2008年6月27日金曜日

学生をつくる(9)行動を記録 自省の跡

(読売 6月13日)

学生に、毎日の行動を記録させる大学がある。
「はいっ」「ソーレ」「はいっ」「ソーレ」
石川県穴水町の七尾北湾に、カッターをこぐ学生たちのかけ声。

同県野々市町の金沢工業大学の1年生。
最初は弱々しかった声も、30分かけて周辺をひと回りするころには
力強さが出てきた。
同大では1年生全員が、大学研修施設でカッター操船を経験。
人を思いやる心やチームワークを育てるのが目的。

今年は、新入生約1700人が15班に分かれ、順次施設を訪れた。
学生たちは、大学のイントラネット上の個人ページに、
穴水で感じたことや学んだことを書き込んだ。

金沢工大では2004年度から、イントラ上に複数の
「ポートフォリオ」の仕組みを構築。
1年生全員が記入する修学ポートフォリオは、
毎日の行動履歴を記録するもの。

記入項目は、「欠席・遅刻した講義科目と理由」、
「予習や復習、課題をした科目と所要時間」、
「部活動やアルバイトなどの内容と時間帯」、「睡眠時間」など。
課外活動も記入させるのは、課外も含めた勉強や人間関係の中で、
総合的な人間力が付く。

学生は、毎日の行動だけでなく、1週間ごとに、
週の反省点やその対策を100字以上で書き入れ、印刷して
「修学基礎」の授業で提出。
遅刻が続き、夜にアルバイトをしている場合、すぐに大学が指導できる。

しかし、ポートフォリオの目的は学生の管理ではない。
自分の生活を振り返り、何ができていないか、気づかせること。
藤本元啓学生部長は、「自己を管理し、評価し、次につなげることは、
本来、自らやるべきことだが、今は、できない学生が多い。
教員が介在して手を差し伸べている」。

新入生の1人、工学部の飯岡豊さん(19)は、毎週の勉強、
ボウリングサークルでの活動の様子などをポートフォリオに書き込んだ。
「今は効果はわからないけど、書くのが楽しくなってきた。
後できっと役立つと思う」

工学部3年の沢田隆之さん(21)は、1年の時、
最初は「面倒くさい」と思いながら入力。
特に100文字以上の反省文が苦痛で、
「今週は暇だった、しんどかった」程度しか書く内容がなかった。
しかし、毎週理由付けをしながら書くうちに、
「自分を見つめるようになった」。
今では、手帳を持って自己管理をするように。

学生たちは、時間の使い方が上手になり、ものごとの優先順位が
つけられるようになってきた。
学生を伸ばすことで、その名を知られる大学は、
社会人に必要な能力を、1年目から育てている。

◆ポートフォリオ

本来は、紙ばさみや書類入れという意味。
転じて、教育分野では、学習の目標や記録などをファイルに残し、
その蓄積から成長を確かめる学習法を指す。
バインダーなどに、書類や写真の記録物を入れていく方法が主流だが、
コンピューター上にデータベースとして残していく方法も。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080613-OYT8T00273.htm

スポーツ21世紀:新しい波/272 バレー協会・個人登録制度/7

(毎日 6月21日)

バレーボールの選手カテゴリーは小学生から実業団、ビーチまで
12に分かれている。
10カテゴリーは、昨年度から個人登録制度が適用され、
今年度はソフトバレーが加わった。

約13万人と言われる家庭婦人だけが、今もチーム単位の登録料
(1チーム1000円)を支払っている。
家庭婦人とは、ママさんバレーのこと。
全国家庭婦人バレーボール連盟(家婦連)は、
「制度について考え方の相違がある」。

日本バレーボール協会(JVA)は、
「個人登録すれば、JVA主催大会に参加できる」ことをメリットとし、
選手の加入を推し進めている。
しかし、これはママさんではあまり意味をなさない。

家婦連は、開催する全国4大会にさまざまな出場条件を定めている。
JVAが唯一主催に名を連ねる「全国ママさんバレーボール大会」には、
一生に一度しか出られない。
JVA共催の「ローソンカップ」は、2年連続の出場ができない。
家婦連によれば、「ママさんは全国の頂点を争う必要はない。
より大勢の人が目標を持ち、楽しみながら続けることを主眼に置いている」。

ママさんバレーは、生涯スポーツとして成り立っている。
「このご時世でも、みんなバレーが好きだからやっている。
それなのに、新制度は『登録しないと大会に出られない』とデメリットばかり。
こんなことをやれば、チームは減る一方」と家婦連の幹部は言う。

家婦連は、個人登録制度が導入された07年以来、
JVAに理事を送るのをやめた。
前出の幹部は、「会議の話題は世界大会やVリーグばかりで、
普及や生涯スポーツはテーマにならない。
登録制度に反対しても、疎まれるだけ。もう、理事を送っても仕方ない」。

「JVAは、世界大会などのイベントになると
(受付など運営に必要なマンパワーとして)都合よくママさんたちを使いながら、
全然尊重していない」と不満。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

[第2部・南アフリカ](上)生活と共に 女子長距離

(読売 6月4日)

サッカー・ワールドカップ(W杯)を2年後に控えた南アフリカ。
スタジアム工事が行われ、交通基盤整備も進む光景を見る限り、
かつて国際スポーツ界から締め出されていたことは想像しにくい。
マシシ南ア五輪委会長は胸を張る。
「将来、五輪招致に手を挙げるかは未定だが、
2010年の成否は大きなカギを握るね」

南アの歴史と白人・非白人を区別するアパルトヘイト(人種隔離政策)
切り離せない。1994年に完全撤廃されたが、
この制度は南アが国際社会から孤立する原因。
国際舞台で競争力を磨くことが不可欠なスポーツ界への
ダメージは小さくなかった。
そんな状況で、南アスポーツを牽引してきたのが、女子長距離

五輪の女子長距離は、三千メートルとマラソンが1984年から、
一万メートルが88年から採用されるなど、比較的歴史は浅い。
南アでは、さほど注目されていない時代から人気を誇った。
温暖な気候に加え、ランニングに最適の起伏に富んだ地形。
子供のころから野山を駆け回り、自然と鍛えられる環境。
記録やメダルといった競技色より、生活や趣味として結びついていた。

そんな生活を送り、世界トップにまで上り詰めたのがエレナ・マイヤー
南アが32年ぶりに復帰した92年バルセロナ五輪の
女子一万メートル銀メダリスト。
ケープタウン郊外の閑静な町で育ったマイヤーは、懐かしそうに振り返る。
「私は、恥ずかしがり屋で気の小さい女の子だったけど、
走るのだけは好きだった。ランニングが自信を与えてくれた

今年42歳になるマイヤーは昨年、念願の子宝に恵まれた。
長男の育児に忙しいが、走るのをやめたわけではない。
「乳母車は走って押すの。周りは驚くけど」と笑う。
子育ての一方、子供を対象にしたランニング学校の経営にも携わる。
1日1キロずつ42日間走って、「マラソンを完走する」ことで
スポーツの楽しさや目標を達成する喜びを学ぶ。
子供の非行を防ぎ、教育に役立てるのが狙い。

充実した生活を送るマイヤーだが、
南アスポーツ界の現状には、表情が厳しくなる。
この国では、スポーツへの政治的な関与は避けられなかった。
今も間違った人が間違った理由、やり方で進めるから、
今は強い選手が出ない」と痛烈に批判。

かつてその荒波に翻弄された一人の選手がいた。
「裸足の天才少女」と呼ばれたゾーラ・バッド
近年、公の場に一切姿を見せなかったバッドが語り始めた。
「私が、あのバッドであることを私の子供は最近まで知らなかった」。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080604.htm

心筋細胞の分化促す、たんぱく質IGFBP-4発見 千葉大院教授ら、マウスで実験

(毎日新聞社 2008年6月17日)

心臓の形成に重要な働きをするたんぱく質を、
小室一成・千葉大大学院教授らが発見。

幹細胞の培養に使うと、10-20%の高い割合で心筋細胞が発生。
人にも存在し、重篤な心臓病の新たな治療法につながるか注目。

心筋細胞の再生には、人工多能性幹細胞(iPS細胞)や
胚性幹細胞(ES細胞)が注目。
だが、心筋細胞に分化する割合は1%程度。

研究チームは、心筋細胞への分化を促すたんぱく質が存在すると考えた。
マウスで実験した結果、「IGFBP-4」を幹細胞の培養に使うと、
10-20%の割合で心筋細胞が発生することを突き止めた。

孵化直後のオタマジャクシで、このたんぱく質の働きを止めると、
心臓が小さくなったり消滅することも分かった。

現在の重症心不全の治療は、薬物治療が主流だが、
生存率は5年で平均約50%。
心臓移植も国内で年間10例前後。
小室教授は、「このたんぱく質を使い、心筋細胞内の幹細胞を刺激し、
心筋の再生を可能にしたい」。
英科学誌ネイチャー電子版に発表。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=75499

2008年6月26日木曜日

Tリンパ球とBリンパ球は兄弟ではなかった!新旧の血液細胞分化モデル

(Nature Asia-Pacific)

理化学研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター 河本 宏

免疫機能を司るリンパ球は、造血幹細胞を出発点に段階的な経路を経て作り出される。
古典的なモデルは、生物学や医学の教科書で頻用され、
「Tリンパ球とBリンパ球は、共通の前駆細胞から作られ、両者は兄弟の関係にある」
との考えが常識。
理化学研究所の河本 宏 チームリーダー(以下TL)らは、
この学説を覆す研究成果をもたらした。

血液細胞には、赤血球、顆粒球、単球、Tリンパ球、Bリンパ球など。
顆粒球と単球は、「ミエロイド系(骨髄系)細胞」とも。
1970年代後半に、これらの細胞の全てが骨髄中の造血幹細胞から
作られることが示されたが、Tリンパ球とBリンパ球は
「細胞の形態が似ており、両者とも抗原特異的な免疫反応に関わる」
という共通性をもっていたことから、兄弟の関係にあるとされてきた。
「似た者は、共通の経路で分化してくるのだろう」との推測から、
仮の分化経路図が作られ、教科書などで広く紹介。
この経路図では、造血幹細胞からの最初の分岐で、
「Tリンパ球とBリンパ球の共通前駆細胞」および
「赤血球とミエロイド系細胞の共通前駆細胞」が作り出される。

医学部卒業後の研修医時代に、血液疾患に興味をもった河本TLは、
京大大学病院血液内科系の大学院を修了後、
1994年から胸部疾患研究所(現 再生医科学研究所)の
桂義元教授の研究室に移り、リンパ球の初期分化に関する研究をはじめた。
3年後、桂教授とともにMLPアッセイ法という新手法を開発、
数々のブレイクスルーをもたらすことに。

「MLPアッセイ法では、1個の造血系前駆細胞がもつTリンパ球、Bリンパ球、
ミエロイド系細胞の3系列への分化能を、同時に調べることができる」。
マウス胎仔の肝臓に含まれる造血系前駆細胞を材料に、
その分化能を地道に調べ上げた。
「前駆細胞の中には、Tリンパ球・Bリンパ球・ミエロイド系細胞のうち
一種類しか作らないものの他に、全てをつくるもの、ミエロイド系細胞と
Tリンパ球をつくるもの、ミエロイド系細胞とBリンパ球をつくるものがあったが、
Tリンパ球とBリンパ球の両者だけをつくるものはない」。
この結果は、Tリンパ球とBリンパ球が兄弟の関係にはないことを強く示唆。
一連の実験結果から、従来のモデルが間違っていると推察した
桂教授と河本TLは、「ミエロイド系の細胞は、すべての細胞の基本型となり、
Tリンパ球、Bリンパ球、赤血球への分化経路の途中まで
ミエロイド系細胞を作る能力が保持される」とする
新しいモデル(ミエロイド基本型モデル)を作り上げた。
その後、このモデルは胎生期における造血モデルとしては認められる。
ただし、河本TLらの発表後に、「マウス骨髄中で、Tリンパ球とBリンパ球の
共通前駆細胞を同定した」の報告がいくつか出され、
成体では従来のモデルが正しいとされ続けた。

2002年から現職に就いた河本TLは、和田はるか研究員とともに、
ミエロイド基本型モデルが胎児期に限らず、
生体にもあてはまることの実証に乗り出した。
前駆細胞を特殊な細胞(ストローマ細胞)とともに培養する新たな手法も開発。
「成体マウスの胸腺中にあるTリンパ球の前駆細胞が、
Bリンパ球を作る能力を失っていることは分かっていた。
今回、新しい培養法によって、この前駆細胞を1個ずつ培養したところ、
多くがTリンパ球とともにマクロファージをも作りだした」。
Tリンパ球前駆細胞由来のマクロファージは、
胸腺中のマクロファージの約30%に達する。
T前駆細胞は、Bリンパ球を作れなくなってからでも、
ミエロイド系細胞を作ることが証明。
この事実は、従来の造血モデルでは説明できず、
ミエロイド基本型モデルが正しいことを強く支持。
「私たちの成果は、教科書の書き換えを迫るだけでなく、
免疫細胞の起源や進化についてのパラダイム転換をももたらす」。
「同時に、白血病の病態理解やリンパ球を用いた再生医療にもつながる」、
Tリンパ球を、体外で効率よく培養する手法の開発に着手。
「がんを根治できるような免疫療法の開発という究極の夢」
に向けて走り続ける日々が続く。

セカンドライフ:地球を救う未来都市 仮想空間で設計コンペ--東大が参加者募集

(毎日 6月16日)

二酸化炭素(CO2)の排出量が半減する街づくりに参加しませんか?

東京大公共政策大学院は、ネット上の仮想世界「セカンドライフ」で、
環境に優しい「持続可能な街づくり」コンペ(設計競技会)を開催。
仮想空間での作業を通じ、現実社会に必要な地球温暖化対策や、
それに関する人々の合意形成のあり方を探るのが目的。
27日まで参加者を募集中で、
「地球を救う未来都市」のユニークなアイデアを期待。

寄付講座「エネルギー・地球環境の持続性確保と公共政策」の
一環として実施。
松浦正浩・客員講師(合意形成学)は、
「仮想空間を活用した環境に優しい都市設計の研究は例がない」。

参加者は四つのチームに分かれ、与えられた土地で
住宅やビル、道路などの建築・構造物、街路樹などの植栽を
ネット上で議論しながら自由に配置。

例えば、太陽光発電などを活用し、
「持続可能なエネルギー・環境を体現した街」をつくる。
議論の過程は記録する。
仮想通貨で予算も決められ、必要な物資はその範囲内で購入。
可能なら、独自の技術で太陽光発電パネルなどを自作してもいい。

「街づくり」の期間は今年7~12月で、終了後に都市計画などの
専門家が講評し、最優秀の街を決める。

松浦講師は、「仮想とはいえ街づくりをすることは、
現実の環境政策のあり方にも応用できる独創的な試みだ」。

参加者は「セカンドライフ」へアクセス、利用できる環境にあることが条件。
詳細はプロジェクトのホームページ(http://www.slplanning.net/)。

http://mainichi.jp/life/ecology/news/20080616ddm016040044000c.html

学生をつくる(8)「遊び」が「学び」の教科書

(読売 6月12日)

キャンパス内での「遊び」を、「学び」につなげる取り組みがある
竹やぶのあちこちに、顔をのぞかせたタケノコを見つけ、
軍手にジャージー姿の大学生20人が歓声を上げた。

日本福祉大学美浜キャンパス(愛知県美浜町)の一角。
クワとスコップで周りを掘り、手で土をかきわけて引っ張り出したのは
長さ約60センチ。
「初めてとは思えない腕前だね」と社会福祉学部の平野征人教授(63)が
学生たちの肩をたたき、顔をほころばせた。

同大は、6学部の新入生約1200人を入学直後、
20人前後のゼミに入れ、自ら学ぶ習慣や討論・発表の仕方、
幅広い教養、コミュニケーション能力などを2年かけて学ばせる。
そのゼミで、平野さんは「遊び」を重視。
「遊びには、学生を育てるあらゆる要素が入っている」。
タケノコ掘りもその一環。

4年前、愛知県立高校の教頭を最後に定年退職、
同大の教壇に立った時、平野さんは、大学入試ばかり意識して
生徒に向かってきたことを反省させられた。
与えられた問題は解けても、
自分で問題を見つけて考え続ける姿勢が乏しい、
人との間合いがつかめないため議論が難しい、
そんな学生が目の前にいたからだ。

実践的知識や体験、人とのかかわり方など、
社会に出て必要な力を身に付けさせたいと思いを巡らせるうち、
「遊び」に行き着いた。

手軽で、楽しくなければ、今の学生は飛びつかない。
夏は竹を切り割ってそうめん流し、秋はキノコ狩りやアケビ採り。
自然に恵まれたキャンパスならできる。

3年目となるタケノコ掘りでは、驚かされることも多い。
道具持参でと指示すると、ハサミを手に現れた学生もいる。
タケノコは、枝にぶら下がっていると思ったようだ。
そんな学生たちが、掘り方や料理法だけでなく、
竹の根が治山・治水に役立った歴史や里山の現状まで学んでいく。

学生同士の交流も深まる。
社会福祉学科2年の生田卓也さん(19)は、
「互いの名前もわからず、不安だったが、
一緒に掘ることでつながりを実感できた」。
小学校の教員志望。
いつか子供たちにも体験させたいと意欲を燃やす。

こうした「遊び」は、キャンパスに広がり始めている。
発信元は、斎藤真左樹・教育開発担当部長(46)が
学内ウェブに書く「自給自足さんの日記」。
15年前からキャンパス内を歩き回り、果物や山菜など、旬の味を発見、
数年前からウェブで収穫時期や今年の出来具合、料理方法などを紹介。

斎藤さんが、タケノコ掘りをビデオ撮影してウェブで流すと、
直接案内を求める教員が増えた。
実は、平野さん自身、元は斎藤さんの「日記」から着想を得ていた。

2人の思いは同じだ。
「おいしいキャンパスを、生き生きとした学びの栄養にしてほしい」
地方ならではの手法が、竹のように根を張りそうだ。

◆コミュニケーション力習得と大学生

日本能率協会(東京)が今春入社した984人に、
大学生時代、どんな知識や能力の習得に力を入れたか尋ねたところ、
「専門知識」(40%)、「コミュニケーション能力」(33%)や
「発表能力」(24%)が挙がった。
「英語等の語学力」、「文学、歴史、哲学等の一般的な教養」は15%。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080612-OYT8T00230.htm

[第2部・エチオピア]ランニングの国の誇り

(読売 6月3日)

地平線にかすむ一本道を選手が駆けていく。
首都・アディスアベバから、車で約30分の高原の空気は薄い。
約2500メートルの高地で行う1週間に1度のロード練習中、
デスタ・マラソンコーチの声が響く。「休むな、走り続けろ」。
背中に薪を積んだロバが時折、驚いたように耳をピンと立てる。

近年のエチオピア男子長距離の歴史は、そのまま世界の系譜でもある。
はだしで走って1960年ローマ五輪男子マラソンを制し、
世界を驚かせたアベベ・ビキラは、続く東京五輪も制覇。
メキシコではマモ・ウォルデが、エチオピア勢の五輪3連覇を達成。
モスクワではミルツ・イフターが五千、一万メートルの2種目で金メダル。
90年代からは、男子マラソンでハイレ・ゲブレシラシエ、
トラックでケネニサ・ベケレの2人の世界記録保持者が君臨。

ベケレは言う。「僕はエチオピアにしか住んだことがないから、
他国で育っていたら、どんな選手になったかは分からない。
だけど、国と自分の誇りのために走っているのは、間違いない」

心肺機能を高めるのに最適な標高2000~3000メートルの高地で育ち、
子供のころから高いレベルで切磋琢磨する環境。
アベベから連綿とつながる英雄たちに触発される歴史。
確かに「強くなる要素」は多い。では、それだけが強さの源だろうか?

