2011年1月8日土曜日

2011年の科学界:ISSが完成、宇宙開発「一里塚」

(毎日 1月4日)

2011年は、人類が初めて宇宙を飛んでから50年の節目。
日本では古川聡飛行士(46)が、今年完成を見る
国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在するほか、
中国が独自の宇宙ステーション計画を始動。
科学に関する今年の主な話題を紹介。

旧ソ連空軍のユーリ・ガガーリン少佐(1934~68)が乗った
宇宙船「ボストーク1号」が地球を1周し、
「人類初の宇宙飛行」を成し遂げたのは1961年4月12日。
ガガーリン少佐は、100分あまり飛行してソ連領内に無事帰還、
「地球は青かった」という名言を残した。

50年後の2011年、世界の有人宇宙開発にとって「一里塚」となる年。

日本、米国、カナダ、ロシア、欧州の計15カ国が参加し、
地上約400kmの上空で、98年から建設が進められてきた
ISSが今年、いよいよ完成する。
完成に伴い、延べ約800人を宇宙に運んだNASAの
「スペースシャトル」は、6月にも最終飛行を終えて引退。
シャトルには、日本人宇宙飛行士7人も搭乗した。
シャトルの引退により、米国は一時的に有人宇宙輸送機を失い、
ISSへの往復は、ロシアのソユーズ宇宙船に頼ることに。

5月末、古川聡飛行士がソユーズ宇宙船で、
ISS長期滞在任務に出発する。
すでに長期滞在を経験した若田光一飛行士(47)、
野口聡一飛行士(45)に続き、日本人3人目。

99年、宇宙飛行士候補に選抜されて以来、13年目での初飛行。
滞在は約半年。
医師として東大病院に勤務した経歴を生かし、
宇宙で人体がどのような影響を受けるかを調べる実験などで
成果が期待。

古川さんは昨年12月、自身のツイッターで、
「試合に出るため、ずっと練習してきて(中略)やっとレギュラーになれた。
やった!という感じ」と、元野球少年らしい表現で喜びをつづった。

ISS計画には参加せず、独自の有人宇宙開発を続けてきた中国は、
今年前半にも自前の宇宙ステーション建設に向けた無人実験機
「天宮1号」の打ち上げを予定。

年内にも、宇宙船「神舟8号」を無人で打ち上げ、
宇宙でのドッキング実験を実施。
2020年までに、宇宙ステーション「天宮」を完成させる計画の第一歩。

◆原子力ビジネス

国は、原子力利用の基本方針「原子力政策大綱」
(05年閣議決定)を見直す。
温室効果ガス排出削減で原発が見直されている半面、
核燃料サイクルを支える高速増殖原型炉「もんじゅ」などの計画が
遅れていることを考慮しながら議論。
新大綱の原案は、年内をめどにまとめる方針。

日本の原発技術を、海外に売り込む動きも活発化。
政府は、原発の大規模な増設を計画している韓国政府と、
12月に原子力協定を結んだ。
電力9社などが昨年設立した新会社「国際原子力開発」は、
新興国を中心に活発にビジネスを展開。
今後もアジアを足がかりに、官民一体で売り込みを進める。

◆世界化学年

今年は「世界化学年」。
マリー・キュリー(1867~1934)が、ラジウムの発見で
ノーベル化学賞を受賞して100年になるのを記念し、国連が定めた。
世界90カ国以上が、化学への理解と関心を高めるための
活動を連携して展開。

国内では、化学関係の学会や企業などで構成する
「世界化学年日本委員会」(委員長・野依良治理化学研究所理事長)
が設立、化学のPRに取り組む。
各地での市民講座開催や科学館での展示会、
小中学生を対象とした伝記「キュリー夫人」の感想文コンクール、
オリジナル切手の発行などが予定。

◆天文

月が太陽の一部を隠す部分日食が1回、月が地球の影にすっぽり入る
皆既月食が2回ある。
6月2日の部分日食は、東北・北海道で見られるが、欠け方はわずか。
12月10日の皆既月食は好条件で、
全体が赤銅色に染まる月が全国で観察できそう。

久々に大規模と期待されるのが、「10月りゅう座流星群」。
ジャコビニ流星群とも呼ばれ、日本では10月9日未明、
最大で1時間に100個、欧州では800個ほど現れると予想。

◆科学技術政策

5年ごとに策定される政府の「科学技術基本計画」が3月、閣議決定。
第4期(11~15年度)の5年間に、政府の研究開発予算を25兆円、
国内総生産(GDP)の1%分投入する方針。
年平均5兆円の投資をうたうが、初年度に当たる11年度予算案で
計上したのは、その7割程度。
過去、補正予算を合わせて5兆円を達成したのは09年度の1回きりで、
科学技術予算を、「未来への先行投資」とする計画の理念が
実現するかは微妙。

11年度予算案では、研究者に配分する科学研究費補助金を
過去最高の増額とするなど、研究者への配慮もにじませた。

かつて財務官僚として、科学技術の予算編成にもかかわった
和田隆志内閣府政務官は、「過去5年間に使った予算の見返りは、
国民が納得するレベルに達していない」、
投資額に見合う成果を求める方針。
女性研究者の比率など、第3期(06~10年度)で掲げた数値目標を
達成したかを、2~3月に評価。

科学技術政策の司令塔「総合科学技術会議」の強化など、
政権交代以来、積み残してきた課題の解決も、今年ヤマ場を迎える。
==============
1月 4日未明 しぶんぎ座流星群ピーク
6月 2日早朝 部分日食(一部地域)
6月16日未明 皆既月食(一部地域)
10月 9日未明 10月りゅう座流星群ピーク
12月10日夜  皆既月食

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2011/01/04/20110104ddm016040017000c.html

国語力を鍛える(2)文章の種別で書き分け

(読売 1月6日)

「『調査報告文』はすっきりしていて、『意見文』は説得力がある」。
クラスメートが書いた2種類の文章について、
5人ずつの班で話し合って見つけた特徴を発表。
北九州市立折尾西小学校で行われた5年生の国語の授業。

狙いは、文章の目的や相手に着目し、

文章の種類ごとの書き方を整理すること。
担任の岩倉智子・指導教諭(50)が、子どもたちの発表を
黒板に書きとめながら、二つの文の違いをまとめていった。

ごみ問題をテーマに意見文を書いた有松穂野花さん(10)は、
江戸時代の庶民の生活を調べ、現代の人々がごみを減らすために
できる工夫を、ベストテン形式にしてまとめた。

「友だちから、ベストテンが分かりやすかったとほめられ、うれしかった。
文章を書き上げる過程で、友だちと意見を交換し、
アドバイスを受けることも多い」

同市教育委員会は、専門性の高い教科教育の実践研究を行う
「学校大好きオンリーワン事業」を推進。
国語科の推進校となった同小は、2008年度から、
文章の種類に応じて適切に書く力の育成に取り組んでおり、
各学年の授業で、様々な文章を書く単元を設けている。

「文章の種類によって、ふさわしい相手、目的、価値意識は異なる。
その違いを理解した上で、自分の思い、伝えたいことをじっくりと考え、
適切な言葉を選んで書く力の習得を目指している」
研究主任でもある岩倉指導教諭。

文章の書き分けとともに、同小が力を入れているのが、
クラスメートが書いた文章について意見を述べ合う交流活動。
5年生の河合俊賢君(11)は、
「文章が上手な人は、作文のお手本になるだけでなく、
自分では気づかなかった自分の文章の良い点も教えてくれる」

岩倉指導教諭は、「何でも聞いてもらえるという安心感が、
国語が苦手な子にも生まれた。
2学期に入り、少しずつ自分の意見を話し始めた時はうれしかった」

河本博子校長(59)は、「交流活動で表現力がつき、
算数で式を立てる時も、根拠を持って説明できるようになった」

書くことを通して思いを伝え合い、自分の文章にはない
相手の良さを考える。
そのことが相手を認めることにつながり、
コミュニケーション力の向上につながっていく。

◆折尾西小の授業の一例
▽おもちゃ作りの説明文を書こう(2年)
▽身近なもののひみつを、図書資料で調べて報告文を書こう(3年)
▽クラブ活動の楽しさを伝えよう(報告文、4年)
▽自分の生活を見直し、よりよいものにしよう(活動報告文、5年)
▽自分の歩みを振り返り、これからの生き方を考え、随筆に表そう(6年)

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110106-OYT8T00207.htm

遅れる若手・女性研究者対象の研究開発支援課題決定

(サイエンスポータル 2010年12月29日)

若手研究者や女性研究者を対象にした、
最先端・次世代研究開発支援プログラムの採択がいまだに決まらない。
スタートが遅れると研究期間が短くなってしまうだけでなく、
任期付きの研究者は求人が遅れると、雇用が続かず
路頭に迷う可能性があるなど、研究現場への影響を心配する声も。

次世代研究開発支援プログラムには専念義務があり、
採択されたら、次年度以降の他の研究開発予算を
辞退しなければならない、という研究者に対する制約が。

採択が遅れると、来年度の研究の見通しが立たず、
困る研究者や大学なども出かねない。
予定では、10月中に日本学術振興会から採択課題・研究者の
審査結果が示され、総合科学技術会議で11月中に内定、
12月には助成金の交付申請、交付決定となるはず。

日本学術振興会から、総合科学技術会議に審査結果が示されている。
和田隆志・内閣府政務官は、「精査している。
支出して良いかを見極める」と発言、
「日本学術振興会が示した査定状況では出せるものではない」

審査は、日本学術振興会の専門家に任せることにしたはず。
津村啓介・前内閣府政務官は、「なるべく早く決定できるようにしたい」
それを受け、相澤益男・総合科学技術会議議員も、
「個別の提案書を、総合科学技術会議で見ることはしない。
それをやっていたら時間が足りないので、
それより研究を早く始められることが大事」と発言。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1012/1012291.html

ブロッコリースプラウト由来のスルフォラファンに ラクトフェリンなど3食品成分に比べ高い抗ピロリ菌作用

(日経ヘルス 12月7日)

東京理科大学薬学部の谷中昭典教授のグループが、
ブロッコリーの新芽(ブロッコリースプラウト)由来の有効成分
「スルフォラファン」に、ほかの三つの食品成分に比べ、
強い抗ピロリ菌作用があることを確認。

「スルフォラファン」は、ブロッコリーなどアブラナ科野菜に多く含まれる
硫黄化合物が、咀嚼の過程で変化してできる有効成分。
高い抗酸化作用を持ち、発がん物質を解毒する酵素を活性化する
働きなどが知られている。

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、人間の胃に住みつく細菌で、
「胃がんの発生に関与し、胃がんリスクを5倍以上に高める」

これまでも、「スルフォラファン」にピロリ菌を抑える作用があることが
報告されてきたが、谷中教授らは今回の研究で、
同じく抗ピロリ菌作用が報告されている母乳由来のたんぱく質
「ラクトフェリン」、ウコン由来の黄色色素「クルクミン」、
緑茶由来の渋み成分「カテキン」を含めた4成分で、
作用の程度を試験管で比較。

それぞれの成分をピロリ菌にさらし、
(1)ピロリ菌の増殖率、(2)ピロリ菌の生存率、
(3)ピロリ菌がダメージを受ける程度、
(4)ヒトの胃の上皮細胞へのピロリ菌の接着能、
(5)上皮細胞がダメージを受ける程度などを比較。

ラクトフェリンは、どの項目においても効果を確認できず、
(1)と(2)、(5)についてはスルフォラファンとクルクミンが
同等に高い効果を示した。
(3)と(4)においては、スルフォラファンが特に高い効果を示す結果。

ヨーグルトに含まれている乳酸菌、LG21(ラクトバチルスカゼイLG21株)
にも、抗ピロリ菌作用が確認、
「生きた細菌であるLG21は、今回の研究では同じ条件で
比較することができなかったため、評価を見送った」と谷中教授。

http://nhpro.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20101207/109495/

2011年1月7日金曜日

国語力を鍛える(1)理解深める「全体読み」

(読売 1月5日)

「それでは、読みの交流に移ります。
気に入った場面を隣の人に教え、好きな理由を説明し合おう」、
小林智之・主任教諭(40)が指示。

八王子市立由木中央小学校で、4年生の国語の授業。
子どもたちがそれぞれ隣の席に向かって、
情感豊かに読み上げる声が、昼下がりの教室に満ち満ちた。

子どもたちが手にしていたのは、童話作家・新美南吉の『手袋を買いに』。
授業の最後には、先生と児童の“音読対決”も行われた。
母狐が子狐に、「人間の手の方をさしだすんだよ」と言うくだりを、
児童を代表して音読した荒川翔君(10)は、
「先生より上手」と、クラスメートから支持を受け、大きく顔をほころばせた。

「約束を守りなさいという強い思いに、つかまらないでと願う
優しさを混ぜて読んだ。
自分の意見をはっきり言えるから、国語は好きです」と荒川君。
小林主任教諭は、「教師の正解を押しつけず、
児童が自由に感じたことを大切にする。
相手を意識しながら、なぜそう感じたかを根拠を明示して伝えるよう
求めていけば、疑問点を自分で解決していく態度も身につく」

2011年度から全面実施される新学習指導要領に向け、
同小は09年度から、読む能力を高める国語の授業に取り組んできた。
柱の一つは、ストーリーの展開全体を見通して読む「全体読み」。
「授業時間に合わせ、場面ごとに区切ってしまうこれまでの読み方では、
登場人物の気持ちの変化などを読み取ることは到底困難」と、
研究主任の小林主任教諭。

もう一つの柱は、教材に関連した作品を取り上げる「関連読書」。
『手袋を買いに』は、3学期に教科書で取り組む『ごん狐』への導入でもある。
次の教材への意欲を喚起しつつ、同じ作者の作品を比べ読みすることもでき、
読書量の確保にもつながる。

飯田薫校長(59)は、「良質な文学作品に触れながら、
豊かな言語感覚を育成していくことが、論理的思考力にもつながっている」

「自分を分かってもらいたい」、「相手を分かりたい」――
授業での交流を通して芽生える思いが、コミュニケーション力を育んでいく。

◇
対人関係が苦手な子どもが増えるなか、国語教育の大切さが再認識。
すべての教科の基盤となる国語力を鍛え、
コミュニケーション力向上、学力アップを目指す各地の実践を追った。

◆新学習指導要領

文部科学省が示す学習すべき内容などの基準。
ほぼ10年ごとに改定、小中学校の新しい指導要領は
2008年3月に告示。
「ゆとり教育」からの転換とともに、各教科等にわたる
「言語活動の充実」を位置づけているのが大きな特徴。
小学校は11年度、中学校は12年度から全面実施。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110105-OYT8T00241.htm

農村の通学路を明るく…作物に優しい街灯開発

(読売 1月5日)

農作物の成長を妨げず、近くの道路を照らし出せるハイテク街灯を、
山口大の山本晴彦教授らの研究チームが開発。

稲や大豆などは、夜中に光を浴びると育ちが悪くなるため、
農地沿いの通学路に街灯を設置できない地域も多かった。
4m先の人の顔が分かれば防犯効果があると言われ、
2011年度中の販売開始を目指している。

植物の成長は、夜の照明で影響を受けやすい。
稲の場合、ろうそくで照らした程度のわずかな明るさ(2ルクス)でも
浴び続けると、穂が出るのが約5日遅れ、未熟米が増える。
水銀灯で照らされて、出穂が10日遅れた場合、
約15%減収になるとの報告。

山本教授らは、波長などが異なる100種類の光を稲に浴びせ、
影響を調べた。
その結果、長い波長の赤色光などが稲の遺伝子の働きを妨げ、
成長を遅らせることが判明。

悪影響を及ぼさない波長の発光ダイオード(LED)ばかりを

組み合わせて、青みがかった色の照明を製作。
4m先の人の顔が見える明るさ(5ルクス)で照らす試験を行ったところ、
稲の品質が劣化しなかった。
大豆など様々な作物も、光の影響を受ける遺伝子は共通、
同じ効果が期待できる。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110105-OYT1T00050.htm

科学研究費補助金32%増 政府予算案決定

(サイエンスポータル 2010年12月27日)

政府は、来年度政府予算案を閣議決定。
第4期科学技術基本計画の初年度ということで、注目されていた
科学技術振興費(科学技術関係予算の中核)は、
1兆3,352億円と対前年度比18億円(0.1%)増。
税収見込みが当初よりも増えた部分の一部を、
菅首相がリーダーシップを発揮し、科学技術に配分した。

事業仕分けで話題になった文部科学省の競争的資金は、
科学研究費補助金が一部の若手向け資金を基金化したことで、
制度創設以来最大となる633億円(約32%)を増額、2,633億円。

科学技術振興調整費は、仕分け結果に従って廃止することになったが、
継続課題の女性研究者支援などは非競争的資金として実施、
一部のプログラムや新規プログラムについては、
科学技術戦略推進費(仮称)として、80億円を計上。

非競争的資金に伴って、間接経費はなくなるものの、
これまでの直接経費プラス間接経費にあたる予算を配分し、
間接経費的な使い勝手を可能にするよう運用の自由度を持たせることで、
現場への影響を最小限にする。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1012/1012271.html

2011年1月6日木曜日

世界10大ニュース:1位に反水素原子ビーム開発--英物理学会

(毎日 12月28日)

英物理学会は、今年の「世界10大ニュース」の1位に、
日本が主導する国際研究グループ「ASACUSA」の
「反水素原子ビームの開発」を選んだ。
「宇宙誕生の最大の謎に迫る突破口だ」と評価。

約137億年前、ビッグバン(大爆発)で宇宙が誕生した際、
物質と、電気的に反対の性質を持つ「反物質」とが同じ量作られた
と考えられている。
しかし、現実の宇宙は物質しかない。
反物質が、なぜ消えたかは謎のまま。

グループは、反物質の代表である反水素原子を作って、
水素原子との違いを調べる実験を考案。
欧州合同原子核研究所(CERN)に新装置を取り付け、
陽電子と反陽子から反水素を7%の高効率で合成した。
来年、反水素の性質解明に挑む。

代表の山崎泰規・理化学研究所上席研究員(原子物理学)は、
「物理学の成果が多かった年だけに、1位はうれしい。
優秀な若い研究仲間の励みになる」

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/12/28/20101228ddm016040008000c.html

光と熱、どちらからでも発電…新素子を初開発

(読売 1月5日)

光と熱(温度差)のどちらからでも電気を作り出せる発電素子を、
富士通研究所が開発。
1種類の素材だけで、光と熱の両方から発電できる装置は世界初。

体の状態をチェックする健康モニターなど、
24時間動く必要のある小型機器の電源として、数年後の実用を目指す。

素子の材料は、ポリ3ヘキシルチオフェンという有機化合物。
光を受けたり、温度差が生じたりすると、電気を出す性質がある。

プラスチックフィルム(縦4cm、横5cm)の上に、
この化合物の膜を作り、フィルムを4枚つなげたところ、
室内の光で1000分の1ワット、20~50度の温度差で、
1億分の1ワット程度の電力が発生。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110105-OYT1T00165.htm

良い食事と運動の習慣を 更年期障害/5止

(2010年12月31日 毎日新聞社)

更年期障害を予防・改善するため、どんなことを心がければいいか?

