコモスの勧告で世界遺産にふさわしい価値を
「証明しきれていない」と指摘された原因を分析、要点をまとめた。

普遍的価値について、中国や朝鮮から6世紀以来伝わった
仏教思想の一つ、「浄土思想」の世界を現世に再現したのが平泉であり、
「平和希求」、「万物共生」、「自然との融合」の精神は
世界遺産にふさわしい―と主張。

歴史的、世界的な意義は、
▽第2次世界大戦を悔いて作られた「ユネスコ憲章」の精神にも通ずる
▽中尊寺金色堂などは、マルコ・ポーロ「東方見聞録」で
日本を「黄金の島」と記されたきっかけに、
大航海時代の遠因になったと考えられる―などと説明。

イコモスの勧告では、9つの構成資産範囲の再検討が必要と指摘、
「信仰、行政、防衛などの機能が相互に軸線に従って配置され、
周辺地形と一体となって浄土世界を表している」と反論。

文化庁記念物課の内藤敏也課長は、
「推薦書のベースは変えていないが、限られた時間でも委員国が
理解しやすいよう、焦点を絞り、表現も分かりやすくした」。

文化庁は、イコモス勧告書類で見つかった固有名詞や数字の誤り
計6点を、「事実誤認」と指摘する文書を、
ユネスコ委員会議長国カナダに提出。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080628_3

2008年7月7日月曜日

IOC:史上最も包括的な検査 北京の薬物対策で

(毎日 7月2日)

国際オリンピック委員会(IOC)のリュンクビスト医事委員長は、
スイス・ローザンヌのIOC本部から会見、
北京五輪でのドーピング検査は、
「スポーツ史上最も包括的な取り締まりになるだろう」。

選手村がオープンする7月27日から8月24日の閉幕まで、
IOCの管理下で4500件を超す検査が実施、
前回アテネ五輪から約25%増、00年シドニー五輪からは約90%増。
違反が見つかった選手は、4年後のロンドン五輪に出場できない
新規定も7月1日に発効。
同委員長は、「大会中のドーピング検査は大幅に強化され、
検査技術も科学の進歩に伴いより精密になっている」と警告。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20080703k0000m050100000c.html

コレステロール:「悪玉」成分 東北大教授らが解明

(毎日 7月2日)

「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールのうち、
動脈硬化を促進するのは成分の一つの「酸化LDL」であることを、
東北大の片桐秀樹教授(代謝学)らがマウスの実験で確かめた。
米医学誌「サーキュレーション」に掲載。

酸化LDLは、LDLコレステロールが酸化したもので、
LDLコレステロール全体の中のごくわずかな成分。

片桐教授らは、高LDLコレステロール血症のマウスの肝臓に
酸化LDLを蓄積させる遺伝子を導入。
血液中のLDLコレステロール全体の量はほとんど減らさず、
酸化LDLだけを3分の1程度に下げた状態を作り出した。

4週間後、普通の高LDLコレステロール血症マウスは
全身の動脈硬化の病変部分が実験前より約4割増加。
酸化LDLだけを減らしたマウスは、動脈硬化がまったく悪化しなかった。
動脈硬化促進物質の過酸化脂質などの血中濃度も減少。

LDLコレステロールは、細胞膜の材料などになる物質もあり、
薬でLDLコレステロール全体を下げ過ぎることを懸念する専門家も。
片桐教授は、「酸化LDLだけを減少させる治療法が開発できれば、
安全に動脈硬化の進行を抑制し、心筋梗塞の発症予防が
できるようになる可能性がある」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080702k0000m040151000c.html

「五輪講座」で竹田招致委員会副会長が講義

(東京オリンピック招致 2008,07,01)

筑波大学で「五輪講座」が開かれ、東京オリンピック・パラリンピック
招致委員会副会長の竹田恆和日本オリンピック委員会会長が、
2016年オリンピック・パラリンピック招致について講義。

2003年を皮切りに、今年8回目を迎えた五輪講座は、
国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ会長から初回に、
“世界の大学でも、前例のない先駆的なオリンピック教育”
として称賛され、国内外から高く評価。

今回の主要テーマは、「オリンピックに対するアジアの貢献」。
オリンピズム、オリンピックムーブメントの発展に、アジアの国や地域、
大会開催地などが、どのように貢献してきたか。

竹田副会長は、日本の戦後復興と1964年の東京オリンピックに触れ、
「焼け野原になった東京が20年も経たないうちに、
世界最高かつ最大のスポーツの祭典オリンピックを開催し、成功を収めた。
私は当時高校2年生だったが、そのことを誇りに思い、自信を持った。
時代を担う子どもたちにも、同じ体験をしてほしい」、
2016年開催を目指す東京オリンピック・パラリンピック招致プランについて、
次のように説明。

日本人は世界の中でも、特にオリンピックが好き。
アテネオリンピックで、国民一人あたりのテレビ平均視聴時間は、
日本が飛び抜けて高かった。
北京オリンピックの8年後のため、
2016年の東京オリンピック招致に対する支持率は伸び悩んだが、
立候補都市選定でトップの評価を受けた今、支持率は70%超。
オリンピック招致の意義を、より多くの方に理解していただき、
さらに支持率を上げていかなければいけない」

オリンピック招致には国の財政保証が不可欠なこと、
2009年10月2日のIOC総会で開催都市が決まること、
大怪我をおしてミュンヘンオリンピックの馬術に出場したエピソードなどを披露、
「出場を断念しなくてはならないような状況だったが、
人々の温かい愛情に支えられて、なんとかオリンピックに出られた。
そのことは一生忘れられない」。

竹田副会長の五輪講座を熱心に聞き入っていた学生から。
・日本の環境技術や交通施設の整備は、世界に誇るもの。
長所を、もっとアピールしていくべき
・オリンピック招致に成功すれば、日本は誇りを取り戻せる
・東京の招致活動について冷めていたが、
今日の講義で開催してほしいと強く思った
・日本だからできるオリンピックについてもっと世間に広めてほしい

1894年の近代オリンピック復興決議を記念した
オリンピックデーに行われた今回の講義では、
オリンピックムーブメントの改革と発展に対する功績が評価。
2006年10月に筑波大学の名誉博士号が授与された
ロゲ会長の記念講演と同じ、「大学会館国際会議室」を使用。

http://www.tokyo2016.or.jp/jp/news/2008/07/2016_7.html

2008年7月6日日曜日

60秒間の毛髪数算定は男性の脱毛評価に有用である

(Medscape 6月17日)

『Archives of Dermatology』6月号に報告された研究によれば、
簡単な60秒間の脱毛数算定は、男性の脱毛を
実用的かつ客観的に評価できるツールである。

ベイラー医科大学のCarina A. Waskoらは、
「現時点では、広く一般に認められている、標準化されている
1日脱毛数の評価方法は存在していない」
「皮膚科の文献やメディアでは、1日脱毛数の正常値が約100本と
報じられているが、この値には疑問の余地がある」

研究の目的は、脱毛のない健常男性60例を便宜的標本として、
標準化した方法により60秒間櫛ときでの脱毛数を病院内で評価し、
その正常範囲を求めること。

被験者の年齢範囲は、20-60歳。
脱毛数は、20-40歳群で0-78本(平均10.2本)、
41-60歳群では0-43本(平均10.3本)。

いずれの年齢群も、全被験者の脱毛数が連続する測定日間で
一致を示したことから、脱毛数の個人内変動は低かった。
6ヵ月後に両年齢群の脱毛数を再評価したところ、
大きな変化はみられなかった。

経験を積んだ研究者が脱毛数を再評価し、算定値を確認したところ、
被験者自身による脱毛数算定値との差は認められなかった。
「60秒間の脱毛数算定は、適切に実施すれば、
脱毛評価の簡単、実用的かつ信頼性の高いツール」

研究の限界は、被験者のほとんどが直毛の白人男性であり、
すべての民族の人に一般化できないこと、
櫛の歯の間隔が一定でないため、脱毛数に差が生じた可能性があること、
半数のくしは歯の幅が広く、もう半数のくしは歯の幅が狭かったこと。

「今後研究を行う際、使用する櫛の歯の大きさと間隔を合わせること。
より多くの被験者を対象とし、正常値の民族差を比較するべき。
さらに研究を実施し、今回の結果と男性型脱毛症または休止期脱毛症患者で
得られる結果を比較し、算定法の有用性を向上させる」

Arch Dermatol. 2008;144:759-762.

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=76362

赤ワインを武器に脂肪と戦え

(WebMD 6月17日)

レスベラトールは、赤ワインとブドウの中から見つかった
抗酸化物質として知られ、すでに心臓の健康を守り癌を防ぐと
考えられているが、脂肪撃退効果もある。

ウルム大学(ドイツ)の研究者Martin Wabitschによると、
脂肪前駆細胞にレスベラトールを加えたところ、
脂肪前駆細胞の増加が止まり、成熟した脂肪細胞に変化しなくなった。

Wabitsch博士は、内分泌学会第90回年次総会“ENDO 08”で発表。
「人でも同じように効果があることを、証明しなければならない」。
レスベラトールと同じ脂肪細胞制御メカニズムを利用した薬を開発したい。

レスベラトールの健康増進効果:
Wabitsch博士らは、レスベラトールがカロリー制限と似たような作用を
示すことによって、高カロリー食を与えられている実験マウスの
肥満関連疾患を予防することを見出していた。

細胞を変え、ヒト脂肪細胞でこの物質が疑似カロリー制限効果を
示すかどうかを探った。
安定した細胞株、ヒト脂肪細胞株にレスベラトールを加え、
比較群の脂肪細胞にはレスベラトールを加えなかった。
「(脂肪前駆細胞が)倍増する時間は、通常40時間。
48時間で対照ディッシュの脂肪前駆細胞は2倍以上に増えたが、
レスベラトールを入れたディッシュでは、脂肪前駆細胞数が40~45%減少」。

レスベラトールに触れた脂肪細胞は容積も小さくなり、
実質的に脂肪細胞が縮んだ。
レスベラトールに触れたことで、インターロイキン6、8の分泌量が低下。
肥満関連疾患と考えられる糖尿病や動脈閉塞の発症に関係する物質。

フレンチパラドックス(フランス人は、比較的脂肪の多い食事を摂り
赤ワインをよく飲むのに、心臓疾患による死亡率は低い)は、
赤ワインに含まれるレスベラトールにより説明が可能という説と、
今回の研究結果はつじつまが合う。

レスベラトールの健康増進効果:
レスベラトールは、様々な方法で脂肪に作用する。
「メカニズムは、1つだけではない。
脂肪前駆細胞数の減少は、SIRT1を介して行われる」
代謝と老化に関連する遺伝子の活性化についても触れながら説明。
動物実験で、SIRT1の活動を「封じた」ときは、
脂肪前駆細胞の増殖に対するレスベラトールの影響がみられなかった。

レスベラトールの健康増進効果:
これは興味深い研究である、と
米国栄養士会(American Dietetic Association)の広報担当、
Katherine Tallmadgeは言うが、「さらに研究が必要」。
カロリー制限については、まだ十分わかっていない。
カロリー制限は体脂肪を減らし、様々な効果をもたらす。
しかし、厳しすぎるカロリー制限は骨粗しょう症などの健康問題を起こす。

レスベラトールの健康増進効果:
レスベラトールの脂肪制御メカニズムがさらに深く解明され、
レスベラトールの作用を模した薬剤を開発したい。
製薬業界は、すでにこのコンセプトについて研究を開始。

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http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=76197

[第3部・タイ](上)国民の意識変えた「金」

(読売 7月1日)

1、2、3、8。
直近の五輪4大会で、タイはメダル倍増を続けている。

タイのスポーツと言えば、キックも使う国技のタイ式ボクシング、
ムエタイが知られる。
五輪で足技は使えないが、やはりボクシングはお家芸。
1952年の五輪初参加から92年バルセロナ五輪までに、
タイが獲得した全4個のメダルを、この種目だけで稼いできた。
1大会で複数のメダルはなく、金メダルもゼロ。
伝統の力は、国際舞台での限界も示していた。

流れを変えたのが、96年アトランタ五輪。
フェザー級のソムラック・カムシンが、タイ史上初の金メダルを獲得、
バンタム級も銅で、史上初の複数メダルもボクシングで実現。
今は、小さなテレビ番組製作会社を経営しつつ、手作りのジムで
ムエタイ選手を育てるソムラックさん(35)は、
「実は、ムエタイ頼みでは国際大会で通用しなかった。
金メダルはメンツを捨て、海外の文化とタイの伝統を融合させた成果」