食料の安全や貧困の削減が国の最重要課題に挙がるように、
国勢は決して裕福ではない。
しかし、3000年前とされる、アフリカ最古の独立国としての「気高さ」は、
エチオピア人の体に染みついている。
その〈矜持〉を形にして満たし、国民の希望を一身に担うのが、ランニング。
アフリカ諸国には、オイルマネーで裕福な中東の国に“国籍を売って”
代表の座を望み、金に固執する「国家意識」の希薄な選手は珍しくない。

エチオピアは違う。
選手たちは、海外の賞金レースで稼ぎながら自国で生活を続ける。
「皇帝」ゲブレシラシエは、語気を強める。
「私は、アベベ以来のあらゆるものを受け継いでいる。
ここに住み、生きているのが、トップであり続けている最大の理由」。
大気汚染を懸念し、北京五輪男子マラソン欠場を表明、
国や陸連とあつれきが生まれる現状にも、国を離れる考えはない。

数時間後、デスタコーチの声がやみ、練習が終わった。
褐色の肌に汗を光らせた若手選手が話す。「ここで走ることがすべて」。
祖国への誇りとランニングの血。
この二つが強く結びついている限り、強者の系譜は続いていく。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080603.htm

学校法人・北里研究所と大船渡市 地域連携で協定

(東海新報 6月18日)

学校法人・北里研究所と大船渡市との連携協力に関する
協定書締結式が、大船渡市役所で行われた。
同研究所による地域連携は、全国で4自治体目。

同研究所と北里大学を運営する学校法人・北里学園は、
統合して新しい組織体系となり、
30年以上三陸キャンパスがある同市との関係を生かし、
人材育成連携や教育・文化・スポーツの振興などに取り組む姿勢。

締結式には、同研究所側から柴忠義理事長、
北里大学海洋生命科学部の緒方武比古学部長、
同学部の山森邦夫教授らが出席。
市側からは甘竹勝郎市長、紀室輝雄副市長、金野大登教育長らが同席。

甘竹市長は、「北里大は、この地に昭和47年から35年の長きにわたって、
活躍されている。一時は撤退の話もあって心配したが、
柴理事長の英断もあり学部名称を変えられ、
校舎の改築にも着手していることに敬意を表したい。
大学のご隆盛と地域の振興発展に協定できたことに感謝します」。

柴理事長も、「これまでも連携は進めているが、
さらなる発展の証しとなったのでは。
海洋生命学部は、水産学会の中で突出している学者の集まり。
地元に還元できることは、大学としてもうれしい限り」。

協定書に盛り込まれた協力事項は、
▽人材育成
▽教育・文化・スポーツの振興・発展
▽まちづくり
▽産業振興
▽環境保全
包括的な連携のもとで相互に協力し、地域の発展と人材育成を目指す。

人材育成については、同学部側が持つ栽培漁業など専門的な知識を提供。
緒方学部長は、「現場の問題に関する研修会などを開催することで、
若い世代が海に関心を持つ動きを進められれば。
学部施設、教員を積極的に活用してもらい、人材育成を図りたい」。

大船渡市と同学部はこれまでも、生物観察会などの開催、
各種協議会委員への教員派遣など連携を深めているが、
今後はより積極的な活動を行う方針を掲げている。

7月19日から開幕する「海フェスタ」期間中、
大船渡駅前で同学部による企画展を開催。
今月末には体験実習として、魚市場や水産加工事業所などに
学生が訪れ、現場の水揚げ、加工に理解を深める。

学校法人・北里研究所は今年4月、社団法人・北里研究所と
学校法人・北里学園が法人統合して新たに発足。
薬学部、獣医学部、医学部、海洋生命科学部をはじめとした
学部、研究所、病院などを持つ北里大学と、
看護、保健衛生の専門学校、生物製剤研究所等で構成。
学校法人全体の職員は5千6百人余り、学生は約9千人。
運営病院に訪れる患者も、一日5千人に上るなど、
生命科学の最前線で活躍する人材を育成。

三陸キャンパスで、2年生以上の生徒が学ぶ海洋生命科学部は
今年度、水産学部から名称変更。
これまで15の海外大学と協定締結を結び、
神奈川県相模原市、青森県十和田市、岩手県釜石市とも地域連携。

http://www.tohkaishimpo.com/

2008年6月25日水曜日

遺伝子ドーピング、コーチ・医師も処罰…IOC医事委員長

(読売 6月12日)

世界反ドーピング機関(WADA)のアルン・ルンクビスト副会長
(国際オリンピック委員会医事委員長)は、
サンクトペテルブルクで行われた第3回遺伝子ドーピング国際会議後、

北京五輪で遺伝子ドーピングを行った状況証拠等が見つかった場合、
選手だけでなくコーチや医師など関係者も処罰すると語った。

来年施行する新WADA規約では、4年の資格停止に相当すると明言、
厳罰で臨む姿勢を見せた。

北京五輪までには、筋肉を太くしたり赤血球を作ったりする
ホルモンの生産遺伝子を体内に加える遺伝子ドーピングが、
行われる可能性が高いと指摘されており、これを受けたもの。

ルンクビスト副会長は、現時点で遺伝子ドーピングが行われているとの
情報は得ていないとしている。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/news/topic/sports/news/20080612-OYT1T00136.htm

エコカー:期待の両輪 燃料電池車と電気自動車

(毎日 6月16日)

自動車メーカーが、ガソリンをまったく使わずに走る
次世代エコカーの開発を強化。
地球温暖化問題や原油高に対応、水素を動力源とする「燃料電池車」と、
家庭用電源などから充電する「電気自動車」が
次世代エコカーの2大勢力になりそう。

◆1台数千万円

ホンダが、栃木県の工場で生産を始めたのは
新型燃料電池車「FCXクラリティ」。
7月に米国で、秋には日本でリース販売を始め、
今後3年で200台の販売を目指す。

燃料電池車は、タンク内の水素を空気中の酸素と化学反応させて発電し、
モーターを動かすため、排出するのは水だけで二酸化炭素(CO2)は出さない。
クラリティは、一度に走れる距離が平均的なガソリン車を超える620キロ。

トヨタ自動車も今月、新型の燃料電池車を完成させ、
年内に国内リース販売を開始、米ゼネラル・モーターズ(GM)や
独BMWなど欧米勢も燃料電池車の開発に熱心。

燃料電池車は、製造工程が複雑で、1台当たりのコストが
「数千万円以上」(福井威夫ホンダ社長)。
ホンダは、10年以内に1000万円以下で販売できるよう
コスト削減を急ぐが、それでもまだ高い。
ガソリンスタンドに代わる水素ステーションの整備も課題で、
現在は官公庁など特定の利用に限られ、
「一般に普及するまでに20~30年はかかる」(業界関係者)。

◆燃費10分の1

燃料電池車より一足早く普及しそうなのが、電気自動車。
高価なリチウムイオン電池を使うため、
製造コストはガソリン車の倍以上となるが、
燃費はガソリン車の約10分の1に抑えられる。

最近は、ガソリン高で電気自動車への注目が高まっており、
三菱自動車は09年夏、日産自動車や富士重工業も
10年度までに販売を開始する計画。

電気自動車は、1回の充電で走れる距離がガソリン車の半分以下。
電気自動車の使い勝手を、ガソリン車並みに高めようと、
トヨタが今月下旬、次世代電池の研究・開発に乗り出すが、
2030年ごろまでの開発が目標で、
当面は買い物など近距離用途に限られそう。

◇電機会社と提携 リチウムイオン電池の開発・量産化

電気自動車などの性能を左右する「リチウムイオン電池」の
開発・量産化に向け、自動車と電機メーカーの合従連衡が加速。
中核部品は、自社で手がけたいという自動車会社と、
大口顧客を確保したい電機会社の利害が一致。

トヨタ自動車は、松下電器産業との合弁会社を通じ、
10年からリチウムイオン電池の本格生産を始める。
家庭用電源で充電できる「プラグインハイブリッド車」などに搭載。

日産自動車はNECと、三菱自動車はジーエス・ユアサなどとの合弁で、
09年以降、量産に乗り出す予定。
三菱自は仏プジョーシトロエングループと
電気自動車の技術提供に向けた交渉も進めている。

三菱電機は、独フォルクスワーゲンに電池を供給する契約を締結。
日立製作所は、米ゼネラル・モーターズに電池を供給する予定。

自動車会社は競争力確保のため、
「主要部品は外部調達に頼りたくない」(大手自動車メーカー)。
電機会社は、「安定供給先を事前に確保した方が、
巨額の資金が必要な設備投資に踏み切りやすい」(電機大手)。
自動車と電機メーカーは、それぞれ特定の相手と手を結び、
業界の垣根を越えた陣営作りが進んできた。

燃料電池車より普及が早く進むとみられる電気自動車だが、
「電池価格を大幅に引き下げることが不可欠」(業界関係者)と指摘、
大量生産体制を実現するため合従連衡がさらに進む可能性も。

◇ことば リチウムイオン電池

充電式電池の一種で、ノートパソコンや携帯電話などに使われている。
軽量で電気をためる容量が大きい。
現在のハイブリッド車で主に使われているニッケル水素電池に比べ、
体積や重量を半分以下に抑えられる。
ハイブリッド車や電気自動車の燃費を高めて走行距離を延ばすことが可能、
次世代自動車の有力な動力源として開発が進んでいる。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080617k0000m020098000c.html

中国も自然を食いつぶす国に

(サイエンスポータル 2008年6月12日)

エコロジカル・フットプリントとは?
WWF(世界自然保護基金)ジャパンによると、
「ライフスタイルを支えるのに必要な農耕地等の面積の和」と説明。

NPO法人「エコロジカル・フットプリント・ジャパン」によると、
「私たち人間のエネルギー消費、食料、消費財などを面積に換算、
どれほどの土地が必要かを表すこと、
どれほど人間が自然環境に依存しているかを、わかりやすく伝える指標」。
あるエリアの経済活動の規模を、食料のための農牧地・海や
木材・紙供給・二酸化炭素吸収のための森林など、
エリア内だけでなく輸入品の生産に要するエリア外の面積も
足し合わせてヘクタールで表す。

「エリアで自然環境を踏みつけている面積=人間の足跡(フットプリント)」

1人当たりのエコロジカル・フットプリントが、
中国では1960年代から2003年時点で倍増、
国内の生態系が持続的に供給できる飲み水、農作物、木材などの
天然資源の2倍以上を必要。

「中国の環境と開発に関する国際協力委員会」(CCICED)とWWFの
共同委託研究に基づく報告書。
2003年の中国の1人当たりエコロジカル・フットプリントは、1.6ヘクタール。
ライフスタイルを支えるために必要な土地が、1.6ヘクタールということ。
この数字は、世界平均の2.2ヘクタールよりは小さい。

巨大な人口のため、1960年代までは、同国内の生物生産能力が
エコロジカル・フットプリントを上回っていたが、70年初めに逆転、
03年はエコロジカル・フットプリントの方が生物生産能力の倍にまで増大。

祝光耀CCICED事務局長は、「中国は、これからの20年が正念場。
持続可能な発展に切り替えられるかどうかが重要」。
中国の生物生産能力から見た輸入の総量は、4億8,000万ヘクタール、
輸出は3億5,000万ヘクタール。差し引き1億3,000万ヘクタールの入超、
これはドイツの生物生産能力に相当。

輸出入の相手国を見ると、輸入が多いのはカナダ、米国、インドネシア。
米国からは穀物、丸太、パルプが主な輸入品、
インドネシアもパルプが主、森林資源の外国依存が顕著。
輸出が多いのは日本、韓国、オーストラリア、米国で、
オーストラリアは紙、その他3国は毛織物、水産物が主要輸出品。

日本に関しては、輸入に比べ、輸出が極端に多く、
差し引き1,580万ヘクタール分のエコロジカル・フットプリントを
日本は中国に負担させているという結果。
日本の1人当たりエコロジカル・フットプリントは、4.4ヘクタールで
中国よりもはるかに高く、世界平均の倍。

ヘモグロビンA1C値はその後の糖尿病による死亡率に強く関連する

(Medscape 6月9日)

ヘモグロビンA1C(HbA1C)値は、以前に糖尿病と診断されていない
男女のその後の死亡率に強く関連することを示す、
HbA1C値とその後の死亡リスクに関する最大の研究結果が、
『Diabetes Care』6月号に報告。

マッセー大学公衆衛生研究センター(ニュージーランド)のNaomi Brewerらは、
「当初、糖尿病がみられない被験者のHbA1C値とその後の死亡リスクとの

関連について検討したプロスペクティブ(前向き)研究は、わずかしかない」。
「HbA1C値とその後の死亡率との関連が認められた。
HbA1C値は、1型糖尿病および非糖尿病性慢性腎疾患患者の死亡率や
心血管疾患の発症とも関連」。

本研究の目的は、ニュージーランド人におけるHbA1C濃度と死亡率との
関連を評価すること。
肝炎財団(Hepatitis Foundation)のB型肝炎検査キャンペーンにおいて
HbA1C検査を受けた参加者は、1999~2004年まで、
国民死亡データベースに匿名でリンク。
コックス回帰分析を用い、年齢、民族性、喫煙習慣、性別について
補正したハザード比(HR)を推定。

参加者47,904例のうち、71%がマオリ族、12%が太平洋民族、
5%がアジア系、12%がその他。
HbA1C値が4.0%未満であったのは142名、
4.0~5.0%未満(基準カテゴリー)は12,867名、
5.0~6.0%は30,222名、6.0~7.0%は2,669名、7.0%以上は1,596名。
408名は、以前に糖尿病の診断を受けていた。
追跡調査期間中、815名の死亡。

以前に糖尿病の診断を受けていない参加者において、
全死因による死亡のHRは、HbA1C値の基準カテゴリーから
最高値カテゴリー(7.0%以上)まで着実に上昇。
HbA1C値は、循環器疾患、内分泌疾患、栄養疾患、代謝疾患、
免疫疾患による死亡、その他および原因不明の死亡とも関連。
以前に糖尿病の診断を受けた参加者でも、死亡率の上昇が認められたが、
HbA1C高値では部分的にしか説明できなかった。

「この研究は、HbA1C値およびその後の死亡リスクに関する最大の研究。
今回の結果は、以前に糖尿病の診断を受けていない男女において
HbA1C値がその後の死亡率に強く関連、過去の知見を確認するもの」。

本研究の限界として、人体測定データと他の心血管リスク因子の情報がない、
短い追跡調査期間、HbA1C検査時の糖尿病により血糖値が上昇していた
可能性が除外できない、具体的な死因の誤分類、参加者は
地域集団に基づく集中的なB型肝炎検査プログラムに登録、
本知見を全人口に一般化できない可能性がある。

HbA1C高値に伴う過剰な死亡リスクは、様々な原因によるが、
特に内分泌・栄養・代謝・免疫疾患および心血管疾患との強い関連。
しかし、以前に糖尿病の診断を受けた参加者において、
HbA1C値では、上昇した死亡リスクの一部しか説明できなかった」

Diabetes Care. 2008;31:1144-1149.

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=75484

[第2部・米国](下)「薬物ダメ」選手から発信

(読売 6月2日)

ごく少数の、しかし、世界的トップ選手の薬物汚染で、
内外から不審の目にさらされる短距離王国・米国。
クリーンなアスリートにとっては、「風評被害」が広まる中、
反ドーピング(禁止薬物使用)の声は、選手側からも高まっている。

テネシー大体育館。
昨年の全米四百メートル女王のディーディー・トロッター(25)は、
練習後の着替えの時間も惜しんで語り始めた。
「ドーピングスキャンダルで、みんなが疑われている。
だけど、自分は違うと世間に発信したかったの」

昨年2月、独自の反ドーピング運動を始めた。
母と二人でNPO法人を設立。
1万1000ドル(約114万円)を投じて、白地に赤で
「TEST ME, I’M CLEAN」と記したリストバンドを作った。
2ドルでネット販売し、大会などでは無料配布。
既に約15か国から購入。
昨冬からは各地の高校などへ講演に出かけ、幅広い世代に、
薬物の危険性、誠実に生きることを訴える。

「薬物を使わないことは、人間として誠実に生きる証し。
最初は自分を守るためだったけど、このプログラムは一生続けたい」。
あふれる思いは2時間以上、途切れることなく続いた。

自分は自然そのまま、クリーンな身だ。
そんな意味のタトゥーを昨季前、腕に刻んだのは、
2005年ヘルシンキ世界陸上男子二百メートルで銀、
昨年の大阪世界陸上では銅のウォラス・スピアモン(23)。
トップ選手だった頑固一徹な父から
「ズルはするな。ハードな練習で正しい道を進め」とたたき込まれ、
アルコールはもちろん、カフェインも避けるためにコーヒーも飲まない。

「簡単にとれないタトゥーは、100%の覚悟の意味。
僕はクリーンだと示す重要なアクションだった」

パームツリー並木が迎えるロサンゼルス。
24年前の五輪で、カール・ルイスが4冠に輝き、五輪の商業化、選手のプロ化を
加速させた地で、米国陸上関係者の多くが反ドーピングの象徴として
名を挙げるアリソン・フェリックス(22)は、練習に励んでいた。

カモシカのような細い手足で、大阪世界陸上女子短距離3冠。
父と祖父が牧師の、信仰深い彼女は言う。

今の時代に生まれたのも、神様が与えた使命。
北京では、人間らしい側面を見せてメダルを取れない可能性もあるけど、
それも自然の結果。
でも私は、科学の力に頼らず、自然な力で成功できると訴えたい」

米短距離界始まって以来の暗闇の時代、
胸の中に熱い思いを抱える「新世代」と呼ばれる選手たちがいる。
8月の北京で、彼らの輝きが、闇を振り払うか。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080602.htm

2008年6月24日火曜日

博士はあまっていない?