日本更年期医学会理事長の水沼英樹・弘前大教授(産婦人科)は、
「更年期は老年期への準備期間ととらえ、
良い食事と運動の習慣を身につけることが必要だ」

食事は、野菜や魚を多めに取り、高カロリーのものや脂質の多い
卵黄、肉の脂身などは控える。

閉経後の女性に起こりやすい骨粗しょう症の予防のため、
カルシウムやビタミンDの摂取を心がける。
カルシウムは牛乳や乳製品、大豆製品に多く含まれ、
1日に1000~1500mg取ることが推奨。
ビタミンDは、アンコウやニシンなどの魚類、キクラゲなどの
キノコ類に豊富に含まれる。

飲酒は、適度ならストレスを取るなどの効果があるが、
飲み過ぎると骨折などのリスクが高まる。
ワインなら、1日グラス3杯程度にとどめた方がいい。

運動は、ウオーキングやジョギング、水泳など無理なく
続けやすいものが適し、1日30分、週3回以上が目安。
肩甲骨を動かしたり、肩を大きく回す体操や、背骨をまっすぐにして
上体をゆっくり回す体操は、肩こりや不眠の改善に効果がある。

水沼教授は、「過労やストレスは、自律神経が乱れる原因。
休養と睡眠を十分取り、趣味や旅行も重要だ」とアドバイス。
……………………………………………………………………
◆ミドルエージ世代から元気に過ごす10カ条

(1)「体調不良は気の持ちよう」と我慢しない
(2)40歳になったら更年期医療に詳しい婦人科などへ
(3)医師には上手に訴え、上手に質問する
(4)正確な知識と情報で自分に合う治療法を見つける
(5)更年期症状の改善は適切な医療と生活の見直しで
(6)日常の健康づくり(運動・睡眠・栄養・休養)を心がける
(7)「自分が何を望み、何が快適か」を大切にする
(8)仕事・趣味・社会参加の輪の中で本音で話せる友達づくり
(9)今からでも始めよう、パートナーとの良い関係
(10)これからこそ味わえる人生の充実期を実感しよう
(※「女性の健康とメノポーズ協会」作成)

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/4/130484/

消費電力百万分の1 不揮発性トランジスタ開発

(サイエンスポータル 2010年12月24日)

従来の100万分の1の消費電力で、演算も記憶も行うことができる
新しいトランジスタを、長谷川 剛・物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点主任研究者、
小川 琢治・大阪大学大学院理学研究科 教授、
山口 周・東京大学大学院工学系研究科 教授らの研究グループが開発。

現在のコンピュータに使われているトランジスタは、
演算素子(トランジスタ)と記憶素子(メモリ)を組み合わせた形。

コンピュータは、電源を切ると記憶された情報が保持されず、
電源を入れ直しても、元の状態に戻るまでに長い時間とエネルギーを
必要とする基本的な弱点を抱えている。

新しく開発されたトランジスタは、半導体中の電子の移動を
制御している従来のトランジスタと異なり、
わずかな金属原子を絶縁体中で移動させることから、
極めて低い消費電力で、従来の半導体トランジスタと同様の
オン・オフ動作が可能。
電圧の制御によって、状態を保持する記憶素子としても働くことが分かった。

情報通信技術の急速な進歩によって、情報通信関連機器が消費する
総電力量は、うなぎ登りに増え続けている。
これを解決するため、消費電力が極めて少なくて済む
コンピュータの実現が望まれ、そのためには電源を切っても
状態が保持される不揮発性トランジスタの開発が鍵を握っている。

新しく開発されたトランジスタは、最もエネルギーを食う記憶に要する
消費電力が従来素子の100万分の1で済むことから、
人間の脳のような柔軟なコンピュータの実現に寄与できる。

この成果は、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業CREST
「次世代エレクトロニクスデバイスの創出に資する革新材料・プロセス研究」
の研究課題「3端子型原子移動不揮発性デバイス
『アトムトランジスター』の開発」
(研究代表者:長谷川 剛・物質・材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス
研究拠点主任研究者)によって得られた。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1012/1012241.html

2011年1月5日水曜日

児童25人がハチの論文、権威ある学術誌に掲載

(読売 1月3日)

英国の小学生グループが書いた論文が、
英王立協会の発行する科学誌「バイオロジー・レターズ」に12月末、掲載。
子供の論文が、権威ある学術誌に載るのは極めて珍しい。

執筆者は、英デボン州にあるブラックオートン小学校の
8~10歳の児童25人。
科学の授業の一環で、マルハナバチを飼育。
ハチがどうやって蜜のある花を見つけるのか調べようと、
様々な色のライトを表示できる箱を使い、ハチを観察した。

黄色いライトの真ん中にある青いライトや、
逆に青いライトに囲まれた黄色いライトに、
砂糖水を仕込んでハチの行動を調べたところ、
ハチは、砂糖水がなくても、真ん中のライトに飛んでいくようになった。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110103-OYT1T00448.htm

海外への大学留学者数08年に11%減少

(サイエンスポータル 2010年12月23日)

経済協力開発機構(OECD)などの2008年統計によると、
大学など海外の高等教育機関に留学した日本人は66,833人と、
対前年度比で約11%(8,323人)減少したことが分かった。
減少は4年連続。

日本から海外への留学者数は、04年の82,945人をピークに、
毎年2,000~3,000人ずつ減り続けていたが、
08年統計では減少数がこれまでの倍以上の8,323人に増えている。

最大の留学先である米国は29,264人と4,710人(13.9%)減り、
中国も1,907人(10.2%)減り16,733人に、
英国も4,465人と前年に比べ1,241人(21.7%)減少した。

増えたのは、カナダの558人増、ニュージーランドの93人増だけで、
ほとんどの国では日本人の留学者数は減少した。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1012/1012231.html

「後期高齢者医療広域連合」、市町村と連携

(2010年12月28日 読売新聞)

75歳以上のお年寄りを対象とした健康対策や保健事業で、
「後期高齢者医療広域連合」が、市町村と連携する取り組みが
広がっている。

滋賀県では、肺炎球菌ワクチンの接種代の一部を助成したり、
お薬手帳を活用したりするモデル事業を進めている。

滋賀県竜王町の中村粂弘さん(78)は今年8月、肺炎予防のため、
肺炎球菌ワクチンを接種。
接種代8000円のうち、本人負担は3000円。
県後期高齢者医療広域連合の財源を活用して、町が助成。
「ワクチンの効果は5年と聞いたが、自分の健康のため」

県広域連合では、加入者の健康対策に、2009年度から
肺炎球菌ワクチンの助成を4市町で始めた。
今年度、肺炎にかかりやすい人にも拡大。
接種を受けた人の医療費がどう変化するか、
同意を得て追跡調査も行っている。

この助成制度は、竜王町内の医療機関でも好評。
竜王町国保診療所の野洌義則医師は、
「基礎疾患のある患者らに勧めやすくなりました」

にしぶち医院の西淵繁夫院長も、「ワクチンを打った高齢者は、
病気になっても入院の心配が減り、インフルエンザが流行しても
安心して診療できます」

広域連合では、県の医師会や薬剤師会とも話し合って、
地域の医療機関で共有できる独自のお薬手帳も作っている。
処方箋をそのまま貼れるように、サイズはA5判。
予防接種歴の欄には、肺炎球菌の接種日を記録できる。

竜王町のファースト薬局では、9月以降約700人の患者に、
このお薬手帳を配布。
薬剤師の瀧川政邦さんは、「老人保健手帳を利用する人もいるが、
1冊のお薬手帳にまとめてほしいとお願いしています。
薬をただ渡すだけでなく、かかりつけ薬局として
健康管理の一翼を担いたい」と積極的。

滋賀県内では、広域連合の働きかけで、高島市でも同じような
モデル事業に取り組むほか、米原市では人工透析にならずに
済むような体制作りを検討。
こうした保健事業の方法や医療費の分析などを、
京都大医学部と連携して進めている。

県内の医療機関で勤務経験があり、医療関係者とのつながりも多い
京大の里村一成准教授(公衆衛生)は、
「お薬手帳なら、患者にも見える形でどんな情報を共有し合えばいいかを
示せるうえ、データを電子化する際にも参考にできる。
アンケートや医療費データの分析を通じ、
高齢者の健康に役立てていきたい」

厚生労働省では、保険料収納率や健診受診率などを巡って、
各広域連合が取り組んだ事業を点数化した自己評価結果を発表。
点数をつけたのは08年度分から、
滋賀は09年度に全国第2位の高い評価。
広域連合議会の議員全員が、首長または副市長という体制を
組んだことで、自治体との連携が強まったことも奏功。

全国1位の大分県も、合併で18市町村に統合されたことから、
全市町村の会議を頻繁に開けるようになり、
事業を効率よく運営している。
医療費通知も、きめ細かく行うなどの改善も重ねている。

滋賀県の目片信・広域連合長(大津市長)は、
「加入者の幸せのため、さらに介護との連携も意識した事業を進めたい」
今後も広域連合の取り組みが注目。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/28/130447/

2011年1月4日火曜日

脳内のアミノ酸不足関与か 統合失調症、治療に期待

(2010年12月27日 共同通信社)

統合失調症の患者にみられる感情や会話、社会性の喪失といった
症状に関わっているとされるグルタミン酸の神経伝達異常に、
アミノ酸の一種である「Lセリン」の脳内での不足が関係していることを、
九州大の古屋茂樹教授らのグループが、
マウスを使った実験で24日までに突き止め、
米生化学・分子生物学会誌(電子版)に発表。

古屋教授は、脳内でLセリンを増やす方法の研究も進め、
統合失調症の発症メカニズムの一端を解明し、
治療薬の開発に結び付く可能性も期待。

Lセリンは、グルタミン酸の神経伝達時、刺激を受け取る受容体を
活性化させるアミノ酸「Dセリン」の元となる物質。
これまで統合失調症の患者について、
血液中などのDセリンの含量低下が報告。

古屋教授らは、Lセリンの供給源に注目。
遺伝子組み換えにより、脳内でLセリンを生合成できないマウスを
作成して解析、脳内のLセリンは正常なマウスの15%程度、
Dセリンは10%以下の含量まで低下し、
グルタミン酸の受容体機能も低下した。

古屋教授は、「特に脳内でのLセリン合成が神経伝達機能を
保つため、不可欠だと確認できた」
今後、マウスの行動異常についても観察し、統合失調症との関連を調べる。

※統合失調症

幻覚や妄想、集中力の低下など、さまざまな症状を伴う精神疾患で、
青年期に発症することが多い。
発症率は人口の1%程度。
詳細な原因は不明だが、脳内の神経伝達物質のバランス異常や、
ストレスなどの環境要因が複合的にかかわっている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/27/130347/

宙に浮く八幡平の地熱開発 国の調査予算大幅減

(岩手日報 12月24日)

クリーンエネルギーとして期待される地熱発電の国内開発計画が、
宙に浮きそうだ。
国の2011年度予算案の調査関係予算は、
外部有識者による事業評価で、廃止を含む抜本的改善を求められ、
大幅削減の見通し。
近年、地熱開発に本腰を入れていた国は、一気にブレーキを踏んだ形。

八幡平市の松尾八幡平地域では、
地熱発電事業化へ向け調査が進められ、
関係者は来年度以後の見通しが立たず、頭を悩ませている。

国の地熱開発促進調査事業の11年度予算案は、
前年度の約6億800万円から約1億4千万円に大幅削減される見込み。
地中の熱水を調査するパイプ試掘は、1本数億円かかるとされ、
試掘もできない勘定。

国が縮小へかじを切る契機となったのは、
5月の経済産業省の行政事業レビュー。
外部有識者が事業実態を点検し、執行や予算要求に反映する
「省版事業仕分け」だ。

同調査事業は、1980年度から10年度までに約930億円を投入し、
全国68地点で実施。
地熱発電が事業化されたのは5カ所で、
発電所は99年以来建設されていない。

地熱発電の開発についてレビューでは、
「費用対効果が期待できない」などの意見が多く、
廃止を含む抜本的改善が決まった。

経済産業省資源エネルギー庁電力基盤整備課は、
「安定し評価が高いエネルギーだが、費用対効果で難しいと判断」
と縮減の理由を説明。
「今後は、民間の手で調査や事業化を行い、
その後は(導入予定の)再生可能エネルギーの
電力全量買い取り制度を活用してほしい」

国は、08年12月から地熱発電に関する研究会を設置し、
発電能力の引き上げを摸索するなど近年、地熱開発を重視。
温室効果ガス排出量削減を掲げる中、
突然の後退に関係者は困惑する。

八幡平市は、松尾八幡平地域で出力1万キロワット程度の
地熱発電所の事業化を目指し、06~08年度と10~13年度に
企業とプロジェクトチームを組み開発調査を展開。
本年度は、地中の構造を調べる電磁調査などを行い、
来年度にも試掘を行う計画だったが、見通しは立たない。

田村正彦市長は、「非常にショックだ。
復活に向け、来年1年かけて手だてを考えたい」

プロジェクトのリーダーを務める地熱エンジニアリング(本社・東京)の
梶原竜哉探査部長は、「松尾八幡平地域が可能性を秘めているのは
明らかだが、国の支援がない中、企業で資金調達できるかは分からない」
と開発継続の方策を摸索する。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101224_7

健診でストレスをチェック 禁煙、分煙を義務化 職場の新安全衛生対策

(2010年12月24日 共同通信社)

厚生労働省の労働政策審議会分科会は、
職場における新たな安全衛生対策として、
定期健康診断で職場に起因するストレスをチェックすることや、
事業者に全面禁煙か喫煙室設置を義務付けることを柱とする
報告書をまとめ、細川律夫厚労相に提出。

ストレスチェックは、医師が健診に併せ、「ひどく疲れた」、「不安だ」、
「憂鬱だ」などの質問をするよう義務付け。
うつ病の兆候を確認し、専門医の面接が必要と判断した場合、
労働者のみに通知する。
希望する労働者は事業者に申し出て、
事業者は産業医や地域産業保健センターの医師に労働者との面接を依頼。

産業医らは、事業者から労働者の仕事の状態について情報を得ながら、
配置転換や時間外労働の制限などを助言。
事業者には、労働者の申し出や面接指導の結果を理由として、
解雇など不利益な取り扱いをしないよう明記。

受動喫煙対策では、一般の事業所や工場では全面禁煙か分煙を義務付け。
客が喫煙する飲食店やホテル、旅館など禁煙措置が困難な場合、
換気や従業員のマスク着用によって浮遊粉じん濃度、
換気量の基準達成を求めた。
実施しなかった場合の罰則規定は、事業者側に配慮し、見送った。

早ければ、来年の通常国会に労働安全衛生法の改正案を提出。
政府は、6月に閣議決定した新成長戦略で、
2020年までに職場でメンタルヘルスサービスが受けられる割合を
100%とし、職場から受動喫煙被害をなくすとの目標を掲げた。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/24/130258/

2011年1月3日月曜日

音楽で市街地活性化 盛岡市とライブハウス連携

(岩手日報 12月24日)

中心市街地の空洞化に悩む盛岡市と、
市内の人気ライブハウスが連携し、
若者をターゲットにした音楽による市街地活性化に乗り出す。

年明けに商店街などを交えた実行委員会を設立し、
高校生や大学生による参加型音楽イベントを展開。
来年2月、市内のさまざまなパフォーマーによる
「THE盛岡フェス(仮称)」を開くなど、若い力を活性化の起爆剤にしたい考え。

同事業は市が、市内でライブハウス2店舗を経営する
盛岡クラブチェンジ(黒沼亮介社長)に事業を委託する形で実施。

実行委には、両者のほか中心商店街や近隣の大型店も加入。
事業費480万円、来年3月までに大小七つの音楽イベントを開催。

核イベントは、2月12日に県公会堂で開く盛岡フェス。
地元で活動しているロックバンドから合唱、ダンス、大道芸などの
あらゆるパフォーマーによるステージやトークショーを開催。
恒例の「もりおか雪あかり」とも連携し、出店も計画。

今月28、29両日、県内初の高校生バンドによる
トーナメント大会などを開催。
大学生合同コンサートや高校生卒業ライブ、アカペラやゴスペルなどの
各種ライブを企画。
今のところ市の補助は3月までだが、活動継続を目指して、
中心商店街にイベントスペースを常設することも計画。

今回の企画は、月間約3千人の若者を集める同ライブハウスの
動員力に注目した市が、6月ごろから練ってきた。
市内では、「いしがきミュージックフェスティバル」が開かれるなど、
音楽文化の下地もある。

同フェスのように、プロミュージシャンによる大型イベントでなく、
地元の若者らによる参加型で、運営に大学生や専門学校生を入れて
人材育成も図る考え。

市商工課の沼田秀彦課長は、
「ライブハウスに集まる若者の力を生かせないかと考えた。
情熱と行動力で、中心市街地を大いに盛り上げてほしい」と期待。

黒沼社長は、「音楽は、全ての垣根を越える力があり、
地元企業なども巻き込んで息の長いプロジェクトとして育てたい。
盛岡らしさを見つけられたらうれしい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101224_14

葬儀決定まで預かります…遺体の「ホテル」登場

(2010年12月24日 読売新聞)

身近な人が亡くなってから、遺族が葬儀の段取りなどを
決めるまでの間、遺体を預かる“死者のビジネスホテル”が
今月、東京・新木場に登場。

この施設は、「りすセンター・新木場」。
生前契約に基づき、17年にわたって葬儀や遺産処理の代行を
請け負ってきたNPO法人「りすシステム」(東京)が設置。

鉄骨3階建て、延べ床面積550平方メートルの建物。
業者に葬儀を依頼するまでの間、冷蔵安置室で37体まで預かる。

遺体は、取り違いが起きないようバーコード管理する。
感染症予防のため、殺菌灯を取り付けるなど、
衛生管理に細心の注意を払っている。

遺族には、葬儀についてじっくり話し合えるように和室を用意。
遺族から要望があれば、スタッフが葬儀業者の比較や
葬儀の進め方などをアドバイスする。
遺体の安置は1泊7350円。
以後、12時間ごとに3675円。
葬儀もできる部屋の貸し出しは、1時間2100円から。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/24/130304/

冬の朝、布団出るまで13・3分 全国平均と同じ

(岩手日報 12月22日)

冬の朝、目覚めてから布団を出るまでの全国平均は13・3分、
最短は徳島と宮崎県民―。
気象情報会社「ウェザーニューズ」のアンケートで、こんな結果。

「みんなの冬の朝事情」をテーマに、同社会員を対象に今月、
携帯サイトを通じて調査。
有効回答は約1万1千人。

都道府県別で、最も布団を出るのが早いのは、
徳島県と宮崎県の11・0分、山口県の11・3分、
福井県と奈良県の11・5分と僅差で続いた。
本県は、平均と同じ13・3分。

近畿全府県で全国平均の13・3分より早いなど、
暖かい西日本で早く、北日本は遅い傾向だが、
最も遅いのは鳥取県の16・6分、熊本県16・1分、広島県15・7分と、
なぜか「のんびりトップ3」も西日本。

朝起きてから家を出るまでの男女別の時間も調査。
全国平均は女性87・2分、男性59・9分と女性の方が27・3分長かった。
男性の最短は佐賀県の47・1分、女性の最長は鳥取県の99・1分で、
1時間近い開きが出た。

寒い朝、布団から出るのに一番必要なのは、
「気合」が56%で最多、2位は「部屋を暖める」の33%。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101222_5

2011年1月2日日曜日

さんまラーメン、10店一斉に 大船渡でお披露目

(岩手日報 12月21日)

大船渡市の飲食店有志による「大船渡さんまラーメン」プロジェクトが、
市内の10店舗で展開。
碁石海岸レストハウスで、10品をお披露目。
マップの作製・配布も予定、各店がそれぞれ趣向を凝らした味で、
知名度向上を目指す。

お披露目には発起人で、同レストハウスを運営する
小川の小川廣文社長ら全店の代表が参加。
各店のラーメンを紹介した。

同プロジェクトは、大船渡産のサンマの消費拡大や知名度向上を目的に、
B級グルメを目指すとして、8月から始動。

大船渡港水揚げのサンマを使用し、全店ともメニュー名は
「大船渡さんまラーメン」とし、価格も650円で統一。
近くマップも作る予定。

大船渡ブランド化推進会議の斉藤俊明委員長(大船渡商工会議所会頭)が、
「各店で、それぞれ内容が異なるユニークな取り組み。
将来的にはB1グランプリも誘致したい」と激励、
店主らにのぼり旗を贈った。