タイは91年のクーデター後、東南アジアで有数の政治的安定を誇る
民主化が進んだ。
日本企業など外資も次々進出し、経済は発展を続けた。
ソムラックさんが獲得した史上初の金も、社会の改革機運と無縁ではない。

タイボクシング協会は、バルセロナ五輪後、キューバなど海外のコーチを
導入し、国際ルールに適応するボクシングを磨いていた。

「タイ人は良くも悪くも、優しすぎ。
キューバのコーチは、技術はもちろん、厳しい管理の大切さを教えてくれた」
民主化の風を受けた改革で、社会主義国の技術と規律を導入したことが、
伝統の力を五輪の舞台で生かすことに。

ソムラックさんは帰国後、政府からの報奨金やCM出演料などの
総計1億2000万バーツ(当時約4億7500万円)を超える金額を
手にしたとされ、CDを出し、俳優にもなった。

タイ五輪史上最高のスター誕生で、スポーツへの国民のまなざしは変わった。
「ソムラックは、タイ人も世界で勝てるとの自信を国民に持たせ、
スポーツも成功する手段という認識も広めてくれた」と、
タイのスポーツ紙、サヤーム・スポーツのオラン・チュアバン編集局長。

史上初の金がもたらした衝撃。
それが、その後のメダル倍増の呼び水になったが、
最も奮起したのは、それまで才能を眠らせ続けていた、タイの女性たち。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080701.htm

2008年7月5日土曜日

スポーツ21世紀:新しい波/273 バレー協会・個人登録制度/8

(毎日 6月28日)


4月の東京都高体連女子バレーボール専門部会総会で、
日本バレーボール協会(JVA)の山岸紀郎専務理事は、
会場の高校生らに個人登録制度のメリットを説明。


「中学、高校(のチーム)だけでなく、それ以外から試合に
参加するチャンスが出てくる。
皆さんも、『中学校のOGでチームを作って、皇后杯に出ようよ』
という話になるかもしれません。
天皇杯・皇后杯は、学校やクラブなどカテゴリーの枠を超えた
チームの参加を認めています」

「天皇杯・皇后杯」とは昨年度、黒鷲旗大会から分離する形でスタートした
天皇杯・皇后杯全日本選手権大会のこと。
第1回は昨年4月から各都道府県予選を行い、
今年1月に男子はJT、女子は東レが優勝。

大会について、JVAのホームページは
「(JVAに)有効に登録されていれば、誰でも参加することが可能。
バレーボールを行うすべての選手が、日本一を目指せる壮大な大会」。
個人登録制度と不可分の関係にあることが分かる。

こうした施策は、日本サッカー協会(JFA)の影響を強く受けている。
総収入が約175億円(08年度予算)に達するJFAも、
以前は他競技団体と変わらぬ「貧乏所帯」。

成長のきっかけは、77年からの長沼健専務理事(当時)による改革。
その柱が、個人登録制度導入。

「中学生」「高校生」など所属・身分による種別区分を年齢ごとに改め、
加盟登録費を個人から徴収。
登録選手へのメリットとして、天皇杯全日本選手権大会を、
全国すべての登録チームが参加できるトーナメント大会に衣替え。

個人登録について、JVA同様に中学校など現場からの反発もあったが、
これを機に赤字体質を脱却。
93年のJリーグ発足、代表チーム強化、02年の日韓W杯開催へ。

近年、バスケットやバレーなどが個人登録制度を導入した背景には、
こうしたサッカーの実績がある。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

秋田全県で小型家電回収、携帯電話やデジカメ 10月メドに実験

(日経 6月24日)

秋田県は10月をメドに、家庭で要らなくなった携帯電話などの
小型家電を回収する実験を全県に広げる。
現在は、県北部の7市町で実施、県内で認知度を高め、
地域特性のデータなどを収集しやすくする。

実験は、2006年に大館市で全国で初めてスタート。
金属資源リサイクルのモデル地域としての地位を確立する狙い。

寺田典城知事が、県議会で表明。
回収するのは、家電リサイクル法の対象にならない
携帯電話やデジタルカメラなど。

実験には、東北大学の中村崇教授が代表を務めるRtoS研究会や
DOWAホールディングスなどが参加
スーパーの店頭などに回収ポストを置き、1年間で約17トンを集めた。

全県に広げるため、回収ポストの設置場所を家電量販店などに広げるほか、
効率的な回収・分析システムも導入。

http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20080623c3b2304m23.html

堺市臨海部に世界最大級の太陽光発電施設計画

(サイエンスポータル 2008年6月24日)

堺市臨海部に、世界最大級の太陽光発電施設を建設する計画を
関西電力、シャープ株式会社、堺市が公表。

関西電力が建設する発電出力1万キロワットの太陽光発電所と、
シャープと進出企業によるコンビナートの各工場の屋根上などに
シャープと関西電力グループが共同で設置する
太陽光発電施設(発電出力最大1万8千キロ)の2施設から成る。

1万キロワットの太陽光発電所は、堺第7-3区産業廃棄物埋立処分場の
敷地(大阪府から借用予定)内に建設。
来年度に着工し、2011年度完成の予定。総事業費は約50億円。

工場の屋根などに設置される発電施設は、10年3月までに着工、
11年3月までに運転開始の予定。
シャープが、10年3月までに稼動を予定している太陽電池新工場で
生産する薄膜シリコン太陽電池モジュールが採用。

太陽光発電は、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを排出しない
発電システムとして各国で導入が急がれている。
関西電力やシャープはこの計画により、年間1万トンのCO2削減の見込み。

日本は京都議定書により、1990年の温室効果ガス排出量
(CO2換算で12億6,100 万トン)の6%削減を2008年から12年までに
達成することが義務づけ。

2008年7月4日金曜日

どん底からはい上がる 「同じ悲しみ」分かち合い 緊急連載企画「命つなぐために-自殺大国ニッポンのいま」5回続きの(5)

(共同通信社 2008年6月25日)

5月17日、JR仙台駅近くのホールに千葉や岐阜、大阪など
各地の自殺者遺族が集まった。
約30都道府県、200人以上が参加する「全国自死遺族連絡会」の初集会。

「何十年と続く悲しみにどう向き合うか」、「地域で孤立する仲間を救いたい」。
これまで表舞台に立つことが少なかった遺族たちの
「生の声」が会場に響いた。

「遺族だからこそ、気持ちを分かり合える」。
福島市の女性の言葉に、拍手がわく。
連絡会の世話人、田中幸子さん(59)=仙台市=も壇上で小さくうなずいた。

3年前、幸子さんは警察官の長男健一さん=当時(34)=を自殺で亡くした。
異動直後の激務に体調を崩し、休職中の出来事。
休職が決まった後も、健一さんが自主的に仕事に出ていたと後で知った。
「ゆっくり休み、落ち着いてきていると思っていた」。
息子の苦しみを理解し切れていなかった後悔。
「後を追いたい」との気持ちを懸命に抑えた。

すがる思いで遺族支援の会合に参加したが、
当事者でないスタッフを交えて悩みを語り合う進め方に、なじめなかった。
「いすに座って、しくしく泣いている『典型的な遺族』を演じてしまった」。

会合の後、遺族だけで開かれた「お茶会」の方がしっくりきた。
冗談を言っていたかと思うと、突然床に突っ伏して泣きだす人。
同じ痛みを持つ人同士なら、素直に振る舞えると知った。
遺族が運営する自助グループ「藍の会」を発足させたのは、2006年。

他県からも、参加者や電話相談が相次いだ。
「当事者が思いをはき出せる場が、いかに少ないか」。
そんな驚きが、各地の遺族や自助グループが連携し、
支え合う全国連絡会の結成につながった。

昨年6月に政府が決定した「自殺総合対策大綱」には、
遺族支援も柱の一つとして明記。
だが、具体的な方策はまだ途上。
精神的ケアや相続などの法律相談、生活支援の充実など課題は山積。

「国はなぜ、遺族支援の仕組みづくりに当事者の声を生かさないのか」。
連絡会の初集会では、こんな不満の声も。
行政の支援策検討の場で遺族が直接意見を述べる機会は、
ほとんどないのが実情。

「遺族だからこそ、できる遺族支援がある」。
その思いを行政や専門家にも伝えたい。まだ声は小さい。

それでも最近、各地の自治体から問い合わせが来るように。
「『行動する遺族』が、認められつつあるのかな」。
幸子さんは明るい表情でそう話した。

※ 自殺者遺族の支援  

国の自殺総合対策大綱は、自殺した人の遺族への対応を
「後追い自殺を防ぐことも期待できる」として重視。
自助グループの運営支援や、相談窓口を記したパンフレットの配布などに
積極的に取り組むとしている。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=76284

リンドウを収穫、出荷 奥州・衣川

(岩手日報 7月2日)

岩手・宮城内陸地震により大きな被害を受けた
奥州市衣川区で、生産が盛んなリンドウの収穫が始まった。

衣川区、農業高橋勉さん(63)は、妻成子さん(57)と
自宅のリンドウ畑約35アールで、高さ70-90センチに成長した
「長野極早生(わせ)」を収穫。

今年は日照があり、収穫は例年より4、5日早い。
「断水で成長を心配したが、品質に問題はなさそうだ」と喜ぶ。

同市の岩手ふるさと農協によると、衣川区では主に転作作物として
66軒の農家がリンドウの生産に取り組んでいる。
ピンク色の花を咲かせるオリジナルブランド「衣川ピンク」など
約40品種があり、出荷は11月まで続く。

当世留学生事情(5)専門分野の日本語強化

(読売 6月21日)

大学で必要な能力に特化した日本語教育が進化している。
「いろいろな」は「様々な」。「だんだん」は「次第に」。
「リポート作成」のテキストは、話し言葉から書き言葉への変換が
練習問題になっていた。
「口頭発表」のテキストでは「一般的には」など、発表でよく使う表現が並ぶ。

独立行政法人・国際交流基金が、日本で大学生活を送る留学生向けに
2006年に開発したオリジナル教材。
「会話」のテキストでは、教授とのやりとりが中心。
「今よろしいですか」、「お手伝いしましょうか」など、普通の日本語教育なら、
上級レベルの敬語も登場。

東南アジア諸国連合(ASEAN)にバングラデシュを加えた11か国から
選ばれた18人が毎年、日本の大学院に進学する前に、
この教材を使って、同基金の研修施設、関西国際センターで
ゼロから日本語を学ぶ。期間は7か月。
文法学習は最低限にとどめ、必要な日本語を最短で学ぶことが目標。

研修生は、食堂や図書館を備えた宿泊棟で生活し、茶道体験や
地元の家庭へのホームステイ、京都、奈良、広島への研修旅行など、
日本理解を深める行事に参加。

「リポート作成は、理系と文系を分けて指導した方がいいのでは」。
3人の日本語教育専門員が、指導法について協議。
日本の大学院に進学した元研修生の声を聞きながら、
テキストを日々、刷新。

それぞれの研究テーマに合わせた個別指導のため、
専門的な語彙リスト作りや、研究分野に関する論文の読解指導も。
「カリキュラム作りのために、我々も担当する学生の専門分野の
勉強もしている」と日本語教育専門員の1人、野畑理佳さん(36)。

センターを訪れる元研修生から聞き取り調査も。
三重大学大学院に進んだインドネシア人留学生、ナワウィさん(31)は
「授業にしっかりついて行けるし、研究の準備が十分にできる」。
国際交流基金は、事業の柱の一つに外国人に対する日本語教育を
掲げており、関西国際センターは、日本に赴任予定の外交官や公務員、
若手研究者らに、それぞれの専門に役立つ日本語を教えてきた。

このノウハウを応用し、1996年から、日本に留学予定の学生に対し、
現地での日本語教育を手がけてきた。
最近では、学内での日本語教育に頭を悩ませる大学から
問い合わせが増えている。
同基金日本語事業部の嘉数勝美部長(57)は、
「多くの留学生を迎えたい大学には利用価値は高い」。

同基金では、海外での日本語教育拠点の設置も進め、
現地の大学と協定を結ぶなどして、31か国40か所まで増加。
こうした拠点でも、このテキストを使い、
日本への留学を考える学生を増やしたい。