(サイエンスポータル 2008年6月9日)

ポスドク問題は、いろいろな場で論じられ、
「これは、若者から見れば一種の詐欺行為」
(吉川弘之・産業技術総合研究所理事長)という声も。

日本物理学会キャリア支援センター長、坂東昌子・愛知大学名誉教授の
基本的な考えは、「若い人たちだけの問題ではなく、
日本の将来、科学技術で身を立てていこうとしている
日本の将来にかかわる大問題」。

博士を採用しないと自分たちが困ることになる、
という危機意識が産業界には薄い。
こうした企業に対し、姿勢転換を求める声も。
「世界中どこへ行っても、研究開発の現場では博士が活躍。
日本だけが違う。
相変わらずキャッチアップ型なら、修士で足りる。
本当に最先端を走るなら、博士中心にならなければ駄目。
日本企業は、本当に技術開発をする気があるのか、
本当に将来を読んでいるのか」。

企業の姿勢が変わるのをじっと待っていればよい、という問題ではない。
府川伊三郎・日本化学会理事が、日本化学会が進めている
博士卒人材の企業就職支援策について紹介。
博士がイノベーションの中心を担っている世界の現状に対し、
日本の化学企業は修士が中心。博士卒の採用率は、5-10%。

例外は製薬業界で、博士卒の採用比率が高く、30~70%。
理由は、製薬メーカーは専門を生かしやすいこと、
グローバル展開により、海外で臨床検査にかかわる機会が増えたこと。
海外では、修士はテクニシャン扱いでしかない。

化学メーカーには、扱うテーマが変わっても、
ゼロから対応できる能力が要求され、博士号の専門を生かしにくい。
長年、修士が研究開発の中心として頑張ってきたという自負から、
博士の採用増への反発も社員の中に見られる。

日本化学会は、「博士課程在学生のための短期集中的インターンシップ」、
「拡大博士セミナー―博士のためのセミナーと就職相談会」を開催。

産学協調の催しが実現したのは、
「博士の人材育成に関する提言」という野依フォーラムが、
経団連などに出した文書がきっかけ。
野依フォーラムは、野依良治・名古屋大学教授がノーベル化学賞受賞を機に
野依氏を囲む化学・製薬企業20数社をメンバーとする集まり。

日本物理学会キャリア支援センターの試みで、成果が上がった例に、
物理医学士がある。
物理学と医学という異なる専門知識を要する
新しい職種への物理学博士の参入。
日本物理学会が実施するシンポジウムや特別企画による支援策で、
物理医学士の道を歩み始めた物理博士は10名超。
もともとあったニーズに、学会側の積極的な取り組みがうまくかみ合った。

井村裕夫・先端医療振興財団理事長は、
「PET(ポジトロン断層法)が注目されているが、
画像を読める専門医がものすごく不足している」。
医療の進歩に、人材育成がついて行けない。
医療の分野では、さらに統計学者ももっと必要。

国際的に遅れ、深刻視される臨床研究には、
統計学の分かる人材が不可欠。
高度な専門知識と、新たな分野への挑戦意欲を持つ人材が必要なのに、
人材養成が追いついていない。

こんな領域は、医療以外にもある。
こうした分野、職種にこそ、博士が積極的に飛び込むことが期待。
ポスドク問題には、活躍すべき分野にポスドクが行っていないという面も。

http://www.scienceportal.jp/news/review/0806/0806091.html

35疾患患者集団の一塩基多型情報公開

(サイエンスポータル 2008年6月11日)

がんや心臓疾患など35の代表的病気を持つ患者集団から得られた
一塩基多型の頻度情報が、ウェブサイトで公開。
ヒトの遺伝子は、人種や個人により微妙な違いがある。
ゲノム上の塩基配列が1個所だけ変わっている場所が
人口の1%以上に見られる場合を、一塩基多型(SNP=スニップ)。

特定の病気にかかりやすかったり、薬に強い副作用を示すヒトと、
一塩基多型との間には関連。

今回のデータ公開は、理化学研究所と科学技術振興機構が
2003年から「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」の一環。
東京大学医科学研究所に設けられているバイオバンクジャパンに
収集されている、35疾患の日本人患者集団191-195人分の
DNA試料を、理化学研究所ゲノム医科学センターが解析。

この結果得られた35疾患患者集団の一塩基多型頻度情報が、
JSNPデータベースで公開。
JSNPデータベースには、日本人一般集団に見られる約20万カ所の
一塩基多型の頻度情報が収められ、データは昨年10月から公開。

標準的な日本人の一塩基多型データと、今回公開される35疾患の
患者集団の一塩基多型頻度情報を比較する研究が内外で進められ、
病気や副作用に関係する新たな遺伝子が見つかると期待。

「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」は、
新しい治療薬や診断薬の開発、個人にあった投薬法を開発するための
プロジェクトで、理化学研究所ゲノム医科学センターが
遺伝子解析の中心的な役割。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0806/0806111.html

使われるほど進化する音声情報検索システム

(サイエンスポータル 2008年6月13日)

ユーザーが協力すればするほど性能が向上する
音声情報検索システムを、産業技術総合研究所の
後藤真孝・主任研究員と緒方淳・研究員らが開発。

インターネット上にある日本語の音声データ「ポッドキャスト」を
対象としたこのシステムによる全文検索システム
「「PodCastle(ポッドキャッスル)」を公開、実証実験を開始。

ポッドキャストは、音声版ブログとも言われ、急速に普及。
これまでの音声認識技術では、誤認識が多く、新しい言葉に対応できず、
インターネット上には多様な音声データが存在するのに対し、
使い物になる音声情報検索サービスは実現していなかった。

新しく開発されたポッドキャッスルは、
不特定多数のユーザーが簡単な操作で誤認識を訂正できる
新たなインターフェースが組み込まれている。
さらに、不特定多数のユーザーの協力で構築されている
インターネット辞書「はてなダイアリーキーワード」などを用いて
開発された、新しい言葉を自動学習する仕組みも付加。

この結果、多くのユーザーが利用し、訂正すればするほど
音声の検索・認識性能が向上する性格を持っている。
ロボットやコールセンター、会議議事録作成などの
さまざまな分野への応用が期待。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0806/0806131.html

学生をつくる(7)上級生が学び方 助言

(読売 6月11日)

大規模大学が、学生づくりに上級生の力を借りる。
黄金週間のはざま。
立命館大学経営学部の1年を対象にした八重樫文准教授(34)の
基礎ゼミでは、約30人の学生が数人ごとに分かれて
「チベットデモはどうなるかな?」、「サブプライムは?」と
議論の花を咲かせていた。

現在の世の中の情勢を分析し、1年後の社会や経済を
予想するのがテーマ。
1年生のゼミは、大学での学び方や討論の仕方などを教えている。

てんでに言い合う1年生を、「背景を考えてみて」と促したのが
3年の三木涼平さん(20)。
新入生支援のボランティア「オリエンテーター」、通称オリターの一人。
1学年の学生が約7000人いる立命館大で、700人いる。
ゼミの手伝いだけでなく、入学式前後の歓迎会や交流会など
仲間づくりの場を設け、個々の相談にも乗る。

三木さん自身、入学時の心細さをオリターに支えられた。
自分の経験をもとに、「1年生の思いをきちんと受け止めたい」。
八重樫准教授も、「オリターが1年生の理解度をつかんでくれるから助かる」。

上級生を新入生支援のボランティアに充てる大学は、今は珍しくないが、
立命館はその先駆け的な存在。
1960年代、学生運動の拠点だった自治会で、
新入生の世話役を「オリター」と称した。
大学側が「新入生支援のボランティア」として公認したのは、91年。
沈滞した自治会の活性化という理由もあったが、
大規模大学での教育充実に、上級生の力を借りたいと考えた。

研修や活動内容、人選は学部のオリター組織に任されている。
大学から謝礼として、5000円分の図書券が出る。
大学が99年度に法学部1年505人を対象に調べたところ、
「オリターがいてよかった」の声が92%。

2004年度からは、上級生による授業ボランティア
「ES(Educational Supporter=教育支援者)」制度も開始。
前年度に同じ科目を履修した学生のうち、成績優秀者700人を、
学内の「大学教育開発・支援センター」で研修。
新入生らも受ける約300科目の授業内容の点検や受講生の指導。

昨年度からは、教育学の教授ら3人が担当する「ピア・サポート論」の
授業も開講、支え合いの意味を考えてもらっている。

オリターやES活動への参加は、上級生自身の学びにもつながっている。
02、04年の2回、計525人のオリターらに尋ねたところ、6割が
「コミュニケーション能力」、「他者に説明・理解させる能力」などが向上。

学内には「学生を取るだけ取って、上級生任せでいいのか」という疑問も。
300人超の大規模授業が全体の3割、約4200を占める状況で、
教育の質を維持・向上できるか。
大規模大学の課題は残る。

◆院生補助員は3分の2の大学が活用

文部科学省の調査では2006年度、大学院生に、手当を支給して
学部で教育補助業務をしてもらうTA(ティーチング・アシスタント)は、
全大学の66%に当たる465校が活用。
「実験・実習・実技指導」が422校で最多、「ゼミの指導」が221校。
TAの総数は約8万人。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080611-OYT8T00262.htm

[第2部・米国](中)ドーピング 進む厳罰化

(読売 5月29日)

米国の陸上五輪代表選考システムは、明快。
選考会で上位3人に入ればいい。
多様な価値観の渦巻く移民の国。
単純明快な一発勝負の結果は、誰もがすっきり受け入れる。
百メートルは、「誰が最速か」を即決してくれる、最も注目を集めるメーンイベント。

全米陸連のクレイグ・モズバック前CEO(最高経営責任者)は、
「スピードは、米国の文化。広大な国家が機能するには、
情報や物の伝達などすべての面で、スピードは欠かせない。
だから短距離も米国の文化、伝統となった」。

しかし、ドーピング(禁止薬物使用)は、
明快、公平に「最速」を決めるレースをぶち壊しにする。

「我々が望むのは、科学的に確信的にドーピングの事実を見つけ出し、
裁判所などではっきりさせることだ」。
全米陸連のビル・ロー会長は、抜き打ちテストの増強を
米国反ドーピング機関(USADA)に要請していることを明かし、
北京五輪で薬物使用が発覚した場合には、
4年後の五輪には出場させない厳罰方針を採ることも明言。

検査、罰則の増強は緊急課題。
しかし、それだけで霧は晴れるだろうか?
テキサス大のジョン・ホバマン教授は、「検査は改善したが、
その先を行くクスリも生まれる。友人の科学者も、
検査ですべてを解決する希望はないと常々指摘する」。

宇宙センターで知られる土地にある、テキサス州のヒューストン大学。
午前9時、小柄な老人がトラックに現れた。
カール・ルイスを育てたトム・テレツ氏。
75歳のボランティアコーチは、休む間もなくグラウンドを右へ、左へ。
手が空いたのは昼過ぎだった。

「全員がドーピングを疑われる状況では、まずはお金をかけて
検査の精度を上げるしかない」
ドーピング対策について、そう答えると、続けた。
日本人は絶対使わないだろう。恥を知っているから。
米国人はお金のために使う。悲しいね。
ルイスはクスリなしで記録を作り、スポーツ環境は以前より良くなった。
なぜクスリに手を出す必要があるのか」

米短距離界を栄光に導いたストイックなまでに勤勉な老コーチは、
立ちっぱなしで30分以上熱く語り、嘆き、
昼食も取らずに、再びグラウンドへ向かった。

ドーピング問題の根っこに横たわる、ごく少数者のモラルの喪失。
老コーチを嘆かせる心の問題を、解決する方法はあるのか。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080529.htm

2008年6月23日月曜日

脳を元気に (4)読み書き算数 効果実証

(読売 6月16日)

読み書きそろばん。
昔の子どもたちの「必修科目」が、認知症の改善や予防に効果のある
「脳トレ」として注目。

くもん学習療法センターが、東北大の川島隆太教授(脳科学)らと
共同開発した高齢者向けプログラム「学習療法」。

小林一茶の俳句「雪とけて 村いっぱいの 子供かな」などの
やさしい読み書きと、「4+1」など1けたの計算が軸。
金属板に書かれた100までの数字の上に、
同じ数字入り磁石を置く「磁石すうじ盤」という課題。

これら課題を行っている人の脳の活動を、
「fMRI」(機能的磁気共鳴画像装置)で解析すると、
コミュニケーションなどにかかわる「前頭前野」の血流量が増加。

認知症患者が自分で着替えられるようになるなど、
認知機能が向上し、動作も劇的に改善。
健常者でも、脳機能低下の予防効果が確認。
東京都品川区の高齢者教室など、
学習療法を取り入れる自治体、施設も増えている。

縦横の数字を組み合わせるパズル「数独」なども
脳の若返りに有効とされるが、
脳研究者で、ブレインサイエンス・ラボラトリー所長の塩田久嗣さんは、
「空間認識に関係する頭頂葉などを鍛えると、
創造力などの高次機能も向上する」。

代表例として、マッチ棒を動かして別の図形を作るといった図形パズル。
中学入試の算数問題には、その手の良問が多い。

笑い、怒りなど喜怒哀楽の感情を表に出すのも良いらしい。
恐れなどの感情をつかさどる脳深部の「扁桃体」を刺激する。
脳科学の進歩は、新たな「脳トレ」開発のヒントを与えてくれる。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/plus/20080616-OYT8T00340.htm

エ-・アンド・デイ、熱中症指数モニター

(スポーツ早耳ニュース 6月16日)

エ-・アンド・デイは、「熱中症指数モニター AD-5695」を発売。

熱ストレスの指標は「WBGT指数」を測定し、
気温や相対温度などを測定し、数値としてデジタル表示。

◎75mm全球型黒球による安定した輻射温度の設定、 ◎WBGT指数、気温、黒球温度、相対湿度のデジタル表示、
◎屋内、屋外モードの切り替え可能、
◎測定範囲は、WBGT指数(0~50℃)、気温(0~50℃)、
黒球温度(0~80℃)、相対温度(10~90%RH)
などの特徴を持つ。

学生をつくる(6)寮生活で協働、調整力

(読売 6月10日)

コミュニケーション能力をつけるため、寮生活を奨励する大学がある。
東北公益文科大学(山形県酒田市)のキャンパス内には、
コテージ風の小規模な20棟の建物が並ぶ。
「ドミ」と呼ばれる学生研修寮。

女子学生9人が暮らすA2棟から、カレーの香りが漂ってきた。
共同台所で、この時間にいた4人の1年生が仲良く調理。
ニンジンをむく人、タマネギを切る人、水の量を量る人、
使ったまな板を洗う人。
各人が自然に自分の役割を見つけて、あっという間にカレーができた。

寮の住人は、1棟8~9人。
男子は14棟に120人、女子は6棟に52人、177人の定員はほぼいっぱい。
研修寮と名を付けたことには訳がある。
親元を離れ、一人で自由に生活できるようになった大学1年生の
時期にこそ、意識的に人とかかわる経験をさせたい」(伊藤真知子副学長)。
数百人が、一つの建物に住むような寮にしなかったのも、そのため。

同大は、「公益学」を学ぶ単科大学として、2001年開学。
山形県の庄内地方には4年制大学がなく、
当時の周辺14市町村と県が出資して設置された公私協力方式の大学。

社会のために活動できる人材作りには、個々の利害が調整できる
コミュニケーション能力を付けること。
そんな能力をはぐくむ場として、1年生を優先的に入寮。
開学当初は15棟だったが、希望者が多く、増やした。
今年度は1年生199人のうち、自宅通学生が55人、
賃貸アパート暮らしが33人に対し、寮生が111人。

棟ごとの話し合いで、掃除もゴミ出しも食事作りもルールを決める。
A2棟では、食事当番は定めず、夕食時に寮にいる学生が一緒に調理。
材料も、みんなで買って割り勘。「安くあがっていい」と好評。
別の棟では、ご飯を炊く当番だけ決めて、おかずは各自で準備。
全くバラバラに夕食を取る棟もあるが、費用は高くなる。

光熱費の請求も棟ごと。
生活費を抑えるため、一丸となって節約に励む。
夜中まで共同リビングで大笑いしながらゲームに興じる、
ご飯当番を忘れてしまう、他人が電気をこまめに消しているのに
自室でクーラーをつけっぱなしにする……。
そんな寮でのトラブルも、大学側は織り込み済み。
大学事務局に相談があった場合も、解決のための話し合いを促す。

1年生の戸塚深智さん(18)は、「将来、NPOやNGOで活動をしたいが、
そういう場では絶対に協働が必要に。
人とやっていくということを、寮で経験するのはきっと役に立つと思う」。

寮を出た後も、寮生同士で部屋を借りて暮らす上級生も。
人とかかわる力は備わっているようだ。

◆公私協力方式

地方自治体が用地などを提供したり、補助金を出したり、
財政的な協力をして私立大を開設する方式。
自治体には、大学誘致で地域が活性化される期待。
1982年度以降、140の大学や短大がこの方式で開設。
ピークは、2000年の11校。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080610-OYT8T00199.htm

かめる高齢者は元気 県歯科医師会が90歳調査

(岩手日報 6月11日)

県歯科医師会(箱崎守男会長)は、「県90歳健康長寿調査」の
結果を発表。
自分の歯でも入れ歯でも、しっかりかむ力がある人は活動的で、
規則正しい生活が健康を支えていた。

調査は80歳、85歳時にも調べた人を追跡。
年齢を重ねる中で、歯の健康と全身の健康がどうかかわっていくかを
知るために、詳しく比較分析。
90歳調査は、1997年、2002年に実施した
旧盛岡保健所管内の102人を対象。
歯科・内科検診、血液検査、体力測定、栄養・健康アンケートなど。

その結果、自分の歯が残っている人は日常生活を楽しみ、
かかりつけの歯科医院がある傾向が分かった。
入れ歯でもしっかりかむ力がある人は、
町内会活動に参加したり旅行をするなど活動的。

日常生活は規則正しく、十分な睡眠が確保。
主食、主菜、副菜(汁物)の整った和風料理が長寿を支えているよう。

平均歯数は3・36本、80歳の4・64本、85歳の4・35本に比べ、
徐々に減っている。
総入れ歯は、61人(59・8%)。
20本以上残っていたのは3人で、最高は25本。

今後は、調査した人の健康が5年ごとにどう変化したかなど、
追跡調査の比較分析を行い、秋ごろに結果を発表。

岩手医大歯学部予防歯科学講座の米満正美教授は、
「長寿の日本だからこそできる調査。
今後の結果分析で、口の健康と全身の健康状態に
どのような関係があるか、明らかにできるのではないか」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080611_10

次代のニューリーダーたちに向けて、河野事務総長と吉原マネージャーが東京オリンピック招致を語る

(東京オリンピック招致委員会 6月18日)

自民党本部で、「TOKYO自民党政経塾 一般リーダーコース講座
(主宰/石原伸晃衆議院議員)が開かれ、
東京オリンピック招致委員会の河野一郎事務総長と吉原知子マネージャー
東京オリンピック・パラリンピック招致について講演。

今回で3期目となる自民党政経塾は、日本の将来のために広く人材を募り、
世界で活躍できる新しいリーダーたちを発掘し、育てることを目的。

公募により、全国各地から選ばれた今期の塾生は160名。
幅広い年齢層の方が受講、記念すべき第1回目の講座に
「東京オリンピック招致への課題」が選ばれた。

招致プランやオリンピック開催による経済効果など説明した河野事務総長は、
「東京は、20世紀に噴出したいろいろな課題に最初に直面している大都市。
環境問題など一つ一つ克服している東京でのオリンピック開催は、
次に続く都市のロールモデルになる」と、
東京でオリンピックを開催する意義を語った。

「先日の立候補都市選定で、東京は最高の評価を得た。
これは、都市力があるだけでなく、我々と東京都、関係者の皆さんが
一丸となった結果。日本にはそういった素晴らしいチームワークがある」、

「来年の2月には、IOCに立候補ファイルを提出するが、
これは技術的なことだけでなく、いかに東京、日本の素晴らしさを
世界に訴えるかが重要。まさにチームワークが必要」。