小川社長は、「大船渡を訪れる楽しみが増えるだろう。
大船渡のサンマを広くアピールしたい」と意気込む。

「大船渡さんまラーメン」参加店は、次の通り(かっこ内は住所と特徴)。

▽碁石海岸レストハウス(末崎町・みりん干し)
▽碁石観光ハイツ(同・穴通磯型ハンバーグ)
▽ちいぜる(同・すり身の焼き物)
▽オーシャンビューホテル丸森(大船渡町・すり身と骨煎餅(せんべい))
▽西苑飯店(同・すり身の揚げ物)
▽萬来食堂(同・サンマ煮)
▽マイヤファミリーレストラン(同・担々(たんたん)麺に揚げ物)
▽こけし(盛町・すり身ボール)
▽秋刀魚(さんま)だし黒船(猪川町・サンマだし)
▽美食厨房まるよし(日頃市町・竜田揚げ)

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101221_8

大腸がん確率、計算できる 年齢、体格、生活習慣で

(2010年12月22日 共同通信社)

40~69歳の男性が、今後10年間に大腸がんになる確率を、
年齢や身長、体重などのデータと生活習慣から簡単に導き出す
計算法を、国立がん研究センターなどが開発、22日発表。
確率は0・2~7・4%になる。

同じ年代でも、生活習慣によって確率は数倍違う。
開発に携わった笹月静・同センター予防研究部室長は、
「確率の数値そのものを気にするよりも、
生活習慣を見直すきっかけにしてほしい」

計算法では、40~44歳を0点、45~49歳を1点などと数値化。
体重(kg)を身長(m)の2乗で割った体格指数(BMI)が
25未満は0点、25以上は1点。
飲酒は、飲む頻度や量に応じて0~2点。
喫煙習慣と運動する量に応じた点数を設定。
5項目の合計点に対応した大腸がんの発症確率が分かる。

茨城など6府県の40~69歳の男性約2万8千人を、
1993年から2005年まで追跡した疫学調査から、
大腸がんの発症確率を予測する計算法を開発。
別の地域の約1万8千人に当てはめると、
予測とほぼ同じ発症割合になった。

女性では、大腸がんのリスクを予測する項目がはっきりせず、
こうした計算法はできない。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/22/130196/

2011年1月1日土曜日

旅行しながら人間ドック 「医療観光」を販売

(岩手日報 12月20日)

第三セクターIGRいわて銀河鉄道の
旅行事業部門・銀河鉄道観光(盛岡市)と県予防医学協会(同)は、
「医療」と「旅行」を組み合わせた県内初のギフト型旅行商品を
共同開発し、販売を始めた。

一日人間ドックを受診した後、盛岡市内の温泉旅館やホテルで
くつろぎながら1泊してもらう。
医療と観光を結び付けた「医療観光」の取り組みは、
国内外で広がっており、親など家族へのプレゼント需要を見込む。
来月4日から利用が始まる。

旅行商品名は、「贈る 人間ドック」。
ドックを受診する人と、付き添いをする夫か妻の夫婦2人を想定し、
盛岡市の四季亭、ホテルメトロポリタン盛岡ニューウイング、
ホテル紫苑の3施設から宿を選ぶことができる。

3コースとも、
▽盛岡市永井の同協会で一日人間ドック(1人分)
▽宿泊(1泊2食で2人分)
▽移動のタクシー
▽往復のIGR運賃(2人分)―が共通。

四季亭は、宿泊翌日に同ニューウイングでのランチが付いて
10万円(参考価格は通常約12万円)、
同ニューウイングはデラックスツイン利用で8万8千円(同約11万円)、
ホテル紫苑は宿泊翌日に同市内丸の桜山神社で厄払いの祈祷が
付いて8万8千円(同)。
IGRの沿線住民以外の人も利用できる。
タクシーは、岩手中央タクシーのみの利用となる。

利用期間は11年1月4日~3月25日。土、日、祝日は休み。
問い合わせは同観光(019・654・1489)へ。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101220_3

スーパー温室ガス監視へ 大船渡と小笠原諸島で

(岩手日報 12月20日)

少量だが、温室効果がCO2の約2万倍の六フッ化硫黄や、
約300倍の一酸化二窒素など地球温暖化の原因となる
“スーパー温室効果ガス”の監視体制強化を、
気象庁が大船渡市と小笠原諸島・南鳥島で計画。

いずれも京都議定書で排出削減の対象だが、
六フッ化硫黄はアジアで定点観測している地点がほとんどなく、
監視体制の整備が課題。

六フッ化硫黄は、電子機器の絶縁体などに使う化学物質。
大気中濃度の世界平均はCO2の約380ppm、
6~7ppt(1ppmは100万ppt)程度だが、
1990年代から約2倍に増え、ほぼ全量が人為的排出。

国立環境研究所が年4回、沖縄・波照間島で大気を採取し
分析してきたが、気象庁は大船渡市の大気環境観測所と
日本最東端の南鳥島気象観測所の2カ所で、
来年度から週1回観測する方針。

一酸化二窒素は、農業活動や化学工業から排出。
同庁が90年から大船渡市で観測してきたが、
南鳥島を観測点に追加する計画。

南鳥島は、東京から約1860kmと都市化の影響が少なく、
長期環境監視に適している。
採取した大気を容器に詰めて自衛隊機で運び、気象庁本庁で分析。

来年度予算で、温暖化監視強化費約3億3千万円を要求。
同庁の須田一人全球大気監視調整官は、
「有効な温暖化防止策には、少量でも温室効果が桁違いに高い
ガスの監視は重要」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101220_7

2010年12月31日金曜日

「減クルマ」でCO2削減40トン 盛岡市など3市

(岩手日報 12月19日)

県公共交通利用推進協議会(会長・達増知事)は、
公共交通の利用推進とCO2排出抑制の取り組み
「減クルマチャレンジウイーク」(10月4~11日)の結果をまとめた。

盛岡、一関、釜石の3市で、1万4592人が参加、
約40トンのCO2を削減。
県は、全域に運動を拡大する方針。

チャレンジウイークは、今年で3年目。
3市で269事業所が参加し、通勤を自家用車から公共交通に切り替えたり、
私生活でのエコ運転や車利用を控えるなどに取り組んだ。

取り組み結果は、車の利用距離で、地球約4・2周分に当たる
16万7124kmを抑制。
1日当たりのCO2削減量は5トン。
参加者は、1年目の5381人から1万4592人まで拡大。
参加者からは、「マイカー生活を見直すことができた」、
「健康にも良く続けたい」などの声があり、意識の高まりを感じさせた。

公共交通が充実していない地域では、運動をどう浸透させるかが課題。
今回、エコ通勤の手段で鉄道・バスを選択した人は、
盛岡が38%だったが一関11%、釜石19%と低かった。
一関市協働推進課の佐藤武生課長補佐は、
「通勤で、公共交通を使うことが難しい地域もある」と現状を語る。

CO2削減の取り組みとともに、公共交通を守る意識の浸透も
求められそうだ。
県地域振興室の野中広治交通課長は、
「チャレンジ参加をきっかけに、公共交通への理解が深まっている。
地道に運動を広めたい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101219_13

小学校受験(7)都市と地方に温度差

(読売 12月25日)

「さあ1分で解くんだよ。スピードを大事に、集中して」。
講師の合図で、子どもたちが一斉に国立の福岡教育大学付属の
入試の模擬試験に取りかかった。
「学習受験社ガゼット」本社のある中央教室(福岡市)の年長コース。
試験を受ける12人の表情は、真剣そのもの。

福岡市と久留米市に3教室を展開する「学習受験社」は、
県内で幼児教室と中学受験塾を開校して約40年。
小学校受験では、県内の国立、私立への合格実績でトップを誇る。
子ども4人に講師1人のきめ細かな指導が特徴で、
講師手作りのプリント教材は年間約3000枚に上る。

県内の小学校受験事情について、同社の上迫純一社長(61)は、
「志望校は、福岡教育大付属の3小学校が人気の上位。
いずれも中学までで、付属中を経て、トップクラスの県立高校、
九州大学へと進学するのが『エリートコース』とされている」

受験準備は、かつて家庭でする場合が多かったが、
「10年余り前から付属小のペーパー試験が難しくなり、
教室通いが目立つようになった。
近年、抽選よりも、先に行われる試験で落とす割合が高くなったことも
拍車をかけている」と、上迫社長。

「付属小」、「私立」、「併願」で1年と2年のコースがあり、
最も多いのは「付属小」の1年コース(週1日2時間~2時間半で、
月額約2万3000~2万6000円)。
県内ではこの数年、私立の西南学院小学校や東明館小学校などが開校、
併願が増えているが、あくまでも第1志望は付属小。

首都圏と関西、北九州以外ではどうか?
全国の小学校受験情報をネットで提供する
「小学校受験総合研究所」の高橋秀幸代表(38)によると、
愛知県や広島県など受験熱が高まってきている地域もあるが、
首都圏のような盛り上がりは見られない。

「地方は私立小が少なく、国公立志向が強いため、
小学校受験の中心は国立。
複雑な問題は出されず、倍率も低いため、友だちと外で遊び、
自分で服をたためて、お母さんのお手伝いができれば、
対応できる学校が多い」、高橋代表は解説。

幼児教室で季節感や生活習慣を学び、私立小を目指す。
お受験熱は、都市部特有の現象かもしれない。

◆メモ

学習受験社によると、福岡教育大学付属の3小学校の
2010年度入学の受験倍率は、福岡小(福岡市)が
男子4・7倍、女子4・2倍、小倉小(北九州市)が男子2・8倍、女子1・8倍、
久留米小(久留米市)が男子2・0倍、女子2・2倍。
出願倍率が約9~80倍にもなる都内の国立大付属小と比べ、
大きな開きがある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101225-OYT8T00173.htm

2010年12月30日木曜日

小学校受験(6)幼児教室 関西も熱く

(読売 12月24日)

「お箸を使って、赤いおはじきを自分のお皿に入れてください」。
講師の指示に従い、子どもたちが、
「生活習慣」の課題に取り組んでいた。

おはじきを上手につまめなかったり、途中で落としてしまったりしながらも、
時間内にひとつ残らず移し終えた。

幼児教室「伸芽会」の四条河原町教室(京都市)で、
行われた4、5歳児の授業。
3年保育の「年中」だが、来年の私立小学校受験まであと1年となり、
教室では「新年長」として授業がスタートしたばかり。
「これから1年で、様々な実践形式の授業を体験し、
大きく力を伸ばしていく」、教務企画局長の飯田道郎さん(50)。

小学校・幼稚園受験で知られる伸芽会は、1956年設立。
本部は東京都豊島区、首都圏1都3県に26教室、
関西2府1県に3教室、計29教室を運営。
教育理念は、その名の通り幼児の興味の芽を伸ばすこと。
例えば、図形や数量の問題では、折り紙やおはじきで関心を引き、
遊びながら学べるよう工夫する。

年長児コースでは、週2日、「総合」、「志望校別」の2コマ、
計4時間が平均的で、費用は月10万円程度。

そんな東京の幼児教室の老舗が、四条河原町教室の開校で
関西進出を果たしたのは2008年。
今年、大阪市と兵庫県西宮市にも教室を設けた。
以前も大阪市内の教室と業務提携し、指導方法を提供していた
時期があったが、今回は本格的な展開。

背景には、ここ数年、名門私立大の関関同立
(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)の付属小学校が
相次いで開校し、小学受験熱に一気に火が付いたことがある。

中学受験の「浜学園」(本部・西宮市)は05年、未就学児童向けの
「はまキッズ」を開設。
中学・高校・大学受験の「京進」(本部・京都市)も06年、
「京進ぷれわん」を開校し、小学受験指導を始めた。
08年、「教室通いへのニーズが高まり、ノウハウを十分に生かせる」
(飯田さん)と判断した伸芽会が進出。

「関関同立」付属小の開校以前も、一定の小学受験層は存在。
首都圏に比べ、私立小の数が少なく、私立の中高一貫校人気や
公立高校への信頼が高いことなどから、
お受験熱はそれほど高くはなかった。

相次ぐ私立小の開校が、幼児教育への特需をもたらしている。

◆メモ

関西では、2006年の同志社小学校(京都市)と立命館小学校を
手始めに、08年に関西学院初等部(宝塚市)、
今年、関西大学初等部(高槻市)と、名門大学の付属小学校の開校が続いた。
来春、同志社国際学院初等部(木津川市)が開校予定。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101224-OYT8T00221.htm

三重大など日本人研究、遺伝子2種発見

(2010年12月22日 読売新聞)

三重大は21日、日本人の心筋梗塞発症に関連する
2種類の遺伝子を発見したと発表。

発症の危険性を予測し、個人の遺伝情報に基づいた
個別化予防が期待。

遺伝子を発見したのは、同大生命科学研究支援センターの
山田芳司教授(54)と、理化学研究所などの研究チーム。

日本、韓国両国の計1万7447人分のヒトゲノムの一部を解析し、
「BTN2A1」と「ILF3」の2遺伝子が、日本人の心筋梗塞と
強い関連があることを突き止めた。
心筋梗塞を発症させる遺伝子は人種によって異なり、
20~30の遺伝子が関係。
今回の研究では、韓国人の発症と両遺伝子の関連は見られなかった。

欧米では白人での研究が進み、日本人に関連するとみられる
遺伝子は3種類見つかっている。
山田教授らは、新たに2種類の遺伝子を確認。
山田教授は、「日本人での研究をさらに進め、
治療薬の開発につなげたい」

研究成果は今後、欧州動脈硬化学会誌「アテロスクレローシス」に掲載。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/22/130212/

2010年12月29日水曜日

小学校受験(5)工作 自由にさせ、ほめる

(読売 12月23日)

JR国立駅近くにある「チャイルド右脳教育研究会」(国立市)の
教室をのぞくと、子どもたちの元気な声が聞こえてきた。
「あっ、崩れちゃうよ」、「きれいに飾ろうね」――。

年長クラス最後の工作の授業で、テーマは「お城」作り。
色画用紙を切ったり、牛乳パックをセロハンテープで
張り付けたりして仕上げていく。
ある男子(6)は、「高い高いの作ったよ。
『よくできました』って、先生やママに言われた」とうれしそう。

チャイルドは、1991年の設立。
地元国立市を中心に、年中と年長を合わせて約60人と小規模ながら、
桐朋学園小学校(国立市)や国立学園小学校(同)など、
多摩地区の有名小学校への合格実績で知られる。
授業は工作のほか、運動や行動観察、ペーパー対策の指導を
週に1回(2時間)行っている。
費用は月額約3万円。

指導の特徴は、工作に最も多くの時間を割いていること。
しかも、入試に必要な知識やテクニックを教え込むことはせず、
自由にやらせている。
なぜなのか?

「数や言葉などをイメージでとらえる力、つまり右脳を鍛えることが、
受験に必要な創造力や思考力、観察力を育むことにつながる。
その手法として、最も重要なのが工作なのです」、
かつて中学・高校受験塾で数学を教えていた山本寿春代表(62)。

山本代表によると、自発性を尊重して自由にやらせ、
良い点を見つけてほめるのだ。
幼児期に自発的に身につけた力は、小学生になってから
読解力やひらめきといった基礎能力になる。

立川市に住む桐朋学園小2年の女子は、年少の冬から
約1年半通ったお受験教室が合わず、年長の春からチャイルドに移った。
母親(34)は、「前の教室は、成績を上げるために厳しく指導され、
娘を追い込んでしまった。
チャイルドでは、良い点をほめてもらい、
自分で考えて楽しく取り組めるようになった」

白梅学園大学の汐見稔幸学長(63)(育児学、教育人間学)は、
「幼児期に押しつけられて勉強させられると、後に問題を発見、解決する
姿勢が失われるばかりか、自尊感情が損なわれる可能性がある」

詰め込みが過ぎると、学ぶ意欲が低下し、燃え尽きることもある。
受験が過熱するなか、長所をじっくり伸ばす指導が支持を集めている。

◆メモ

首都圏の幼児教室情報をネットで提供する「幼児教育情報センター」
によると、東京など1都3県の小学校受験向けの幼児教室数は、
現在400程度で、大半は中小や個人経営。
1980年代後半から増え始め、90年代半ば以降横ばい。
お受験教室を2、3校かけ持ちするケースが、
数年前から目立ち始めた。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101223-OYT8T00185.htm

赤ワイン、認知力向上 マウスの脳神経細胞倍増 名古屋市大

(2010年12月19日 毎日新聞社)

赤ワインが、記憶に関わる脳の神経細胞の数を倍増させ、
認知能力を高めることが、岡嶋研二・名古屋市立大大学院教授
(展開医科学)のチームの動物実験で分かった。
白ワインでは効果がなかった。
近く米国の栄養生化学雑誌に発表。

これまで、赤ワインを1日400ml(グラス3杯程度)を飲む人は、
飲まない人に比べ、認知症の症状が表れにくいことが、
フランス・ボルドー大などの疫学調査で分かっていた。

チームは、赤ワインに含まれ、心疾患減少に効果のある
「レスベラトロール」という成分に注目。
マウスに、レスベラトロール含有量の多い赤ワイン0・2mlを毎日、
3週間にわたり飲ませた。

その結果、脳の中で記憶をつかさどる「海馬」と呼ばれる部分の
神経細胞が、飲まないマウスに比べ2倍に増えていた。
迷路でゴールにたどりつく時間も、訓練開始から5日目に、
飲まないマウスに比べ、ほぼ半分になった。
白ワインを飲んだマウスは、飲まないマウスと同じ結果。
効果がどこまで継続するかはこれからの課題だが、
持続して摂取する必要がある。

レスベラトロール濃度が高いのは、
フルボディーや色の濃いタイプの赤ワイン。

岡嶋教授は、「赤ワインの健康効果は、欧州の人々の間で言われてきたが、
やはり科学的な裏付けがあった。
アルコールの過剰な摂取は、肝臓への悪影響もあり、
飲み過ぎないでほしい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/20/130034/

2010年12月28日火曜日

小学校受験(4)国立付属「タフさ」必要

(読売 12月22日)

年長クラスの子どもたちが、テープレコーダーから流れる
「動物村の運動会」の話を2分程度聞いた後、
「お話の記憶」の問題に取り組んでいた。
「動物村の村長さんに○をつけましょう」、
「運動会で一番目に行った競技に○をつけましょう」。
試験官役の講師が質問すると、子どもたちがすばやく答えを書いていく。

「にっけん(日本教育研究所)」(本部・国立市)の仙川教室で、
「国立大付属小学校合格判定テスト」が実施。
ペーパー試験、行動観察、運動、面接など、
計1時間の国立大付属小の入試を想定したテスト。

1972年に設立された「にっけん」は、都内と神奈川県に計7教室を運営、
国立大学付属小の受験対策で定評がある。
ペーパーから絵画・工作や行動観察、運動まで、
バランスよい指導を重視。
年長クラスは週2日、計3時間(2コマ)の授業と月1回のテストを
受けるのが一般的で、費用は月9万円。

国立大付属小は全国に74あるが、多様な子どもを集めることなどから、
多くが入試に抽選を含めている。
このため、都内の東京学芸大付属の4小学校、お茶の水女子大付属小、
筑波大付属小は、軒並み高倍率となっている。
私立小の多い首都圏では、国立が第1志望でも、
私立と併願するケースが多い。

「国立は、大勢を落とさなければならない分、
私立に比べて試験時間が短く、問題が複雑な傾向に。
積極的にきびきびと、自ら考えて行動する力をアピールできるように
指導している」、にっけんの福田菊子・副理事長(67)。

付属小から大半が付属中学校に進むが、
付属高校があっても進学できないことも多く、
大学への優先入学制度もない場合がほとんど。
系列校進学など、進路がある程度決まっている私立と違い、
国立は、各段階で進路選択や受験に向き合わなくてはならない。

抽選に外れて受験すらできなかったり、試験に合格したものの
抽選で外れたり。
親子で落ち込む国立ならではのケースが少なくないため、
にっけんでは親向け相談も充実。
福田副理事長は、「不合格でも、お受験準備は必ず小学校での学びに
生かせると、前向きに考えるようアドバイスしている」

「親子ともにタフさが求められる」(福田副理事長)という国立受験。
それでも、教育の質を求め、挑戦者は後を絶たない。

◆メモ

東京都内の国立大学付属小学校は、抽選を試験の前後2回行う場合と、
試験後1回の場合がある。
にっけんの調べでは、2011年度入学の出願倍率は、
東京学芸大付属竹早小が男子76.4倍、女子66.5倍、
お茶の水女子大付属小が男子46.5倍、女子72.0倍、
筑波大付属小が男子30.0倍、女子24.6倍など、かなりの高倍率。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101222-OYT8T00158.htm