留学生と大学双方の負担を減らすためにも、
短期間に必要な日本語を習得する仕組みは欠かせない。

◆語学教育拠点

英国のブリティッシュ・カウンシル(113か国213か所=2007年)や
ドイツのゲーテ・インスティテュート(83か国147か所=08年)。
04年から展開する中国の孔子学院も、69か国238か所と急増(08年)。
国際交流基金は、海外の日本語教育拠点を2010年までに100か所以上に。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080621-OYT8T00215.htm

[第3部・イラク]情勢不安 スポーツに影

(読売 6月25日)

「ドーハの悲劇」と呼ばれるサッカー・ワールドカップ(W杯)
米国大会アジア最終予選(1993年)の日本戦。
ゴールを決めたイラクの元スター、アハマド・ラディさん(44)は、
母国のサッカーに対する情熱を感じる1人。

「空襲や戦闘で街が廃虚になった時でも、子どもたちは、
がれきの上でボールをけっていた。それがイラクなんだ」

98年に現役引退。昨年10月にイラク議会議員に就任。
青年スポーツ委員会のメンバーとして、
スポーツ復興に力を注ぐが、身の危険を抱えた仕事。

イラク戦争後、政情不安や混乱はスポーツ界に及び、
要人や元選手らがテロや拉致の対象となった。

2006年7月に武装集団の襲撃を受け、五輪委員会の会長ら
約30人が拉致され、会長は消息不明に。
「将来に希望がない人の犯罪だろうが、誰が敵か、何の理由か分からない」
と五輪委のティラス・オディシオ・アンワイア事務総長は嘆く。

サッカーに与える影響も深刻。
フル代表が参加した昨年7月のアジアカップで劇的な初優勝を飾ったが、
快進撃の間もバグダッドでは、市民への自爆テロが発生。
大会後、主将のFWユニスらは身の危険を感じて帰国を見合わせた。

選手の多くは海外でプレーしているため、代表の練習もままならず、
主催試合をアラブ首長国連邦(UAE)など周辺国を間借りして開催。
空爆で競技施設が破壊され、使用できるスタジアムは国内で一つだけ。
リーグ戦も、中断や停止が繰り返されている。

04年のアテネ五輪で準決勝まで進んだ五輪代表チームは、
北京五輪アジア予選で敗退。
フセイン・サイード・サッカー協会長は、「準備が出来なかった」と悲しんだ。
W杯南アフリカ大会アジア3次予選でも敗れ、国民は失望した。

ウエートリフティングはトルコ、ボートはドイツなど、
イラクでは国際オリンピック委員会(IOC)などの協力で、
五輪で有望な個人競技の選手を、
国外に送り込んで練習施設の確保と強化を進めている。

「今のイラクで、スポーツは唯一国民に希望を与えるもの」
(オディシオ事務総長)と関係者の努力は続いている。

一方6月に入り、政府がイラク五輪委に干渉しているとして、
IOCがイラク五輪委の暫定資格停止を決めるなど
国内では新たな混乱も生じている。
スポーツを取り巻く厳しい状況は予断を許さない。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080625.htm

2008年7月3日木曜日

コーヒーでつながる人の輪 「最悪」返上目指す 緊急連載企画「命つなぐために-自殺大国ニッポンのいま」5回続きの(4)

(共同通信社 2008年6月25日)

店員がカウンター越しに声を掛け、世間話に花が咲く。
「コーヒーもう1杯どう?」。何杯飲んでも、100円。

世界遺産の白神山地のふもと、秋田県藤里町に
火曜日の午後だけ開店するコーヒーサロン「よってたもれ」がある。
秋田弁で「寄ってください」という意味。
2003年の開店以降、不定期の移動式サロンも含め4000人以上が訪れた。

運営するのは、自殺予防を考える民間団体「心といのちを考える会」。
会長で住職の袴田俊英さん(49)は、店を「縁側のような場所」と表現。
農家の縁側でお茶を飲みながら、世間話をしていた昔のように、
誰でも集まれる場所を作ろうという発想から始まった。

店を訪れる客の話をじっくり聞き、
深刻な内容なら場所を移して相談に乗ることも。
つらい思いを抱えて涙を浮かべて来る客も、
一緒にコーヒーを飲むことで癒やされるようだ。

「機械化が進み、農作業が1人でできるようになったことで
『人のつながり』が切れ、精神的な不安定さが生まれた。
1人で悩まない状況を作ることが大切。
誰かに、『大変だ』と言える雰囲気をつくれば、自殺は少なくなるかも」。

店でくつろいでいた藤里町の村岡宏明さん(53)は、
「気軽に来られるオアシス。火曜になると、『行かねばな』と思う。
楽しみが増えた」とコーヒーを1口飲み、満足そうに目を細めた。

秋田県が、地域社会でそれまで「タブー視」されがちだった自殺問題を
正面から取り上げ、本格的な対策に乗り出したのは2001年度。

地域の保健師や開業医が、自殺の背景にあるとされるうつ病の兆候を
早期に発見し、専門医につなげるための研修などに力を入れてきた。
体の不調は、心の悩みが原因になっていることも多く、
かかりつけの内科医などに「目利き」をしてもらうのが狙い。

袴田さんらのような民間団体の活動もあり、07年の自殺者数は417人と
前年より76人(約15%)減少。
人口10万人当たりの自殺率は、発生地で集計する警察庁の統計では
山梨県を下回ったが、自殺者の居住地でみる厚生労働省の
人口動態統計では1995年から全国最悪が続いている。

「独り暮らしより、大家族の中で暮らしている高齢者の方が
『居場所がない』といった疎外感を感じやすい。孤独より孤立が問題」
と秋田県の担当者。
それでも手応えを感じているのか、
「『自殺率ワースト県』の返上はここ1、2年が勝負」。

※秋田県の自殺者

県内の2007年の自殺者417人のうち男性は309人、女性は108人。
年代別では、60代が66人で約16%、70代以上が111人で約27%、
60歳以上が全体の40%以上。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=76283

当世留学生事情(4)社員寮に入り 企業知る

(読売 6月20日)

企業の社員寮を、留学生に提供する取り組みがある。
東京都練馬区の東京メトロ平和台駅から、徒歩約10分。
三井物産平和台寮は閑静な住宅街にある。
立教大学大学院で学ぶ中国人留学生、謝善鵬さん(27)は、
この寮で社員に交じって生活。

会社から帰った社員3人と食堂で夕飯を食べながら、
「今就職活動中なんですよ」、「へえ、どんな状況?」、
「なかなか難しいですよ」。
そんなやりとりが気軽にできる。
寮費は、社員と同じで1万円足らず。朝夕付く食事も割安。

謝さんがこの寮に入ったのは2006年。
それまでは大学近くで一人暮らしをしていたが、家、大学、バイト先の
居酒屋を行き来するだけで、日本人との交流は少なかった。
「単に『おはよう』と、毎朝あいさつするだけでほっとする」と謝さん。
寮対抗のスポーツ大会にも参加し、「家族のような感じになれた」。

日本で就職を目指す留学生にとって、
社員寮は日本の文化を知る上でも重要。
謝さんは、「この寮の人は、平日朝早くから夜遅くまで働いているのに、
休日はしっかり遊びを満喫している。
大学やバイト先で見た日本人とは全く違い、
日本の会社で働くイメージが膨らんだ」

留学生への社員寮の提供は、経済同友会が参加企業を募る形で
1987年から始まっている。
当初は、参加企業も提供部屋数も増えたが、バブル経済の崩壊後、
社員寮を売却、提供部屋数は98年の838室をピークに減少、
07年には592室。

ただ、好転の兆しもある。
社員寮の賃貸業務を全国規模で展開する「共立メンテナンス」によると、
ここ2年で社員寮の契約部屋数は6~7%伸。
「社員研修の場として考えているところや、身近に相談出来る相手を置いて
離職を防ぐ狙いもあるようだ」。

1棟丸ごとの賃貸契約も増えている。
03年に若手の寮制度を廃止した三井物産も、3年後には復活。
部署間のコミュニケーション不足を補い、会社としての一体感を
醸成するには必要不可欠だという声。

特に、共同の風呂やトイレがある施設を優先的に探し、
より寮内での連帯感を強めるよう工夫。

現在は、8棟で18人の留学生を受け入れている。
古東誠・給与企画室長は、「社員と学生の生活パターンが違うこともあり、
そんなに接点が作れているわけではないが、
海外赴任が前提の社員にもよい刺激になるはず」。

「グローバル展開が当たり前となってきている日本企業にとって、
留学生を受け入れる意義は大きい」と、
社員寮の活用を進める財団法人「留学生支援企業協力推進協会」の
太田篤事務局長。
社員寮の活用に、もっと知恵を絞りたい。

◆日本での就職率は上昇傾向

2006年度の留学生3万2099人のうち、9411人(29.3%)が日本で就職。
04年度は、2万4961人中5705人(22.9%)で増加傾向。
政府の教育再生懇談会は、「留学生30万人計画」実現のため、
国内就職率の目標を5割にすることを提案。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080620-OYT8T00216.htm

[第3部・韓国]エリートにも「格差」

(読売 6月23日)

「精神訓練の一環でヘビを口にくわえたんです。失神した仲間もいました」。
1996年のアトランタ五輪アーチェリー女子個人・団体金メダルの
金京郁(キムキョンウク)さんは、現役時代に軍隊で行った
練習の思い出に苦笑いした。

アーチェリーの韓国女子は、五輪で個人6連覇、団体5連覇中。
今でこそ「ヘビくわえ」はしないが、度胸をつけるためのバンジージャンプも。
韓国のお家芸は、練習内容もひと味違う。

8~10歳ごろに弓を持ち、才能を認められた子供だけが
上の学校で競技を続ける。
代表候補になると、国立合宿所に住み、練習と試合の繰り返し。

愛好者という位置づけはないから、国内の選手登録は
約1500人と日本の約10分の1。
選ばれた者だけが競技を続けるエリート・ピラミッド。

ソウル市内の中学校の校舎屋上で、女子選手が矢を放っていた。
休日は一日中、授業がある時は放課後から深夜まで練習。
同じ時間、真下の教室では補習授業の真っ最中。
“未来の金メダリスト”を目指す呉(オ)タ美(ミ)さんは
「金メダリストになりたい。そのためには努力しないといけないから」。

そんな韓国有数のエリートスポーツも、環境は恵まれたものばかりではない。
教育熱が高い韓国では、子供一人当たりの養育費の高騰が
少子化の要因に挙げられるほど。
「学歴がないと、社会に出た後に厳しい」風潮があり、
スポーツに専念するなら、勝ち組にならねば、との考えが主流。

当然、メダリストになるのは難しいから、
親は「スポーツに専念するリスク」を避けたがる傾向。
呉さんを指導する韓煕貞(ハンヒジョン)コーチは、
「才能があっても、辞めていく選手は少なくない。
子供を説得できない親もいる。
そういうときは、強制的に弓を握らせるしかないが、選手の確保は大変だ」。

韓国オリンピアン協会の事務総長を務める宋錫漉(ソンソクロク)
京東大教授(スポーツマーケティング学)は、
韓国スポーツ界の現状を「著しい二極化」。

巨額の契約金や年俸で生計を立てるスポーツ選手、
生涯年金などの支援を受けられる五輪金メダリストはごく一部。
協会や実業団の力が強く、結果を残せなかったら
すぐに解雇される選手も少なくない。
「ずっと競技だけをやってきた人が引退後、社会に適応出来ないケースも多い」。

成功者の陰に、隠れた多くの敗者を救済するシステムはまだ未熟。
厳しい環境と過酷な生存競争――。
「価値があるのは1番だけ。2番以下は敗北」。
エリートスポーツに身をささげる強烈なプライドが、金メダルの系譜の源泉。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080623.htm

2008年7月2日水曜日

「弟の死は労災」姉が究明 泣き寝入りせず声上げて 緊急連載企画「命つなぐために-自殺大国ニッポンのいま」5回続きの(3)

(共同通信社 2008年6月25日)