スポーツは、国として取り組むべき価値がある。
スポーツを国策とするため、新スポーツ振興法の制定や
スポーツ庁(省)の設置などが検討されている。
これらの動きにあわせ、オリンピック招致について政府の財政保証が
得られるようお願いしたい」。

吉原マネージャーは、「バレーボールでオリンピックを経験して、
何が一番大切だったかというと、やはりチームワーク。
人間は、ひとりだけでは限られた力しか出ないが、
それぞれが一つになるとすごい力を発揮する」と
河野事務総長と同様、チームワークの重要性について語り、
「オリンピックの素晴らしさを皆さんに伝え、
是非オリンピックを日本に招致したい。
皆さんに、オリンピックを自分たちの手で作ったという達成感を感じてほしい」。

http://www.tokyo2016.or.jp/jp/news/2008/06/post_51.html

2008年6月22日日曜日

脳を元気に (3)朝食食べて集中力アップ

(読売 6月13日)

3年前に熊本県が行った小中学生対象の学力テストで、
「朝食を必ず食べる」中学生の5教科合計点(500点満点)の平均は
「ほとんど食べない」生徒の平均を65・4点も上回った。
規則正しい生活の大切さを裏付けたものだが、
専門家は「脳と栄養の関係を考えても当然」。

脳のエネルギー源は、ブドウ糖だけ。
ブドウ糖は、肝臓にグリコーゲンの形でわずかしか蓄えられていない。
中川八郎・大阪大名誉教授(神経内科学)は、
「ひと晩寝ると、体内に蓄えられたグリコーゲンは空になる。
朝食を抜くと、脳に必要なエネルギーが供給されず、集中力が低下し、
ミスが多発する」。

女子栄養大の三浦理代教授(栄養科学)は、
脳を目覚めさせる朝食として、「ごはんなどの炭水化物(糖質)とともに、
糖質を効率よくエネルギーに変えるビタミンB1を含む食品も食べて」。

B1摂取には、うなぎ入り卵焼きやほうれん草のごまあえなどが良い。
白米を胚芽米に代えるのも賢い手。
洋食なら、ピーナツクリームやシリアルなどの食品がお勧め。

三浦教授は、「脳を活性化するメニュー」などをレシピ付きで紹介。
ビタミンB1が豊富な豚肉のほかに、脳の神経伝達物質の材料となる
アミノ酸の一種「トリプトファン」を多く含む鶏肉、神経細胞の保護作用がある
ドコサヘキサエン酸(DHA)が多い魚を挙げている。

こうした食事は年齢に関係なく共通するが、年を重ねると注意したいのは
脳の低栄養状態」。
同じ食材を食べ続けるなど、食事が単調になるときに起こりやすい。
この状態が長く続くと、脳の老化の引き金になる。
たくさんの食材をバランス良く食べたい。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/plus/20080613-OYT8T00519.htm

学生をつくる(5)「社会の力」講座に注ぐ

(読売 6月7日)

学習意欲を維持させるために、大学が社会の力を活用。
講義室には、スクリーンとグランドピアノ。
スクリーン上の男性がピアノを弾き出すと、講義室のピアノの鍵盤が
動き出し、学生ら約100人の歓声が上がった。

8年目を迎える静岡産業大学(静岡県藤枝市)の冠講座は、
県内の企業や自治体などが職員を派遣し、
最新の技術や実務情報を解説する人気講座。
単発ではなく、一つの企業や団体が、半年間、15週を担当。

ヤマハ(浜松市)が受け持つ授業の2回目。
約30キロ離れた工場から、インターネットを使ってピアノを遠隔演奏。
「ここ10年の研究で、時差は10分の1、0・3秒に縮まり、
わずかなスタッフと機材で、数か国同時の演奏会も可能になった」。
講師の説明に学生の目が輝く。

「未来につながるすごいビジネス。自分もいつかやってみたい」と
情報学部2年の松本聖也さん(19)は興奮を隠せない。
大坪檀学長(79)は、「産業界の最先端技術や情報は、
学生にとって格好の教材。学ぶ目的や将来像が明確になる」。

米国ハーバード大とノースカロライナ大で客員研究員を務めた後、
ブリヂストンに入社、米法人の経営責任者も務めた大坪学長は、
2000年の就任以来、「地域に役立つ人材の養成」を掲げ続ける。

就任直後、フリーター化する学生の多さに驚き、
考え抜いた末にたどりついた校是。

日本庭園造りが趣味だったブリヂストンの創業者・石橋正二郎が、
「どんな石や木も、置き方次第で庭を変える力がある」。
「それと一緒。できない学生なんていない。
原石を磨き上げてダイヤにするのが大学の役割」

1年生には少人数制のゼミで、リポートの書き方や語学などの
基礎力を徹底的に培う。名付けて「大化け教育」。
卒業時に向けて学習意欲を維持、向上させる決め手が「社会の力」。
社会人経験のある教員を集め、図書館には地元企業1000社の
社史を置く専用のコーナーを設けた。

目玉の冠講座は「寄付は要らない。情熱を伝えて」と、
学長自ら企業を回って口説いた。
金融機関や県なども快諾し、初年度は5講座で始まった。

講師には、知事や銀行の頭取、プロサッカーチーム「ジュビロ磐田」の
社長ら、県内のそうそうたる顔ぶれが登場。
社会保障、福祉、経済、環境、チーム作りなど、
多彩な話題を実習や校外視察も交えて紹介。
市民に公開されたこともあって話題を呼び、今年は20講座を数える。

この春の同大卒業生の就職率は、96%。
ここ数年、95%を下回ったことはない。
学部での教育には、卒業時を見据えた戦略が欠かせない。
「在学中に卒業後の人生設計をきちんとさせ、フリーターにはさせない」、
かつては遠くに見えた学長らの願いが、現実。

◆冠講座

企業や地方公共団体などからの寄付金をもとに、
学外からの研究者らを招き、企業名などを冠して開設する講座。
中曽根康弘首相時代の臨時教育審議会が、
「民間活力の導入」を提言したのを受け、
文部科学省が1987年に国立大学設置法施行規則を改正、
国立大でも解禁に。米国では100以上の“冠”を抱える大学も珍しくない。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080607-OYT8T00194.htm

COP9:生物を守れば、企業が生きる 多様性イニシアチブに日本の9社が署名

(毎日 6月10日)

国連の生物多様性条約第9回締約国会議(COP9)で、
企業が生物多様性の保全に積極的に取り組む
「ビジネスと生物多様性イニシアチブ」に日本の9社が署名。
企業が社会貢献の一部ではなく、
本業の中で生物を守る動きが広がりつつある。

◆庭に5本の木

イニシアチブには日本、ドイツ、ブラジル、フィンランド、スイス、
アメリカから、観光、木材加工、建築、金融などさまざまな
業種の企業34社が参加。

企業の経営・マネジメント方針に、生物多様性の保全を組み込む
▽年次報告書で活動内容を公表
▽企業活動が生物多様性に与える影響を分析する
など7項目からなる「リーダーシップ宣言」に署名。

日本企業は、積水ハウス、サラヤ、鹿島建設、富士通、森ビルなど。
積水ハウスは、販売する戸建て住宅の庭に、
日本在来の5本の木を植える運動を展開。
「3本は鳥のために。2本はチョウのために」がキャッチフレーズ。
「人が見てきれいかどうかより、生物のための庭をつくる」との発想。
市民団体「シェアリングアース協会」の協力を得て、
鳥やチョウなどが集まるその土地の樹木のリストを作成し、
住宅の顧客に選んでもらっている。

洗剤・せっけん製造業者のサラヤ(大阪市)は、
原料のアブラヤシが取れるインドネシアなどで野生動物の保護に取り組む。
更家悠介社長は、「生物多様性を社会貢献ではなく、
本流のビジネスにしようとする企業が増えるはず」。

◆行政、NGOに限界

企業による生物多様性保全の重要性が浮上したのは、
06年のブラジル・クリチバでのCOP8で、
民間部門の参加を促す決議が採択されたのがきっかけ。

背景には、この問題が国際社会の主要テーマになったにもかかわらず、
生物の絶滅・衰退が止まらないという現状。
WWF(世界自然保護基金)は、世界中の1300種を超える
野生生物の生息状況を調査して指数化、
05年は1970年と比較してこの指数が約27%低下。

生物多様性の損失は、空気、水、食物、気候に影響を及ぼし、
自然界から原料などを得る企業自身の存続や、
人類の生存の基盤も脅かすことに。

もはや行政やNGO(非政府組織)だけでは、
条約の「2010年までに多様性の損失速度を顕著に減少させる」
という目標は達成困難。

国内では、問題意識を共有する企業が主体となって
生物多様性に関する学習や情報交換をする
「企業と生物多様性イニシアチブ」(JBIB)が発足。
生物多様性とその持続可能な利用についての学習や
シンポジウム開催の情報発信といった活動を始め、
将来は政策提言も視野に入れる。

17社が参加を表明し、さらに増える見通し、
今後はNGOとの交流も進める。
足立直樹事務局長は、「生物多様性保全のため企業ができることは多い。
単独で進めるより、熱意のある企業が集まって情報交換し、
COP10で日本企業の取り組みをアピールできるようにしたい」。

◆名古屋でルール作り

2010年に日本での開催となる名古屋市のCOP10では、
「2010年目標」の達成度を評価し、
新たな保全目標を設定しなければならない。

薬など生物を利用して得られた利益を、企業と原産国で分け合う
「遺伝資源の取得と利益配分」のルール作りが大きなテーマ。

COP9では、法的義務を求める途上国と、これに難色を示す
日本などの先進国が対立したまま、
10年がそのルールを決める期限。

国連は、10年を「生物多様性の年」と定め、
国連総会で生物多様性を論じるための首脳会合の開催も検討。
国際自然保護連合日本委員会の道家哲平氏は
「条約史上最も重要な会議になる」。

日本は、議長国として難しいかじ取りを迫られ、
企業やNGOと連携してどう生物多様性の保全を図っていくか
問われる会議となりそう。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/06/10/20080610ddm016040150000c.html

「子育てにやさしい企業」に 県内2社認定

(岩手日報 6月12日)

県は、「いわて子育てにやさしい企業」に
川口印刷工業(盛岡市、斎藤誠社長)と、
訪問介護などを行うウェルファム(矢巾町、小笠原哲社長)
の2社を認証。

岩渕良昭県保健福祉部長が、両社長に認証書を手渡し、
「子育てに社を挙げて取り組むことに感謝する」とあいさつ。

川口印刷工業は、約200人の従業員のうち女性は3割弱。
育児のための勤務時間短縮措置の対象を、
3歳から小学校就学までに引き上げた。
斎藤社長は、「男性も育児がしやすい環境になるようにしたい」。

ウェルファムは社員23人中、20人が女性。
子どもの看護休暇制度を半日からでも取得できるよう変更。
小笠原社長は、「従業員には制度を活用してほしい」。

県が認証した企業は、今回で計5社。
次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を、
労働局に届け出る義務がない300人以下の企業を認証し、
仕事と子育ての両立を支援する。

企業にとって、認証されることで県単融資制度保証料率の
引き下げなどのメリットがある。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080612_5

[第2部・米国](上)短距離王国包む深い闇

(読売 5月26日)

4月というのに、日差しが痛いテキサス州立大。
リレー種目中心の競技会「テキサス・リレー」には、
陸上王国らしく約2万人が集まった。
そこに現れたのが、昨年の大阪世界陸上で百メートルなど
3冠の王者タイソン・ゲイ。
シーズンインの足慣らしに2種目のリレーをこなすと、記者に囲まれた。

「コーチが、ドーピング(禁止薬物使用)と関係ない自信はあるか」、
「もちろん。大学時代からの長い付き合いだし、一緒に練習してればわかる」
五輪の年。そのメーンイベント男子百メートルの英雄候補と、
そんなやりとりが始まる。
澄んだテキサスの空とは対照的な深い闇に、米国短距離界は包まれている。

今年1月。2000年のシドニー五輪で、女子短距離3冠を獲得して
ヒロインとなったマリオン・ジョーンズが、ドーピングなどに関する
偽証罪などで、禁固6か月の実刑判決。

06年にアテネ五輪金メダルのジャスティン・ガトリン、
05年に元男子百メートル世界記録保持者のティム・モンゴメリ、
04年には03年世界陸上女子短距離2冠のケリー・ホワイトの
ドーピングが、次々発覚。

「メディアや陸上関係のウェブサイトなどで、僕も薬物を使ってるという
話が飛び交う。そんな環境になってしまったのが悔しい」
ゲイの嘆きは、米国選手すべての思い。

「世界一速い男」を決める百メートルは、米国五輪史の中心。
1896年第1回アテネ大会を、クラウチングスタートを持ち込んだ
トーマス・バークが制すと、1936年ベルリン大会では人種差別政策を
行ったヒトラーの前で、黒人選手ジェシー・オーエンスが4冠を達成、
2004年アテネ大会まで24大会で16勝。

五輪史の分岐点にもなったのが、東西冷戦下でのボイコット合戦となった
84年ロス大会のカール・ルイスの登場。
4冠を果たし、商業主義にカジを切った地元五輪を盛り上げて
五輪の商業化を一気に加速させ、五輪選手のプロ化の源流に。

しかし、この革新の光が暗黒の源になったとの指摘。
テキサス州立大のジョン・ホバマン教授は、
「五輪はお金になる、と示したのがロス大会であり、カールだった。
お金が稼げる、というオリンピックドリームで、五輪は崩壊しかけている」

米国からスタートした商業化。
米国のスターが築き上げた、富を手にするシステム。
その輝きに、目がくらんだ者たちが選んだドーピングという不正手段によって、
米国が苦しんでいる皮肉は偶然だろうか。

僕らに課せられた役割は、暗闇を明るくすること。
北京五輪では、アンチ・ドーピングの強い意志を持って活躍し、
子供たちに夢を与えなければならない」
ゲイは、それを宿命と受け止め、光を求める。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080526.htm

2008年6月21日土曜日

脳を元気に (2)簡単テストで自己診断

(読売 6月12日)

日本人の死因で、脳卒中はがん、心臓病に続き3位。
血管性の脳疾患は、認知症の代表的な要因の一つとされ、
セルフチェックで危険信号を見つけたい。

赤坂パークビル脳神経外科の水上公宏理事長が考案した
「脳卒中危険度テスト」は、10項目の簡単な質問で、
脳卒中発症の可能性を大まかに判別できる。

該当する項目の点数を足し、80点以上は黄色信号、120点以上は、
医療機関の診断を必要とする赤信号。
特に重視するのは、年齢と血圧。
遺伝性もあり、両親のどちらかが脳卒中の病歴がある場合も「高得点」。

自覚症状のない「隠れ脳こうそく」にも注意。
40代の3割、50代の半数にみられるとの報告。
放っておくと、症状がでる恐れ。

その可能性をあぶり出すのが「渦巻きなぞりテスト」。
眞田クリニック(東京・大田区)の脳神経外科医、眞田祥一院長が作成。
5ミリ~1センチほどの幅で5周巻いた渦巻き模様の線の間に、
色違いのペンで中心から外側へ向け、元の線に触れないよう
渦巻き模様を10秒以内に描く。
元の線と2か所以上で交わったら、微小な脳こうそくで運動機能に
障害が発生している可能性がある。
入浴後などリラックスした状態で、心配な結果が出た場合は、
磁気共鳴画像装置(MRI)などで精密検査する「脳ドック」の受診もお勧め。

脳卒中の予防について、東京女子医大の内山真一郎教授は、
「食事の塩分を控えたり、適度な運動をするといった
一般的な生活習慣病対策が有効。中でも最大の防御策は禁煙」。
喫煙は、脳こうそくを招く血栓を作る主要因のひとつ。
禁煙はお金もかからない、脳を元気に保つ方法。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/plus/20080612-OYT8T00403.htm

スポーツ21世紀:新しい波/271 バレー協会・個人登録制度/6

(毎日 6月14日)

部外者をシャットアウトして行われた東京都高体連女子バレーボール
専門部会の総会(4月13日)は、個人登録制度問題で揺れた。
矢面に立たされた松野下健部長(当時)は、何度も同じ言葉を繰り返した。
「私たちは、日本バレーボール協会(JVA)と友好協力関係にあります」

国内のバレーに関する活動を統括するJVAと、
高校スポーツを統括する全国高体連は別組織。
全国高体連バレー専門部は、JVAに加盟する立場にあり、
東京都高体連女子バレー専門部はその下部組織。

反対派は、「全国高体連は、JVAの下部組織なのか。
JVA(の個人登録制度導入)に従わないといけないのか」。

松野下部長は、「下部組織ではないが、友好協力関係にある」と答え、
「JVAの個人登録制度について、全国高体連バレー専門部が
協力することを決めた。私たちも制度に賛同し、順守する義務がある」。

「個人登録制度に反対する草の根バレーの会」の発起人の一人、
都立狛江高の佐藤甚一教諭は、「体育会系ならではの上意下達。
こう決まったんだから、黙って従えという態度だ」。
「もっと現場の意見を吸い上げ、制度に反対せよ」という

反対派教員の意見に、森田政行副部長は反論。
「現場の問題をまとめ、東京の代表として上部団体に改善は要望した。
新制度は完ぺきではないと思う。我々も疑心暗鬼、暗中模索。
だが、以前の制度ではJVAも限界だった」。

板挟みの苦しい胸中を訴えた。
東京は、今季の大会出場資格について、折衷策を採った。
JVA主催大会である全国高校総合体育大会、
全国高校選抜優勝大会などにつながる予選の出場選手は
個人登録を義務付け、それ以外の夏季大会などは、
個人登録していない選手も出場を認める。

松野下部長は、「個人登録してほしいが、『それでは大会に出場しない』
という人が現れては困るので」。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

創立記念、節目祝う ブラジル岩手県人会

(岩手日報 6月16日)

ブラジル岩手県人会(千田曠暁会長、会員約280人)の
創立50周年記念式典は、サンパウロ市の
ブラジル日本文化福祉協会講堂で行われた。
会員、本県からの訪問団、各地の県人会などから約400人が出席、
半世紀を刻んだ移住の歴史をかみしめ、
新たな県人会活動の発展を誓った。

千田会長が、「第1回の笠戸丸移民から今年で100周年。
この節目に県人会も50周年を迎え、郷土を思う心と
地道な努力のたまものと皆さんに感謝する」。

岩手・宮城内陸地震で帰国した達増知事の祝辞を、
岩間隆県NPO・国際文化課総括課長が読み上げ、
渡辺幸貫県議会議長、大石満雄花巻市長、
同県人会賛助会訪問団の南部利昭団長、
ニューヨーク岩手県人会の岩崎雄亮会長らが祝辞。

県人会活動に功績のあった男女20人の会員に、
渡辺議長が感謝状を贈呈し、功績者を代表して
大志田寿さん(74)=盛岡市出身=が
「県人会の発展のためさらに精進していく」。

式典後は祝賀パーティーに続き、「いわて芸能まつり」を開催。
盛岡山車推進会(工藤勲会長)メンバーによる音頭上げや
岩手郷土芸能団(団長・藤沢清美県民謡協会長)の民謡、踊りで
にぎやかに50周年を彩った。