高強度運動、BMI・胴囲・体重の増加抑制、20年調査

(2010年12月17日 JAMA)

文献:Hankinson AL et al. Maintaining a High Physical Activity Level Over 20 Years and Weight Gain. JAMA. 2010;304(23):2603-2610

18~30歳の男女3554人を対象に、
運動強度とBMI・胴囲・体重の変化の関係を、
20年にわたる前向き縦断的研究で調査。

高強度運動群は、低強度運動群に比べ、
BMI・胴囲・体重とも増加量が少なく、
1年あたりの増加量の群間差は、男性で体重2.6kg、胴囲3.1cm、
女性で体重6.1kg、胴囲3.8cmと、女性で顕著な抑制が見られた。

http://www.m3.com/news/THESIS/2010/12/17/10938/

2010年12月27日月曜日

iPS利用、豚で人の膵臓 東大と明治大が計画

(2010年12月20日 共同通信社)

豚の胎児に、人間の人工多能性幹細胞(iPS細胞)を移植し、
この胎児に人間の膵臓を作らせる計画を、
東京大医科学研究所の中内啓光教授と明治大の長嶋比呂志教授らが、
文部科学省の専門委員会で明らかに。

iPS細胞は、さまざまな細胞になる能力があり、
再生医療への応用が期待。
中内教授は、「慎重に研究を進め、将来は人間に移植可能な臓器を作りたい」

計画では、遺伝子操作で生まれつき膵臓ができない豚を利用。
この豚が、母豚の子宮内にいる胎児の段階で、
人間のiPS細胞かiPS細胞から分化させた膵臓の前駆細胞を移植。
もともとは豚の膵臓ができる場所に、人間のiPS細胞由来の膵臓が
できる可能性がある。

細胞は、受精の約40日後に相当する妊娠初期の段階で移植。
この段階は、膵臓ができ始める時期。

中内教授は、膵臓ができないマウスの実験で、
受精卵が分割を繰り返し、胚盤胞という状態になった段階で、
異種の動物であるラットのiPS細胞を注入、
生まれたマウスの体内にラットの膵臓を作ることに成功。

現在の国の指針では、人間の細胞を含む胚を動物の胎内に
移植することは禁止され、人間のiPS細胞を胚盤胞に移植する方法で
膵臓を作ることはできない。
動物の胎児への移植は、指針上は可能。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/20/130069/

睡眠不足、健康でも見た目の印象悪い

(2010年12月17日 BMJ)

文献:Axelsson J et al. Beauty sleep: experimental study on the perceived health and attractiveness of sleep deprived people. BMJ. 2010; 341:c6614

18~31歳の健康成人23人の写真を、
一般人65人がVAS(100mm)で評価し、
睡眠不足が見た目の印象に及ぼす影響を調査。

睡眠不足の写真は、十分な睡眠後の写真に比べ、
健康、魅力に関するVASが低く(平均63mm対68mm、同38mm対40mm)、
疲労に関するVASが高い(同53mm対44mm)と評価。

http://www.m3.com/news/THESIS/2010/12/17/10933/

2010年12月26日日曜日

睡眠不足、ダイエット効果を阻害

(2010年12月15日 Ann Intern Med)

文献:Nedeltcheva AV et al. Insufficient Sleep Undermines Dietary Efforts to Reduce Adiposity. Ann Intern Med. 2010;153(7):435-441

喫煙習慣のない肥満成人10人(平均年齢41歳)を対象に、
低カロリーダイエットの効果に対する睡眠不足の影響を、
無作為化クロスオーバー試験で検討。

睡眠不足により、脂肪体重の減少が55%低下し、
除脂肪体重の減少が60%上昇。
ダイエットの効果が損なわれる可能性を指摘。

http://www.m3.com/news/THESIS/2010/12/15/10923/

男女の治療、一律にせず コレステロールを考える/下

(2010年12月17日 毎日新聞社)

佐賀県武雄市の「ニコークリニック」を受診した女性(60)は、
悪玉のLDLコレステロールが212mg/dlと高かった。
日本動脈硬化学会の診断基準では、LDLが140以上の人は
「脂質代謝異常」とされ、医療現場でもコレステロールを下げる薬が
処方される例が少なくない。

同クリニックの田中裕幸院長は、
「閉経後の女性は、一般にLDL値が上がる。
140を超えたからといって、すぐに薬を出すことはしない」。
この女性は他に異常はなく、魚をよく食べ、運動もしていたため、
特に治療はしなかった。

田中院長は、薬を処方しない理由として、
「一般的に女性はLDLが200程度まで上がっても、
心筋梗塞の発症率が増えないという臨床研究報告が多い」

同学会がまとめた、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」(07年)、
「女性における冠動脈疾患の発生率は低く、
女性の高LDLコレステロール血症は、男性以上に他の危険因子の
存在を考慮して管理することが必要」

「他の危険因子」とは、高血圧や糖尿病、喫煙などで、
併せ持つ人ほどリスクは高まる。

田中院長は、コレステロール降下薬を処方するかを判断する際、
頸動脈の「肥厚」(IMT=内膜中膜複合体厚)を調べる。
肥厚は、超音波エコー検査で確認できる。
頸動脈は、動脈硬化を検査しやすい血管で、
体全体の状況も反映する。
厚みが大きく、血管が狭くなっていれば、動脈硬化が進行している表れ。

田中院長は今年4月までに、患者の男女114人(45~69歳)を対象、
LDLの数値と頸動脈の肥厚を調べた。
男性では、LDLが高いと肥厚も厚かったが、
女性では相関が見られなかった。
肥厚と関係していたのは、脂肪酸の一種のアラキドン酸。
「性差を考慮した治療が重要」と、田中院長。

個々の数値ではなく、LDLとHDLの比率が重要だとする見方も。
三井記念病院総合健診センター(千代田区)の山門實所長は、
内外の人間ドック健診データの分析に基づき、
「HDLに対するLDLの割合(LH比)が2・5倍以上だと、
頸動脈の肥厚が厚くなる傾向がある」

悪玉のLDLが正常値でも、善玉のHDLが極端に低ければ、
動脈硬化症のリスクが高まることになる。

「血清コレステロールの管理基準を巡って」と題された公開討論会が、
東京大で開かれた。
日本脂質栄養学会が、「コレステロールが高い方が長生きする」とする
独自のガイドラインを発表したのを受け、
NPO法人「臨床研究適正評価教育機構」が主催。

医療関係者3人が講演した後に討議、会場から意見も募ったが、
脂質栄養学会のガイドラインへの批判の声が多かった。
北野病院(大阪市)の越山裕行・糖尿病内分泌センター長は、
「コレステロールを下げることは有害、という考えは明らかに間違い」
などと語気を強めた。

同NPOの桑島巌理事長(東京都健康長寿医療センター副院長)は、
「高コレステロール血症が、動脈硬化を促す危険因子なのは
多くの疫学調査で明らかで、コレステロールの高い方が長生きと
結論づけるのは危険」としながら、
「脂質代謝異常の基準を、男女一律にLDL140以上とすると、
不要な治療を促す要因になりかねない。
女性の更年期以前と以降の基準値も示す必要」

日本脂質栄養学会は近く、反論の声明を出した日本動脈硬化学会に、
質問書を出す予定。
批判が多い今回のガイドラインだが、コレステロール論議に
一石を投じたのも事実。
生活習慣病の治療・予防にかかわり、多くの人が関心を寄せる
コレステロールだけに、今後も徹底した前向きな論議が期待。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/17/129956/?portalId=mailmag&mm=MD101217_XXX

2010年12月25日土曜日

強い蚊と苦闘、急成長 インドネシアでフマキラー 「アジアビジネス」

(2010年12月17日 共同通信社)

デング熱やマラリアを媒介する蚊が生息する熱帯の国インドネシアに、
日本の殺虫剤メーカーのフマキラー(東京)が進出して20年。
日本に比べ、殺虫薬への抵抗力が非常に強い蚊に悪戦苦闘しつつも、
地道な営業努力などで主力商品である蚊取り線香の売り上げを伸ばし、
経常利益を5年間で18倍に増やした、という急成長ぶり。

「この国の蚊は、日本より5~10倍も薬への抵抗力があり、
日本向けの蚊取り線香はほとんど効かないことが、
2004年に分かった」とフマキラー・インドネシアの山下修作社長。

05年から、薬剤成分の濃度をコスト的に限界となる他社製品の
2倍まで上げた。
「蚊が強すぎて、消費者が実際に蚊取り線香を使う際、
効力の違いをそれほど体感できない」(山下さん)という壁に。

実際、殺虫効果は高いことを知ってもらうため08年から、
同国で最大の人口を抱えるジャワ島内の田舎の露店を
1軒ずつ地道に回るキャラバンセールを開始。
車両約50台を投入し、住民への試供品などきめ細かい営業を
展開し、コスト削減にも力を入れた。

その結果、同国全体の売上高は急増。
15年、売上高をさらに5倍に増やす野心的計画も立てる。

山下さんは、日本の衛生用品大手メーカーで、
インドネシアなどでの事業を立ち上げた経歴を買われ、
同社退職後の03年にフマキラーに部長職で入社。
インドネシアでの成功を高く評価、09年から同社ナンバー3の
東京本社の専務も兼任する。

人口約2億3千万人のインドネシアでは、
内需主導の経済成長が順調。
平均気温が高く、一年中蚊取り線香の需要もある。

山下さんは、「今後、蚊取り線香すら買えなかった貧困層が
買えるようになる。
今、蚊取り線香を買っている人は、電気蚊取りやスプレーを
買えるようになる。
伸び悩む日本市場に比べ、非常に有望だ」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/17/129970/

「高いと長生き」巡り論争 コレステロールを考える/上

(2010年12月16日 毎日新聞社)

日本脂質栄養学会が、「コレステロールは、高い方が長生きする」
とする見解をまとめ、波紋が広がっている。
高コレステロールは、心疾患などにリスクがある、
という従来の医学の常識を覆すもので、反論も相次いでいる。
コレステロールをどう考えるべきか?

◇脂質学会、常識覆す見解/動脈硬化学会は批判

現在の診断基準は、日本動脈硬化学会(北徹理事長)が
07年に定め、悪玉のLDLコレステロールが140mg/dl以上を
脂質代謝異常(高脂血症)とする。
多くの医療現場でこの基準に沿い、
治療や生活改善の指導が行われている。

日本脂質栄養学会は9月、
「長寿のためのコレステロールガイドライン」をまとめた。
学会理事長の浜崎智仁・富山大和漢医薬学総合研究所教授ら
15人で策定委員会を構成。
「総コレステロール値あるいはLDLコレステロール値が高いと、
日本では総死亡率が低い」とした。
全体は14章から成り、高コレステロールの方が
脳卒中を発症しにくいことなども記した。

特徴は、「総死亡率」との関連を重視した点で、
ガイドラインの名称にも、「長寿のための」と冠した。
浜崎教授は、「95年以降に公表された日本の五つの大規模な
臨床試験報告を見ると、40~50歳以上の集団では、
コレステロールが高くても、がんや脳卒中、心臓疾患など
総死亡率は増えていない」

大櫛陽一・東海大医学部教授らが解析した、伊勢原市の
「老人基本健診」受診者約2万2000人の追跡調査(95~06年)。
男性は、LDL140~159の群で総死亡率が最も低く、
女性では180以上で最も低かった。
大櫛教授は、「コレステロールが高めの方が、
肺炎やがんの死亡率が低い傾向にある」

浜崎教授は、「LDL140以上でも、たいていは薬を飲む必要はない」、
現在の診断基準が、「コレステロール降下薬の使い過ぎを促している」
と警告。

日本動脈硬化学会は、反論の声明をホームページに載せた。
日本脂質栄養学会が引用する論文を、
「ほとんどが査読(複数の研究者による検証)を受けた論文ではない」、
コレステロール値と動脈硬化性疾患の発症との関係は、
「多くの科学的検証を経た疫学的論文の一致するところ」と記した。

総死亡率との関連づけも、
「年齢や喫煙、高血圧などの要因を考慮して分析する必要がある」
動脈硬化性疾患の疫学を専門とする三浦克之・滋賀医科大教授は、
「肝臓疾患などでコレステロール値が下がることがあり、
コレステロールと総死亡に因果関係があるとするのは無理」と批判。

日本医師会も異議を唱え、
「高いリスクをもつ家族性高コレステロール血症の患者に、
服薬を中止している例があると聞く」などと憂慮を示した。

論争は、疫学データの選択や統計処理の問題も絡み、複雑化。
厚生労働省生活習慣病対策室も、
「学会同士の学問的な論争。国が何かを言う立場ではない」

日本脂質栄養学会のガイドラインを問題視しながらも、
コレステロールについて、さらなる議論を求める意見も。

日本疫学会のウェブ版で、自治医科大の調査データの解析結果が報告。
92年から男女1万2334人(平均年齢55歳)を対象、
約12年間追跡。
最初の5年間の死亡を除いても、総コレステロール値が
160(LDLだと約80)以下で脳出血、心不全、がんが多かった。

同データを解析した名郷直樹・東京北社会保険病院臨床研修センター長は、
脂質栄養学会のガイドラインを、「大きな問題がある」としながら、
「低コレステロールと死亡には関連がうかがわれる。
コレステロール降下薬の使い方を含め、もっと議論すべき」
………………………………………………………………………………
◇コレステロール

細胞膜やホルモンなどに欠かせない脂質。
肝臓で作られ、食事からも吸収される。
結合するたんぱく質の違いによって、善玉のHDLコレステロールと
悪玉のLDLコレステロールに区別、HDLはLDLを減らす働き。
日本動脈硬化学会は、「LDLが140以上」のほか、
HDLが40未満、中性脂肪が150以上も脂質代謝異常としている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/16/129892/?portalId=mailmag&mm=MD101216_XXX

2010年12月24日金曜日

小学校受験(3)女子校「理念」で選ぶ

(読売 12月18日)

教室に2列に並べられた机に、母親と女の子が向き合い、
色とりどりの薄紙や割り箸を使って、花束を作っていた。
「次はどの色を使おうか?」と母親、
「このピンクがいいなあ」と娘。
一緒に手を動かしながら目と目を合わせ、にこやかに会話をしていた。

「幼児教育実践研究所・こぐま会」本部のある恵比寿本校での
行動観察の授業。
東京女学館小学校(同)を志望する年長クラスで、
入試で行われる「母子活動」に対応したもの。

年長は週2回、「基本」と「志望校別」の授業を1コマ(90分)ずつ、
計2コマ受けるのが平均的。
費用は、月額8万~10万円。
女学館小のクラスは、「志望校別」の3分の1を母子活動にあてている。

講師の桜井紀子さん(57)は、「女子校は、行動観察や面接で
母子関係の良好さを見る傾向が強い。
その意味で、親子一緒に工作や踊りなどを行う母子活動は
象徴的な試験。
出来不出来でなく、話し合い、協力して取り組めるかが問われる」

こぐま会では、1983年の設立以来、小学校での学習にスムーズに
進むための教育に重点を置く。
独自に開発した指導方法で、物に触れたり体を動かしたりしながら、
前後、左右といった位置関係を認識・言語化するなど、
体験を通した学びを行っている。

「発達段階に応じた教育が基本。
小学校受験は、その成果を試すきっかけに過ぎない」と、久野泰可代表(62)。
都内に展開する3校に通う約8割が女子だが、
「会の教育方針に基づいて指導してきた結果、
女子校受験で実績を上げ、女子が多数を占めるようになった」

進路指導担当の広瀬亜利子・第1教務部長(52)は、
「女子校は、求める家庭環境が明確で、
特に母親の教育参加を重視する学校が多い。
本人の性格や親の考え方が合わないと、学び続けることが困難に。
校風や教育理念を理解して、志望校を選ぶよう指導している」

長女が女学館小1年の母親(40)(品川区)は、
「一人っ子で大人しく、男の子と一緒に学ぶのは向いていない」と考え、
女子校受験を決めた。
年中の春からこぐま会に通い、10校ほどの説明会に足を運んだ。
女学館にしたのは、「国際理解や伝統文化教育に共感したし、
何よりも学校の雰囲気が娘に合っていると感じたから」

学校選びの原点が、女子校受験で問われている。

◆メモ


こぐま会によると、雙葉小(千代田区)、聖心女子学院初等科(同港区)
などの名門女子校入試では、ペーパー試験や行動観察などのほか、
両親の面接が実施される。
学校の教育方針、校風理解のほか、しつけや家庭教育、
わが子の性格、成長の把握など、母子関係や母親の役割を聞く
ケースが多い。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101218-OYT8T00172.htm

100歳食 長生きのコツ、五色の食材 食文化史研究家・永山久夫さん、紹介

(2010年12月14日 毎日新聞社)

長生きのコツは、五色の食材。
古くからの郷土の食事を見直し、大いに笑いながら暮らそう--。
食文化史研究家で、西武文理大客員教授の永山久夫さん(78)が、
健康に生きるための食事の重要性を強調し、
自ら考案した「100歳食」を紹介。

永山さんは、同市内の高齢者ら約150人を前に、
健康維持のためにどんな食事が必要かを説明。
「100歳食」を、参加者全員で試食。

五色は、白=エネルギー源になる米、小麦粉、ソバ粉、雑穀、
黄=たんぱく質の大豆、卵黄、乳製品など、
緑=ビタミンCなどで、ホウレンソウ、ニラ、わかめなど、
赤=動物性たんぱく質など、牛、豚肉、ニンジン、
黒=若さを保って体を浄化する黒ゴマ、ナス、こんにゃくなど。

永山さんは、「人口の半分以上を65歳以上が占める限界集落が、
20年後には国中に広がり、日本全体が『限界国家』になる」

日本人の平均寿命が男79歳、女86歳に対し、
自立して生活できるとされる「健康寿命」は男72歳、女78歳。
その差の男性7年間、女性8年間に発生する医療費が、
日本の財政を悪化させていると説明、
高齢者の健康が単に個人の問題ではないことを指摘。

誰の世話にもならず健康に暮らしたい、
と願う高齢者の切実さを反映し、聴衆は熱心にメモを取った。
「ストレスが免疫力の大敵」と言う永山さんは、
くよくよと悩んだり生真面目であるよりも、
細かいことにとらわれずよく笑い、
積極的に地域と交わる生き方を推奨。
健康で新たなことに挑戦する“大老人”たれ、と参加者を激励した。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/14/129796/

2010年12月23日木曜日

小学校受験(2)働く母のため週末授業

(読売 12月17日)

「今日は、忍者の動きをしましょう。先生をよく見てくださいね」
忍者のお面をかぶった講師が、ゴムひもを跳び、
マットの上で転がってみせる。
その後、4、5歳児が1人ずつ、手本を懸命にまねしてゴールを目指す。

「アンテナ・プレスクール」原宿本校の年中クラスでは、
「指示行動」のグループレッスンが行われていた。

2002年開校、渋谷区内に2校を展開。
首都圏私立小で最難関とされる慶応義塾幼稚舎(同)や
早稲田実業学校初等部の合格実績で、知名度を上げてきた。
両校の11年度入学の出願倍率は10倍を超え、
中でも慶応幼稚舎の女子は20倍に近い。

「アンテナ」の石井至校長(45)は、
「過去問(過去に出された問題)を徹底的に分析し、
短時間で効率的に楽しく受験準備ができるよう工夫している」

「指示行動」や「行動観察」は、5~8人程度のグループで、
絵画・工作は原則、講師と一対一の個人レッスンで行う。
絵画・工作では、慶応幼稚舎や早実初等部対策として、
美術大学出身者が講師を務める。
3年保育の年少の秋から通い、年長は週1回、グループ、
個人レッスンを、各1コマ(50分)の計2コマ受講が多く、
費用は月額10万円程度。