東京都内のマンション。
諏訪裕美子さん(45)が事務所に使う部屋には、
9年前に過労自殺した弟、達徳さん=当時(34)=の
洋服や本などの遺品が並ぶ。

裕美子さんは今年2月、「過労死の労災申請」(自由国民社刊)を出版。
「孤立しがちな遺族を励まし、救済の手助けになれば」との願い。

機械メーカー勤務の達徳さんは1999年、自宅マンションから飛び降り自殺。
納期に追われ顧客対応にも苦労、1日11~18時間の長時間労働が続く。
「僕は自転車をこいでいるようだ。疲れていても、こぎ続けなければならない。
もう疲れた」と同僚に漏らしていた。

裕美子さんは2000年、自殺は「仕事が原因」と労災申請。
仕事の実態を明らかにするため、同僚や友人から証言を集めた。
「会社の帰りや休日に会ったり、電話で話を聞いたが、1人では大変だった」。
時間が足りず、会社を辞めて奔走したが、
情報は少なく思うようにいかなかった。
証言や資料は労働基準監督署に出したが、
「労災認定には、どんなものが必要なのか分からずに悩んだ」。

孤独な活動が2年過ぎたころ、「過労死を考える家族の会」などの存在を知った。
「体験から得た情報集めのこつや、提出書類作成の仕方など
実際に役立つ助言をもらえて救われた」。
申請から2年8カ月後、達徳さんの労災は認定。
その後起こした民事裁判は06年、会社側と和解。

間もなくして、知人から過労自殺の労災申請の相談を受けた。
「こんな身近に同じ遺族が、と驚いた。
教えてほしいことのリストを見た途端、何も知識がなく
困っていたかつての自分が重なって」

裕美子さんは、それまで心に温めていた遺族の労災申請の手助けとなる
実用的な本の出版を決意、同じ思いを持つ共著者で
社会保険労務士の色部祐さんと動き始めた。

「知りたいことを分かりやすく」と心掛け、自身の体験だけでなく、
ほかの遺族がどんな要望を持っているのか聞き取り、本に反映。
過労死、過労自殺の予防策も加え、遺族の教訓を生かした
「危険信号」の見つけ方などを入れた。

「周囲の偏見や会社の協力がなく、労災申請をあきらめる遺族は少なくない。
申請件数が増え、社会の認識が高まれば、認定もされやすくなり、
過労死、過労自殺のない社会実現にも役立つ。その一助になれば」。
本に込めたもう一つの願い。

※ 過労自殺の認定

2007年度の過労自殺(未遂を含む)の労災申請件数は164件、
03年度の122件に比べ34%増。
認定件数は、07年度が81件と、03年度の40件から倍増。
世代別認定件数では、07年度は20-30代が44%。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=76282

当世留学生事情(3)海外展開 見据えて採用

(読売 6月19日)

ベンチャー企業と留学生をつなぐ取り組みがある。
慶応大学大学院に留学中の中国の陳実さん(24)は、
価格比較サイト運営会社「ECナビ」(従業員180人)
インターンシップ(就学体験)生として働く。

チームで競合他社の動向を分析するのが仕事。
9月から正社員になることが決まった。
「留学生仲間で、日本のベンチャー企業の話題はほとんどなかった」。

仲を取り持ったのは、経済産業省関東経済産業局が
関東地域のベンチャー企業に参加を呼びかけた
「Career Gateway to Asia」。
留学生フェアや経営者の講演を開き、留学生のインターンシップを進める。

ECナビも、この事業で2人の留学生をインターンシップで受け入れた。
昨年度、同社の採用試験を受けた約2000人のうち留学生はわずか数人。
これまで留学生の採用はゼロ。
昨年、海外に留学している日本人学生を採用しようと
米サンフランシスコの留学フェアに出展したが、
海外からの留学生には目がいっていなかった。

しかし、中国への本格進出を考えているだけに、
宇佐美進典社長(35)は、「試験を受けに来た人から選んで採るという
受け身の採用から、中国でどうビジネスを展開するかに合う人を選ぶ
攻めの採用をするいいきっかけになった」。

陳さんの採用をきっかけに、留学生を積極的に採用。
「これまで積み上げてきた目に見えないノウハウを、
海外で軌道に乗せるには、両方の文化を分かっている人を
教育した方が成功の確率も上がる。
留学生は、待遇に不満があればすぐ辞めるとも言われるが、
我々は仕事のやり方を1、2年で教え、すぐ発揮できる場を提供する。
留学生からも、選ばれる会社になればいい

大々的に留学生を募集するインターネット商社「イー・クラシス」では、
今年度の新卒採用者60人のうち留学生が35人。
留学生だけの会社説明会も実施、100人規模で学生が集まった。
宮下崇俊社長(34)自身が約130人の留学生を面接、
負けん気が強く向上心の強い、社風に合う留学生を採用。

新入社員は、研修で2週間合宿し、早朝マラソンから穴掘りまで
体力の限界に挑む。
「社会とはいかに理不尽なことが多いか実感してもらうため」と、
合宿によって「留学生も日本人も関係なく、うちの社員として一体感が出た」。

留学生の採用増は、やはり事業の海外展開を予定。
3年前から支店を出す上海では、現地採用スタッフを使ってきたが、
「本社の社風を身につけた上で送り込んでほしい」という声を受けて、
日本で留学生を採用して育成する方法に。

「2年ほどで、海外支店のそれなりの立場になってもらう。
立場が人を育てることもある」と宮下社長。
来年度は50人程度採用する方針。
海外進出を目指すベンチャー企業の留学生争奪戦が始まっている。

◆日本企業の海外進出

製造業の海外現地法人数をアジア全体で見ると、
1995年の4543社が2005年には8319社と急増。
特に、中国には3585社で10年前の3倍増。
海外展開する中小企業は、過去10年で4割近く増え、06年に7551社。
情報通信やサービス業などの非製造業が54%。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080619-OYT8T00260.htm

[第2部・ブラジル](下)W杯至上主義 崩れる

(読売 6月20日)

ブラジルが、いまだに五輪で勝てない理由として、
多くの同国サッカー関係者が指摘するのが、ワールドカップ(W杯)の存在。

「ブラジル人の最大の関心事はW杯で、普段はサッカーなんか見ない
おばさんだって熱狂する。五輪は、メディアで成績を気にする程度」
選手で2度、監督、コーチとしても2度のW杯優勝を経験し、
3位だった1996年アトランタ五輪監督も務めたマリオ・ザガロ氏(76)。

国中がお祭り騒ぎになるW杯に比べ、84年ロス五輪でプロが解禁され、
年齢制限もある五輪への関心は低く、それがチーム作りにも影響。

しかし、その関心度も近年、着実に変わってきた。
フル代表と五輪代表を、ドゥンガ監督とともに指揮する元鹿島の
ジョルジーニョコーチ(40)は、「自分が出た88年ソウル五輪では
重圧はなかったが、今は勝てないことで国民のイライラが募り、
期待や注目につながっている」。

注目されなかったタイトルは、逃し続けたことで価値を高め、
国民の期待値も上がった。
そんな空気は、若い選手の意識も染めつつある。

五輪代表の有力候補で、サンパウロFCのMFエルナネス(23)は、
「普通のブラジル人なら、W杯でのプレーを夢見ると言うだろうけど、
僕は五輪出場が夢だった。
それは、ブラジルが一度も取っていない金メダルを、
自分が初めて手にしたかったから」

父が地方都市、レシフェのサトウキビ加工工場で働いていたエルナネスは、
「ボールが買えなくて、空き缶でサッカーをしたりして創造性を磨いた」
という貧しい層の出身。
14歳で地元クラブに見いだされ、16歳でサンパウロFCへ移籍。
貧困からはい上がった、ブラジルの典型的なトップレベルのプロ選手。
そんな選手が、「W杯より五輪」と明言。

W杯至上主義だったブラジルサッカー界の価値観は、
確かに変わり始めている。

94年W杯で、ドゥンガを主将としたチームを優勝させたザガロ氏は、
「ドゥンガはよくやってるし、金のチャンスは十分ある。
だけどね、サッカーには運ってやつも大事なんだ」。

価値観の変化で、ブラジル五輪代表の「運」も変わるか。
8月の北京で、答えは出る。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080620.htm

2008年7月1日火曜日

日が昇るまで生きて 受話器握り、寄り添う 緊急連載企画「命つなぐために-自殺大国ニッポンのいま」5回続きの(2)

(共同通信社 2008年6月25日)

蛍光灯の白い光の下、着信の赤ランプが瞬き続ける。
夜の闇の向こうから、助けを求める声が押し寄せる。
「日が昇るまで生きて」。

相談者の苦しみを受け止めるのは、ボランティアの主婦や学生、会社員ら。
「眠らない電話」で、年間1万2000件超の相談を受ける民間団体、
東京自殺防止センター(新宿区)を訪ねた。

午後8時、繁華街から離れたマンション2階の事務所。
最初につながったうつ病の女性と話し始めて13分後、
相談員の主婦(64)が聞いた。
「死にたいと思うことはありますか」。

本当の気持ちを吐き出してもらうための「死の問い」は、
どの相談員も必ず口にする。女性の答えは、「消えてしまいたい」。
「泣きたい時は泣いていいんですよ」と寄り添う相談員。
40分ほど話して受話器を置くと、すぐ次の電話が入る。
「疲れた。いろいろあって...」。また女性。ぽつり、ぽつりと話す。
3人目は年配の男性。公園のベンチからだ。
「首つりを考えているが、周りに迷惑をかけたくない」

午前零時。公衆電話の男性は、経験5年の男性相談員(31)に告げた。
昼間も自殺しようとしたが、踏ん切りがつかなかった。
これからまたやるつもり。
相談員は「死んでほしくない」と伝えたが、通話度数がなくなり切れた。
「気掛かりです。またかけてきてほしい」

東京自殺防止センターは1998年発足。
日本の自殺者数が3万人を超えた年。
大阪で同様の取り組みをしていた西原由記子さん(75)が開いた。
所長の加藤勇三さん(70)は、「『生きたい』と『死にたい』の間で揺れる
人の力を信じ、歩き出すのを待つのが大事」。

相談員を目指して研修中の高城洋子さん(54)=仮名=は、
10年前に弟を自殺で亡くした。
死の数カ月前、東京から広島に帰省した際、本を読んでいた弟に
声を掛けたのが最後のやりとり。
「どう?」「ああ」。あの時、もっと話をしていたら?
弟にしてやれなかったことを、誰かのために。
10年間抱えてきた「宿題」。
死のふちに立つ人の心の声をとことん聞き、生きていてと伝えたい。

西原さんは、自殺者が後を絶たない現実に憤然とする。
センターが命綱になってきた自負はある。
だが、多くの人が希望を持てない社会。
「国は、もっと人々の『痛み』に目を向けてほしい」

午前6時。電話が鳴りやむころ、窓の外には青い空が広がっていた。
10時間で受けた相談は38件。つながらなかった電話もたくさんある。

※ 東京自殺防止センター 

相談は、毎日午後8時から翌午前6時まで、
電話03(5286)9090。
自殺しようとしている人の求めに応じ、スタッフが駆けつける「緊急訪問」や、
事務所での面接相談なども実施。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=76281

当世留学生事情(2)業界の人材 産学で育成

(読売 6月18日)

大学と企業がタイアップした取り組みが始まっている。
壁の白い模造紙には、「燃料費増」「高級志向」「女性進出」などと
小さな紙がたくさん張ってある。
埼玉県新座市にある立教大学観光学部で、土曜1限目に行われている
「観光ビジネスプロジェクト」。
中国、ベトナム、韓国からの留学生計8人と日本人学生9人が、
3グループに分かれて議論。

中国人留学生、初延安さん(23)が中心になったグループのテーマは
「女性の社会進出が進むと、航空業界ではどんな変化が起きるか」。
「取り出した情報から何が想定できるか、もっと深掘りして」と
経営コンサルタントで兼任教授の那須一貴さん(42)の声が飛ぶ。

2週間前には、日本航空(JAL)の中堅社員から同社の
中期経営計画について説明を受け、同社を巡る環境について意見。
グループごとに、JALの新たなビジネスプランを、
1年間かけてまとめ、社員の前で提示。
学生たちの議論は、この日の授業後も夕方まで続いた。

同学部では、シェラトン系ホテルなどの運営会社スターウッド(米国)、
JAL、JTBなどと共同で、日本の観光産業で活躍する人材を育成する
プログラムをスタート。

日本政府が、アジアの懸け橋となる人材を育成するために始めた
「アジア人財資金構想」の一環。

JALは「エアラインビジネス論」、JTBは「観光情報論」などを提供、
社員がそれぞれ1年間、授業を担当。
JALの職場見学なども行われ、現役社員の声を聞く機会もある。