ブラジル岩手県人会は、移住した県人24人が集まって発足。
県人の交流や本県との連絡窓口として、移住者実態調査や
本県からの農業視察団受け入れなどに取り組んだ。
1977年にサンパウロ市内に県人会事務所を開設。
83年に現在の県人会館が落成。

県との連携で、県人ブラジル移住者の子弟を本県に留学させる
「県費留学生制度」も導入され、交流が始まっている。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080616_18

学生をつくる(4)危機意識 教員も共有

(読売 6月6日)

歴史ある大学が、基礎学力の向上をめざす。
「エビで釣るのは『タイ』だよな」、「ウのマネをするのはだれ?」
1年生18人が机に向かいながら話し合っていた。
高千穂大学(東京都杉並区)の1年生必修の「基礎ゼミ」で
毎週行われる「ガンバレ高千穂!10分勝負」。
日本語や英語、理科、数学、一般常識各20問を週替わりで解く
小テストの時間。学ぶ姿勢を作るきっかけにしようという狙い。

この日の課題は「動物を使ったことわざ」。
解答はその場で配らない。学生が事務局まで受け取りに行く。
図書館には、小テスト参考文献が並ぶ専用コーナーも設けた。

基礎ゼミは、3学部の1年生664人を十数人ずつに分けた混成クラス。
図書館の利用方法やリポートの書き方、討論・発表の仕方、
授業でのノートの取り方などを1年かけ、手取り足取り教える。
40人もの担当教員が、学力を把握し、学期ごとの学習目標を
達成させるため、学生との面談を重ね、相談に乗る。

笹金光徳副学長(50)は、「ここまでやるのは、おせっかいだと思う。
だが、何の考えもなく大学に来た多くの学生たちに、
将来に向けて今やるべきことに一時も早く気づいてほしい」。
それは、「社会に出る最後の関門としての大学の責務」。

取り組みが本格的に始まったのは、
OBである藤井耐現理事長(58)が学長に就任した2002年。
旧制高千穂高等商業学校は、企業のトップも数多く輩出した名門。
18歳人口がピークを迎えた1990年代前半も、受験者は1万人超。
しかし、就任時はその5分の1。
授業の欠席率や退学率の高さ、学生の覇気のなさに、
藤井さんは危機感を募らせた。

教職員との合宿で問題点を洗い出し、入学してすぐに、意識を変え、
意欲を喚起し、知識を増強する必要があるという結論。
入学式直後の静岡・下田での合宿では、
教職員や上級生と共に学生生活について話し合い、
レクリエーションに汗を流し、大学生意識を醸成する。

出席を取る授業を増やし、教員の意識変革にも力を入れた。
基礎ゼミの授業は、互いの授業参観を奨励。
勝手に休講したり、授業時間を短くしたりする教員はゼミ担当から外した。
熱心な教員とボーナスの差を、30万円もつけたことも。

反発も出たが、「大学全体で危機意識を共有して教育に
取り組んでいかなければ、学生は変わらない」。
昨年度の退学者数は、約4%と前年度をわずかに上回ったものの、
ここ数年を見れば減少傾向。
出席をとらない藤井さんの授業「経営管理」も、
約9割の学生が顔をそろえるように。
「まだ途上。だが光は見えてきた」(笹金副学長)という改革が続く。

◆退学率

日本私立学校振興・共済事業団が2005年度、550私大に尋ねた
退学率は平均2.9%。年間約5万5000人が退学。
船戸高樹・桜美林大教授(大学マーケティング戦略論)によると、
個々の退学率は1%未満から10%以上、
地方で小規模、資格につながる学部を持たない大学は高い傾向。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080606-OYT8T00273.htm

[第1部・ブルガリア](下)指導陣確執 癒えぬ傷

(読売 5月14日)

「一匹オオカミの首が太いのは、すべてを自分で賄うからだ」と、
他力にすがる行為を戒めることわざが、ブルガリアに存在。
幅広い分野で、優秀な個人が多く存在するにもかかわらず、
集団行動が苦手で能力を発揮し切れない。
自他共に指摘する国民の特徴。
かつての輝きを取り戻そうと苦しむ新体操界は、その縮図。

ネシュカ・ロベバさん(61)。
代表チームのヘッドコーチとして黄金期を実現した指導者は、
今、ソフィア市内でダンス・カンパニーを主宰。
「もう競技の世界には戻らない。嫌気がさしてしまった」。
1999年の世界選手権で惨敗した責任をとり、辞任。
しかし、本当の理由は連盟のマリア・ギゴバ現会長(61)との確執。

2人とも、60年代後半~70年代初めの名選手。
「現役時代に格上だったギゴバが、成功したロベバに嫉妬した」、
「ロベバが富と名誉を独り占めしたせいだ」。
中傷が飛び交ったが、この手の話で理由は後から膨らむもの。
真相はともかく、感情のもつれは明らかにあった。

当時、日本からコーチ留学して指導力を認められ、
ナショナル選手の強化に携わっていた山本里佳さんは、
双方の間を駆け回った。
「どちらも新体操を愛していたから、悲しくて仕方なかった。
『意地を張らないで手を取り合って』と説得したんですが……」。
結局、溝は埋まらなかった。

首脳陣の衝突は、後進にも波及。
89年に社会主義体制が崩壊して混乱の時を迎え、
イグナトバ、ゲオルギエバ、パノバといった元女王たちは、
生活の糧を求めて国外へ去った。
一枚岩でない組織は、彼女らを引き留められなかった。

現ヘッドコーチのイリアナ・ラエバさん(45)は、
「昔は選手だけでなく、コーチの養成も優れていた。
指導者を育てるスタイルを持っていたから継続性があった」と、
自戒を込めて決意した。

「コーチが一体となって強化にあたる。
選手の育成を含め、北京には間に合わないけど、
ロンドン五輪までに何とかしてみせる」

練習場の確保もままならなかった時代は、ようやく終わりを告げ、
2年前に新しいナショナルチームの体育館がオープン。
改修費約1億6000万円で、フロア3面のアリーナ、マッサージルーム、
30人収容の宿泊施設、食堂などを整備し、
トレーニングの環境は飛躍的に改善。
まだ遠くにかすんでいるけれど、復活への光は確かに見えている。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080514.htm

2008年6月20日金曜日

脳を元気に (1)運動で血流高まる

(読売 6月11日)

いつまでも若く、柔軟な頭脳を維持したい。
そんな願いに、科学の光が当たる。
実証されつつある脳を元気にするコツを紹介。

東京都品川区中延のアーケード街近くに、楽器メーカー「ヤマハ」が
開設した「音楽と健康スタジオ」教室がある。
リズミカルな音楽に合わせ、熟年世代から80歳代までの10人が、
手足の曲げ伸ばし、ストレッチ、軽いエアロビクスなどに汗を流す。
合間には、合唱団のような発声練習も行う。
振るとマラカスのような音を出す「サウンドフープ」という器具を使い、
リズムに体の動きを乗せていく。

教室は、「運動と音楽の両面から脳を刺激する」
(同社の宮下順治・プロジェクトリーダー)ことを目的に、
2005年から始まった。1回1時間、月3回。
「無理せず、継続が大事」。

予備的な実験で、教室の参加者は、思考、計算などをつかさどる
脳の前頭葉(額に近い部分)の血流が高まることが確認。
会員約200人へのアンケートでは、「気持ちが明るくなった」、
「若返った気がする」と効果を挙げる声。

運動が、筋肉や心肺機能を向上させるだけでなく、
脳を元気にさせるという研究成果が、次々に発表。

米国の研究チームは、ネズミに自由に運動させると、
神経細胞を元気にする「BDNF」が脳内で増加することを突き止めた。
「BDNFを増やす引き金は、筋肉細胞が分泌する別のたんぱく質」と、
東京大の柳原大・准教授(身体運動科学)は説明。
「ネズミは、自発的には激しい運動をしない。
人間ならウオーキングや水泳、ハイキングなど適度な運動が当てはまる」。
運動後の壮快感は、脳が元気になるサインでもあるようだ。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/plus/20080611-OYT8T00330.htm?from=nwla

スペースシャトル:ディスカバリー、無事帰還 星出さん、2週間ぶり地球に

(毎日 6月15日)

国際宇宙ステーション(ISS)に、日本の有人宇宙施設「きぼう」
本体の実験室を設置した星出彰彦宇宙飛行士(39)らが搭乗する
米スペースシャトル「ディスカバリー」が、ケネディ宇宙センターに着陸。
初の宇宙飛行を終えた星出さんは、2週間ぶりに地球に帰還。

ディスカバリーは、マーク・ケリー船長(44)ら7人が乗り組み、
5月31日に打ち上げられた。
飛行4日目に、星出さんがISSのロボットアームを操作し、
実験室を取り付けた。
翌日に入室した後、飛行10日目までに実験室の起動や、
きぼうのロボットアームの機能点検を行い、
正常に作動していることを確認。

流体力学と生命科学の2個の実験装置も実験室に運び込まれ、
これで室内実験ができる施設が整った。
きぼうを運用する宇宙航空研究開発機構は8月上旬から、
流体力学の実験を皮切りに本格的な実験を開始。

きぼうは、今年度末に最後の船外実験施設が
スペースシャトルで打ち上げられ、完成。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080615ddm041040060000c.html

杉松公使の新墓碑除幕 ブラジル・リオ

(岩手日報 6月15日)

ブラジル移住事業を進め、同国のリオデジャネイロ市で客死した
盛岡市出身の杉村濬(ふかし)駐ブラジル第三代公使
(1848-1906年)の新たな墓碑除幕式は、
同市のサンジョアン・バティスタ墓地で
南米訪問中の達増知事やブラジル岩手県人会の千田曠暁会長らが出席。
達増知事、渡辺幸貫県議会議長、千田会長ら同県人会員、
同県人会賛助会の訪問団(南部利昭団長)一行ら約50人が出席。
知事と千田会長が新たに整備した墓碑を除幕し、全員で黙とう。
杉村公使は、外務省通商局長などを務め、日本人移住の必要性を説いた。
駐ブラジル公使として、1905(明治38)年にリオデジャネイロ市に着任。
移住事業の準備を進めたが、日本人移住第1号の入国2年前に病没。
歳月の経過で墓碑にひびが入ったことなどから、
岩手県人会が内外に募金を呼び掛け、創立50周年の記念事業として、
「第三代駐伯日本国 杉村濬之墓」などと記した
高さ0・8メートル、幅1メートルの黒御影石の墓碑を新たに整備。
千田会長は、「ブラジル移住100年の歴史をつくった人であり、
立派にしたいという思いで完成できた」と振り返り、
達増知事は、「海外最大の日系社会の礎を築き、古里の方々に
墓参してもらえるのは、国際人として本懐を遂げたと、ここで実感した」。
盛岡藩士の次男でもあった杉村公使について、
南部家45代当主の南部訪問団長は、
「存在は県民にあまり知られておらず、先人を知る取り組みを広げてほしい」。

学生をつくる(3)日本語鍛え 学ぶ姿勢

(読売 6月5日)

予備校からも人材を得て、習熟度別に日本語を教える大学がある。
「見て!『新明解』の『恋愛』の説明、生々しい~」、
「こっちは、あっさりだよ」、「おもろいやん」

5月初め。連休前の街のにぎわいをよそに、
京都精華大学(京都市)の講義室では、約30人の学生が
机に積んだ6種類の辞典を熱心に見比べては声を上げていた。
「日本語リテラシー」の授業。
リテラシー(読み書き能力)にとどまらず、自ら調べ、考え、表現できる
大学生に育てることを目指した人文学部1年生の必修科目。

新明解国語辞典(三省堂)の面白さをつづった「新解さんの謎」
(赤瀬川原平著、文春文庫)を読ませ、
実際に他の辞典と比べて感想を書かせていた。
辞典の使い方を覚えさせるだけでなく、日本語の豊かさに気づかせる。

「今の子は、関心の対象が狭いが、語彙が豊かになれば関心も広がる。
そこから大学での学びが始まる」。
大手予備校の河合塾と駿台予備学校で、小論文を通算約20年教えた
日本語リテラシー教育部門長の森下育彦教授(53)が授業内容に胸を張る。

森下教授は、事実羅列型文章の多さが気になっている。
例えば「私の好きな季節」を書かせると、「春は花が咲く。入学式がある」と
表面的な現象を連ね、なぜ好きか伝えようとしない。
「工夫しなくても伝わるメールに慣れているからだろうか」

本格的に授業が始まったのは3年前。
日本語リテラシー教育部門は、学長直属の組織として発足、
学外からも人材を集めた。
教員4人と助手10人でチームを編成し、徹底的に指導をするため、
課題作文を書かせて習熟度別クラスに分ける。
漫画や映画も教材に、課題に沿って何を書きたいかをメモ。
それを元にした討論や教員との面談、添削指導も経て、
1学期に1000~2000字の課題作文五つを完成。

今年の場合、約450人の1年生が30人前後ずつの11クラス。
課題は、上位クラスでは、「記憶に残ること」、「他者との間合い」、「変身」
など抽象概念も入り、下位クラスでは「私が影響を受けた人・モノ・こと」など。
学生の自尊心に配慮し、森下教授なら「Mクラス」など
担当教員の頭文字で表示する。
どのクラスでも、課題を通して自分を客観的に見つめ、
他者とのかかわり方を考えさせる構成は共通。

欠席すると、呼び出しを受けるほど出席管理は厳しいが、
昨年度の学生満足度は、どのクラスも9割以上。
人文学部は今年度、定員割れ。
在籍学生の高評価が受験生には届かない。

悩みながらも今後、同様の授業を、漫画、芸術、デザインの3学部にも
広げ、全学的な取り組みに。
漫画家でもあるヨシトミヤスオ副学長(70)は、
「学生の学びを、大学側が一からきちんとおぜん立てしなければ
ならない時代だからだ」

◆大学生の日本語力

独立行政法人「メディア教育開発センター」(千葉市)は4年前から、
入学したばかりの大学1年生に、日本語の語彙力、文法や漢字の
知識を問うテストを実施。
昨年度の調査(54大学、約2万9000人)では、国立大の9割が
高3レベルだったが、私立大では中1から高3まで幅広く、
中学生レベルが6割以上の大学も。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080605-OYT8T00262.htm

[第1部・ブルガリア](上)新体操の伝統 刷新拒む

(読売 5月12日)

ブルガリア各地の民俗舞踊は、
細分化すれば、数百種類に及ぶと言われ、
五つのプロチーム、100以上のアマチュア団体が、
貴重な文化を現代に引き継いでいる。

雨ごいの祈り、求婚、クリスマス……。
遠い昔から、体の動きで感情を伝えるのは、自然な作業。
歴史が導いたのか、この国で新体操が大いに発展した。

1963年に第1回大会を迎えた世界選手権で、
ブルガリアは常に頂点を争い、87年の第13回大会までに
延べ7人の個人総合優勝者を輩出。
93年の第17回大会から、マリア・ペトロバが3連覇。
ところが、これを最後に女王は誕生していない。

首都ソフィアの小さなカフェで、エマヌイル・コテフさん(68)は
エスプレッソを一口すすり、「残念ながら北京五輪のメダルも難しいな」。
30年以上、新体操に接していた元新聞記者。

ブルガリアの持ち味は、巧みな手具操作と豊かな表現力。
しかし、難度の高い技の数や、体の柔軟性を重視する方向へ
採点規則が改定され、この分野を得意にしていた
ロシア、ウクライナなどの旧ソ連勢が、90年代後半から表彰台を独占。

芸術性にこだわるブルガリア選手への、得点上の低い評価に、
異を唱えるファンは少なくない。
新体操の本来の魅力を体現しているのに、というわけだ。
よしあしはさておき、伝統国の誇りがスタイルの刷新を、
言い換えれば世界のトップへの追随を拒んでいる。

さらに、別の側面も。
ブルガリアは第2次世界大戦以降、「ソ連16番目の共和国」
ささやかれるほど、旧ソ連に忠実な体制を敷いていたが、
89年の民主化を経て、少なくとも一般の国民の間では「恨み節」も噴出。

旧ソ連の支配で、自由な社会の到来が遅れた。
そうした事情もかんがみて、コテフさんは「強くならなきゃならん。
だが(新体操界が)旧ソ連勢のマネをするのは許されない」。

ナショナルチーム練習施設の壁に、自国の名選手と並び、
ロシア勢の写真が飾られている。
「誰がライバルなのか知ってもらうためよ」。
ブルガリア連盟、マリア・ギゴバ会長(61)の笑みは、
どこか緊張感に似た空気を漂わせていた。

民俗舞踊は、独自の形態を保って受け継がれ、
他の土地のものと融合することは、まずあり得ない。
「個性を大切にする国。マネは、文化を捨てるのと同じ」。
図らずも、新体操が抱えるジレンマを言い当てている。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080512.htm

2008年6月19日木曜日

通販番組でテレ朝に警告 乗馬器具の効果めぐり キー局初、公取委

(共同通信社 2008年6月13日)

通販番組で乗馬型運動器具「ロデオボーイII」について、
1日1時間の運動で短期間に体重が減ったと紹介したのは
景品表示法違反(優良誤認)の恐れがあるとして、
公正取引委員会は、テレビ朝日に再発防止を求め警告。
通販番組で民放キー局への警告は初めて。

公取委は、「大きな影響力を持つ全国ネットのキー局の表示が、
器具本来の効果と懸け離れていたのは問題だ」。

同社は2006年6月から昨年6月にかけ、
自社の通販番組「セレクションX」と「ちい散歩」で計約200回、
「シェイプアップ3週間チャレンジ」として、体験モニター14人による
ロデオボーイIIの効果を放送。

「1日1時間だけの運動で、6.6-1.4キロ体重が減った」としたが、
モニターのうち6人は、食事制限やロデオボーイII以外の運動も続けていた。
テレビ朝日広報部は、「モニターには普段通りの生活をお願いし、
自発的な食事制限があったことは事後の調査で判明した」と説明。

公取委によると、ロデオボーイIIの負荷はウオーキング程度。
1日1時間の運動で減るのは、3週間で0.4キロぐらいで、
数キロ単位でやせることはあり得ないとしている。

テレ朝は、1台2万9800円で約5万3000台を販売、
約15億円を売り上げたという。

テレビの通販番組では昨年、通販大手の
ジュピターショップチャンネルとQVCジャパンが製品の防カビ・消臭効果の
不当表示で公取委の排除命令を受けたほか、
フジテレビ系列のディノスも、ひな人形セットの価格表示で警告。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=75282

学生をつくる(2)単位取得「健診」が義務

(読売 6月4日)

健康管理を通じて、学生生活を支援する大学がある。
4月の入学式から数日後。
金沢大学は、新入生1823人に3日かけて健康診断を行った。
身長・体重の測定、血圧検査や採血など、お決まり項目の最後に、
臨床心理士との面談も用意。
心理士の女性は、「少しでも不安なことがあったら、いつでも相談してね」
と優しく学生に悩みがないかを聞き、
学生による悩み相談部屋「ピアサポートルーム」の存在も紹介。

同大では今年度から、健康診断の受診を、1年生の必修科目
「大学・社会生活論」の単位取得の条件に。
受診しないと、運動部系のクラブやサークル活動の試合に参加出来ない。
診断のデータに少しでも異常があれば、学生に対して連絡を取る。