ここの特徴は、働く母親のため、週末の授業を開講していること。
同校に通う子どもの母親の約4割が、フルタイムで働く。
「母親が仕事を持つと、お受験に不利と言われたのは過去のこと。
働く母親の方が時間を合理的に使い、集中できる面もある」と石井校長。
「家でお母さんが、何時間も勉強を見なくてもすむよう、
教室で力がつくようにしている」

大手企業に勤める東京都内の母親(41)は、
現在、早実初等部3年の長男を1年弱、同校に通わせた。
「最初は不安だったが、教室からアドバイスをもらい、
親子で頑張って、志望校に合格することができた。
母親としての自信にもつながった」と振り返る。

子育てや家庭教育に詳しい川島隆太・東北大学教授(51)(脳科学)は、
「今のお母さんは、忙しく、ストレスをためている場合が多いため、
子どもとのかかわりが表面的になっている」
「子どもと過ごす時間の長さよりも、中身が重要。
遊びや料理などの共同作業で感動を共有したり、
勉強を見てあげてほめたり、ということを続けていくことが重要」

◆メモ

小学校の入試は、数量・図形や言語などから出題される「ペーパー試験」、
集団行動や遊びから仲間とのコミュニケーションができるかなどを
評価する「行動観察」、洋服をたたむなど身の回りのことができるかを見る
「生活習慣」、絵画・工作、「指示行動」などの運動、面接など。
どれを実施、重視するかなどは、学校によって異なる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101217-OYT8T00178.htm

ノーベル賞:化学賞・根岸さんインタビュー 受賞確率1000万分の1、努力で高まる

(毎日 11月28日)

効率よく有機化合物を製造する手法を開発した業績で、
今年のノーベル化学賞に選ばれた
根岸英一・米パデュー大特別教授(75)。

現在、妻すみれさん(73)と帰国。
受賞確率は、「1000万分の1」と分析、
「努力で高められるので、宝くじと違う」と主張。
「人工的な光合成を実現したい」と意欲を示した。

「50年の夢がかなった」。
受賞発表直後、喜びをこう表現した。
渡米した60年秋、日本人受賞者は故湯川秀樹氏のみで、
ノーベル賞は「雲の上の存在」。
後に恩師となった米パデュー大のハーバート・ブラウン博士の
講演を聴き、「この人はノーベル賞をとる」と確信、門戸入り。
予想は、79年に現実となった。
授賞式に同行し、「ノーベル賞が目標として近くなった」と感じた。

20世紀に生きて死んだ人の数と過去の受賞者数から、
ノーベル賞に選ばれる確率は、「1000万分の1」に。
「低過ぎて宝くじに当たるような確率に思えるが、
1000万は10を7回かけ合わせた数。
10人中1位になる経験を、7回繰り返すと考えればいい」と
努力を継続する大切さを強調。

今後の研究テーマとして、「人工的な光合成の実現」を挙げた。
「食料やエネルギー問題の解決になり、地球温暖化対策で
炭酸ガスの排出をなくそうとするのもナンセンスになる。
論理的には可能なはずで、今世紀中にできなかったらおかしい」

ブラウン博士とは、たびたび意見が対立し、
「お前みたいに、自分に反論する日本人は初めて」と言われた。
他の著名研究者の論文の誤りを何度か指摘し、
その正しさが証明されるにつれ、次第に信頼を寄せられるようになった。
若手研究者には、「人のまねから本質的に抜け出すよう、
心がけてほしい」と助言。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/11/28/20101128ddm041040055000c.html

2010年12月22日水曜日

小学校受験(1)幼児教室 親も子も成長

(読売 12月16日)

横浜市内の私立小学校入試開始まで1週間に迫った10月中旬、
「ジャック幼児教育研究所」横浜元町教室では、
年長クラスの最終日の授業が行われていた。

大半が、名門私立中学への進学実績で知られる
精華小学校を受験するクラス。
工作の授業で子どもたちは、参観席で保護者が見守る中、
青やオレンジ色のビーズなどをひもに通し、ネックレスを作っていた。

1969年に設立された「ジャック」(本部・世田谷区)は、
都内と神奈川、埼玉の両県に計15教室を展開。
ペーパー試験から運動、面接対策まで各種授業をそろえ、
年長ではそれらを組み合わせた志望校別クラスがメーン。
多くが、週1日3コマ(1コマ50分)か週2日5コマ通い、
月額7万3500円~9万4500円。

ジャック理事の大岡史直・横浜元町教室長(48)は、
子どもに達成感を持たせることを指導の柱。
「努力してできたという実体験を、積ませることが大切。
『お受験』合格だけでなく、小学校以降の学ぶ意欲や自信にもつながる」

小学校受験は、「親の受験」とも言われる。
ジャックでは、父母向けに講座を開くなど、親の「教育」にも力を入れる。
授業参観を求めているのも、その一環。
「入試では、季節の動植物や公衆道徳を問うなど、
かつては家庭でのしつけや体験から自然と身につけていた力を見る
問題も少なくない。
教室が代わりに教えている面もある」と、大岡教室長。

背景には、家庭環境の変化がある。
山田昌弘・中央大学教授(53)(家族社会学)は、
「核家族化や地域のつながりの希薄化が進む中、
母親同士のネットワークもうまく機能しなくなっている」
「家庭教育の術を、お金を払って教室に教えてもらうのも時代の流れ」

現在精華小1年の長男が、ジャックに約2年間通った
横浜市の母親(38)は、家庭で毎日2時間、宿題を見たほか、
絵本の読み聞かせを続けた。
週末は、家族でハイキングや昆虫採集に出掛け、
自然に接するよう努めた。
「教室で学んだおかげで、子育てや家庭教育のあり方を再認識し、
母子ともに成長できた」

首都圏を中心に、小学校受験熱が高まっている。
お受験レッスンはどのように展開され、子どもの成長にどんな影響を
与えるのかを考える。

◆メモ

東京私立初等学校協会によると、東京都内には、
全国の私立小学校の約25%にあたる、54校が集中。
応募者総数(2010年度入学)は1万8451人、
1999年度から2285人(14%)増。
公立校不信のほか、中学受験を避けて子どもの負担を軽くしたい
などの思いもある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101216-OYT8T00202.htm

日本のスポーツ政策を考える

(sfen)

◆日本のスポーツ基本法の「現状・今後」について

佐野:中国・広州ではアジア競技大会が開かれている。
日本の総メダル獲得数は、中国に次いで第2位。
金メダルは、韓国に遠く及ばない。
アジアナンバー1のスポーツ大国といわれた日本が、
年月を追うごとに、その面影を失っていくのではないか。

トップアスリートの国際競争力を高めていかなければならない、
一方、真っすぐに走れない子どもがいたり、
でんぐり返しができない子どもがいたりなど、運動能力の欠如も問題。

わが国では、野球やサッカーといった競技スポーツが非常に盛ん。
テレビの視聴率は別にしても、“観るスポーツ”はとても盛んに。
皇居周辺のランナーなど、“するスポーツ”も活発。
一方で、スポーツをするための施設は充分なのか、
きちんと指導する人たちが充分いるのか。
そうした問題も内在している。

12月、FIFAワールドカップの2018年と2022年の開催国が決定。
日本が2022年の開催国に立候補していることを、
日本国民のどれだけの人が認識しているのか?
昨年、2016年夏季オリンピックの開催地として、
東京が立候補していたときと同じような状態になっているのでは。
そういった危惧もある。

今、日本のスポーツ界の現状を挙げたが、若干支離滅裂のような感じ。
この支離滅裂感が、これまでスポーツ政策について、
きちっと対応してこなかったことの証なのではないか。

鍵となるのが、基本法。
基本法というのは、国のスポーツ規定の大本。
基本法を基準にしなければならない。
今日は、スポーツ基本法について先生方にお話を伺いたい。
まずは、諸外国のスポーツ基本法に詳しい筑波大学の齋藤先生に、
専門のフランスを中心に解説していただく。

齋藤 : 私は、フランスのスポーツ法と政策を専門、
諸外国のスポーツ法と政策全体を比較した中で、
何がポイントなのかを解説したい。

一つ目は、『スポーツの理念及びスポーツにおける規範価値に基づく、
スポーツ基本法の制定とスポーツ政策を実施すべき』という点。
このような理念及び規範的価値には、まずスポーツをする、
スポーツに参加する、アクセスする機会を保障すること。
スポーツの自由、スポーツにおける無差別平等、公正、安全、保護
といった観点を中核に、スポーツ基本法の内容を理念に基づいて、
もう一度スポーツ基本法というものを作っていくべき。

2つ目は、『スポーツの定義とスポーツ法及び政策の射程範囲』について。
諸外国と比べ、スポーツの定義や内容は各国で非常に異なるが、
基本的には運動競技だけでなく、身体活動も含めた余暇や
レクリエーションまで、スポーツの定義に含んでいる。
諸外国では、スポーツ基本法及びスポーツ法は、
アメリカのように競技者を中心としたスポーツ法、
フランスのようにスポーツと身体活動を含めてスポーツと定義している
スポーツ基本法、
カナダのように身体活動とスポーツのそれぞれを分けたスポーツ基本法、
という3つの形態に分類。

現代的な傾向として、スポーツの定義が拡大しているので、
身体活動とスポーツの両者をどのように規定し、
いかに政策の対象を組み合わせて両立させることが出来るか、
というのが今後のスポーツ基本法の立法の重要な課題。
わが国のスポーツ政策は、競技スポーツを重点に置いているが、
未組織あるいはレクリエーショナルな身体活動についてまで、
いかにスポーツ基本法の射程範囲を広げて立法できるか、
ということも重要。

3つ目は、『スポーツ基本法の立法論の3類型』。
立法論には、施策型つまり国が定めるトップダウン型の基本法と、
実践型つまり実践者の立場を規定してスポーツ基本法を作る
ボトムアップ型、その混合型も考えられる。

今の日本のスポーツ振興法は、どちらかというと施策型。
国が行うべき内容を規定し、スポーツをする人、支援する団体を
中心とするのであれば、実践型つまりボトムアップ型の
スポーツ基本法の構成を考えることが重要。
一つ目に挙げたスポーツ法の理念を重視した立案と関連する。

4つ目は、これまでスポーツ振興法、自民党スポーツ基本法案、
スポーツ立国戦略などであまり明確でない点、
同時に諸外国と大きく異なる点について説明。
スポーツに参加する人、団体、組織をどのように捉えるか、
いかに定義するかということ。

諸外国では、それらについて厳密に定めながら、
スポーツ政策やスポーツ立法というものを定めている。
National Governing Bodies、Federation、Association、Commission
などの専門用語が存在。
わが国でも、スポーツをする組織を明確に規定しながら、
スポーツ立法政策を進めるべき。
国、地方公共団体を含めたネットワークを、いかに形成していくか。
以上4点を、諸外国のスポーツ基本法の総括。

佐野 : 齋藤先生ありがとうございました。
私は、日本のスポーツ基本法は、立法論の3類型でいうところの
施策型になると思う。
昨年7月、自民党が単独で出したスポーツ基本法案が、
衆議院の解散で廃案、そのことがじっくり審議する機会を設けることに。
スポーツ基本法をあわてて作る必要はない。
日本のスポーツ界について、多様な立場の方たちに発言する、
いい機会になったのではないか。

今年、スポーツ立国戦略ができ、自民党公明党両党による
スポーツ基本法案が継続審議。
わが国のスポーツ基本法がどうなっていくのか、
遠藤さんと鈴木さんにお話を伺いたい。

遠藤 : 4年前、今の鈴木さんと同じポストである文部科学副大臣で、
スポーツ担当をしたが、トリノオリンピックが開催、日本は散々な結果に。
幸い、荒川静香さんが金メダルを獲ったが、
活躍を期待されたほとんどの種目で、思うような結果が残せない。
なぜこうなったのか?
文部科学省の中に、スポーツ振興に関する懇談会を設立、かなり議論をした。
わが国はなぜ、力が落ちたのだろうかと。

韓国や中国が、どんどん力を伸ばしていることがあるが、
日本ではまだ、スポーツは遊びの延長としか見られておらず、
国が責任を持って推し進める、という体制や認識が
定着していないという結論。

昭和36年に制定されたスポーツ振興法を見たが、
プロとアマのスポーツが整理されず、
障害者のスポーツや国際貢献についての記述もない。
スポーツ振興法を基本としながら、法を改正し、
時代に合った法案を作りたい。

スポーツ振興に関係する省庁は、文部科学省、厚生労働省、
経済産業省、国土交通省など、多岐に。
これらを一つにしたスポーツの中核組織を作れないかなどなど、
少なくとも10数回は議論を重ね、報告書をまとめた。
副大臣退任後、その具現化を目指し、さらに検討するため、
自民党内に全ての政党の中で初めてとなるスポーツ立国調査会を設立。

自民党だけでは成立しないし、スポーツは思想や信条を超えるので、
スポーツ振興法改正プロジェクトチームという組織を、
超党派のスポーツ議員連盟の中に設置。
鈴木さんにも入っていただき、1年にわたり議論。

アドバイザリー・ボードとして、体育や、選手の強化、ドーピングなど、
各分野の専門家20名の方々に参加。
自民党と公明党で、スポーツ基本法を取りまとめた。
残念ながら廃案になったが、あらためて修正を加え、
再度今年の6月にスポーツ基本法の法案として国会に提出。
来年、スポーツ振興法ができ、ちょうど50年目の節目の年、
1日でも早く成立させたい。

鈴木 : 遠藤さんとは、超党派のプロジェクトチーム時代から共に活動。
一番仲のいい超党派のメンバー。
民主党の主たる主張は、50年振りにスポーツに関する基本法を作る以上、
齋藤先生が理念を述べられたように、スポーツ権を盛り込むべき。

自民党はトップスポーツ、民主党は地域スポーツを重視していると

いわれるが、これは非常に不毛な議論。
トップを高めようとするなら、裾野を広げなければならない。
裾野を広げようとすれば、トップが活躍できなければならない。

私は15年前頃から、熟議の民主主義を研究のテーマに。
スポーツ政策こそ、国民の皆さんに熟議をしていただくのにふさわしい内容、
基本法ができるのが望ましいのでは。
私は、スポーツ立国戦略をまとめる中、大勢の皆さまと熟議をした。
今後さらにスポーツについての議論を、国民的に深めていただきたい。
文部科学省として、来年の通常国会でスポーツ基本法案を出せるよう、
しっかりと準備を進めている。

基本法ができるまでの過程も重要だが、できた後はもっと大切。
基本法に基づいて、基本計画を策定していくから。
基本計画において、地域に根差したスポーツ環境の拠点となる
総合型地域スポーツクラブを、全国300カ所くらい選定、
そこに引退後のトップアスリートに常駐し、
コーチング、クラブマネージメントをしていただきたいと考えている。
具体的な施策は、基本計画の中で一つひとつ位置付けながら実施。

縦横無尽の強化体制が、トップアスリートの強化に大事。
FIFAワールドカップ南アフリカ大会で、日本は大活躍し、第9位。
選手の心肺機能を高めるため、運動生理学の専門家が協力し、
標高差を乗り越えて十分戦えるようになったことが、要因の一つ。
専門や分野を越えた、縦、横、斜めの協力は、
基本計画においてはより具体的になっていく。

日本のスポーツ政策を、誰が担っていくのかをきちんと議論して
いかなければいけない。
中国や昔のソビエトのように、全部国が担うというのは、
日本ではなかなか難しい。
アメリカのように、民が全部担うパワーがあるかというと、それも難しい。

わが国では、企業が選手をサポートしている例も多いが、
経済状況の中、従来のようなサポートを継続していくのは難しい。
企業、政府、自治体、地域、学校の社会総ぐるみで
担っていく方向に進むべき。
ジュニアやユースといった層をどうするのか、
競技によって競技人口の比率が違うので、
それをどのようにしていくかという議論も深めていく必要。

http://www.ssf.or.jp/sfen/sports_policy/sports_policy1.html

2010年12月21日火曜日

フロンティア:世界を変える研究者/12 前近畿大水産研究所長・熊井英水さん

(毎日 11月30日)

◇試行錯誤のマグロ養殖--熊井英水さん(75)

「うちで生まれたマグロが産卵しました」
02年6月、出張先で受けた電話に、
「間違いないか?隣のいけすから、
タイの卵が流れてきたんじゃないな?」と何度も念を押した。
32年にわたる挑戦が実を結び、世界で初めて
クロマグロの完全養殖に成功した瞬間。

研究所が設立された48年当時、学会では、
「(養殖は)学問でなく技術だ」と批判。
「海を耕す」をモットーに、研究所はヒラメやタイなどの養殖を次々成功。
58年、就職した熊井さんの目は、自然と「海のダイヤ」クロマグロに向いた。

70年に研究が始動。
しかし、マグロの生態はなぞだらけだった。
ある漁師が、「(幼魚の)ヨコワはすぐ死ぬ」と警告したとおり、
ヨコワを1年以上生存させられるようになるまでに5年。
その幼魚が初めて産卵したのは、さらに4年後。
その卵がふ化して育ち、産卵する「完全養殖」を目指したが、
ふ化後47日で全滅した。

成熟を促すビタミンEを餌に混ぜたり、空気銃を使って
ホルモン注射も試してみたが、産卵は途絶えてしまった。
「来年こそ、と期待しては失敗の繰り返し」が続いた94年、
ようやく産卵が再開。
しかし今度は共食いを始め、いけすの網にぶつかって全滅した。

マグロは、水中の酸素を取り込むため、猛スピードで泳ぐ。
調べた結果、進むための尾びれより、ブレーキ役の胸びれや
腹びれの発達が遅いことが分かった。
沿道の車のライトが当たるだけで、パニックを起こして
網に激突することも判明。
「試行錯誤のおかげで、マグロの生態研究が進んだ。
ただでは転びません」

パニック防止に常夜灯を設置し、共食い防止のため、
体長別にいけすを分けるなど工夫した結果、
翌95年以降の卵は、ふ化して生殖能力を持つ大きさまで成長。
完全養殖に大きく前進した。

「近大マグロ」のブランドで04年から出荷し、
07年には養殖業者向けのヨコワ販売をスタート。
今では、全国の養殖用ヨコワの1割に当たる約4万匹を出荷。

海のない長野で育った。
高校2年の時、学校の部活動で三重県・答志島を訪れ、
プランクトンや甲殻類を観察した。
「すべてが珍しく、海に恋した」。これが原点だ。
研究所のマグロは、一匹一匹顔が分かる。
立場上試食する時以外、「愛着がありすぎて」口にしない。

日本の食卓に上るマグロをすべて養殖で賄うのも、
夢ではなくなりつつある。
卵から成魚に育つ確率はまだ0・5%だが、
「将来的に遺伝解析で問題ないと分かれば、自然放流もしたい」
と夢は広がる。
==============
◇くまい・ひでみ

1935年長野県生まれ。58年広島大水畜産学部卒。
91~08年、近畿大水産研究所長。現在は近畿大教授。
専門は水産増殖学。
国の「グローバルCOEプログラム」で、
「クロマグロ等の養殖科学の国際教育研究拠点」リーダーを務める。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/11/30/20101130ddm016040033000c.html

岩手っ子、依然ぽっちゃり傾向 11歳男子は全国1位

(岩手日報 12月10日)

文部科学省の2010年度学校保健統計調査で、
本県の子どもは依然肥満傾向であることが明らかに。

小学6年に当たる11歳男子は、肥満傾向児の出現率が
全国1位になるなど、ほぼ全ての年齢で全国平均を超えた。

車での送迎などによる運動不足が原因とみられ、
学校現場でも、スクールバスを途中下車させて歩かせるなど、
「脱ぽっちゃり」へさまざまな取り組みが進む。

調査は今年4~6月、県内の幼稚園児から高校生まで
1万2935人を抽出、発育状態を調べた。
特に顕著なのは、本県の肥満傾向児の出現率。
男子は、5~17歳まですべての年齢で、
女子も、13歳を除くすべての年齢で全国平均を上回る。

11歳男子の出現率は17・93%と、全国平均11・09%を
大きく上回り1位。
この年代の男子は10歳時は13・69%、9歳時は14・72%、
8歳時は15・17%と高めで推移。