「ここでしっかり勉強すれば、就職につながる道が見えるので力も入る」と
中国人留学生、沈和さん(23)。
日本ツーリズム産業団体連合会によると、日本人の海外旅行先と、
日本に旅行で来る外国人の出身国は、ともに7割近くをアジア諸国。

日本語が話せ、日本の文化を知っているアジアの人材が
日本の観光産業の中で活躍する場はたくさんある。

濱島孝企画部長は、「人口減少社会の日本では、海外からの交流人口を
増やして活性化させることが重要。
卒業生が、日本に観光客を呼び込む役割を担ってもらえれば」。

ただ、留学生の卒業後の採用となると、参加企業の間に温度差も。
スターウッドの岩田陽子日本・韓国・グアム地区統括人事部長は、
「即戦力として、すぐに採用できる人材を」と期待。

一方、JALの河合真吾人財開発センター長は、
「魅力ある人材を育てられると思うが、優先採用は今のところ考えていない」。
参加企業を増やすことについても、
企業側から同業他社の参入には消極的な声。

留学生を日本での就職にどう結びつけるのか?
その点に、このプログラムの真価が問われることに。

◆アジア人財資金構想

優秀な留学生を日本に招き、産業界と大学が一体となり、
留学生の募集・選抜から専門教育・日本語教育、就職活動支援までの
人材育成プログラムを一貫して行う事業。2007年から始まった。
名古屋工業大とトヨタ自動車などで自動車産業、立命館大と松下電器産業などで
IT産業といった20の共同事業が進行中。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080618-OYT8T00227.htm

[第2部・ブラジル](上)サッカー王国 「金」への悲願

(読売 6月19日)

5月初めのリオデジャネイロは雨続き。
浜には、ぬれた砂の感触を楽しむように、
はだしでボールを追う少年たちがいた。
ビーチ、空き地、道端。天気に関係なく、サッカー少年は街にあふれる。

5月4日、リオ州選手権決勝。
7万8000人収容のマラカナン・スタジアムが満員の観客で揺れた。
ワールドカップ(W杯)で最多5回優勝を誇る王国に一歩踏み入れば、
王国たる理由を肌で感じる。

しかし、ブラジルは、五輪王座をつかめない。
南米ではウルグアイが2回、前回アテネ五輪でアルゼンチンも金メダル。
だが、52年から10度出場のブラジルは銀2回だけ。

コパカバーナビーチを見下ろす一室で、52年ヘルシンキ五輪代表のGK、
アルベルト・ロザリオさん(76)は静かに話し始めた。
「初期は、東欧が国家アマだったのに対し、我々プロが出られなかった」。
ロザリオさんは空軍軍人で、ブラジル開催の50年W杯で第3GK。
五輪に初出場した52年の代表たちも、同じレベルのアマ。

「次の理由は人気。50年の初開催でW杯人気が高まり、五輪は陰になった。
でも、そんな理由は80年代からは通じないけどね」

84年ロサンゼルス五輪から、W杯未出場のプロが解禁。
国内の関心は薄く、全国選手権22位の
インテルナシオナル主体でチームを派遣。
しかし、フランスに次ぐ銀メダル。

当時の監督、ジャイール・ピセルニ氏(63)は、
「全く期待されてないチームの銀が歴史を変え、五輪への注目度も変化」。

88年のソウル五輪にはロマリオに、ベベト、ジョルジーニョ(ともに元鹿島)が
加わるメンバーを送ったが、ソ連に決勝延長で1―2と惜敗。
ピセルニ氏は、「ロサンゼルス以降は常に優勝を狙えたが、勝てない。
サッカーだからとしか言いようがない」。

56年前、ベスト8で敗退したロザリオさんが、苦しげな表情でこぼした。
「4強をかけた西ドイツ戦、2―1の89分。
ゴール前で胸トラップした敵が、DFをかわしてシュート。
すごい弾道でゴール右上に刺さった。つらい思い出だ」
あと1分の悔恨。延長で力尽きた無念。
76歳の元GKは、半世紀続く胸の痛みを沈める母国の金メダルを待っている。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080619.htm

南東北3国立大が連携し基盤強化 山形・福島・宮城教育

(日経 6月18日)

山形大学(結城章夫学長)、福島大学(今野順夫学長)、
宮城教育大学(高橋孝助学長)の南東北3県の国立大学3校が
連携することで合意。

第1弾として、高校生らを対象とした進学説明会を3校共同で開催。
大学全入時代を迎えて、学校間競争が激しくなる中、
県境を越えた連携で基盤強化を図る狙い。

合同進学説明会は、JR仙台駅前の複合商業施設「アエル」内で開く。
3校の担当者らが大学の特色をそれぞれアピールするほか、
大学ごとに分かれたブースで個別相談にも応じる。

3校は、受験生獲得では競合関係にあるが、
「単独で開催するよりも、集客効果が高い」(山形大)と判断。

今後は、ファカルティ・デベロップメント
(FD、大学教職員の資質向上・能力開発)面での協力や
事務職員らの人事交流なども模索する見込み。

http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20080617c3b1704d17.html

英国が新国際フェローシッププログラム

(サイエンスポータル 2008年6月24日)

英国が、若い博士課程修了者(ポスドク)を対象にした
新しい国際フェローシップ・プログラムを立ち上げ、
日本を初め各国のポスドクに応募を呼びかけている。

新しいプログラムは、「ニュートン・インタナショナル・フェローシップ」、
英アカデミー、王立協会、王立工学アカデミーが共同運営。
世界中の若手ポスドクを対象、英国の研究機関における研究支援として、
年2万4千ポンド(約500万円)の生計費と、8千ポンド(約170万円)の
研究費補助のほか、転勤手当2千ポンド(約42万円)を支給。
分野は自然科学、社会科学、工学、人文科学と幅広い。

期間は2年間だが、引き続き10年間、年6千ポンド(約130万円)の
研究支援が受けられる制度も備えている。
応募の締め切りは8月4日。

英イノベーション・大学・技能省のイアン・ピアソン科学・イノベーション
担当閣外相は昨年11月、海外から研究者を招へいする
国際的フェローシップとその後続プログラムに対し、
今後3年間で1,340万ポンドの予算をあてると発表。

昨年6月、英ブラウン新政権は省庁再編を実施。
貿易産業省と教育技能省を廃止し、旧貿易産業省の中にあった
科学・イノベーション庁と旧教育技能省の高等教育・技能部門を合体、
新たにイノベーション・大学・技能省をつくった。

同省に対しては、英国が科学、研究、イノベーションで世界をリードし、
世界に引けをとらない技能拠点を構築する、
政府の長期ビジョンを実行に移す責任が課されている。

http://scienceportal.jp/news/daily/0806/0806242.html

2008年6月30日月曜日

[第2部・豪州](下)公平精神で先住民支援

(読売 6月12日)

イアン・ソープ(25)が、先住民アボリジニの子供たちの支援を始めたのは、
同じ豪州人なのにフェアじゃない、というスポーツマンらしい正義感から。

「2002年にアボリジニ共同体を訪れ、生活水準の低さに衝撃を受けた。
平均で17年も違う寿命の短さにも。
僕は(五輪で)豪州を代表したのに、こんな現実を知らなかった。
一生かけても、問題を改善したいと思った」

不公平感は、身をもって体験済み。
「自分が誰かを、否定されるような経験だった」。
昨年3月、ソープの薬物検査が、男性ホルモンと性腺刺激ホルモンに
異常値を示したと報じられた。
8月に豪反ドーピング機関、11月に国際水泳連盟が、
自然要因だったとして終結を宣言。

ショックと吐き気の暗闇で、一つ心に残った出来事があった。
発覚後の豪州世論調査で、90%以上が「無実と信じる」と回答。
ソープが栄養補助剤も使わないほど、薬嫌いだったことや、
支援活動に熱心なその人間性を、人々が知っていたから。

ソープが03年に始めた「若さの泉」運動は、
辺地の先住民の子供たちに本を貸し出す制度を作り、
親を巻き込んだ読書・識字教育を進めるもの。
遠隔地にプールを作る試みもした。

遠隔地の共同体を訪れるたび、先住民文化や生活の知恵の深さに驚く。
ある時、池で泳いでいると、子供たちが、ワニがいるよと笑った。
人食いでも知られるイリエワニが、淡水に住んでいるという。
「蛇でもワニでも、どこにいるかが直感で分かるんだ。
いや、最高速度で泳いで上がったよ」。
計5個の五輪金メダルを持つ、世界記録保持者は笑う。

スポーツは、子供たちとの笑顔をつなぐだけでなく、
社会にメッセージを送る手段に。
シドニー五輪では、陸上女子四百メートルで優勝したアボリジニの
キャシー・フリーマンの走りが、すべての豪州人の思いを一つに。
豪州の歴史では、スポーツが象徴する公平さが、社会や文化の特徴。
豪州では、スポーツの影響力が強く、選手の主張を多くの人が尊重してくれる」

政権が代わり、1970年代まで続いた強制隔離政策で、
親から引き離され自分のルーツを失った先住民の人々に、
ラッド新首相が正式な「謝罪」を行った。
3月には、アボリジニの生活を向上させ、寿命の差を縮める
諸施策の公約が与野党によって調印。
国会議事堂で開かれた式典に、ソープはフリーマンとともに立会人として招待。

「子供の瞳に希望を見たいよね。どんな子供たちでも」。
ソープが目指す次の頂点は、スポーツを超えたところにある。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080612.htm

当世留学生事情(1)15大学連携 精鋭獲得狙う

(読売 6月17日)

質の高い学生を獲得しようと、日本の大学が海外で活動。
マレーシアの首都クアラルンプール郊外にある
セランゴール州立セランゴール産業大学の教室。
試験管に入れた液体の色の変化を注視していたマレーシア人学生、
モハマド・ハニフさん(19)は、ノートの表に「白」と漢字で書き留めた。
ほかの欄には「赤褐色」「緑」の漢字。
教壇から日本語で指示するのは、日本の大学の日本人講師。

「JADプログラム(日本マレーシア高等教育大学連合プログラム)」。
寮に住みながら、3年間現地で日本人教員による授業を受けた後、
日本の大学の3年に編入、日本の学位を得る。
分野は、電気工学と機械工学限定。

「エンジニアになって、トヨタで働きたい」というハニフさんは、
現地で学んで2年目。
日本の大学生顔負けの正確な日本語の文章が書ける。
午前7時50分から午後5時までぎっしり詰まった授業で、
1年目は1日の半分を日本語の授業に充てたお陰。
授業では、教員がわざと乱れた文字を板書したり、早口でしゃべったり。

化学、数学、物理など、一般教養的な授業を経て、2、3年目になると、
「電気回路理論」「流体工学」など、日本のカリキュラムに基づく科目が並ぶ。

学生は、応募者約2000人の中から、マレーシアの全国統一試験での成績、
日本人の教授による面接などで選抜された約90人。
マレーシア滞在2年目になる芝浦工業大学の水野俊夫教授は、
「学生の意欲が高いので、授業を詰め込んでも集中力がとぎれない」。

日本の大学に入るためのマレーシアでの予備教育のプログラムは、
1993年に始まっている。
当初は2年間、日本語などを学び、日本の大学1年に入学させるもの。
現地で3年、日本で2年という新方式は05年から。
これだと、留学費用が安く済み、日本に来てから日本語で苦労する心配もない。
事前に日本の大学の情報も十分に得られる。

このプログラムを使って、十数年で約600人が日本に留学、
今年度、新方式で教育を受けた75人が初めて、日本の15の大学に編入。
各大学の担当者がマレーシアを訪れ、来年、編入する学生向けに説明会。

15校は、「日本国際教育大学連合」を設立した早稲田大学、慶応大学など
私立12校と、埼玉大学など国立3校。
実際には、幹事校の芝浦工業大学と拓殖大学両校だけが、
教授3人を含む教員10人をマレーシアに送り込んでいる。

日本では近年、留学生を巡る事件や不祥事が社会問題化したことや、
大学間の国際競争の激化から、各大学が個々に海外事務所を設け、
現地で優秀な学生をリクルートし始めている。