この科目の前期では、喫煙、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)、
熱中症などの知識や、健康診断結果の読み方も教える。
ビデオ教材を視聴後の確認テストもする。
同大の校医、吉川弘明教授は、
「健康教育は、自分でものを考える手段の一つ。
生涯にわたって、健康の重要性を考える姿勢を身につけてほしい」。

精神面のケアも重視する。
学内の保健管理センターの相談室にはここ数年、相談が増えている。
健康診断などで異常がわかった学生には、大学側から連絡を取るが、
カウンセラーの人数も限られており、
組織的に予防からかかわることが必要。

臨床心理士の足立由美講師は、
「大学では、自発的に動かなければ特定の人と一緒になる機会がなく、
対人関係を築けない学生もいる」。
大学が、約4キロ離れた二つのキャンパスをつなぐシャトルバスを
新設した狙いの一つにも、学生の交流の促進を図る。
授業以外の学生の居場所を確保する「コミュニケーションプレイス」
4か所設置、今後も拡大する予定。

金沢大の一連の取り組みは昨年度、文部科学省の
「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム(学生支援GP)」
に4年間の計画で採択。
「心と体の育成による成長支援プログラム-社会に幸せをもたらす
生活の知恵を持った学生の育成-」と名前の付いたプログラムには、
大学入学という大きな変化に直面する学生に対して、
心身ともに大学が健康作りを管理することで、
学生生活を軌道に乗せる狙い。

大学の取り組みに対して、ある学生は
「健康管理なんて、自分でやるのが当たり前。
試合に出られなくするところまでやるのもどうかと思う」と懐疑的な声。
一方で、一人暮らしを始めたばかりの1年生の中には
「自分で出来ないところを大学が面倒をみてくれて、安心感がある」。

学習を支えるため、学生の生活面に大学はどこまで関与すべきか。
金沢大の取り組みは、そのことの問題提起とも。

◆GP Good Practice(すぐれた取り組み)の略。

文部科学省は大学を競わせ、教育面で他大学の参考になる
取り組みに補助金を出している。
2003年度からの「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」と
04年度からの「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」
の額が大きかったが、08年度から統合して
「質の高い大学教育推進プログラム(教育GP)」に。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080604-OYT8T00241.htm

WHO:「骨粗鬆症で骨折」ネットで予測 ツール開発、公開

(毎日 6月10日)

世界保健機関(WHO)は、骨粗鬆症による骨折リスクを
予測する評価ツール(FRAX)を開発。
40歳以上が対象、身長や体重、喫煙や骨折歴の有無など12項目を指標、
10年以内に背骨や腕、大腿部骨折が起きる確率を予測。

骨粗鬆症は、骨密度が低下して、骨がもろくなる病気で、
高齢者の場合、骨折して寝たきりになる場合がある。
日本には、約1000万人の患者がいると推定。

専用サイト(http://www.shef.ac.uk/FRAX/tool_JP.jsp?locationValue=3)、
12項目のデータを入力。
大腿骨頸部BMD(骨密度)は省略できる。
発症リスクが表示され、数値が10%以上になると要注意。

評価法を開発した英シェフィールド大のジョン・ケーナス名誉教授は
「世界中の疫学調査をもとに作った。
骨密度不明でも骨折の可能性を予測できる」。

折茂肇・骨粗鬆症財団理事長は
「今後、数値がいくつになったときから治療が必要になるか
について基準を作りたい」。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/06/10/20080610ddm013100130000c.html

研究成果、現場に還元 盛岡の東北農研センター

(岩手日報 6月12日)

盛岡市下厨川の独立行政法人農研機構東北農業研究センター
(八巻正所長)は、研究成果を農家らに直接実演、説明する
「出前技術指導制度」を発足。

研究の成果が生産現場に届きにくいという反省をもとに、
技術の普及活動に本腰を入れる。

同制度は、農業者や農業改良普及センター、企業らが対象。
研究者らが現地での技術指導や説明、講演などを行う。
指導者の出張経費は、東北農研センターが負担。
試作農機具の運送費や説明会開催経費は、原則として応募者が負担。

東北農研センターでは毎年、研究成果をまとめた冊子を発行。
成果発表会も開いてきたが、参加するのはほぼ研究者で、
農家は皆無。
技術普及には、研究者個人の努力に頼る面も多かった。

前身の東北農業試験場時に開発された「寒締め野菜」など、
産地で大きな成果を挙げている技術も多いが、
独立行政法人化した2001年以降、
県や各農業改良普及センターとの関係も薄れ、
生産現場で技術普及をするにも、「手足がない状態だった」。

出前技術指導制度は、現場の声を聞き、
研究の完成度を上げるとともに新研究につなげるのも狙い。
東北農研センターの児嶋清産学官連携支援センター長は、
「これまでは一方的に研究発表するだけで、
現場で実際に生かされていなかった。
農家や農業改良普及センターなどと連携し、技術を高めたい」。

同制度への応募方法や東北農研センターの研究技術紹介は
ホームページhttp://tohoku.naro.affrc.go.jp/
問い合わせ、産学官連携支援センター(019・643・3402)。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080612_10

「JŌDO」ブランド発信 平泉の全国展開委員会

(岩手日報 6月13日)

平泉文化に関係する、全国展開の新商品を開発し、
市場調査やPRして売り出そうという全国展開委員会の初会合は、
平泉町の平泉商工会館で開かれた。

純米酒「延年」、かわらけせんべい、新たな秀衡漆器の3商品を
開発し、「JŌDO」ブランドで販売。

同商工会(千葉庄悦会長)が、中小企業庁の
「地域資源全国展開プロジェクト」で800万円の
補助を受け、委員会を設立。

初会合には、仙台市のコンサルタントや毛越寺、
平泉観光協会などの代表ら約20人が出席。
事業の基本概念として、「香る浄土」、「味わう浄土」、「触れる浄土」
を掲げ、持ち帰れる商品開発を目指す。

純米酒は、一関市の世嬉の一酒造が同市の骨寺村荘園で
栽培した米で醸造し、毛越寺の南洞頼教貫主が「延年」と揮毫(きごう)。
10月の発売を目指す。
せんべいは、町内の菓子店にレシピや材料を提示し、
地元の米粉やきな粉、小麦粉を使って商品開発を目指す。
漆器は、同町の翁知屋が中心。

委員長を務める東北地域環境研究室代表志賀秀一さんは
「地元の業者を巻き込んで全国、世界に発信できる商品を開発し、
統一ブランドで売り出したい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080613_8

[第1部・ルーマニア](下)細る体操王国

(読売 5月10日)

女子体操の強豪、ルーマニアで、代表監督の背負う重圧はすさまじい。
2005年に就任したニコラエ・フォルミンテ氏(51)は北京大会で、
初めて五輪の指揮を執る。
「選手は余計なことを考えず頑張ればいい。責任は我々がとる」
と声を張り上げて一転、肩をすぼめた。
「実は今の時代、うまく指導するのは難しいんだ」。
社会の変化の波は、体操界にも及んだ。
一流選手を目指す子供が、減っている。


首都ブカレストから北西へ約400キロ、人口8万人のデバ。
1978年に開校した「国立スポーツ専門学校」が、強化の拠点。
シニアのナショナルメンバー14人は、敷地内の寮に住み込み、
7人のコーチに見守られ、1日に6~8時間の練習。

常に世界の頂点を狙う姿勢は30年間、全く変わらない。
ただし、樹木の幹は同じ太さでも、枝葉の形が以前と違う。

例えば、1年に1度しか許されなかった家族との面会は近年、
事前に手続きをしておくことで、無制限に認められる。
体重の増加を防ぐための食事制限も、ほぼ自己管理に任されている。
フォルミンテ氏が、「厳しすぎると、ついて来ない子が出るかもしれない」。

実際に、トラブルが起きている。
五輪で3個の金メダルを獲得したカタリナ・ポノルが、
何度も引退と復帰を繰り返し、昨年の世界選手権後に表舞台から消えた。
実力は衰えていない。
関係者によれば、「生活まで縛られるのは、おかしい」と、
集中強化システムに対する不満をぶちまけ、結局、代表チームを去った。

専門学校のアドリアン・リーガ校長は、
「インターネットの普及などで、情報収集が簡単になった。
子供の価値観の多様化が、体操人口の減少につながっている」。
都会から遠く離れたデバは、かつて少女たちを体操以外の刺激から
隔離するのに、うってつけの環境。
もはや、その壁はなくなったも同然。

もう一つ。 「(89年12月の革命で)社会主義体制が崩壊し、
体操での成功が、必ずしも人生の成功と結びつかなくなった。
だから、若者はスポーツよりも、コンピューターなど、
将来の就職に役立つことをしたがる」(リーガ校長)

ルーマニアは、07年に欧州連合(EU)加盟、社会全体が変革の途上。
ナディア・コマネチらを輩出した伝統国にとって、
本当の試練は、これから訪れるのかもしれない。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080510.htm

2008年6月18日水曜日

学生をつくる (1)意欲引き出す 授業や行事

(読売 6月3日)

学生のやる気を奮い起こすため、大学が知恵を絞る。
「おめでとう」「ようこそ」--。
えんじ色のアカデミックガウンを着た浜名篤学長(51)が
新入生を1人ずつ壇上に招き、手を握っては声をかけていた。

満開の桜に彩られた関西国際大学(兵庫県三木市)の入学式。
学長に就任した3年前に始めた握手を、今年は427人と交わした。
30分以上もかかる歓迎の儀式に、
新入生たちは戸惑いながらも笑顔を見せる。

入学式後も「歓迎」は続く。
学長や上級生らが、南京町など神戸市内の観光地を1日がかりで
案内する「神戸ウオーカー」、キャンパス内でのバーベキュー大会……。
「本学生として、自信を持って一緒に学ぼうと伝えたい。
そのための活動だ」と浜名学長は強調。
同大が一貫して重点施策に掲げるのが、「鉄は熱いうちに打て」。

10年前の開学当時、無気力な学生が目立ち、退学率の高さにも悩んだ。
4年間で一つでも「これならできる」という自信をつけて
社会に送り出すには、入学直後からの戦略が欠かせない。
次々と編み出された歓迎行事は、その第1弾。

開学の翌年には、成績優秀者の授業料の5~10%を免除する
奨励金制度を創設。
4年前には学習や資格取得、課外活動に力を入れると
ポイントがたまるマイレージシステムも始めた。
資格取得5~10ポイント、大学祭での活躍10ポイントといった具合。
1000ポイントたまると、米国研修旅行を贈る。
その達成者はまだ1人だが、奨励金対象者は全体の2割前後。

こうした工夫で、「面倒見のいい大学」という世評が広まり、
昨年度の退学率は約4%と、3年前に比べて半減した。
今年度からは、1年生の必修科目サービスラーニング。
社会貢献活動を通し、学ぶ目的や意味を見つめ直してもらう。

浜名学長は、よく学生に将来の夢を尋ねる。
「ほどほどの暮らしができる中小企業で働きたい」が大半。
将来の夢はない、との答えも少なくない。
「『面倒見のいい大学』は、過保護と同義語という面も。
大学という小さな社会で充足し、新しい学びへの意欲が乏しくては困る」、
校外に出て行くことを考えた。

山下泰生副学長(48)と山本秀樹講師(39)が、
教育学部教育福祉学科の2年生3人を連れ、カンボジアに1週間滞在。
今後の授業展開に、学生の視点を取り入れるため。

まだ内戦の後遺症を引きずる国で、病院や児童養護施設に
足を運んだ学生たちが様々なことを吸収する姿を見て、
山下副学長は生の現実を通した学びの効果を確信。
「1年生にもぜひ経験させてあげたい」と参加者、村井香那さん(20)。
ただ、1年生全員を学ばせるのは、衛生・治安面から難しいと判断、
カンボジアでの学習は自由参加とし、今年度は、地元を中心に
専門分野と関連ある活動をすることに。
三木市と韓国の子供たちの交流の橋渡しをしたり、
同市内の高齢者との交流を深めたりするための授業が始まっている。

「新入生のやる気を起こす効果はある。
今こそ、教員の力量が問われる」と山下副学長。
問題は、教員の負担感だ。

カンボジアに渡航する前の数週間、山本講師は学生たちと何度も
学習会を開く一方、現地での安全確保について調べ、
保護者向けパンフレットも作った。
研修後も、学生が発案したチャリティー募金の意義などについて
共に学び、「行ってきました、だけでは学びの意欲は喚起できない」。

どの教員も同じように取り組めるのか。
学生の学びを変える試みは、教員を変える試みでもある。

◆サービスラーニング

社会貢献を通して学生が学ぶ意味や目的を確認し、
学校で得た知識を深める体験学習。
調査・交渉・企画力を身につけ、職業意識や社会への関心も高める。
欧米では、次代を担う市民育成にもつながるとして、
大学や高校が様々な形で導入している。

◎「初年次教育」で学ぶ習慣確立

大学生に学ぶ意欲やコミュニケーション力を持たせるため、
新入生を集中的に教育する「初年次教育」が、全国的な広がり。
大学教育の質の保証が厳しく問われている。
学ぶ意欲を欠いたままでは中退者増にもつながり、学校経営を圧迫。

初年次教育学会(会長=山田礼子・同志社大学教授)も設立。
会員には、東京大や慶応大、早稲田大など約50大学の教職員約200人。
全国の国公私立大の1980学部長のうち、回答した1378学部の9割が
何らかの取り組みを実施。

1年生段階では、
〈1〉コンピューターを使った情報処理や通信の基礎技術
〈2〉リポートや論文の書き方などの文章作法
〈3〉自立した自己学習の基礎
〈4〉図書館の利用・文献探索の方法
〈5〉学生生活における時間管理や学習習慣の確立--が重視。

大学は、4年間で学生の力をどれだけ伸ばせるか。
その初めの一歩として、初年次教育に熱い視線が集まっている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080603-OYT8T00244.htm

毎日100%果汁を飲む小児はより良い栄養摂取ができる可能性

(Medscape 6月2日)

100%果汁を毎日摂取する2-11歳の小児は、
過体重または肥満のリスクが上昇することなく、
より良い栄養摂取ができることを示す横断的研究の結果が
『Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine』に報告。

ベイラー医科大学(ヒューストン)のTheresa A. Nicklasらは、
「全国標本を用いた最近の諸研究では、
100%果汁の摂取と体重との間に関係はないことが示されている」

「この研究の2つの目的は、2-11歳の全国を代表する小児の標本に、
100%果汁の摂取が(1)栄養摂取と食品群、(2)体重の状態に
影響を及ぼすかどうかを明らかにする」

National Health and Nutrition Examination Survey (1999-2002)
のデータの二次解析において、2-11歳の小児3618例を対象に
果汁の摂取について検討。
果汁の1日の平均摂取量は4.1液量オンス(約121mL)、
平均エネルギー価は58キロカロリー、全エネルギー摂取量の3.3%に相当。

100%果汁を飲む小児は、100%果汁を飲まない小児と比較し、
エネルギー、炭水化物、ビタミンC、ビタミンB6、カリウム、リボフラビン、
マグネシウム、鉄、葉酸の摂取量が有意に多く、
総脂質、飽和脂肪酸、任意摂取の脂質(discretionary fat)、
添加した砂糖の摂取量が有意に少ない。

100%果汁を摂取した小児は、摂取しない小児より、
全ての果物の皿数も有意に多い。

過体重である可能性について、
果汁摂取者と非摂取者との間に有意差なし。
「小児が摂取した100%果汁の量は、米国小児科学会(AAP)が推奨する
100%果汁の最大量に満たなかった。
2-11歳の小児では、100%果汁の摂取は非摂取より優れた栄養摂取と関連、
体重の状態や過体重である可能性とは関連しなかった」

研究の限界として、因果関係の判断を除外した横断的デザイン、
エネルギー摂取の過小報告または過大報告の可能性、
その他の報告上のミスが挙げられる。

「総合的健康食の一部としての100%果汁の摂取は、
その栄養学的利点に基づいて奨励されるべき。
科学的エビデンスの重要性は、100%果汁摂取の栄養学的利益を
明らかに裏付け、小児における過体重と100%果汁摂取との
関係を裏付けていない」

出典Arch Pediatr Adolesc Med. 2008;162:557-565.

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=74700

バーチャルエクササイズで子供が熱くなる kids-feel-the-burn-with-virtual-exercise

(WebMD 5月30日)

アウトドアスポーツの代わりとなるものではないが、
ニンテンドーWiiのような身体を動かすタイプのテレビゲームが
子供に汗をかかせ、カロリーを消費させるのに役立つかもしれない。

米国スポーツ医学会(American College of Sports Medicine)で
発表された2つの新しい試験の結論。

ネブラスカ大学の運動科学准教授Gregory Brownは、
「お子さんがテレビゲームで遊び、あなたがそのことを知っているなら、
体を動かすタイプのゲームは、親指だけを動かす
従来のジョイスティックを用いるゲームよりも健康に良い」。

バーチャルエクササイズプラットフォームは、
自宅にいながらにしてゲーム相手と対戦でき、
内気な子供に運動を促進するのに実際に役立つ。

学齢期および十代の子供のほぼ5人に1人が肥満。
「肥満の蔓延と戦うため、われわれができることは何でも役に立つ」。
小児期および思春期の肥満は、成人期の肥満および
心血管系疾患のリスク上昇に関連。

Brown博士らは、子供25名(平均年齢11歳)を対象。
子供のカロリー消費は、WiiボクシングおよびWiiテニスをした場合、
従来の手持ち型テレビゲームをした場合よりも2~3倍多い。
平均心拍数は、80拍/分から120拍/分に急激に増加、
「これは、ウォーキングやスローダンス時の心拍数とほぼ同じ」。

子供がダンス・ダンス・レボリューション
(テレビの前で、画面の指示と映像に従ってダンスするゲーム)
をした場合、さらにカロリー消費が大きくなると予測したが、
3種類のゲームの効果は同じだった。

グラスゴー大学(スコットランド)の博士課程学生兼講師(PhD candidate)
Viki Penprazeも、同様の試験をし、
2種類の身体を動かすゲームと、手持ち型のゲームおよび
シンプトンズのDVD鑑賞とを比較。

被験者は子供13名、10歳前後。
DVDを鑑賞した場合、従来のハンドコントロール型のテレビゲーム
をした場合、読書によるカロリー消費を上回ることはない。
しかし、Dance Mat ManiaおよびEye Toy Boxing
(プレイヤーがボクサーの真似をする)をした場合、
子供の心拍数は80拍/分から最高で160拍/分まで急激に増加。


この心拍数は、早足でのウォーキング、ジョギングと同等。
子供は座って行う活動に比べて、2~3倍カロリーを消費。

オランダで実施された第3の試験では、
すべてのゲームの結果が同じではないことが指摘。
研究チームは、6種類のゲームシステム(ダンス・ダンス・レボリューション、
Wiiテニス、Eye Toy Beach Volleyball、Xerbike、Lasersquash、
Apartgame)を比較。

その結果、WiiテニスおよびEye Toy Beach Volleyballでは、
他のゲームほど子供の消費カロリーが大きくない。
TNO Prevention and Health(ライデン)のSanne de Vriesは、
「身体を動かすタイプのゲームは、手持ち型ゲームよりも子供によい」