小学校男子の出現率は、6歳以外全て全国4位以内に入り、
小学校女子も同2~5位と高い出現率が続いている。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101210_2

2010年12月20日月曜日

タイム・カプセルトーク2010~宇宙から見つめる私たちの地球~(その2止)

(毎日 12月14日)

◇はやぶさが運んだ玉手箱--
JAXAはやぶさプロジェクト・マネジャー、川口淳一郎さん特別講演

着陸、離陸に完全に成功したと思っていた直後、
探査機上部のエンジンからの燃料漏れが判明。
数日前には、うまく試料を採取できたと思っていたのに、
弾丸を発射した記録がないこともわかった。
探査機の燃料漏れは深刻化、はやぶさは消息を絶ってしまった。

一番恐れたのは、科学技術はリスクばかりで役に立たないと、
宇宙開発のみならず、科学技術全体の信頼を落としかねないこと。

◇「ゴールは地球」

ゴールは地球だ、というプロジェクトチームの信念はゆらぎなかった。
直ちに、はやぶさの救出運用を開始。
士気が下がらないよう、可能性のある方策を求め、
検討会を増やすなどアクションを出し続けた。

はやぶさに指令を送り続けて7週目、はやぶさからの電波を受信時、
担当者さえ「信じられない」思い。
昨年11月、イオンエンジンが寿命を迎え、これで終わりかと思った。
あと4カ月動いてくれれば、地球に帰れる。運命は残酷だと。
中和器とイオン源の連動運転を試みた結果、奇跡的に動き始めた。

06年の段階で、ロケット燃料は空になっていることがわかった。
カプセルを戻そうとすれば、はやぶさはそれを抱いたまま、
地球に突入する軌道に入り、カプセルを切り離した後、
ロケットエンジンを噴射して脱出する。
燃料がない以上、脱出できない。

打ち上げから7年、しつけをし続けた子どものような存在を
失うのは複雑な思い、
はやぶさのゴールはカプセルを地表に戻すことだと
気持ちを切り替え、運用を続けた。

◇驚異的な精度で

今年6月13日、はやぶさは身をていしてカプセルを守り、
自らは故郷の空に輝いて大気に戻っていった。
大気圏再突入から1時間後、ヘリコプターからカプセルを
確認できたとの情報。
発見場所は、予想地点から500m。驚異的な精度。

はやぶさが返してきたのは、
太陽系50億年のタイムカプセル「玉手箱」。

◇支えは高い目的意識

幾多の困難を切り抜ける努力を支えたのは、
ゴールは地球という高い目的意識の共有。
技術より根性。

幸運に助けられ、飛行を続けることができたが、
ハイリスクハイリターンの活動を締めくくるには、
運を実力に変えて定着させることが必要。
はやぶさの後継機で、この技術を定着させたい。
高い塔を建ててみなければ、新たな水平線は見えてこない。
一歩高いところを目指して背伸びをする。
若い人には、むちゃをしてでも挑戦し続けてほしい。
==============
◇取り出したこうじ菌で日本酒

元村 (2号機の)2000年の最初の開封では完璧な状態。
保存技術の素晴らしさについて、
開封を担当された大村さん、いかがですか?

大村 1号機は地下15m、2号機は9mのところに埋められている。
カプセルの中には29の容器があり、ビス留めされ、
それを開けるためのドライバーがセットされ、
5000年後の人たちへの気配りを感じた。
気圧や湿度を保つ技術など、当時の技術者の誇りと威信が
かかっているようで、感心しながら一つ一つ開けた。

元村 「はやぶさ」との共通点は?

川口 ターゲットマーカー(着地のための目印として、
イトカワに投下されたソフトボール大のアルミ球体)。
世界から集まった88万人の署名が記録。
誰も盗みには来ないが(笑い)。
しかも、半永久ではない。
地球に近づく小惑星は、地球にぶつかって運命を終える。
だいたい1億年後か。

人類は、地球を防衛するために小惑星へ向かう。
1億年とどまるタイムカプセル。
はやぶさが持ち帰ったカプセル本体の裏側には、紙が張ってある。
カプセル担当のグループが、自分たちの名前を張っていた。
私は、はやぶさが持ち帰って初めて知ったが、
これは7年ぶりに開封されたタイムカプセル。うらやましく思った。

元村 2000年に開封、再埋設した時の裏話は?

大村 入れられていたこうじ菌で、日本酒を作った。
マツも発芽し、松下電器の歴史館の前などで育っている。

八木 日本酒を入れたかったが、結局できず、作り方の文書を入れた。
偽札も入れた。
大阪府警からもらった本物(笑い)。
記者たちはブツブツ言いながらも、面白がって集めた。

元村 収納品を5000年後に見た人は、何を思うか?

吉田 2000年開封時、1970年生まれの学生たちにアンケート。
30年しかたっていないのに、分からないものがいくつかあった。
「国電」、「米穀通帳」、「平凡パンチ」。
考古学者の立場からもシミュレーションしてもらった。
最大の問題は、カプセルの内容と埋設場所の大阪城に関係がないこと。
考古学者は、(遺物が見つかった)場所によっていろいろ考えるから、
解釈が困難になる(笑い)。

◇「文明の転換点」をも伝える

元村 タイムカプセルを今作るとしたら、5000年後に向け何を入れるか?

川口 5000年後、天文現象で顕著なのは地軸の変動。
現在の星図など、記録すべきこと。

吉田 今の大阪の生活の縮図を作ってみたい。
私の目から見たミクロコスモス(小宇宙)を作り封入してみたい。

大村 土と水と空気を入れたい。
1970年にタイムカプセルを作った人は完璧だ、と次の開封の
100年後に伝え、「100年後もよろしくお願いします」と言いたい。

八木 この40年の経過で入れなきゃいけないのは、携帯電話。
環境問題の高まりは70年以降のこと、
(EXPO’70のタイムカプセルに)環境問題のデータが入っていない。

元村 はやぶさが持ち帰ったカプセルは、46億年前にできた
太陽系の記録を残した微粒子が入っていた点で、まさにタイムカプセル。

川口 おっしゃる通り。

元村 5000年後の宇宙、地球、人類はどうなっているか?

八木 5000年後の人がカプセルを開け、首をかしげる様子を
思うとおかしくて。
トイレットペーパーが、何の説明もなしに入っている。
ぐるぐるほどいてみても、何も書いてない。
京都市の職業別電話帳も入っている。
京都の職業が日本一多いだろうという理由。

大村 70年当時、生駒山から眺めたら大阪城は、スモッグで見えなかった。
70年は、環境問題の重要性に気づき、行動を起こし始めた年、
そして実を結びつつあった転換点だったと分かってもらえる。

吉田 我々は、文明の大きな転換点に立っている。
中心とされる側が、周縁とされる側を一方的に支配した時代は終わり、
双方向の接触と交錯が起こっている。
5000年後、2000年前後は、力学の転換点だったと見えるのでは。

川口 宇宙飛行を考える時、すぐ直面する壁が人間の寿命。
数百年、数千年先、人類は、信じられない領域の活動をしている。
5000年は、その時代(数百年後、数千年後)には
「長いスケール」と言っているのかどうか。

大阪万博のタイムカプセルの一つは、100年ごとに開封。
ある面、将来の人類を当てにせず、自己完結している。
将来を当てにしていいと考えるなら、ピラミッドで言えば
第何王朝というように、タイムカプセル第何王朝、
そういう連鎖的な活動が存在し得る。
5000年伝えるなら、100年ごとに作ってもせいぜい50個、
タイムカプセル50王朝。

元村 はやぶさのドラマを通し、夢を見ることは大切だな、
夢を見させてくれる何かがあるって幸せだな、と皆さん感じた。
タイムカプセルも、大きな夢を見せてくれる、
人類共通の財産として伝えたい。
==============
◇トーク参加者

毎日新聞客員編集委員・八木亜夫さん/
元松下テクノリサーチ取締役・大村卓一さん/
国立民族学博物館教授・吉田憲司さん/
宇宙航空研究開発機構教授・川口淳一郎さん/
毎日新聞科学環境部・元村有希子副部長
==============
◇ネットでも反響

イベントは、インターネット「ユーストリーム」で生中継、
1万1791人が視聴。
視聴を中断、再視聴した人を含めると2万679人、
延べ視聴時間は1865時間、高い関心を集めた。
視聴者からの反響は、イベント進行とともにツイッターで寄せられた。
「日本がものづくりにいちずに取り組み、輝いていた時代」、
「タイムマシンがあったら、当時に行ってみたい」、
「(はやぶさは)諦めず、可能性にかける姿勢がすごい!」、
中継終了までに約900件。
==============
◇伊藤芳明・毎日新聞社常務取締役大阪本社代表

記録ビデオを見て、改めてすごいプロジェクトだと感心。
5000年という時間軸でとらえたこと。
文明発祥が5000年前、5000年後なら今が、人類文明史のまん中にあたり、
どんな技術があったかを記録する貴重な資料に。

我々は小粒になっていないか?
5000年という夢のある発想を、次の世代に伝えていきたい。

◇大澤英俊・パナソニック株式会社役員、コーポレートコミュニケーション本部長

「タイム・カプセルEXPO’70」は、当社の創業50周年(68年)記念事業の
一つとして実施。
人類がどのような文化を創造し、未来への理想を掲げ、
生活していたか、5000年後へ残すという夢のあるプロジェクト。
創業者、松下幸之助も、著作の中で熱い思いを書いている。
タイムカプセルへの理解を深め、サポーターとして温かく
見守っていただきたい。
==============
◇やぎ・つぎお

1934年、大阪府出身。同志社大卒。
毎日新聞大阪本社学芸部長、編集局次長などを歴任。
万博取材班キャップ、タイムカプセルにも企画段階から携わった。
==============
◇おおむら・たくいち

1945年、広島県出身。70年、広島大大学院(応用化学専攻)修了、
松下電器産業入社。2000年、1回目のタイムカプセル開封・点検を指揮。
==============
◇よしだ・けんじ

1955年、京都府出身。京大文学部卒、阪大大学院修了。
国立民族学博物館教授、総合研究大学院大学教授。
文化人類学、博物館人類学専攻。
==============
◇かわぐち・じゅんいちろう

1955年、青森県出身。京大工学部卒、83年東大大学院修了、
旧文部省宇宙科学研究所へ。
JAXA教授、はやぶさプロジェクト・マネジャー。
==============
◇もとむら・ゆきこ

1966年、福岡県出身。九州大卒。
ノーベル賞や科学技術政策などを取材。
連載「理系白書」報道で、06年日本科学ジャーナリスト大賞受賞。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/12/14/20101214ddm010040071000c.html

三陸地質の魅力確認 宮古地域でセミナー・見学会

(岩手日報 12月9日)  

いわて三陸地質・地形セミナー&現地見学会
(県、浄土ケ浜ビジターセンター主催)が行われた。

参加者は、岩泉町のモシリュウ化石発掘現場や
洋上から田野畑村の断崖の地層を見学し、
地球が刻んだダイナミックな歴史を学んだ。
本県沿岸地域の地質資源を生かした
「ジオパーク」(地質遺産)認定に向け、弾みをつけた。

現地見学会には、宮古市などから13人が参加。
北上山地(北上高地)を中心とする古生代から中生代の研究、
古生物のアンモナイトとオウムガイ研究で、
国内第一人者の永広昌之東北大名誉教授が現地で解説を行った。

岩泉町小本では、約1億1千万年前の地層から、
国内で初めて発見された白亜紀の恐竜「モシリュウ」の
化石発掘現場や小本層植物化石産地を見学。

1億2千万から1億3千万年ほど前の植物化石産地で、
参加者が現場の石を手に取り、シダ類とみられる植物の化石を見つけた。
地元の小本中の生徒も、見学に加わった。

田野畑村では、サッパ船に乗り込み、ハイペ・コイコロベ化石産地などを
洋上から観察し、海岸段丘の成り立ちを学んだ。

県は、いわて三陸ジオパーク研究会を立ち上げるなど、
「世界ジオパーク」認定も視野に、地質資源の活用を摸索。
セミナーと見学会は初めての開催、宮古市の浄土ケ浜ビジターセンターで
セミナーが行われた。

同研究会委員も務める永広名誉教授は、
宮古-田野畑間の地質資源について、
「白亜紀前期の地質の激しい構造運動が見られる地域」とし、
本県沿岸の地質資源については、
「日本列島の中でも、特に古い地層も見られ、国内で一番大切な地域」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101209_9

2010年12月19日日曜日

総合学習を生かす(15)テーマ 地域に必ずある

(読売 12月15日)

今回、効果的な総合学習を行っている全国各地の実践を報告。
探究的な学びの場として、より良い総合学習を進めていくには
どうしたらよいか?
日本生活科・総合的学習教育学会の嶋野道弘会長
(文教大学教育学部教授)に話を聞いた。

――総合学習の授業を視察して感じることは何か?

「総合学習についての認識は、学校間でかなりの温度差がある。
受け身ではなく、探究的な学習などを通して、主体的に考えさせる
授業を行って、学力を向上させた学校もある一方、
いまだに知識を覚えさせることだけに力を注ぐ学校もある」

「総合学習は、知識を活用して問題を解決する思考力や判断力、
表現力など、生きていく上で必要な能力を育成する場。
各学校には、万難を排して取り組む姿勢が必要。
体験や調べ学習をして発表する、といった形だけの学びになっていないか、
教師たちはもう一度、総合学習の意義を見つめ直してほしい」

――総合学習で身に着く能力は見えにくい。

「子どもをよく見てほしい。『人間力』が高まっている。
人ごとではなく、自分のこととして社会を考える厚みのある人間に育っている。
小学生であっても、さびれた地域を活性化するにはどうしたらいいか、
自分たちにできることは何かなど、
様々な情報や知識を得て意見を言い、行動する」

――とはいえ、学習テーマに悩む学校も多い。

「総合学習を通して、どんな子どもを育てたいか。
学校や教師側に、その目標が定まっていれば、テーマは地域に必ずあり、
知識を詰め込むだけの学習にもならないはずだ。
東京都墨田区のある小学校では、『伝統』というテーマで
地域の花火大会を調べた。
戦争などで過去に2度中断され、復活されたと分かった。
子どもたちは、伝統とは『単に昔からあるものではなく、
なくなりそうになりながらも今に続くもの』と新たに考えた。
裏で支える地域の人々の存在も知り、
『伝統をなくさない人になりたい』と、自己の生き方につながる学びになった」

――教師に必要な視点は何か?

「算数のテストの答えは一つかもしれないが、
世の中には答えが一つでない問題が多い。
『なぜ働かなければならないのか』、『なぜ学ぶのか』など、
一人一人の答えがあっていい。
総合学習では、子ども同士で様々な角度から考え、
課題にぶつかって再び考える、という繰り返し。
その中で考える力が養われ、自ら学び続ける人にもなれる。
子どもが、自分なりの答えを出した過程も大切にして、
学びを深める努力をしてほしい」

◇しまの・みちひろ

専門は総合学習教育。公立小学校教諭、
文部科学省主任視学官などを経て、現在は文教大学教授。64歳。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101215-OYT8T00190.htm

魅力向上へ農家が知恵 花巻のグリーンツーリズム

(岩手日報 12月9日)

花巻市のグリーンツーリズム受け入れ農家を対象とした研修会
(はなまきグリーン・ツーリズム推進協議会など主催)は、
湯本のホテルで開かれた。
同市の受け入れ実績は近年、他地域との競合を背景に減少傾向。
受け入れ農家の意欲は高く、地域活性化にもつながる取り組みだけに、
花巻の魅力、特色の発信が課題。

同協議会は市や県、農協、観光協会、受け入れ農家の会の
代表者らで組織。
研修会は年1回で、今回は農業者約30人を含む約50人が参加、
意見交換や衛生講習会に励んだ。

同市のグリーンツーリズムは、全国の小・中・高校生が教育旅行として
農山村生活を体験するのがメーン。
本年度の教育旅行は、市内農家延べ466戸が、
日帰りと宿泊付きを合わせ、児童生徒計1976人を受け入れた。

学校の所在地域は、北は北海道から南は大阪府に及んだ。
教育旅行は近年、受け入れ要請が減っており、
本年度の受け入れ者数は、ピークだった2007年度(3034人)に比べ、
1千人超の減。
特に、宿泊付きが減っている。

受け入れ数減少の背景には、県内外の他都市や沿岸部との競合や
高齢化、介護などによる受け入れ農家の確保難が挙げられる。

同日の意見交換は、参加者から「別れるときは、
子どもたちが涙を流してくれ、やって良かったと感じる」、
「農産物を一生懸命に作っていることが伝わると、
嫌いなものでも食べてくれる」など、
充実した交流の様子が数多く報告。

同協議会長の菊池俊雄花巻農協生活福祉部長は、
「花巻の農業、観光、文化をマッチングし、
地域そのものをPRしていく必要がある」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101209_11

2010年12月18日土曜日

タイム・カプセルトーク2010~宇宙から見つめる私たちの地球~(その1)

(毎日 12月14日)

◇EXPO’70のロマン 5000年後への贈り物

1970年、日本万国博覧会(大阪万博)に合わせ、
毎日新聞社とパナソニック(旧松下電器産業)が、
「タイム・カプセルEXPO’70」を企画・製作し、
大阪城公園に埋設してから40年。

その記念事業「タイム・カプセルトーク2010~宇宙から見つめる
私たちの地球~」が、松下IMPホールで開かれた。
トークでは、事業に携わった主役たちが尽きない夢とロマンを語り合った。

特別講演講師の川口淳一郎・宇宙航空研究開発機構(JAXA)教授は、
偉業となった小惑星探査機「はやぶさ」プロジェクトの
苦難の足跡をユーモアたっぷりに語り、会場を沸かせた。
カプセルの次回開封は2100年で、最終開封は6970年。

◇2098点を収納、大阪城公園に埋設

大阪万博当時の記録ビデオ
「5000年に挑むタイム・カプセルEXPO’70」が上映。
71年、大阪城公園に埋設されたカプセルは、
同じものを収納した1、2号機からなる。
内径1m、50万立方センチ容量の特殊ステンレス製。

1号機は5000年保管、2号機は2000年と以後100年ごとに開封。
「技術委員会」に日本を代表する23人の学者、
「選定委員会」には自然科学、社会、芸術分野の学者、
専門家27人が選ばれた。
36カ国632人の有識者アンケート、国内から12万件の提案を受け、
収納品は2098点に絞り込まれた。

ビデオは、いずみたくさんの力強い音楽で進み、
小林清志さんのナレーションでこう結ばれた。
「世界平和の永遠なることを願い、未来に旅立って行きました」
==============
◇太陽の塔、月の石、最初の人工衛星……

元村 1970年の大阪万博の開催当時、何をしていたか?

川口 中学3年生だった。万博には行ってないが、
印象に一番強く残ったのは、岡本太郎さんの太陽の塔と月の石。
69年、アポロの月着陸の実況中継を見た翌年で、
「これがアメリカだ」という時代。
70年が印象深いのは、日本の最初の人工衛星がやっと飛んだこと。

元村 当時から宇宙に関心を?