マレーシアでのプログラムは一貫して、日本政府の円借款事業として
マレーシア政府が行ってきた。
学生には奨学金が、教員には給与や滞在費が、マレーシア政府から支給。
事業の期限は、14年3月まで。

その後に同様の仕組みが出来ないと、現地にいる間から授業料を徴収し、
大学側も負担をする必要。
「現在のアジア諸国の経済水準では、高額な授業料は取れない。
参加校を増やして会費をもらうのも限界」、
「大学連合」の事務局機能を分担しているNPO法人アジアシードの浜野正啓さん。

「大学連合」は、マレーシアでのノウハウを生かし、他の国でも、
共同で海外拠点を設け、海外の大学と連携したいと考えている。
だが、留学生を増やすために、費用がかかることは間違いない。

◆円借款

発展途上国のインフラ整備などのため、日本政府が国際協力銀行を通じて、
低利で長期に貸し付ける制度。
政府開発援助(ODA)の一種で、有償資金協力とも。
累計融資額は、4兆2703億円のインドネシアが最多、
中国、インドが続く。マレーシアは9171億円で7番目。

◆現状12万人 首相「30万人」提唱

「留学生受け入れ10万人計画」が提唱されたのは、1983年。
提唱者は、当時の中曽根首相。留学生数は同年の1万428人から、
2007年には11万8498人まで増加。
ただ、ここ数年は12万人前後で推移。
福田首相は、「世界の活力を、日本の成長のエネルギーとしていく」と、
「留学生30万人計画」を提唱。

政府の審議会などでは、これまでに具体策として、
〈1〉国内30大学を政府が重点支援、
〈2〉留学生の国内就職率(現状は3割)を5割に引き上げ、
〈3〉日本留学に関する情報提供や留学生選抜にも活用できる海外拠点の整備、

07年5月現在、出身国・地域別留学生数は、
中国が7万1277人で全体の約6割。
韓国(1万7274人)、台湾(4686人)、ベトナム(2582人)、
マレーシアは2146人で5位。6位タイ(2090人)、7位米国(1805人)。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080617-OYT8T00283.htm

ミカン果汁で脳の老化防止? 静岡県立大などマウス実験

(朝日 2008年6月21日)

ミカン果汁が、脳の老化防止に役立つ可能性があることが、
静岡県立大や農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所による
マウス実験でわかった。日本基礎老化学会で発表。

県立大の海野けい子准教授(老化生化学)は、
「果汁の成分のどこに効果があるのかはこれからの研究課題。
人で効果があるかも試したい」。

老化が早い系統のマウス80匹を使った。
20匹ずつ4グループに分け、3.8~38%の3段階の濃度のミカン果汁で
水分補給したものと、水で水分補給したものを1年間飼育。
マウスが明るい箱から暗い箱に移動すると、
電気ショックを与える装置で実験し、移動を避けるようになるまで
にかかる時間を計って学習能力を調べた。

その結果、水で育てたマウスは、平均約1000秒かかったが、
ミカン果汁で育てたマウスは600~700秒で、
果汁濃度が高いほど学習時間が短かった。
老化につながる大脳の酸化を示す値も、3割ほど低い。

http://www.asahi.com/science/update/0621/TKY200806210194.html
(日経 6月21日)

山形県米沢市を、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)産業の
一大集積地にしようと県が取り組む
「山形有機エレクトロニクスバレー構想」が動き出した。

三菱重工業などが、有機ELパネル製造会社を設立、
来春にもサンプル出荷を始める。
国内外の電機大手が開発競争を繰り広げる中、
次世代照明として産業集積が進むかどうかは、
技術とコスト、行政支援の3点がカギ。

「紆余曲折を経て、ここまでたどり着いたというのが本音。
実は、3年間ずっと努力を続けてきた。今は素直に喜びたい」。
新会社「ルミオテック」設立を受けて、斎藤弘知事が緊急会見。

県がバレー構想を打ち上げたのは2003年。
7年間で43億円を投入するが、
「目に見える成果が一向に上がらない」との批判も。

http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20080620c3b2004p20.html

米で「脳トレ」ブーム、ベビーブーマー高齢化で加速

(CNN 6月18日)

チェスター・サントスさん(32)は、7年前から脳を鍛えている。
記憶力の衰えが不安なわけではなく、高齢期を迎えた
ベビーブーマー世代の間で高まる「脳活性化」ブームに乗った形。

記憶力低下を心配する大人たちや、テストに備えて知識を詰め込みたい
10代の子供たちの間で、任天堂の「脳トレ」シリーズのようなゲームや、
数独、クロスワードなど認知症防止に役立つとされるパズル、
ネットの脳活性化プログラムが大ヒットしそうな勢い。

サントスさんは、2008年全米記憶力コンテストの優勝者。
トランプ一式の並びを3分で記憶でき、無作為の単語100語や
100人の名前と顔を15分で覚えられる。
「人の脳には、自分で思っている以上のことをできる能力がある」と話す
サントスさんは、それまでの仕事を辞め、記憶術を教える仕事に就いた。

調査会社米シャープブレインズの調べによると、
脳活性化ソフトの市場は、2007年に2億2500万ドル(約240億円)、
2005年の推定1億ドルから大幅に増えた。

これは、任天堂の脳トレゲームの貢献もあるが、
何事にも積極的なベビーブーマー世代が60代に差し掛かったことで、
2007年に転機を迎えた。

ネットで脳を鍛えるプログラムも登場。
「ルモシティ」は、「楽しく夢中になれるゲームで、
認識能力と脳の健康を高める」と銘打ったプログラム。
メリーランド州に住むサラ・シュルツさん(67)は、
このおかげで考えるのが早くなった。

脳を鍛えるプログラムはベビーブーマーだけでなく、10代の教育でも注目。
ニューヨークで歴史を教えるリーモン・マシューズさんは、
脳活性化を学習課程に取り入れたところ、生徒の成績に違いが出た。
シャープブレインズの予想では、米国の脳活性化ソフト市場は
2015年に20億ドル規模に達する見通し。

いずれ認定脳トレ指導員や脳トレプログラムが、
職場や政策に進出するとサントスさんは予想。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200806180032.html

地域協働、初の包括協定 県とローソン

(岩手日報 6月24日)

県とコンビニチェーン大手のローソン(新浪剛史社長)は、
災害支援や環境活動など地域協働事業に関する包括的協定を締結。
達増知事と新浪社長が、県庁で協定書に調印。

今月稼働した県の「いわて公共サービス・マッチングシステム」に基づく、
初の包括的協定。
これまで部局ごとに民間企業と提携していたが、
企業からの相談・提案の窓口を県総合政策部に一本化し、事業連携を効率化。
同協定は6項目。

▽地産地消のための商品開発・販売促進
▽県政情報の掲示
▽災害時支援や登下校時の安全確保
▽i・ファミリー・サービス事業
▽エコ活動の促進

達増知事は、「地震発生後は協定締結前だったが、
一関と奥州におにぎりなどをいただいた。
今後も県民サービスを向上させ、相互に成果が得られるようにしたい」。

新浪社長は、「岩手は東北で一番店舗が多く、食材も豊富。
協定を通じて、全国チェーンではなくそれぞれの町のローソンとして
地域を元気にしていきたい」。

同社が都道府県と協定を結ぶのは17例目で、東北では初。
最初の事業として、東北六県と新潟県で本県産食材を使ったフェアを実施。
県内全店で、エコバッグ1万6500個を無料配布。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080624_4

2008年6月29日日曜日

[第2部・豪州](上)LZR生んだ 最先端プール

(読売 6月11日)

プールの底に並ぶ14個の窓から、
全長50メートルの別世界が鮮明に見渡せる。
北京五輪代表14人を含む豪州スポーツ研究所(AIS)所属の
競泳選手らが、水棲動物のように行き来する傍らで、
水底から白い柱が垂直に立ち上がる。
その柱の間を、飛び込んで来た選手の白い泡が横切った。

2006年に世界各地のハイテクプールの長所を採り入れて、
首都キャンベラ郊外に完成した新AISプール。
バイオメカニクス(生物力学)科学者チーム「水泳検査訓練研究班(ATTRU)」
責任者、ブルース・メーソン氏は説明する。

「柱は、磁気で通過速度を測定する装置。
スタート台は、力と方向を測るセンサー。
最高精度だと、体内の血液の流れまで測れる」

話題のスピード社の新作水着「レーザーレーサー(LZR)」。

その開発には、本社のある英国だけでなく、
世界各地にある研究施設、企業がかかわった。

AISプールは、最先端システムでマイケル・フェルプス(米)らの泳ぎを計測、
中核的な役割を果たした。
30台近い水上・水底のカメラが飛び込んだ選手の動きを追い、
プールサイドのスクリーンに中継する。
同時に、コンピューターがセンサーからの情報を分析し、
画像上に力の大きさ、方向、飛び込み角度、水中速度など
10以上のデータを描き込む。ビジュアルで、しかもライブだ。

選手は再生画像をもとに、コーチから改善点を指摘され、再び飛び込む。
「以前は、分析に何時間もかかっていた。
それだと、選手もコーチも感覚を忘れるだろ」。
現場のニーズを最優先した科学の支援が自慢。

豪州競泳陣は、01年まで米国と互角の勝負をしていた男子が、
世代交代で地盤沈下。
北京五輪で金メダルの期待を担うのは女子。
AISのピーター・フリッカー局長は、
「日本、英国など各国が、AISに匹敵するすばらしい強化拠点を作り、
高度な体制を整えつつある。さらに上を行く必要があった」と
新プール建設の背景を説明する。

AISは、初めて金メダルなしに終わった1976年モントリオール五輪の
危機感から生まれた。
中核だった科学部門は進化を続け、
「今は遺伝子情報をどう才能発掘や育成に生かすか、倫理指針を検討」。
スポーツ科学の教授でもある局長が明かす。

昔からスポーツは、平等を理想とする豪州の精神文化の礎だ。
「だから、スポーツは国民性そのもの。
金メダルが取れなければ、豪州と言えないでしょう」(フリッカー局長)。
AISの存在意義は、文化の誇りを守ることでもある。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080611.htm

温室効果ガス排出量取引の是非論議

(サイエンスポータル 2008年6月23日)

温室効果ガス排出量取引制度に対する日本の取り組みに関する
記事が急に目立つようになった。
福田首相が、ドイツ、英国、フランスの各首相から、
排出量取引制度の導入を求められ、帰国後急に姿勢が変わった経緯を、
毎日新聞朝刊が詳しく書いている。

「帰国後は、首相秘書官ら官邸スタッフ数人だけでとりまとめに入る」。
その結果、「福田ビジョン」に、今秋の国内排出量取引制度の
試験的導入が打ち出された、と。

温室効果ガス排出量取引に対しては、産業界を中心に国内では効果を
疑問視する声が根強く、欧米先進国との姿勢の違いが目立つが、
なぜ、このような事態になっているのか?
23日の日経朝刊オピニオン欄に載った原丈人・デフタ・パートナーズ会長の
インタビュー記事が興味深い。

「排出量取引を導入しても、世界の温暖化ガスの排出総量は変わらない。
排出枠を買うという安易な方法に頼り、自身の排出削減の努力を怠る」。
「中国など京都議定書の非加盟国は、排出削減に努めるより、
排出枠を売ってもうけようとしがち」。

欧州だけでなく、京都議定書非加盟国の米国まで
なぜ排出量取引に積極的なのか、という問いに対する答え。
「投機の対象として、大きな市場性がある。
信用力の低い米個人向け住宅融資(サプライムローン)問題の発生後、
次の標的が必要となっています」

シンポジウム「高度情報社会の脆弱性の解明と解決」で基調講演した
寺島実郎・日本総合研究所会長・三井物産戦略研究所所長の警告。
「米国で、一番ITをとりこんだのが金融。
金融というのは、ずっと産業金融という形をとっていたのが、
金融活動に伴うリスクをマネジメントすることで利益につなげる
デリバティブといったものが出てきた。
サブプライムローンも、住宅ブームを長引かせるために、
本来、金を貸せない人に貸す仕組みを考え出した」

米国社会を熟知していると見られる寺島、原両氏が
「バーチャル経済」の急速な広がりに、非常な危うさを感じている。
排出権取引をめぐり、完全な少数派になっているように見えるばかりか
「すでに排出権を買い始め、金づるになっている」
日本の巻き返し策は?