セントビンセント病院(ニューヨーク)の指導リハビリテーション医
Edward J. Mendelsohnは、「新しい身体を動かすタイプのゲームは、
カロリー消費に役立つということに疑問の余地はない」。

Mendelsohn博士は、7歳の息子と数ラウンドのWiiボクシング後、
よく汗をかく。
屋外に出て、スポーツを行うことに取って代わるものはない。
しかし、雨降りなら、このようなゲームは子供の生活に
フィットネスを取り入れるため、楽しくて簡単な方法

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=75042

[第1部・ルーマニア](上)「妖精伝説」色あせず

(読売 5月9日)

枯れ枝のように細い手足の少女が、ルーマニア体操連盟の幹部に
付き添われ、代表チームの練習場に現れた。
アンカ・グリゴラシュさん(50)は、あの日の衝撃を忘れられない。

「私も選手で、新顔を気に留めなかった。
でも、彼女が練習を始めたら、あまりの才能に『この世の人間か』と疑った」。
30年以上も昔の話。ナディア・コマネチは文字通り、宙を舞っていた。

1969年、画期的な強化システムを導入。
優秀な選手を、北東部のオネスティに集めて寮に住まわせ、
練習と生活を一括管理し始めた。
さっそく成果が表れる。
76年モントリオール五輪で、14歳のコマネチは史上初の「10点満点」を連発、
個人総合など3個の金メダルを獲得。
愛らしい容姿で、「白い妖精」と呼ばれ、
世界各国の好意的な視線を一身に浴びた。

しかし、英雄の名誉を得たコマネチは皮肉なことに、自由を失う。
チャウシェスク大統領の独裁政権下で、
体操は国威発揚と海外向けの宣伝に利用。
亡命を恐れる権力者は、現役引退後のコマネチに、
外国への渡航を認めなかった。
悲劇のヒロインは89年11月、ハンガリー経由で米国に脱出。
グリゴラシュさんは、「内向的で無口なナディアに、
あんな勇気があったなんて」と驚いた。

国の象徴的な人物が自由を奪われて、国民は絶望し、
同じ人物の行動力に希望を取り戻した。これは飛躍しすぎか。
「政府の内部でも、コマネチを後押しする動きがあったらしい。
彼女が国境近くにいたとき、なぜか警備が手薄だった」。
約半月後、チャウシェスク大統領を処刑に追いやる革命が起きた。

旧政権のにおいを残す集中強化システムは解除され、選手は各地へ散った。
ところが、復活を望む声が連盟に殺到。
グリゴラシュさんは、「わずか数か月で、体操界は元に戻りました。
多くの才能が死んでしまう。あのコマネチを育てたシステムなのに、と」

78年、北西部のデバに設置された二つ目の体操専門学校。
その校長室の壁に、巨大なコマネチの写真が飾られている。
ルーマニア・リベラ紙、ダニエラ・イオネスク記者は、
すべてはナディアから始まり、現在でもナディアの成功が支えに。
『祖国を捨てた』なんて批判は、ほとんど耳にしない」

北京五輪での活躍を期待されるステリアナ・ニストル(18)が、
「ナディアは模範的な存在。彼女の努力は、私たちに受け継がれている」。
うっとりした表情を浮かべていた。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080509.htm

カキ殻活用で壁材開発 シックハウスに効果

(岩手日報 6月7日)

岩手大の河田裕樹教授と、大船渡市の建設コンサルタント業
菊池技研コンサルタント(菊池透社長)は、
シックハウス症候群の原因物質ホルムアルデヒドや
たばこから出る化学物質を吸着、分解する壁材の開発に成功。

水産廃棄物のカキ殻の吸着作用に着目し、有害物質を分解する
光触媒の酸化チタンなどを組み合わせることで実現。
最後の試験を行い、来春からの実用化を目指す。

気仙地区で、年間5千トンに及ぶ水産廃棄物・カキ殻の
有効利用を模索する中で生まれた。
カキ殻にある吸着作用のほか、有害化学物質を分解する
酸化チタンを素材に開発を始めた。

光触媒の酸化チタンは、電子の受け取りと供与どちらでも、
有害化学物質を分解する働きを持つ。
紫外線が当たることで、活性酸素などが発生し分解を進める仕組み。
紫外線は太陽光はもちろん、室内の蛍光灯でも可能。
大きな面積で使う壁材に使用することで、
より効果的な分解を進めることができる。

壁材は、シックハウス症候群の原因物質ホルムアルデヒドを吸着・分解、
たばこ臭の原因物質アセトアルデヒド、たばこのやにも完全に分解。

菊池技研コンサルタントの菊池喜清会長は、
「モニター調査などもう少し時間がかかりそうだが、
来年度には実用化できるよう進めたい」。

県内のカキ殻の廃棄物は年間、約7千トンにも及ぶ。
さまざまなリサイクル方法が模索されているが、
これといった方法はまだ確立されていない。

一方、国内のシックハウス症候群の対象者は約100万人。
河田教授は、「有効利用が難しいカキ殻と、光触媒を組み合わせることで
さまざまな効果が生まれた。
廃棄物のリサイクルと同時に環境浄化ができる技術」。

◆酸化チタンとは

代表的な光触媒活性物質。
紫外線が当たることで有害化学物質を分解し、親水性も発揮。
汚れ防止効果もあり、道路のガードレールや外壁材などにも使われる。
カビ、細菌の繁殖防止や大気汚染物質の分解作用で
売り出している商品も近年増えている。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080607_3

三陸沖の資源活用探る 研究会が初会合

(岩手日報 6月7日)

県や沿岸自治体、研究機関などでつくる
「いわて海洋資源活用研究会」の初会合は、
宮古市臨港通のシートピアなあどで開かれ、
本県沖における石油や天然ガスなどの資源活用の可能性について
調査・研究に取り組むことを決めた。

関係者ら20人が出席。
県科学・ものづくり振興課の黒沢芳明総括課長が
「三陸の海洋資源のポテンシャルを生かし、県北・沿岸振興に向けて
新しい産業の芽として育てていきたい」。

今後の取り組みとして、
▽海洋資源に関する情報収集
▽地元企業などとのネットワークづくり
▽企業や研究機関の誘致
などを進めていくことを決めた。

国に対し、三陸沖での探査プロジェクト実施などを働き掛ける。
東大海洋研究所の徳山英一教授は、
「三陸沖で期待できるのは石油、天然ガス、メタンハイドレート。
資源についての情報を積み上げ、次のステップにつなげることが大切」。

http://www.iwate-np.co.jp/economy/e200806/e0806072.html

2008年6月17日火曜日

[第1部・ハンガリー]動乱直後「金」 水球は特別

(読売 5月8日)

ハンガリーは、世界一の水球国。
五輪で8個の金を含む14個のメダルを獲得し、
男子は北京五輪で3連覇を目指す。
中欧の真ん中に位置する海なし国だが、
全土からわき出る温泉を利用し、各地にプールがある。
ハンガリー水球連盟のジョルジ・マルティン会長は、
「一年を通してプールを利用できるのが利点」。

環境に恵まれたハンガリーでは、もちろん競泳も強い。
しかし、男子水球日本代表で、1部リーグのフェヘールバールで
プレーする長沼敦(25)が、「日本では考えられないが、
ここでは水球がプールの真ん中を占領し、競泳の人は端の方で泳いでいる
と驚くような特別な地位を得ている。

背景には、社会主義時代の悲しい事件。
1956年10月。ソ連(当時)の影響力に反対した労働者や学生が
自由を求めて立ち上がった。
ハンガリー動乱と呼ばれる事件は、ソ連軍の戦車2500両によって
踏みつけられ、1万7000人以上が命を落とす結末。

直後の11月末から行われたメルボルン五輪男子水球。
ハンガリーは、決勝でユーゴスラビアを1点差で破って、金メダルを獲得。
しかし、人々の記憶に刻まれたのは準決勝。
相手はソ連。その相手を4―0で下したから。
当時の主将、デジェ・ジャルマティさん(80)は、
「ラジオで結果を聞いたハンガリーに残った人、国外に亡命した人たちに
勇気を与えることができた」と振り返る。

試合中、接触プレーでハンガリー選手の右目の下が切れた。
その様子は、多くの血が流されたハンガリー動乱になぞらえられ、
「メルボルンの流血戦」として長く語り伝えられる。
「ソ連に勝ったということは、みんなの支えになった。
水球だけの歴史ではなかった」とジャルマティさん。
不幸な事件と、五輪での栄光が、
水球をハンガリー人にとって特別なスポーツに変えた。

社会主義時代に水球は、政治集会以外では最も人を集めるイベントで、
女性は着飾って会場に駆けつける晴れの場。
今は、金髪で長身のアイドルのような選手に、黄色い声援を送る
10代の女の子が観客の半分を占める。
ジャルマティさんは、「時代やファン層は変わっても、
水球の人気は続いている」と、目を細めた。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080508.htm

薄まると感じる酸っぱさ 酸味センサーの仕組み解明

(共同通信社 2008年6月9日)

強い酸味を感じる舌の細胞のセンサーは、
酸っぱさにすぐに反応するのではなく、
唾液などで酸味が薄まってから反応していることを、
自然科学研究機構・岡崎統合バイオサイエンスセンターの
研究チームが突き止めた。

今回の発見は、酸味のない食べ物を酸っぱく感じさせたり、
逆に強い酸味を酸っぱく感じさせなくしたりする調味料の開発などに
役立ちそう。欧州分子生物学機構速報誌(電子版)に発表。

このセンサーは、舌の細胞の表面にあるタンパク質の複合体
「PKDチャネル」で、強い酸味だけに反応。
弱い酸味のセンサーも別にあると考えられているが、まだ見つかっていない。

稲田仁・特任助教(分子細胞生理学)や富永真琴教授(同)らは、
PKDチャネルを持つ細胞で実験。
このセンサーが強い酸性にすぐに反応するのではなく、
酸性度が少し弱まった段階で反応することを確認。

基本的な味覚のうち、甘味と苦味、うま味は、
細胞の表面にあるセンサーが刺激にすぐに反応する仕組み。
塩味を感じるメカニズムはよく分かっていない。
酸味の感覚は、腐った食べ物など危険に対する防御システム。

稲田さんは、「強い酸味を感じて食べ物を吐き出した後も、
この仕組みなら酸っぱさが口の中で長く続くので、
危険に対する学習効果が大きくなる利点がある」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=74679

高校に出前講義 大船渡・北里大

(岩手日報 6月7日)

大船渡市の北里大海洋生命科学部(緒方武比古学部長)
本年度、高校に講師を派遣する「出前講義」を本格スタート。
高校生に、海洋生命科学の面白さを伝えると同時に、
同学部の志願者増にもつなげたい考え。
特に、全学生の2%に満たない本県出身者の拡大を目指す。

一時は移転論議もあった同大だが、
自治体との連携も加速しており、地域貢献活動を積極的に展開。
出前講義は、海洋生命科学部の教員が高校に出向き、
専門分野を分かりやすく講義する企画。
交通費や講師料などの経費は、同学部が負担。
昨年度は、試験的に本県の3校を含む全国17校で実施。

本年度からは講座数を12から16に増やし、
「ナマコの生態」や「クラゲの秘密」、「魚の成長メカニズム」など
メニューを拡充。
実施校も増やす方針で、東日本を中心に約1700校に
募集書類を送付。中でも、県内高校の利用を呼び掛けている。

高校生を対象にした「海洋生物科学シンポジウム」を、
10月に奥州市で開催することも決定。
毎週土曜日には、キャンパス見学会も開いている。

高校との連携を進める背景には、少子化による志願者減少。
同学部の志願者数は、2003年度入試の1267人をピークに減っており、
本年度は948人。
全学生770人のうち本県出身者は14人で、県内高校へのPRが課題。

旧水産学部は、北里大の全体改革の一環で移転が議論されていたが、
2年前に現在地での存続が決定。
これを機に、本年度から学部名称変更などの学部改革を行ったほか、
同大を運営する学校法人と県、釜石市が連携協定を締結し
バイオ関連の研究事業をスタート。
地元大船渡市とも連携協定を結ぶ方向で協議を進めている。

同学部広報委員長を務める高橋明義教授は、
「三陸をテーマに研究している本学にとって、
地元との連携は非常に重要。
高校へのアプローチを皮切りに、さまざまな貢献活動を考えており、
岩手出身学生の増加にもつなげたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080607_14

声援後押し競技挑戦 県障がい者スポーツ大会

(岩手日報 6月8日)

第10回県障がい者スポーツ大会は、
盛岡市内の3会場で開かれ、県内全域から1384人が参加。
選手らは、陸上や水泳、ボウリングなどに
すがすがしい汗を流して交流を深めた。

盛岡市みたけ1丁目の県営運動公園では、陸上競技が行われ、
選手らは短距離走や投てき種目に挑んだ。
全力で体を動かす選手に、会場からは大きな声援や拍手が送られた。

200メートル走に車いすで参加した遠野市の佐藤憲光さん(49)は
「緊張したが、応援の声がうれしかった。
どんどん走る距離を長くしていきたい」。

シンガー・ソングライターの松本哲也さん=奥州市出身=が作った
テーマ曲も披露され、公募していた曲名は「SKY(スカイ)」と発表。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080608_1

早くも活発交流 県立大生とIT関連企業

(岩手日報 6月8日)

滝沢村が、情報技術(IT)関連産業の集積を目指し2009年4月、
県立大に開設するIPUイノベーションセンター(仮称)事業を見据え、
学生と企業の交流が活発化。

県立大地域連携研究センターに試行入居している企業と、
学生らで構成する特定非営利活動法人(NPO法人)などが契約を結び、
学生たちはソフト開発などに「頭脳」を提供。
自動車、携帯電話などに組み込まれている「組み込みソフト」の技術者が
不足する中、企業にとって貴重な戦力に。

学生と企業の交流は、学生らで構成するNPO法人HCC(瀧澤寛之理事長)、
同大ソフトウェア情報学部の研究室が橋渡し役となり、
2年ほど前にスタート。現在は50人以上の学生、大学院生が3社で働く。
時給は、850円前後。
携帯電話や車載機器の組み込み制御ソフトなどの検証と開発に携わる。
同学部3年の小室良君は、「実際の仕事が分かる。よい経験だ」。

学生を受け入れる組み込みソフトウエア開発、
岩手CSK(盛岡市)の登坂誠一システム開発事業部長は、
「学生の指摘で、より良い商品になることもある」。

IPUイノベーションセンターは、貸事務所機能を主とし、
2008年度末に地域連携研究センター隣に完成する予定。
運営は県立大に委託。

現段階で入居を希望している企業は、
首都圏や名古屋市など県外が15社程度、県内は3社。
入居を見据え、ソフトウエア部門を分社化した企業もある。

経済産業省の07年調査では、
組み込みソフトウエア開発技術者は全国で約10万人が不足。

同大地域連携研究センターの岸本輝昭教授は、
「首都圏などでは有能な学生の獲得競争が激しく、
県立大は魅力的な人材確保の場と映っている」。

同学部は毎年度、大学院生も含め約200人を輩出。
HCCの瀧澤理事長は、「イノベーションセンター開設に伴い
企業進出が増えれば、学生の地元定着につながる」。

柳村典秀村長は、「イノベーションセンター事業は産業振興の目玉」と、
企業集積を目指していく。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080608_3

2008年6月16日月曜日

被災児童心のケア 奥州・衣川小が交流会

(岩手日報 6月16日)

岩手・宮城内陸地震発生後、被害の大きかった奥州市衣川区にある
衣川小(藤川ひとみ校長、児童124人)は、
同校など学区内の3カ所で児童の心のケアを目的に交流集会を開いた。
余震におびえながら過ごした児童らは、友達や先生に会い、
ほっとした表情を浮かべた。

教諭らが同校と北股、南股の両地区センターに出向き、
ショックを受けた子どもたちの心を癒やそうと集団遊びを行った。

同区上衣川の南股地区センターには、
保護者に手を引かれ児童24人が集合。
藤川校長が「よく来たね」と一人一人に声を掛けると、
児童たちは「元気だったよ」と応じ、全員で輪になっての遊びに興じるなど
次第にいつもの笑い声を取り戻した。

南股地区センターまで1年女子の孫を送ってきた
同区中河内の高橋ヒロ子さん(66)は、「余震におびえ泣きだすことも。
早く普段の生活に戻してあげたい」。
藤川校長は、「表情の硬い子がまだいるが、少しでも心をやわらげたい」。

同校は同日休校とし、集会は自主参加とした。
奥州市では、損壊が激しい胆沢区の愛宕小も休校。
衣川区の衣里小、衣川中も午前授業の措置を取った。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080616_21

住民の孤立状態は解消  死者10人、不明者12人に

(岩手日報 6月16日)

震度6強を記録した岩手・宮城内陸地震で、
宮城県栗原市の旅館「駒の湯温泉」の倒壊現場から見つかった遺体は、
旅館を経営する一家の長男菅原孝夫さん(58)と確認。
地震による犠牲者は10人目。行方不明者は12人。

土砂崩れで道路が寸断されるなどし、最大約730人が孤立していた住民は、
すべてが避難所に救出され、住民の孤立状態は解消。

生き埋めとなった人の生死の境とされる発生後72時間が17日朝に迫り、
県警などは残る不明者の捜索に全力を挙げたが発見には至らず、
16日は捜索を打ち切った。17日早朝から再開。

栗原市災害対策本部によると、休校にしていた市内の幼稚園や
小中学校の約60校は、4校を除き17日から再開。
気象庁によると、14日からの余震は320回を超えた。

菅原さんは、県警による検視の結果、窒息死と判明。
旅館では7人が生き埋めとなり、4人が死亡。

http://www.iwate-np.co.jp/newspack/cgi-bin/newspack_s.cgi?s_main+CN2008061601000410_2

ヘッドホン型の健康支援機器「カラダトレーナー」

(スポーツ早耳ニュース 6月16日)

セガトイズは、ヘッドホン型の健康支援機器「カラダトレーナー」発売。

通常時の心拍数や性別、年齢を入力し、
運動すると音楽と言葉で適切な運動の強さを助言。
運動の種類は、ウォーキング、ジョギング、エアロビクスの3種。
準備運動ではゆっくりした音楽が流れ、次第に速くなるので、
音楽に合わせて運動することができる。
耳につけたセンサーが心拍数を感知し助言する。
使い勝手については、有森裕子さんがアドバイス。

[第1部・イタリア]「アタックNo.1」に導かれ

(読売 5月2日)

北京五輪への出場権をかけたワールドカップ(W杯)で初優勝し、
本番でも初のメダルへの期待が高まるイタリアの女子バレーボール。

競技人口でも、男子の約7万5000人に対して、女子は約23万人と、
圧倒的に「No.1」のスポーツ。
ここまで浸透した背景に、トリノ大学外国語学部の八木宏美・契約教授は
「日本のアニメの影響が大きかった」。

2002年、イタリア女子は初めて世界選手権で頂点に立った。
メンバーは、1982年に放映が始まった『ミミとバレーボールの仲間たち』
を見て、バレーを始めたり、さらに熱中するように。
当時の主将、アンナマリア・マラージさん(38)は、
「みんな主人公のミミにあこがれていた。
努力すれば、報われるとか、イタリアのアニメにはない面白さに、
みんなが夢中になった」と少女時代を振り返って目を輝かす。
『ミミ』と呼ばれたアニメは、『アタックNo.1』のイタリア語版。

マラージさんは、男性に圧倒的な人気を誇るサッカーと比べ、
汚れのないように見える点が特に女性から人気を得た理由。
イタリアサッカー界は、ここ数年を見ただけでも、
審判を巻き込んだ大規模な不正が発覚したり、
サポーターの暴力や死亡事件が後を絶たないなど、暗い影に。

バレーは、『ミミ』の影響もあり、友情や努力などをはぐくむいいイメージがあり、
サッカーを毛嫌いする母親が娘たちに勧める。
イタリア連盟広報のカルロ・リージさんは
「(バレーは)女性は常に美しくありたいという、イタリア人の感性に合っている」。
ネットで隔てられたバレーは、接触プレーによるけがも少なく、
美しさを損なうほどの筋肉がつくこともない。

1990年男子世界選手権優勝メンバーで、バレーの普及活動を行っている
アンドレア・ルケッタさん(45)は、
「『ミミ』は自分にとって聖書のようなものだ」。
ただ、25年以上も再放送され続けているため、時代遅れの部分もあるとして、
『スパイク・ガールズ』という“新約版”の製作を進めている。

『アタックNo.1』の精神を受け継いだ作品は、来年末に放送開始予定。
「子供にバレーの素晴らしさを知ってもらうのに、アニメは素晴らしい手段。
これからの25年、『ミミ』の役割を果たすものにしていきたい」。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080502.htm

iPS細胞・研究最前線:/下 将来の臨床応用へ、続く試行錯誤

(毎日 6月8日)

人工多能性幹細胞(iPS細胞)からさまざまな細胞を作り、
病気の治療に利用する。
現在、描かれている再生医療のビジョンを現実化しようとした場合、
どんなハードルがあるのか?