川口 関心はずっと持っていたが、78年に大学院に進むとき、
初めて宇宙をさわってみようと思った。
81年、最初のスペースシャトルが飛ぶと予告され、
ロケットが消えると言われていた。
日本の宇宙開発は、とんでもなく遅れていたが、
研究するなら最後のチャンスだと思った。

吉田 私も中学3年生。ボーイスカウトに入り、
(万博会場内の)お祭り広場で、手旗信号ショーに出演。
会場の跡地にできた国立民族学博物館(民博)で働いているのは、
不思議な縁。
私の研究のベースは、文化人類学。
アフリカで30年来フィールドワークをしてきて、
アフリカの古い資料を見ておきたいと、
90年にロンドンの大英博物館に客員研究員で行った。
圧倒的な収蔵物を見て、「人間はどうして物を集めるんだろう」という
素朴な疑問がわき、博物館学を研究するようになった。

元村 吉田さんは、国際タイムカプセル学会のメンバー。

吉田 大英博物館で、ブライアン・ダランズという、
当時、民族誌部門の副部長が、タイムカプセルの研究をしていると。
「けったいなやっちゃなー」と思ったが、タイムカプセルは未来の観客を
想定した博物館。
学会は、私が5人目の会員。
その学会を基盤に、タイム・カプセルEXPO’70の2号機を開封した
2000年に国際シンポジウムを民博で開いた。
タイムカプセルをテーマにした唯一の国際シンポ。

大村 大学を卒業して会社に入った年。
35年間、ずっと(部品や装置の)分析をやった。
当時、半導体が脚光を浴び、カラーテレビがIC化された頃。
エアコン(クーラー)が世の中に出始め、それから自動車。
「3C」と言われた時代。
分析も、いろんな面で役に立った。

八木 万博の取材班キャップで、1年半ほど前に担当に。
タイムカプセルも(デスクに)、「早く取材して書け」と言われたけど、
「(開封は)5000年後って、ふざけたことを言うな」と(笑い)。
ぶつぶつ言いながら通ううちに、のめりこんで愛着が。
カプセルはお釜みたいな形で、仲間内では「釜」と呼んでいた。
「きょうは、あんたどこへ行くんや」と聞かれ、
「釜の委員会や」(笑い)。
実行委員の最末端に名前を連ね、36歳で一番若い委員。

元村 各国の著名人へのアンケートと、公募で集まった12万点もの
候補の中から、どうやって2098点の収納品を選んだのか?

八木 選定委員会を作って、自然科学、社会、芸術の三つの委員会に
分かれて、そりゃ大変だった。
一番印象に残っているのは、「人間の精子を入れろ」と。
それを検討する委員会で、茅(誠司・当時の日本学術振興会会長)先生は
「俺は自信ない」と(笑い)。
ふと顔を上げたら、みんながぼくの顔を見てる。
「あれが一番若い」言うて。
でも、膨大な装置が必要だということになって、ぱあになった。

元村 埋設場所が決まるまでに、議論があったのか?

八木 最初は、宇宙空間に飛び出せとか。
当時は開発ブームで、変なところに埋めたら掘り返されてしまうと。
(歴史家の)奈良本辰也先生がおっしゃったのが、
「史跡が一番いい」と。
それで大阪城公園がええじゃないかとなった。
大阪市経済局が管理していて、交渉は難儀した。

元村 この事業にいくらかかったのか?
ずっと秘密だったらしいが、八木さんだったら教えてくれるかなと。

八木 松下電器さんははっきり言わない。
半分冗談で換算してみると、今の貨幣価値で50億円くらい。
今作るとしたら、とても蓮舫さんは承知してくれませんわな(笑い)。

元村 究極のメセナ(企業の芸術文化支援活動)。
EXPO’70の後、タイムカプセルのブームが起きたと聞くが。

吉田 小学校の卒業式で埋めたものまで含めると、
日本は世界最大のタイムカプセル大国(笑い)。

元村 外国では、タイムカプセルはメジャーではないのか?

吉田 タイムカプセルという言葉は、1938年から39年にかけて
開かれたニューヨーク万博で初めて登場。
総合電機会社のウェスティングハウス社が、タイムカプセルと名づけ、
開封時期は6938年を想定、地下に埋めたのが始まり。

これには先行モデルがあった。
1936年、実質的に世界で最初のタイムカプセルと言われるのが、
米国アトランタのオグルトープ大学に設けられた「文明の地下室」。
当時、大学の理事だったソンウェル・ジェイコブズの発案、
25mプールぐらいの大きさ。
マイクロフィルム化された資料やニュース映画、ドナルドダックの人形
などが納められ、8113年まで開封されないことに。
エジプト暦ができたとされるBC4241年から、
地下室を設けるまでの6177年と、同じ年数が経過した時点として算出。

ジェイコブズが発想したのは、関東大震災が契機。
直後、ウェスティングハウス社がカプセルを作った。
背景には、関東大震災と、第一次世界大戦を経験し、
世界全体の破滅への予感というものが具体的に感じられた。

70年万博のタイムカプセルのすごいところは、
保存技術と開封のシステム。
カプセルが二つあり、一つは100年ごとに開ける。
100年なら何とか、埋まっていることも記憶されているだろうと。
今もって、最も遠い未来まで実際に保存できる可能性を持った
唯一のタイムカプセル、タイムカプセル史に残る金字塔だ。
=============
◇背伸びしてつかんだ夢
--JAXAはやぶさプロジェクト・マネジャー、川口淳一郎さん特別講演

はやぶさについて11月16日、イトカワ起源の1500個の微粒子を
発見したと発表。
アルミニウム粒子と一緒に見つかったかんらん石や輝石が、
イトカワ起源の地球外物質と確認された。
太陽系や地球の起源を解く手がかりになる、画期的な成果。

はやぶさは03年に打ち上げられ、05年9月イトカワに着いた。
滞在の間に5回、表面に向け高度を下げ、最後の2回は着陸し、
試料採取を試みた。
07年6月、帰還予定だが、燃料漏れが起き、3年間延期した。

目指したのは、目的地から試料を持ち帰る
「サンプルリターン」技術の実証。
サンプルリターンには、(1)イオンエンジン、(2)ロボット機能、
(3)試料の採取方法、(4)カプセルの技術、(5)スイングバイ
(地球の重力で軌道の方向を変える技術)の5大技術要素。

はやぶさ本体の下には、試料を採取するための筒が付いて、
弾丸を撃ち、跳ね返ってきた破片を受け止める仕組み。
採取できれば、兵庫県の「スプリング8(大型放射光施設)」など、
大掛かりな装置で分析でき、保管しておけば、
50年後に最新技術で再分析できる。
そのために必要なのが5大要素。

小惑星サンプルリターン計画は、25年前から目指していた。
わが国初の人工衛星が上がった70年に開かれた大阪万博の目玉は、
前年にアポロが採取した月の石、すごいギャップ。
NASAは、われわれの数十倍の予算規模で、
何万人というスタッフがいる。
オリジナリティーを発揮するには、NASAもためらうような計画でないと。
はやぶさ計画も当初は、はったりだった。

イトカワ着陸のため、最終的に必要とした精度は、1cm毎秒。
アリの歩くような速さを、3億kmかなたで制御する必要。
表面は凸凹が激しく、着陸できる場所はわずか。
少しの誤差も許されない。
最初の3回は、誘導制御に失敗、タイムリミットまで1週間に迫ったとき、
思いもよらぬ方法を取った。

それまで、完全自動化した計算機処理で、高精度な計算を目指していた。
その処理に、あえて人間を入れたことが劇的な成果を生んだ。
人間のある種特別な能力が、爆発的な高速化につながった。
経験や所属を問わず、良い意見を直ちに評価にかけたことが功を奏した。
==============
◇はやぶさ

軽自動車の半分程度の大きさで、画像などを使った自律航行と
小惑星への接近・着陸、ほとんど重力のない環境での試料採取、
カプセルを大気圏に突入させての回収など、人類初の技術を多数実証。

◇イトカワ

地球と火星の間の軌道を回る、最大直径約540mの小惑星。
米国の研究所が1998年に発見、はやぶさ打ち上げ後、
日本のロケットの父、故糸川英夫博士にちなみ名付けられた。
重力は地球の10万分の1程度、12時間周期で自転。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/12/14/20101214ddm010040187000c.html

教員の時間外勤務、実態把握へ 県教委が来年度から

(岩手日報 12月7日)

県教委は来年度から、市町村教委の協力を得て、
公立小、中、高校の教員の時間外勤務の実態把握に乗り出す。
全教員を対象に、時間外勤務記録簿の記入を求めて集計し、
県教委が分析する。
教員の多忙化が問題視される中、時間外勤務は年々増加。
実態を明らかにし、多忙化解消や各職場での仕事の効率化、
精神疾患の原因解明などを目指す。

県教委が、県議会商工文教委員会で示した。
時間外勤務記録簿の記入は、職場のパソコンを使用する予定。
各教員が授業準備や学校行事、保護者対応などの業務分類と
超過時間を記入し、一人一人の結果を1カ月ごとに集計する仕組み。

県教委は、結果をまとめて教員の勤務実態を把握。
時間外勤務の内容や地区ごとの傾向などを詳しく分析する。
多忙化の解消に加え、増加傾向にある精神疾患の
原因解明にもつなげる考え。

岩教組(豊巻浩也委員長)が、2010年9月上旬に行った
勤務実態調査(小中58校を抽出)によると、1週間当たりの
時間外労働(時間外勤務と持ち帰り仕事)は、
小学校が14時間32分、中学校は20時間3分。
いずれも昨年度より増加、多忙化の実態が明らかになった。

時間外労働で行った業務で多いのは、
▽授業の準備
▽校務の担当
▽部活動指導―など。

現場からは、「多忙化に拍車が掛かっている」、
「退勤時間は名ばかりで、その時間に帰れることはない」などの声。

県教委は毎年度、小、中学校抽出による時間外勤務を調査、
高校を含めて取り組むのは初の試み。
県教委教職員課の及川伸一総括課長は、
「多忙化の解消、業務の改善につながるように、
現場の先生たちと一緒に努力していきたい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101207_4

2010年12月17日金曜日

スポーツ政策を考える:広畑成志・日本共産党スポーツ委員会責任者

(毎日 12月11日)

日本共産党は、「国民が主人公」となる社会の実現を目指す中、
スポーツを国民の権利と位置づけている。

スポーツは、国民が保障されるべき活動であり、
国づくりにスポーツは欠かせない。
今後、スポーツ団体と関係者および政府、他党との討論や
意見交流を通して、人間の諸能力の開花を促すスポーツの
多面的な発展につながるような政策の形成にかかわっていきたい。

文部科学省のスポーツ立国戦略は、
「スポーツを通じて、幸福で豊かな生活を実現することは、
全ての人々に保障されるべき権利の一つ」としている。

スポーツすることを、初めて権利として認めた文言で、
国際的な水準の方向に一歩踏み出したものと言える。

しかし、スポーツの権利は、国民の自由な活動を確保するため、
基本的人権を構成する思想信条の自由と結社・表現・集会などの
自由を包み込んだものであるにもかかわらず、
今回の立国戦略では、自己展開を含めて不十分で、
まだ据わりきっていない。

自由で自主的な活動であるスポーツを擁護し、どう発展させていくか?
そのために政治は何をなすべきか?
モスクワ五輪ボイコット時のような政治的介入ではなく、
スポーツ施設の拡充、充実、指導者の配置、競技者の活動保障などの
環境整備を財政的に支援するのが政治の役割であり、責任でもある。

長引く経済不況の中、雇用が不安定になって余暇時間が削られている。
経済格差も進んで、スポーツをしたいけどできないという問題が生じている。
スポーツを楽しめる自由な時間を国民が確保でき、
社会的サービスとして国民が無理なく適切な費用で楽しめるような条件を
整備していくことが非常に大事だ。

文科省の来年度のスポーツ関連予算の概算要求は、約238億円。

今年度より10億円ほど多いが、それでも先進国の中では極めて少なく、
スポーツ立国戦略を公表した直後の予算としても、さみしい金額だ。
これでは、スポーツに対する低い位置づけや貧しい枠組みを
変えることは難しい。
そこから脱し、社会のニーズに見合った予算を獲得することが
求められている。

広州アジア大会を視察した。
卓球の福原愛選手は、インタビューに中国語で答え、
地元ファンに笑顔で手を振っていた。
他の国の人たちと自然体で交流している姿を見て、ステキだと感じた。
彼女が、国際的な大会で力を発揮できるのは、
インターナショナルなセンスがあるから。

そういうセンスを育んでいけば、対戦相手をメダル争いの敵ではなく、
ライバルとして尊重する発想が生まれてくるのではないか。
そんな点も、21世紀のスポーツマン像を論じ合ううえで必要になる。
==============
◇ひろはた・せいじ

1944年生まれ。東京教育大卒。日体大大学院修了。
大学講師などを経て、スポーツ研究者として活動。
著書に「終戦のラストゲーム」。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/12/11/20101211dde035070033000c.html

水ビジネスの海外展開目指す『ウォータープラザ』完成

(サイエンスポータル 2010年12月15日)

世界の水・エネルギー問題の解決と水ビジネスの海外展開を目指す
国内初の「ウォータープラザ」が北九州市に完成。

ウォータープラザを建設したのは、
新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託を受けた
「海外水循環ソリューション技術研究組合」
(日立プラントテクノロジーと東レが3月に設立)。

施設は、国内最大規模の海水淡水化と下水再利用の機能を持ち、
省エネ・低環境負荷・低コスト型造水システムの運営実証を行う
「デモプラント」と、多様な水処理機器を試験できる「テストベッド」から成る。

日本は、東京都水道局が3.3%という世界一低い漏水率を
達成しているように、優れた水システムを持つ。
排水処理に必要な膜技術でも世界をリードし、
都市の水再利用が盛んだ。

「ウォータープラザ」は、自治体、国、企業が連携し、
総合的な水処理技術に関する運営ノウハウを蓄積、研究開発する
モデルケースになる、と新エネルギー・産業技術総合開発機構は期待。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1012/1012151.html

新生児対応で学会最高賞 県立大船渡病院

(岩手日報 12月7日)

大船渡市の県立大船渡病院(八島良幸院長)の小児科チームは、
作成困難とされる新生児のクリニカルパス(診療計画表)を
導入して、成果を挙げている。

同パスは、治療や検査、看護などの内容やスケジュールの一覧表で、
患者の理解を助ける。
新生児の状況に応じた細かい組み合わせパターンを構築し、
全国学会で最優秀賞を受けた。
赤ちゃんの命を守るシステムとして、全国への波及が期待。

「クリニカルパス」は、患者用と医療スタッフ用があり、
入院指導や検査、退院指導などをスケジュール表のようにまとめたもの。
▽医師によって対応が異ならない「医療の標準化」、
▽過剰診療や医療過誤を防ぐ「業務効率化」、
▽患者への説明の充実―などの
効果があるとして、全国的に導入が進む。

小児科、特に新生児の同パス作成は困難とされてきた。
パスは、入院から退院までを一覧表にした形が一般的。
新生児は、出生時の体重や状況が異なり、さまざまな病状があるため、
一括作成が難しく、諦める場合が多かった。

「行き当たりばったり」な診療は、現場や患者が負担を強いられる。
同病院小児科は、2008年3月から一括ではなく、
状況に応じて、細かく短期間のパスを組み合わせる方法を導入。

まず、出生後4時間で、「保育器に入る場合」、「新生児室に入る場合」
などに分類。
過程をチャート表にし、状況や段階ごとに必要なケア、
投薬方法を設定したパスを作成。

2年間で1297例を対象に実践。
適切な治療方針の構築や過剰診療防止、業務効率向上が図られ、
「マニュアル」的な機能を十分に果たした。

成果は、第11回日本クリニカルパス学会で発表。
全国524件から、最高賞の最優秀賞に輝いた。
同様の取り組みは、これまで発表されていない。

大津修小児科長は、「新生児にも、ある程度の共通項があり、
作成できない訳はないと取り組んだ。
全国で参考にしてもらい、より良いものに発展できればいい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101207_13

アクチン繊維 生成の仕組み解明 世界初、千葉大・遠藤教授の研究班

(2010年12月10日 毎日新聞社)

筋肉の収縮運動に必要な「アクチン繊維」が、
細胞内で作られる仕組みを、千葉大大学院理学研究科の
遠藤剛教授(55)の研究グループが、世界で初めて解明。
10日、米科学誌「サイエンス」に掲載。

研究結果は、遺伝子異常による筋疾患や、心肥大、心筋症の
画期的な治療法の糸口になる可能性があるとして注目。

アクチンは、「ネブリン」という1umの直線状のたんぱく質に沿って作られる。
遠藤教授らは、このネブリンの端に特定のたんぱく質が結合するのを
きっかけに、長さの同じアクチンが作られ始めることを実験で突き止めた。

筋肉の収縮は、手足を動かすとともに、呼吸や心臓の動きを担っており、
生命維持に直接かかわる。
アクチンができる仕組みは、筋肉の再生や筋肉が大きくなることにも
必要であることが研究で分かった。

5万人に1人の割合で起こる筋疾患「ネマリンミオパチー」は、
重症だと呼吸障害や嚥下障害で、1歳未満で死亡してしまう。
遠藤教授によると、ネブリンを作る遺伝子の異常で起こる場合が多く、
ネブリンが不完全なためアクチン繊維も不ぞろいになり、
筋肉の収縮がうまく起こらない可能性がある。

遠藤教授は、「今後、同じような仕組みが心筋でも働くか実験し、
心肥大につながるかを調べたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/10/129633/

2010年12月16日木曜日

鳥類の新たな遺伝資源保存・復元法開発

(サイエンスポータル 2010年12月14日)

地鶏や絶滅の恐れがある貴重な鳥類の効率的な保存・復元を
可能にするユニークな方法を、農業・食品産業技術総合研究機構
畜産草地研究所と信州大学農学部の研究チームが開発。

貴重な胚を使い捨てにすることなく、始原生殖細胞だけを取り出し、
凍結保存できるのが、最大の特長。
岐阜地鶏の胚から取り出した始原生殖細胞を、
実際に代理親である白色レグホンの胚に移植し、
岐阜地鶏を復元することに成功。

この方法は、鶏以外の家禽や、絶滅危惧種などの希少鳥類へ
応用することが可能で、新たな遺伝資源の保存法として
生物多様性の維持に貢献することが期待できる。

始原生殖細胞は、精子あるいは卵子の元になる細胞。
胚発生の極めて初期にのみ存在する。
研究チームは、始原生殖細胞が発生の一時期に血流中を循環する、
という鳥類に特徴的な性質に着目し、
ふ卵中の受精卵を割って、発生中の胚を取り出す従来の方法に
よらない貴重な遺伝資源の保存・復元法を実現。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1012/1012141.html

中1虫歯、最少の1・29本 26年前の3割以下に

(2010年12月10日 共同通信社)

中学1年生(12歳)1人当たりの永久歯の虫歯本数は、
処置済みを含め、前年度より0・11本減の平均1・29本で、
過去最少を更新したことが、
文部科学省の2010年度学校保健統計調査(速報値)で分かった。

中1のみを対象とする本数調査を始めた1984年度(4・75本)の
3割以下の値。
本数は、90年度を除き減り続け、文科省は
「学校歯科医による歯磨き指導などの効果ではないか」

虫歯がある子どもの割合の推移を、80年度と今回で比較すると、
幼稚園は87%から46%、小学生が94%から60%、
中学生が94%から51%、高校生が96%から60%にそれぞれ減少。

年齢別では、8歳と9歳が最多で66%、17歳64%、7歳61%、
10歳と16歳60%、15歳56%などの順。

今年4~6月、幼稚園児と小中高校生の計約340万人を対象に調査。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/10/129612/

リハビリ機能集約求める 県立療育センター移転計画

(岩手日報 12月5日)

盛岡市の県立療育センターの移転・新築をめぐって、
障害者団体などから、いわてリハビリテーションセンター(雫石町)の
機能を集約した総合リハビリセンターとしての整備を
求める声が上がっている。

県は財政難から、現時点でリハビリセンターの移転までは
難しいとの考えだが、本年度内に有識者懇談会を立ち上げ、
本県の総合リハビリ体制の在り方を検討。
財政面と折り合いをつけながら、利用者ニーズに合った支援体制を
どう構築できるのか?