読売新聞23日朝刊経済面で安部順一・編集委員は、
「日本型排出量取引探れ」と題し、日本経団連を中心に産業界が取り組む
「環境自主行動計画」の改革を提言。

業界ごとの削減目標でなく、個別企業が国と協議して信頼できる
自主目標を示し、その上で排出量取引の可能性を探るという内容。

日本のとるべき道は、いずれにしろ険しいものになりそうだが、
寺島氏の講演に気になる指摘がもう一つ。

「1990年代、米クリントン政権は軍事費を3分の1削減。
80年代、米国の理工系学生の7割は軍事産業に就職。
軍事費削減で、これら優秀な理工系学生が、金融界に吸収され、
サブプライムローンも、さらにリスクを分散するための証券化、
という方法まで考え出した」

排出量取引を導入するにしろ、日本型の排出量取引など別の道を探るにしろ、
相手の背後には相当に手強い知能集団がいる。

http://scienceportal.jp/news/review/0806/0806231.html

“水没しつつある”ツバルの窮状

(サイエンスポータル 2008年6月20日)

今にも水没しそうな島国、ツバルに日本としてどのような支援ができるか?
「太平洋島嶼国の環境と支援を考える国際シンポジウム」が開かれた。
ツバルを代表して、マタイオ天然資源・環境省環境局長が、
「世界の中でも、特に気候変動の影響を受けやすい
脆弱なサンゴ環礁からなる島国」の窮状を訴えた。

ツバルの現状は、「高潮に対する最初の防御ラインであるサンゴ礁は、
熱ストレスに弱く、白化現象が毎年起こると予測」、
「サンゴの減少は、タンパク源である魚種の減少を招く」、
「温暖化による海水温の上昇により、カテゴリー4から5のサイクロトロンが
1975-89年に比べ、90-2004年には倍増」、
「今後30年のうちに、ツバルの一部地域に人は住めなくなる」、
「わずかな淡水層に海水が浸入することで、水不足に加え、
タロイモやココナツなどの生育が難しくなっている」。

マタイオ局長が、急を要する対策として挙げたのは、
沿岸域の防護、水管理、エネルギー確保で、
水管理には、地下の淡水層に海水を浸入させない防護策や
雨水の回収法の改善策、下水処理、家畜糞尿の処理など。

ツバルは毎年、2、3月が大潮の時季。
「日本を初め、各国からこの時季にジャーナリストが訪れ、
写真や映像を撮っていく」。
こうした報道で、水没の危機に瀕するツバル、というイメージを
刻みつけられた日本人も多いのでは。

地球温暖化による環境の激変は、遠い将来の話ではない。
その被害を最初に受けるのは、脆弱な地域、ということを実感させる
こうした報道が持つ意味は大きい。

シンポジウムの傍聴者は、海面上昇という外から見て分かりやすい
難題の背後に、ツバルがいろいろな社会・環境問題を抱えていることも理解。
報道では、なかなか伝わらないような。

茅根創・東京大学大学院教授によると、ツバルの一部地域の“冠水”は、
降ってわいたような出来事ではない。
ツバルは、サンゴ環礁でできた島の特徴として、外洋に面した沿岸部の
高い地形、ラグーン(環礁に囲まれた浅い環湖)に面した高い地形、
その間に広がる低地部から成る。
元をたどれば、サンゴや有孔虫の死がい。

三村信男・茨城大学教授が、20年以上前に現地調査したデータによると、
外洋側の高地の高さは海面から3-4メートル、ラグーン側高地は2メートル、
中央部の低地は1メートルないしそれ以下。

南太平洋応用地球科学委員会(SOPAC=ツバルを含む南太平洋島嶼国と
オーストラリア、ニュージーランドが加盟)の報告書によると、
ツバルの海水面は、高潮時に平均海水面から1.2メートル高くなる。
温暖化の影響と考えられる海水面の上昇は、この50年間で
10プラスマイナス5センチという報告。

つまり、50年間の海水面上昇を織り込んでも
「高潮時の水面上昇が、1.1メートルか、1.2メートルといった違い。
標高から見て、中央低地はもともと高潮時には冠水する区域」。

茅根教授によると、英王立協会の100年前の地質図によると、
当時、首都フナフティのある島はラグーン側高地に100人程度の集落があるだけ。
中央低地は沼地などからなり、海水がわきあがったという記載。

なぜ、最近になって海水の浸水が大きな問題になったか。
太平洋戦争時の1943年に建設された飛行場のために、
沼地だった場所が分からなくなってしまった。

さらに1980年代からの人口増で、100年前には100人程度しか
住んでいなかったフナフティの人口は、いまや4,000人。
かつて人が住んでいなかった湿地帯にも人が住み出し、浸水が問題に。

ツバルの歴史はともかく、茅根教授を含め講演者全員の考え方は一致。
とにかく対策は必要、ということ。
ツバルが直面する地球温暖化による海水面の上昇という
グローバルな課題への取り組みは、ツバルという地域の特殊性を
考慮したものにならざるを得ない、というのも講演者に共通する思い。

人口増により、増えた生活用水や豚の飼育に伴う汚水が垂れ流されている。
排水が海水の富栄養化をもたらし、サンゴや有孔虫の生育力を弱め、
海水面上昇の最初の“防護壁”になる環礁、砂浜の成長を阻害。
こうしたローカルな問題の解決も伴わないと、
ツバルを水没から防ぐ実のある対策にはなりえない。

http://scienceportal.jp/news/review/0806/0806201.html

がん制御遺伝子発見 白血病幹細胞で 日米伊チーム、根治向け一歩

(毎日新聞社 2008年6月19日)

慢性骨髄性白血病の根治につながる治療法を、
日米伊の研究チームが開発。
がん細胞を生み出す幹細胞を、薬が効く活性化状態にして攻撃する。
肺がんなど他のがんに応用できる可能性もあり、注目。
英科学誌「ネイチャー」で発表。

慢性骨髄性白血病の幹細胞は通常、ほとんど増殖しない
「静止期」にあり、薬が効きにくい。
米ハーバード大医学部の伊藤圭介研究員らは、
日米の患者80人以上から骨髄を採取し分析。
9割以上の患者で、PMLという遺伝子が強く発現し、薬が効きにくかった。

人工的にPMLをなくしたマウスは、幹細胞が一時的に活性化。
「PMLは、白血病幹細胞の活動を抑え、幹細胞の機能を長持ちさせている」。
白血病のマウスに、PMLを抑える亜ヒ酸を投与後、抗がん剤を与えた。
白血病細胞が幹細胞も含めて消失し再発しなかった。
ヒトの白血病細胞でも効果があった。

白血病に限らず、がんの幹細胞は「静止期」の性質を持つ。
研究チームは、亜ヒ酸を投与してPML発現を抑え、
幹細胞を活性化させてから抗がん剤を投与する新治療法について、
日米伊で臨床試験の準備を進めている。

◇平尾敦・金沢大がん研究所教授(幹細胞生物学)の話

幹細胞の細胞周期が治療効果に影響するとみられるがんは、
白血病をはじめ複数あり、他のがんに応用できる可能性が十分ある。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=75806

「うつ病」が原因トップ 10年連続、自殺3万人超 60歳以上、30歳代で最悪

(共同通信社 2008年6月19日)

日本国内で昨年1年間に自殺した人は、
前年に比べ2・9%(938人)増の3万3093人で、
「うつ病」が原因・動機の人が、約18%に当たる6060人に上り最多。

総数は、2003年の3万4427人に次ぐ過去2番目で、10年連続で3万人超。
年代別で60歳以上、30歳代が過去最多。

発生場所でみた都道府県別10万人当たり自殺者(自殺率)は、
39人の山梨が前年の秋田に代わり最悪。

警察庁は、自殺対策に役立てるため07年に自殺統計原票を改正、
動機の項目などをきめ細かくしており、今回が初の公表。
昨年6月に自殺総合対策大綱を策定し、多重債務問題などに取り組む政府は
データを基にさらなる対策を迫られそう。

新しい統計は、原因・動機を52項目に分類。
遺書や診断書、ネット掲示板への書き込みや関係者の話から推定し、
複合することも考慮して3つまで選べる。

最も多かった原因・動機は「うつ病」で、2番目が「身体の病気」の5240人と
健康問題が上位を占めた。
「多重債務」の1973人、「その他の負債」の1656人と経済・生活問題。

年代別では60歳以上が最多で、前年比8・9%(987人)増の
1万2107人と過去最悪。
50歳代の7046人、40歳代の5096人、中高年の割合が高い傾向。
性別では、男性が約71%。
19歳以下は、前年に比べ12%(75人)減の548人。
「いじめ」が原因とみられるのは10人で、「友達との不和など」が25人。

職業別では、無職が1万8990人と57・4%、
年金・雇用保険生活者が4982人、失業者が1756人で、
被雇用者・勤め人は9154人。

◆警察庁の自殺統計

警察は、変死者について検視などで死因を特定し、動機を調べて
事件性の有無を判断、自殺と認定。
死亡届を出した後に自殺と判明したケースや日本国内で自殺した外国人も
含まれるため、死亡届を基に集計する厚生労働省の人口動態統計より
人数が多くなる傾向。
警察庁は昨年、自殺統計原票の原因動機や職業分類を見直し、
今年から詳細データを公表。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=75832

2008年6月28日土曜日

[第2部・南アフリカ](下)政治の渦中 走り続けた

(読売 6月10日)

ゾーラ・バッド(結婚後、ピータース姓)は歓声よりも、
怒号が渦巻く好奇の目の中で走り続けてきた。
「人類に対する犯罪」、とまで呼ばれたアパルトヘイト(人種隔離政策)。

それに対する反対の声が国際世論となり始めた1980年代、
10代のバッドは彗星のごとく登場。
世界のトップレベルの記録に、裸足で走る姿。
アパルトヘイト下の国の選手であることで、格好の政治的な論争の中心に。

南アが五輪舞台から締め出されていた84年ロサンゼルス五輪で、
英国に国籍を移して出場。
女子三千メートルでは米国のスター、メアリー・デッカーと接触。
デッカーは棄権し、大ブーイングの中、バッドも7位でレースを終えた。

南アが五輪の舞台に復帰した92年バルセロナ五輪には、
今度は堂々と南ア代表として再び同じ種目に出場したが、
すでに全盛期の力はなく、あえなく予選落ち。国際舞台から去った。

自分では、どうすることも出来ない状況下で競技生活を
送らざるを得なかったバッド。
「五輪にいい思い出はない。もちろん『あの時、ああじゃなかったら』と
思うことはある。スポーツと政治は、別であるべきなんだけど」

今も楽しみのために走るが、
テレビで五輪やスポーツを観戦することはない。
現役時代の写真やメダルも一切、家にはない。
選手育成にも興味はない。
第一線から退いた後、結婚し、長女と男女の双子の3人の子供に恵まれた。
静かな田舎町、故郷ブルームフォンテーンで子育ての傍ら、
キリスト教の教えを基にしたセラピスト(心理療法士)を目指している。

「誰に勝ちたいとか、記録を狙うなどの目的で走っていたんじゃない。
私にとってランニングは、悲しみや苦しみのはけ口だった。
でも、本当は、ただ好きだから走っていただけ

以前は、子供に自分の体験を話すつもりなどなかったが、
ある日、長女が学校から帰宅して興奮した口調で聞いた。
「お母さんがあのバッドなの。教科書に載っていた」。
政治的な発言は、今も避ける。
しかし、最近、親として子供に伝えたい気持ちも芽生えている。
「とてもいやな体験だったけど、今から考えれば、困難な状況に陥った時の
対処の仕方を学んだし、得難い経験だったとも思う。
何より、スポーツは人生を教えてくれるものだから

淡々と話し続けていたバッドに、ずっと身を寄せていた長女が顔を上げて、
母親のほおにそっとキスをした。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080610.htm

学生をつくる(10)「まず疑え」思考力養う

(読売 6月14日)

学生へのアンケートを、新入生向けの教材にする授業がある。
国際基督教大学(ICU)で、1年生21人が、
手にした紙を食い入るように見つめていた。

13の設問が、日本語と英語で書かれた
同大の授業評価アンケートの用紙。
「授業の評価とはどういうことか、話し合って」。
渡辺敦子講師(46)が英語で指示を出すと、学生も英語で
「教師のランク付け」、「学生の心情をぶつける」と、次々に口を開いた。