研究者たちは細胞の実像を探る基礎研究に加え、
将来の臨床応用を視野に入れた試行錯誤も。
一方で、iPS細胞を人類共有の資産とするため、
国際的な協力体制をつくるための議論も始まった。

◆iPSバンクの必要性

京都で開かれたiPS細胞国際シンポジウム。
山中伸弥・京都大教授は、「iPS細胞バンク」設立の必要性を語った。

バンクは、多くの人から提供されたiPS細胞そのものと、
そこから分化させた各種の細胞を集め、保管しておくもの。
本来、iPS細胞は病気やけがをした患者自身の細胞から作ることで、
拒絶反応を避けた再生医療につなげる。

実際には、そんな手順を踏めないケースも多い。
例えば、交通事故などによる脊髄損傷は、
けがをしてから9日目ごろに、神経細胞のもとになる
神経幹細胞を移植しなければ、症状の回復が見込めない。
本人のiPS細胞を作成するには、数カ月かかってしまう。

◆50種類で9割カバー

iPS細胞バンクの具体像を示したのが、京都大の中辻憲夫教授。
日本人に多い白血球の型(HLA)を分析し、
「50種類のHLAのiPS細胞を用意すれば、
日本人の9割で拒絶反応をほぼ回避か、大幅に軽減できる」。

拒絶反応の有無や強さは、移植した細胞や臓器と、
患者の体のHLAが適合するかで決まる。
中辻教授と東京大の徳永勝士教授らは、
拒絶反応の強さにかかわる三つのHLA遺伝子に着目。

国内の臍帯血バンクのデータから、
日本人に多い3遺伝子の組み合わせの分布を計算すると、
上位50種類の組み合わせで、90・7%の日本人をカバーできる。
最も珍しい第50位の組み合わせで日本人3万人中1人、
最多の組み合わせは3万人中199人。
50種でカバーできない残り約1割の人にも、
3つのうち2つの遺伝子が適合するiPS細胞を使えば、
拒絶反応の大幅な軽減が可能。

中辻教授は、「がん化などの恐れのない安全なiPS細胞の
作成技術の確立が大前提だが、50株のiPS細胞バンクを作れば、
日本人のほぼ全員が恩恵を受けられる」。

◆国際協力の推進を

日米欧のほか、中国、韓国、オーストラリアなど
各国から幹細胞研究の第一人者が集った国際シンポでは、
iPS細胞研究の未来を話し合うパネルディスカッション。

議論の焦点の一つが、iPS細胞や胚性幹細胞(ES細胞)を使った
再生医療の安全性をいかに確保するか?

iPS細胞やES細胞からさまざまな臓器の細胞を作り、患者に移植する、
というのが、再生医療の基本的な手法。
現時点では、作りたい臓器の細胞だけを、
確実に作り出す技術は確立していない。
移植した細胞が、想定外の細胞に分化し、がん化する危険性がある。

西川伸一・理化学研究所発生・再生科学総合研究センター副センター長は
「(安全性確保に向けて)国際的に協力できることはないか」と問題提起。
マックス・プランク分子医薬研究所(独)のハンス・シェラー所長は
「(iPS細胞が)がん化しない段階まで分化が進む仕組みを、
理解することが必要。そこを把握できれば、実用に近づくだろう」。

若年性糖尿病研究財団(米)のロバート・ゴールドスタイン科学部長は
「各国の研究者が協力してデータを出し、それをもとに各国政府が
安全性評価を行えれば有益」。

iPS細胞の登場で、ES細胞が不要になるわけではないとの指摘も。
iPS細胞を使い、遺伝性貧血やパーキンソン病の治療を目指している
ルドルフ・イェーニッシュ米マサチューセッツ工科大教授は
「ヒトのES細胞とiPS細胞が、成長した後も含めて本当に同じ能力かは、
まだ分かっていない。比較のためES細胞の研究が今後も必要」。
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◇一般向け解説本、売れ行き好調

ヒトiPS細胞について、一般向け「解説本」の出版が相次いでいる。
売れ行きも好調。
科学雑誌「ニュートン」は、08年6月号で「万能細胞」を特集。
山中教授と、同時にヒトiPS細胞を作成した
ジェームズ・トムソン米ウィスコンシン大教授のインタビューを掲載。
都心のビジネス街でよく売れ、通常の3~5倍に達した店も。

集英社は、山中教授とウイルス学の権威、畑中正一・京都大名誉教授の
対談をまとめた「ひろがる人類の夢 iPS細胞ができた!」を発売。
山中教授の生の声を収録。

「iPS細胞 ヒトはどこまで再生できるか?」(日本実業出版社)は、
科学技術振興機構のiPS細胞リポートも手がけた
田中幹人さんが研究を解説。“iPS細胞誕生秘話”も盛り込む。
中畑龍俊・京都大iPS細胞研究センター副センター長が監修した

「iPS細胞って、なんだろう」(アイカム)
細胞のカラー写真を豊富に掲載。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080608ddm016040005000c.html

3行とも増収 県内地銀決算

(岩手日報 6月7日)

岩手、北日本、東北の県内3銀行の2008年3月期の決算。
個人向けを中心に預金が伸び、住宅ローンなど貸し出しも堅調で、
3行とも増収。

岩手は、米国の信用力の低い個人向け住宅ローン(サブプライムローン)を
一部組み入れした債券の減損処理が響き、5期ぶりに減益。
北日本は、支払利息負担増などで6期ぶり減益。
東北は、経費節減に努め、当期純利益が過去最高を記録、2期ぶりの増益。
一般企業の売上高に相当する経常収益は、3行とも増加。
岩手は、貸出金増加のほか株式などの売却益も増え、
14・0%増の2けたの伸び。北日本は0・5%増、東北は2・1%増。
北日本は、住宅ローンが好調に推移したが、
投資信託販売は計画を下回った。
東北は、個人預金が順調だが、貸出金残高が微減。
岩手は、サブプライムローン関連債券19億円を含む
有価証券評価損33億円を減損処理。
北日本、東北はサブプライムローン関連商品を保有していない。
不良債権比率は、不良債権の売却や取引先の経営改善を進め、
3行とも改善。自己資本比率は、各行とも低下。
株式市場低迷により有価証券評価益が減少した一方、
岩手、北日本は貸出金残高の増に伴い、リスク資産も増えた。
09年3月期は岩手が減収増益、北日本が増収増益、東北が増収減益。
岩手の高橋真裕頭取は、「有価証券の減損処理分を
株式などの売却益で一部カバーしたが、結果は減益。
県内シェアを上げるとともに、県外の営業強化に取り組む」。
北日本の佐藤安紀頭取は、「金利や株価がマイナスに働いたが、
貸出金、預金は増加し、将来につながる取引は拡大した」。
新基幹システムに移行し、今期はローンなどの新商品を投入。
東北の浅沼新頭取は、「当期純利益は10億円を超えた。
本来業務のところでプラスとなり、今までで最高益となった」、
来期はシステム関連や店舗関連の投資に伴う減価償却費の増加を見込む。

2008年6月15日日曜日

[第1部・ドイツ]乗る、育てる…馬は友達

(読売 5月1日)

午後6時、気温はマイナス1度。馬も人間も、吐く息が白い。
ドイツ北西部は3月下旬でも、まだ寒い。
「1、2、1、2……。もっとリズムを作って」。女性指導員から声が飛ぶ。
馬上の少女は14、15歳。
ほおを真っ赤にしながら乗馬を続けていた。

ノルトライン・ウエストファーレン州中部の町ワーレンドルフ。
馬術協会、オリンピック委員会馬術支部(DOKR)、国立乗馬学校。
歴史を感じさせる古い建物と厩舎が立ち並ぶ。
全国地図に載っていない人口4万人足らずの小さな町が、
ドイツ馬術界の聖地。

DOKRには、馬術を志す少年、少女が各地から集まり、指導を受ける。
厳しさの中に、ときおり笑顔も交じる指導風景。
過去に34個の金メダルを獲得した強さの秘密が、ここにある。

「ドイツ人のまじめな性格や我慢強さは、乗馬に向いている。
馬の育成に時間がかかる」。
力説するのは、前回のアテネ五輪馬場馬術団体で金メダルを獲得した
フベルトス・シュミット

五輪で唯一動物が参加する馬術は、いかにいい馬を育てるかが勝負。
馬をリラックスさせ、柔らかく動かす騎乗に定評があるシュミットは、
馬に乗ること以上に育てることが、ドイツ人に合っているという。

DOKRで少女が乗っていたライトポニーは、
小型馬のポニーを他品種と掛け合わせ、
子供の乗馬用にわざわざ作られた品種。
種付け、売買、調教。
すべてが産業として成り立ち、いい馬を生み出す土台に。

ブリンクマン・グループといえば、バスケットボール界のナイキのような存在。
乗馬服のピカー、乗馬用品のエスカドロンを中核に、
複数の高級ブランドを傘下に従え、年商はグループ全体で
2億4000万ユーロ(約390億円)。ドイツ代表の制服も請け負う。

グループ代表のウォルフガング・ブリンクマンさんは、
「馬術から学んだのは、人を信頼すること。
それがなければ、サッカーをやっていた」。
やり手のビジネスマンとは思えない温和な表情。
1988年ソウル五輪で団体優勝した後、補欠選手に
個人の出場権を譲った美談でも知られるが、
「僕らの時代は、馬術はみんなで助け合う団体スポーツだった」。

現在も、週末は各地で“草馬術”の大会が開かれ、
10歳足らずの子供から大人までが技術を競う。
ドイツの人々が馬に注ぐ優しい視線。それこそが強さの秘密。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080501.htm

スポーツ21世紀:新しい波/270 バレー協会・個人登録制度/5

(毎日 6月7日)

日本バレーボール協会(JVA)の選手登録は従来、
代表者がチーム単位で所定の用紙に書き込む方式。
昨年4月からは、選手個々が携帯電話やパソコンを使い、
インターネットを通じて行う方式に改められた。
これが、中学や高校で部活の指導にあたる教諭らの懸念を呼んだ。

背景には、教育現場に根強く残る携帯電話やパソコンへの警戒感。
近年、学校裏サイトや出会い系サイトが、
犯罪やいじめの温床として指摘。
「インターネットから生徒の問題行動が起きているだけに、
教師は取り扱いに悩んでいる」、
「個人情報が流出することはないのか」、
「普段は使うなと指導しているのに(新登録制度は)矛盾する」

大阪市中学体育連盟バレーボール部総会では、
不安の声が相次いだ。
加えて、システムが難解だという声がある。

ある教諭は、「アナログ世代の私自身、登録に挑戦したが、できなかった。
だから子供たちにも教えられない」、
「紙で登録する方法に戻してください」と、
出席したJVA関係者を恨めしそうに見つめた。

この二つは、背中合わせの関係。
システムの開発、整備にあたったJVAの岡山保美氏は、
登録が難解になった理由が、個人情報保護にある。
「情報にアクセスする権限を厳しく制限する発想で、システムを作った。
個人情報の登録や修正は、基本的に生徒本人や親以外にはできない。
親ができない場合は先生がするが、
その場合は生徒の親から委任状を出してもらう」。

現場の意見を受け、顔写真の添付を義務から外すなどしたが、
「基本線は譲れない」との考え。
「インターネットという便利なツールが、悪い形で使われている現状もある。

しかし、悪を排除しつつ、便利を生かしていくことが大事」と話す岡山氏。
「5年先、10年先のIT(情報技術)の浸透状況を考えれば、
方向性は間違っていない」。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

バイオ燃料:非食物の植物、アフリカで栽培支援へ

(毎日 6月8日)

政府は、バイオ燃料の原料となる非食物の植物「ジャトロファ」
について、アフリカでの栽培を広めるため、経済支援に乗り出す。

穀物から作ったバイオ燃料は、食物価格上昇の一因とも指摘、
新たな「非食物バイオ燃料」の普及により、
食糧問題解決と地球温暖化対策の両立、
さらにはアフリカの地域開発という「一石三鳥」を目指す。

福田康夫首相は、「食糧サミット」で、
食糧を使わないバイオ燃料の必要性を強調。
ジャトロファは、中南米原産の低木で、乾燥地でも成長が早く、
油がよく取れるという。
繰り返し栽培でき、穀物に代わる有力なバイオ燃料の原料とされる。
二酸化炭素の吸収にも役立つ。

アフリカ各地で栽培が進み、マリの首都バマコ郊外の村では、
ジャトロファによる燃料が村内や周辺地域の発電、
自動車にも使われている。
売り上げが、住民らの貧困解消につながる効果。

栽培支援は、当面は普及が進むマリを中心に、
自治体や非政府組織などに対する「草の根無償資金」
(上限1000万円)で援助。
国際協力機構(JICA)を通じ、村落開発に詳しい専門家の派遣も検討。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080608ddm002010148000c.html

「万能細胞から心筋」効率上げるたんぱく質 千葉大発見

(朝日 2008年6月7日)

さまざまな細胞や組織になりうる万能細胞の一つ、
胚性幹細胞(ES細胞)から心筋の細胞をつくる効率を
最大20倍に高めるたんぱく質を、
千葉大学医学部の小室一成教授らの研究グループが
マウス実験で見つけた。

心臓病の再生医療の開発につながる。
新型の万能細胞である人工多能性幹細胞(iPS細胞)でも試す。
英科学誌ネイチャー(電子版)に発表。

研究グループは、骨髄系の細胞を培養した液を使うと
万能細胞から心筋細胞への分化が促されることに着目。
この培養液中にある「IGFBP―4」というたんぱくが
心筋をつくる効率を上げる働きがあることをつかんだ。

ES細胞から心筋細胞になるのは、これまではよくて全体の1%程度、
マウスのES細胞にふりかけて培養したところ、10~20倍もできた。

再生治療に使うためには、万能細胞を心筋細胞にして移植するか、
このたんぱく質を含んだ薬剤を注射し、
心臓内にある幹細胞を心筋に変身させる方法。

http://www.asahi.com/science/update/0606/TKY200806060038.html

野口英世アフリカ賞受賞者に教えられたこと

(サイエンスポータル 2008年6月2日)

日本政府が設立した野口英世アフリカ賞の授与式が、
第4回アフリカ開発会議が開催された横浜市で行われた。
第1回の受賞者となったブライアン・グリーンウッド博士
(ロンドン大学衛生熱帯医学校教授)、ミリアム・ウェレ博士
(アフリカ医療研究財団会長、ケニア国家エイズ対策委員会委員長)の
受賞記念講演会が開催。

グリーンウッド博士は、英ケンブリッジ大学で医学博士号を取得後、
英医学研究評議会の在ガンビア研究所長を15年間務め、
30年間にわたりアフリカでマラリアの研究を続けた。
髄膜炎や肺炎など、アフリカにおける乳幼児死亡の主要な原因の
感染症の解明にも貢献。

野口英世アフリカ賞委員会委員長を務める黒川清・内閣特別顧問の
紹介によると、若くしてアフリカでの研究生活を選んだ博士に対して
「彼はおかしいのではないか」という声が周囲から。

ウェレ博士は、出身地ケニアのナイロビ大学後、
米ジョンズ・ホプキンズ大学で修士、博士号を取得するなど
医学研究のかたわら、一貫してアフリカにおける医療サービスの提供
という実践的活動に力を注いだ。

公衆トイレを継続的に設置や、
子供たちを小グループに分けて予防接種に連れて行き、
乳幼児接種率を大幅に引き上げ、
エイズ感染者・患者など弱者の側に立った医療活動を
40年にわたって続けて来た。

ウェレ博士が、講演の中で紹介した
サハラ砂漠以南のアフリカの現状は厳しい。
世界人口の10%がここに住む。
世界中で病気にかかっている人々の25%は、この地域。

妊娠関連の合併症で死亡する女性は16人に1人に達し、
世界平均の74人に1人、先進国は2,800人に1人という比率に比べ、
著しく大きな危険にさらされている。
母親が亡くなると、子どもはほとんど生存できず、負担は家族全体に。

先進国では平均寿命が80歳台になろうとしているのに、
この地域は30歳代に下がった。

こうした状況で、両博士の長年にわたる献身的努力を支えてきたのは何か?
コミュニティに対する信頼のように見えた。
「アフリカでは、自分のやっていることの結果を見ることができる。
ワクチンへの不安の声を聞いて、コミュニティに出かけ説明したことも。
何が起きているか、理解してくれた。
ロンドンや日本に伝える前に、まずコミュニティで話す。それが鍵になる

グリーンウッド博士は、医学研究、医療サービスの向上には
コミュニティのサポートが重要であることを強調。
アフリカの楽しみは、屋外で研究できること、現場で活動できること。
アフリカの人々は賢くないと思っている人がいるが、そうではない。
独立してまだ50年、貧困のため、どうしてよいか分からない。
私も、宿題をするとき、明かりがなく、火をたいて勉強をした。
アフリカに問題があると思うなら、日本からももっとアフリカに来てほしい。
われわれは東の人たちとも交流したい」

ウェレ博士の訴えに、国際協力の在り方を
考えさせられた参加者も多いのでは。
黒川清・内閣特別顧問は、「日本の政府開発援助(ODA)は、
かつて世界1位だったのが、今や1位は米国、英国が2位、
フランス、ドイツにも追い越されて現在は5位に。
来年は、オランダにも抜かれ6位になるだろう。
こんな国になりたいだろうか」

http://www.scienceportal.jp/news/review/0806/0806021.html