ICUの1年生には、必修の英語が週8コマあり、英語を通した
「批判的思考力」の育成も目的。
授業評価のアンケートも、その教材の一つ。
「なぜ学生に評価の権利があるか」、「評価する学生の義務は?」。
渡辺さんが質問を重ねるうち、学生の表情に真剣さが増した。

ICUは、1953年の開学以来、批判的思考力の育成を掲げてきた。
「学びは自分でつかむもの。それには、批判的思考力は不可欠だと、
1年次で気づいてほしい」。
10年前からICUの英語教育に携わってきた富山真知子教授(55)が強調。
批判的思考力とは、「情報や知識を客観的、論理的に分析し、
評価する能力」(富山さん)。大切なのは、吟味する過程。

入試を経たばかりの学生は、権威に弱い傾向があり、
「辞書に出ている」、「著名な学者が書いている」というだけで満足。
詰め込んだ知識の内容の吟味に踏み込む必要がなかった。
英語を介することは、日本流のあいまいな会話や考え方にも
疑問を持ってほしい。

授業を通して、教員は「うのみにするな」、「まず疑え」と繰り返す。
だからこそ、授業評価アンケートも格好の教材に。
大学のすることだからと、無批判に受け止めるのではなく、
なぜこういうことをするのか、評価する自分自身はどう学んでいるのか、
客観的に考えることを期待。

OECD(経済協力開発機構)が、各国の大学4年生の力を測り、
比べる指標の一つに批判的思考力を打ち出したことを機に、
最近、同大の授業方法への問い合わせが増えている。
かつてなかったことだけに、
「日本の大学が変わりつつある」と富山さんは実感。

批判的思考力は、専門課程でさらに磨きをかける。
2年以上を対象にした「神学宗教学特別研究」の森本あんり教授(51)は
少人数クラスで、英語の哲学書の精読と、学生同士の討論を繰り返す。
批判的思考力を、「自分の眼鏡を外し、その眼鏡を点検する」
かみ砕いて説いたうえで、
「4年では完成しない。だが必ずあとで生きる」。

社会に出て役立つ力を蓄える最後の学びの場。
その責任は重く、いま厳しく質が問われている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080614-OYT8T00255.htm

東京2009アジアユースパラゲームズ調印式が行われる

(東京オリンピック招致委員会 6月17日)

「東京2009アジアユースパラゲームズ」
(主催/アジアパラリンピック委員会(APC)、
東京2009アジアユースパラゲームズ組織委員会)の調印式。
東京オリンピック招致委員会会長の石原慎太郎東京都知事も
開催都市代表として出席。

東京2009アジアユースパラゲームズは、
障害のあるアジアの青少年を参加対象とする国際総合競技大会で、
東京での開催が決定。

APCのザイナル・アブ・ザリン会長と、東京2009アジアユースパラゲームズ
組織委員会の北郷勲夫委員長が、石原都知事立会いのもと、
「東京2009アジアユースパラゲームズ開催に関する協定書」に調印。
北郷委員長は、東京オリンピック招致委員会の理事。

ザイナル会長は、「東京は、第2回アジアユースラパゲームズの主催地に。
アジアパラリンピック委員会に加盟する40カ国・地域のメンバーが
2009年を心待ちにしている。選手たちは競技に参加するために、
ある者は観客として、ぜひ東京にやってきたいと、今から期待している」、

北郷委員長は、「アジア40カ国・地域のハンディキャップのある青少年の
期待に応え、障害者スポーツの振興に最大の努力をしたい」。

石原都知事は、「(大会期間中は)応援を含め、1000人以上が
東京を訪れると聞いている。14~19歳の若者がハンディキャップにもめげず、
アスリートとして競うのは、これからの人生において大きな喜びに。
東京が、そうした若者たちの人生に大きな贈り物ができることをうれしく思う」。

2016年のオリンピック・パラリンピック招致を目指す東京で、
大規模な国際総合競技大会が開かれることは、
障害者スポーツへの理解と、パラリンピックの招致機運を高める契機。

東京2009アジアユースパラゲームズの大会期間は、
2009年9月8~15日の8日間。
陸上競技、水泳、卓球、ボッチャ、ゴールボール、
車いすテニス(オープン競技)の6競技。

・国立霞ヶ丘競技場(陸上競技)
・国立代々木体育館(ゴールボール、車いすテニス)
・東京体育館(卓球、ボッチャ)
・東京辰巳国際水泳場(水泳)
これらは、東京オリンピック・パラリンピックの競技会場プランに含まれる。

*ゴールボール
視覚障害者による対戦型スポーツ。1チーム3名の選手が、
鈴の入ったボールを投球し攻撃したり、鈴の音を頼りに身体全体を使って
セービングしたりしながら得点を競い合う競技。

*ボッチャ
決められたコートの中で、ジャックと呼ばれる白いターゲットボールに、
赤いボール6個と青いボール6個をそれぞれ投球し合い、
ジャックにどれだけボールを近づけられるかを競う競技。

http://www.tokyo2016.or.jp/jp/news/2008/06/2009.html

睡眠不足だと間食し過ぎる?

(WebMD 6月11日)

クッキーの瓶に手を伸ばすのを、我慢できないのはなぜか?
それは、夜更かしをしているせいかもしれない。
睡眠を十分にとっていない人々は、しばしば好きなだけ
過剰な間食をしていることを、研究者らは見出した。

米国睡眠医学会(AASM)のスポークスマンであるSanjeev Kothareは、
この研究は、睡眠不足が肥満につながることがある理由を
何とか知ろうと試みているため重要。
ハーバードメディカルスクールの睡眠専門家であるKothare博士は、
間食によって、高カロリーを摂取することが関与することを示唆する」。

睡眠試験施設に、14日間ずつ2度滞在する11例の男女が参加。
一方の試験期間中、毎晩5時間半しか睡眠をとらせなかった。
もう一方の試験期間中、毎晩8時間半、睡眠をとらせた。
両方の試験期間中、被験者は
食べたくなったら、いつでも好きなだけ食べることができた。

シカゴ大学のPlamen Penevは、第22回米国睡眠関連連合学会年次総会、
SLEEP 2008(シカゴ)で知見を発表。
結果は、睡眠時間を5時間半に制限した場合、
被験者は1日に間食だけで平均1,087kcal摂取。
一方、8時間半の睡眠をとった場合、
被験者は間食によって866kcalを摂取。
1日あたりの総摂取カロリーと総体重増加量は、
両方の試験期間において同様。

Kothare博士は、被験者が数週間しか試験を行わなかった点に言及。
より長期にわたり経過観察をしていれば、他の変化が認められた可能性がある。
AASMは、成人は毎晩7 - 8時間の睡眠をとるよう推奨。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=75522

ぜんそく、黄砂で悪化 環境汚染物質含み 鳥取大、きょう発表

(毎日新聞社 2008年6月17日)

中国大陸から飛来する黄砂により、日本のぜんそく患者の症状が
悪化している可能性のあることが、鳥取大の調査で分かった。
中国から黄砂に乗って飛来する環境汚染物質による
日本での健康被害が懸念される中、具体的な調査事例として注目。

調査は、同大付属病院(鳥取県米子市)を受診した20歳以上の
ぜんそく患者117人を対象。
07年3-5月に、黄砂で同市内の視界が10キロ以下になった
計9日間について、翌日以降に電話で聞き取り調査。

その結果、3月と4月では27人(約23%)で、せきや痰が多くなるなど
ぜんそく症状の悪化がみられた。
スギ花粉の影響を除外するため行った5月の調査でも、
16人がぜんそく症状の悪化を訴えた。

研究チームが空気中のちりを分析したところ、
黄砂が飛んだ日は、飛ばない日よりアレルギーなどを引き起こす
ニッケルや、カドミウムの含有量が多かった。

渡部仁成助教は、「黄砂そのものより、付着した有害物質が症状に
悪影響を与えている可能性がある」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=75494

「健康のため運動」わずか2.4% 山梨・スポーツ意識県民アンケート

(毎日新聞社 2008年6月18日)

山梨県民のスポーツに関する意識などを探るアンケートで、
前回の01年度調査に比べ、
「あまり健康ではない」という人が約4ポイント増加、
健康のために運動している人は35ポイント減少、わずか2・4%。
週1回以上、運動した人は、全国平均(44・4%)を大きく下回る32・4%、
発表した県スポーツ健康課は
「地域でスポーツのできる環境を作っていきたい」。

アンケートは、県スポーツ振興計画を策定するため、
20歳以上の県民370人を対象に6年ぶりに実施。

健康状態について、「あまり健康ではない」との回答が18・4%
(前回14・3%)と増え、「健康へ注意を払っている」という人も
89・2%(同82・1%)に上昇。
しかし、健康のために運動している人は2・4%(同37・4%)と大幅に減少

スポーツしなかった理由で、前回調査よりも増えた項目は
▽する機会がない(43・5%)
▽仲間がいない(19・4%)。

活動相手は、前回は「地域のクラブやサークルの人」が最多、
今回は「ひとりで」がトップになり、地域スポーツ行事への参加率も約19%減少。
同課は「仲間や地域でスポーツする人が減り、個人でスポーツを行う
傾向が高まっている」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=75721

2008年6月27日金曜日

生きる価値はどこに 工場解雇の末、樹海へ 緊急連載企画「命つなぐために-自殺大国ニッポンのいま」5回続きの(1)

(共同通信社 2008年6月25日)

凍傷で小指を失った右足が今もうずく。病気、解雇、借金...。
あり地獄の底に落ちたかのような絶望から自殺を決意し、
富士山のふもとに広がる冬の青木ケ原樹海をさまよい歩いた。
生還後も仕事がなく、先の見えない日々が続く。
「まだ、樹海の中にいるようなものかな」。
愛知県出身の大沢忠雄さん(45)=仮名=はそうつぶやいた。

心筋梗塞で倒れたのは3年前。
命は取り留めたが、不整脈のため軽勤務しかできなくなった。
昨年6月、約12年間勤めた工場を解雇され、社宅も追い出された。
車などで寝泊まりしながらハローワークに通ったが、
病気と分かると相手にされない。
生活が荒れ、消費者金融に手を出した。
借金は150万円余りに膨らみ、追い詰められた。

「おれなんか、生きている価値もないのかな」。
11月、手元の30万円のうち20万円を、離れて暮らす70代の母に送り、
生まれ故郷に寄ってから樹海に向かった。

所持品は、ロープにカッターナイフ、焼酎のボトルと少しの食料。
携帯電話は土中に埋めた。
日が沈むと、氷点下になる樹海で手首を切り、震えながら斜面に横たわった。
「頭はからっぽ。『このまま静かに逝きたい』とだけ考えていた」

死に切れず、2週間。
樹海で倒れているところを地元の警察に保護。
「人間そんなに簡単には死ねないよ。とにかくここへ行きなさい」。
署員から電車賃を渡され、
「全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会」(東京)に駆け込んだ。

約5カ月入院し、現在は民間の保護施設で暮らす。
生活保護は受けられるようになったが、借金を抱え、
仕事がない現実は変わらない。
「生きていてよかった、とはまだ言えない。
体調は不安だけど、無理してでも働いて、ここから脱出することが当面の目標」

全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会で事務局次長を務める
吉田豊樹さん(35)にも、自殺未遂の経験がある。

ヤミ金融からの借金が一時約3000万円に上り、
取り立てを苦に首をつったが、意識を失う前にベルトが切れた。
テレビで協議会を知り、相談。利息の過払い分を一部取り戻すことができた。

「借金の解決は必ずできます!」。
協議会は、青木ケ原樹海に自殺防止を呼び掛ける看板を設置。
これまで、33人が看板を見て相談の電話をかけてきた。
いずれも自殺を思いとどまった。

「借金で死ぬ必要はない」と吉田さん。
「まずは、身近な相談窓口が大切。ただ、借金の問題だけでなく、
自立支援など包括的な施策が必要」。

昨年1年間に国内で自殺した人は、約3万3000人。
1998年以来10年連続で3万人超。
生きやすい社会とは何か?
命をつなぐ手だてを模索する各地の動きを報告。

※経済生活問題での自殺 

2007年に経済生活問題で自殺した人は7318人、
健康問題に次いで2番目に多い。
「多重債務」は、1973人で約90%が男性。
「借金の取り立て苦」、「自殺による保険金支給」が原因や動機と
みられる人も計320人。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=76280