県立療育センターは、病院や学校を併設した肢体不自由児の
入所・通所施設と、障害者の生活や身体機能の訓練、
就労支援を行う自立支援施設などがある。

施設は、築50年以上経過し、老朽化している部分もあり、
県は、▽盛岡市の旧盛岡短大跡地、
▽矢巾町の岩手医大付属病院移転予定地付近―
などを候補地として移転・新築する計画。

新たな療育センターは、超重症心身障害児の入所施設を整備するなど、
障害児療育の拠点として機能を強化。
整備費は、数十億円と見込まれる。

障害者団体などからは、移転を機に、療育センターとリハビリセンターの
機能を集約させ、医療と訓練相談、自立支援までを1カ所で行う
「総合リハビリテーションセンター」としての整備を求める声。

事故や病気で障害を負った人の中には、社会復帰を望む人も多い。
現在、専門施設が盛岡と雫石に分散しているため、
社会復帰まで継続してサポートする体制が課題。

もりおか障害者自立支援プラザの大信田康統所長は、
「訓練後から社会復帰に至るまでの支援が途切れ、
在宅にならざるを得ない人もいる。
治療から社会復帰まで、一貫した流れをつくるための施設が必要」

県は、厳しい財政状況も踏まえて、療育センターの移転に合わせた
リハビリセンターの移転・集約は難しいとの姿勢。
医師や障害者団体の関係者らで構成する有識者懇談会を設立し、
療育センターとリハビリセンター、県福祉総合相談センター(盛岡市)の
連携などを検討。

県保健福祉部の千葉茂樹部長は、
「本県の総合リハビリ体制については今後、議論を進める。
まずは、ソフト面の連携を強化し、機能を充実させたい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101205_7

減塩メニュー広めよう 新潟県やニューヨーク市、英国で先進的な活動

(2010年12月9日 毎日新聞社)

日本人の塩分摂取量は、依然として多い。
過剰摂取は高血圧を招き脳卒中、心筋梗塞、胃がんなどの
原因となるため、減塩メニューの普及に乗り出す自治体も現れた。
海外では、食品メーカーや外食産業の取り組みも始まっている。

荒川規矩男・日本高血圧協会理事長(福岡大名誉教授)によると、
高血圧になる人は、食塩の摂取が少ない民族ほど少なく、
塩を使った加工食品をたくさん食べる文明国に多い。
日本では、群馬県や秋田県に多い。

日本人の成人の1日あたりの塩分平均摂取量は約11g(08年)。
厚生労働省は、「男性9g未満、女性7・5g未満」を推奨、
日本高血圧学会は、さらに少ない「6g未満」を提唱。
荒川さんは、「減塩食を広めれば、高血圧は確実に少なくなる」

新潟県は、昨年度から「にいがた減塩ルネサンス」を始めた。
県民の塩分摂取量は、全国平均よりやや高い11・5g。
塩分摂取と関係する胃がんの死亡率は、全国でワースト4位、
脳卒中死亡率もワースト7位。

汚名返上を狙って、「食塩1日1g減」を目標に、
モデル企業と保健所が連携した社員食堂の減塩メニュー開発や、
家庭・レストランでの減塩料理の普及に取り組んでいる。
プロ、アマを問わず参加できる減塩料理コンクールを開いており、
その入賞作品をまとめた「受賞作品レシピブック」は好評。

昨年のコンクールで優秀賞を受賞した「かづや食堂」(十日町市)の
「焼き野菜と白身魚の甘酢ジュレ」は、
同店の定食メニュー(750円)として人気。
考案した経営者の根津勝治さん(70)は、
「濃いめのだし汁と甘酢を使い、食塩の使用を0・9gに抑えた」

モデル企業の一つ、東京電力柏崎刈羽原子力発電所では、
社員食堂のみそ汁の食塩を、1杯1・5gから1gに減らしている。
カロリーの少ない野菜たっぷりの減塩ヘルシーメニューも開発し、
メタボリック症候群になりそうな肥満気味の男性20人に、
半年間毎昼食べてもらったところ、7人が体重を減らすことに成功。

同社の取り組みに協力する柏崎保健所管理栄養士の
鈴木一恵さんは、「ダイエットに成功した人たちは、減塩をきっかけに
1日1万歩以上歩くなど、健康への意識が高まったようだ」

社員食堂や家庭で、塩分を減らすだけでは十分とはいえない。
血圧に詳しい木村玄次郎・名古屋市立大大学院教授によると、
日本人が1日に取る塩分の約8割は、加工食品や外食が占める。
「加工食品の塩分を1割減らしても、味覚に影響することはほとんどない。
食品企業や外食産業が、足並みをそろえて減塩に取り組めば、
大きな成果が期待できる」

海外では、先進的な減塩活動が進んできた。

ニューヨーク市は今年1月、市民の塩分摂取量を、
今後5年間で2割減らす活動を始めた。
レストランに協力を呼びかけ、メニューに含まれる塩分を、
5年間で25%減らすよう求めているほか、スーパーには減塩ハムや
薄味ポテトチップス、塩分の少ないトマトケチャップが登場。

英国政府も6月、今後15年間で1日3g以下にするとの目標。
既に減塩のピザやフライドポテトも出ている。
海外の減塩事情にも詳しい荒川さんは、
「日本政府や自治体は、こうした国々や新潟県を見習ってはどうか」

新潟県は、減塩料理コンクールの「受賞作品レシピブック」(09年)を
希望者に配布(送料別)。先着100人。
問い合わせは、県健康対策課(電話025・280・5198、ファクス025・285・8757)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/9/129567/

2010年12月15日水曜日

総合学習を生かす(14)教師も鍛える真剣勝負

(読売 12月11日)

「アンキョ(暗渠)ってどんな意味か、記者さん知ってるかな」と、
先生が突然聞いてきた。
僕たち知ってるよ、と39人の視線がこちらに刺さってくる。

東京学芸大学付属世田谷小学校の2年2組。
総合学習の授業「呑川たんけん」で、子どもたちは、航空地図で
学校を見て、川に関心を持ち、「呑川緑道」の地下に
水が流れていることを発見してきた。

「キョってなあに?」との記者の質問に、ある子が
「漢字のほうが意味わかるかも」とつぶやくと、
先生が辞書を引いて、黒板に書いた。
「さんずいに意味がある!」、「水専用の道!」、「すいろ!」、
次々に声があがる。

「知りたい」というエンジンに火がついた子どもたちは、実に積極的。
このクラスは、共通の問いが生まれると、「学習問題」と呼び、
ノートに赤い印をつけるルールがある。
ネットや本で調べたり、両親と探検したりした情報が持ち寄られ、
次の時間には、別の「はてな?」に発展していく。

「子どもたちが今後、世の中で出会うことが、
みんな面白く見えてくれば大成功」、担任の鈴木聡教諭(43)は、
同小14年目のベテラン。
同小の総合研究部長でもある。

駆け出し時代は、指導案通りに授業ができると達成感を感じた
時期もあったが、経験を積んだ今、
「指導案からずれる瞬間こそ、教師の勝負どころ」との思いが強まり、
総合学習の面白さが増した。

同小は20年前、低学年で教科の垣根を外し、
総合的に学ぶ自由度の高いカリキュラムを導入。
担任と子どもの話し合いで学習を計画し、時間割を変える。

低学年こそ、生活に根ざした総合的な学習が必要と考えた
挑戦的な取り組みだったが、実践を経て徐々に変化。
総合学習のよさは認めつつ、低学年でも、
「計算や漢字の基礎など、最低限の知識の確認は必要」との
方向性は定まりつつある。

鈴木教諭は、「総合の授業力は、すべての教科に通じる」と考えている。
子どものつぶやき、ノートの変化を見逃さない注意深さ、
臨機応変さが鍛えられるからだ。

同小は、教員養成大学から年間約130人の実習生を受け入れる
「養成所」の役割も持つ。
若い先生には、総合は重荷になりがちだが、藤田留三丸副校長(55)は、
「子どもと一緒に、山を乗り越える喜びが味わえるからこそ、
教師も挑戦しがいがある」

子どもたちと作る一期一会の真剣勝負が、先生の力も育んでいる。

◎学芸大付属世田谷小の総合学習のテーマ例

▽「あみものにちょうせん」(1年)、
▽「ミュージカルをつくろう」(1、2年)、
▽「木の家をつくろう」、「クラスの映画づくり」(4年)、
▽「お米作りに挑戦」、「土器を作ろう」(5年)、
▽「アライグマを育てる」(5、6年)

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101211-OYT8T00177.htm

「50年来の夢かなった」、「自由に使ってください」 根岸、鈴木氏が記念講演

(2010年12月9日 共同通信社)

有機化合物の画期的な合成方法に関する研究で、
ノーベル化学賞を受賞する根岸英一・米パデュー大特別教授(75)と
鈴木章・北海道大名誉教授(80)が、
ストックホルム大の講堂で記念講演を行った。

「50年来の夢がかなった」と切り出した根岸さんは、
自らの研究が効率よい物づくりを通じて、
「グリーンな(環境に調和した)化学につながる」と強調。

鈴木さんも、「私は特許を取っていない。
興味を持ったらご自由に使ってください」と、
研究を社会に役立てたい希望を語った。

記念講演は、授賞式を前に、受賞者自らが成果を紹介する
ノーベル賞の恒例行事。

根岸さんは、「遷移金属の不思議な力-過去、現在、そして未来」と
題した講演で、授賞理由にもなった、パラジウムが触媒の
クロスカップリング反応について解説。

天井や飾りの花、客席を指さしながら、
「木も花も人間も、ほとんど有機化合物でできている」と
研究の重要性を指摘。

留学時代に実験が苦手で悩んだことが、その後の成功につながったと
振り返る一方、反応を促す金属の触媒や元素を検討し、
さまざまな組み合わせの化学合成を実現した実績を強調。
壇上を動き回り、身ぶり手ぶりで聴衆に訴えた。

鈴木さんも、「有機ホウ素化合物のクロスカップリング反応-炭素と
炭素を結び付ける簡単な方法」との題で、
自ら開発した「鈴木カップリング」を解説。
狙った構造の物質をつくりやすいなどの特徴を示した。

米ハーバード大の日本人研究者が、
最も複雑な有機化合物として知られる天然毒の人工合成に成功した際、
最終段階で鈴木カップリングが使われたことや、
世界で2200万人が利用する血圧降下剤、農薬、液晶の製造にも
広く利用されていると紹介。

この日は2人に先立ち、
共同受賞のリチャード・ヘック米デラウェア大名誉教授(79)が講演。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/9/129543/

虫歯と歯周病菌99・99%死滅…東北大新手法

(2010年12月9日 読売新聞)

虫歯や歯周病などの原因菌を、ほぼ死滅させられる新たな殺菌法を、
東北大大学院歯学研究科の菅野太郎助教らのチームが開発。

治療機器の開発も進められ、画期的な治療法が数年以内に
実用化できるとの期待が高まっている。
米国の代表的な薬学雑誌12月号に掲載。

菅野助教らは、虫歯菌や歯周病菌など4種類の口腔内細菌と
過酸化水素の水溶液に、目に見える波長のレーザー光を照射。
強い殺菌作用のある物質「活性酸素」の一種を発生させ、
3分以内に99・99%以上の菌を死滅させた。

人体への影響はないとみられ、治療が難しい歯周病の奥深い病巣を
殺菌することなどへの応用が期待。

研究チームは、精密機械製造「リコー光学」(岩手県)などと、
過酸化水素水とレーザー光を同時に出す歯周病用の治療機器の
開発を進めている。
今年度中には動物実験を終え、2011年度以降に臨床研究に入る予定。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/9/129580/

岩手医大に最新鋭MRI 認知症やうつ病解明へ

(2010年12月9日 共同通信社)

岩手医大は、国内最高級の性能となる最新鋭の
磁気共鳴画像装置(MRI)を、矢巾キャンパスに導入すると発表。
来年2月から運用を開始、脳卒中や認知症、うつ病などを対象に、
予防や治療に直結する研究に活用。

装置に用いる磁場の強さは7テスラで、病院で医療用に使われる
MRIより、2~5倍精細な画像が得られる。
同性能の装置は、国内では新潟大に続き2例目。

研究は、人だけでなくサルやマウスなどでも実施。
細かな脳の血流などの観察が容易になるほか、
脳神経細胞の機能を調べることも可能で、疾患を早期発見する
新たな検査手法の開発が期待できる。

装置は、米GEヘルスケア製で約10億円。
北海道大や大阪大なども、研究チームに参加する。

小川彰岩手医大学長は、「脳卒中やうつ病の治療例が多い
岩手医大の特徴を生かし、研究成果を世界に発信したい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/9/129545/

2010年12月14日火曜日

総合学習を生かす(13)指導案を例示「質」保つ

(読売 12月10日)

総合学習には教科書がなく、テーマややり方を自由に決められる反面、
授業の進め方に戸惑うことも少なくないが、
愛知県岡崎市には教師向けの“あんちょこ”がある。

市立城北中学校3年4組で行われた総合学習の授業。
テーマは、地球温暖化だ。
広瀬浩司教諭(36)が、計11kgのペットボトルが入ったバッグを
見せながら、「これは、日本国民1人が1日に使うあるものの重さですが、
何でしょう」と質問。

答えは、「日本国民1人当たりの1日のエネルギー消費量を換算した
石油の重さ」。
環境団体が試算したもの。
「エネルギーとは石油やガス、電気などのこと。
生活の中で、エネルギーを消費すれば、二酸化炭素が排出される」

広瀬教諭はこの日、市教育委員会が作成した指導案を活用。
生徒に配ったプリントにある主要8か国の1人当たり
二酸化炭素排出量を表した棒グラフも、
市教委が集めた参考資料から転載した。

市教委は今年度から、環境保全への参加や環境問題に取り組む力を
着けさせようと、市内の公立小中学校に、
年15時間の環境学習を総合学習などで行うよう要請。

小中の9年間で系統立てて学べるよう、学年ごとの学習項目などを
「環境学習プログラム」としてまとめ、指導案や資料、確認テストも
盛り込んで冊子にした。
プログラム作成に携わった一人でもある広瀬教諭は、
「指導案通りに授業をする必要はなく、独自の教材を使ってもいい。
困った時は助けになる」

背景には、総合学習が苦手な教師の存在があった。
市教育研究所の中村公治・所長補佐は、
「総合学習は教科書がなく、どのように授業をすればいいか
困る教師もいる。
教育の質を確保するために、指導案の例示も必要という結論」

兵庫教育大学大学院の佐藤真教授(教育方法学)は、
「学校や教師によって、授業の質に差がある現実を直視し、
市が授業モデルを示したのは評価できる」と語る一方、
「教師が提示された指導案で満足してしまい、
形だけの授業になるのが心配」と懸念。
授業を子どもの実態に合わせないと、
探究力や思考力は決して身に着かないからだ。

市教委は今後も、各学校の実践報告をもとに、
プログラムの検証や良い授業の事例集の作成を行う考え。
授業作りの模索が、自治体ぐるみで続いている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101210-OYT8T00334.htm

消化管伸縮の謎解明 便通改善薬開発に期待

(2010年12月8日 共同通信社)

排便を促すため、小腸などの消化管が伸び縮みするメカニズムを
マウス実験で解明したと、自然科学研究機構生理学研究所の
富永真琴教授らが、8日付米科学誌
ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス電子版に発表。

便通を良くする医薬品の開発や、消化不良感をもたらす機能性胃腸症の
原因解明などに役立つ可能性がある。

食べた物は、消化管が伸縮を繰り返すことで、
肛門へ押しやられ排便される。
消化管はもともと縮む性質があり、一酸化窒素(NO)が増えると、
筋肉が緩んで伸びることが分かっていたが、詳しいメカニズムは謎。

富永教授らは、小腸などの神経細胞内にあり、温度感知センサーとして
働くタンパク質「TRPV2(トリップブイツー)」の働きを解明。
食べた物が腸に入ってくると働きが活性化し、
細胞の外にあるカルシウムを取り込んで、
NOを合成する酵素の活動を強めることが分かった。

TRPV2の働きを薬で抑えると、消化管は伸びることができなくなった。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/8/129495/

インサイド:大河流れて 総集編 アジア大会で見えたもの/5止

(毎日 12月4日)

「高気圧酸素カプセルなどでリラックスできた。
時間があればもっと行きたかった」

広州アジア大会のフェンシング女子エペ団体で、
史上初の金メダルを獲得した中野希望(大垣共立銀行)の感想。

今回のアジア大会から、文部科学省のマルチサポート事業による
強化が本格的に始まった。
目玉の一つが、選手村近くに設置されたマルチサポート・ハウス。
国立スポーツ科学センター(JISS)が高級ホテルを借り切り、
約30人の職員が常駐、選手たちの心身のリフレッシュなどに当たった。

サポートハウスは、日本とほぼ同じ環境を作り出すことが目的。
おにぎりやみそ汁などの和食を提供する食堂や、
マシンを使ったトレーニング施設、1人で思考することのできる
「個室」などが用意。

柔道やレスリングなどは減量に活用し、柔道女子の園田隆二監督は、
「これまでアパートを借りて減量メニューを作っていたが、
カロリー計算までしてくれるので助かる」

JISSによると、期間中、42競技のうち選手村に入った
39競技すべてがサポートハウスを利用し、延べ人数は2552人。
最も多かったのは、肉じゃがやレトルト食品など、
選手村では食べられない日本食を提供する「リカバリーミール」で
2066人が利用。
炭酸浴などのプール、高気圧酸素カプセルも1386人が利用するなど、
「疲労回復」が人気だった。

JISSの河村弘之・研究協力課長は、
「昼から夜まで過ごす選手もおり、ロンドン五輪に向けて
いいトライアルができた」

◆戦略基地の効果低く

ただ、課題も残った。
設置費用は2億~3億円と見込まれ、どこまでが本当に必要な
サポートだったのか、費用に見合った成果があったのかは、
明確に結びつけられない。
リラックスすることが主な利用目的であり、ある選手は
「選手村が街から離れていたため、気分転換ができなかった。
サポートハウスに行けば、時間がつぶせると口コミみたいに広がった」

一方で、勝つために重要な映像分析の利用は216件、
情報関連サービスの活用も59件と低く、
戦略基地としての機能は低かった。

マルチサポート事業で、五輪でのメダル獲得が有望視される
「ターゲット競技」に指定されているのは、夏季は13競技・種目。
今大会では、トライアスロンが男女とも金銀を占め、
セーリングとカヌーでもそれぞれ3個の金を獲得。
陸上や競泳などは、ターゲット競技とされながらも多くの選手が苦戦。

◆五輪へ向けて検証

マルチサポート事業の来年度予算は、
概算段階で今年度の約19億円から大幅に増加、27億円。
一方で、日本オリンピック委員会(JOC)の強化の補助金は
今年度並みにとどまる見込み。

日本選手団長を務めた市原則之・JOC専務理事は、
「どれだけ活用できたのか、競技団体と協議していかなければならない」と
検証するつもり。

日本は、ロンドン五輪の金メダル獲得数で世界5位という目標。
今大会の金メダル争いでは、中国、韓国に前回以上の差をつけられた。
マルチサポートによる強化は本筋ではない、という見方もあるが、
事業は始まっている。
五輪本番まで1年7カ月余りしか残っていない。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20101204ddm035050011000c.html

2010年12月13日月曜日

ワクワク感に伝達物質関与 PETで脳内の受容体研究

(2010年12月8日 共同通信社)

宝くじに当せんするような、低い確率を主観的に高く見積もってしまう
「ワクワク感」や、逆に高い確率を低く見積もる「ハラハラ感」の強さに、
脳内の神経伝達物質ドーパミンが関与していることが、
放射線医学総合研究所などのチームの研究で分かった。
8日付の米科学誌THE JOURNAL OF NEUROSCIENCE電子版に掲載。

確率を、ゆがんだ形で見積もる度合いが強すぎると、
ギャンブルへの依存症などにつながる恐れがある。
チームは、「研究を進め、依存症の客観的な診断や原因の解明、
治療につなげたい」

20~30代の男性を対象、宝くじの当せん確率をどのように
見積もるか検証。
多くの人は、経済理論などで提唱されている通り、
低い当せん確率は高く、高い確率は低く見積もる傾向。

この際、陽電子放射断層撮影装置(PET)を使って、
脳内のドーパミン受容体を調べたところ、
大脳の線条体という部位にある特定の受容体の密度が低い人ほど、
低い確率を高く見積もったり、高い確率を低く見積もったりする

傾向の強さが見られた。

受容体の密度が低い理由は解明されていないが、
遺伝的な原因のほか、生活習慣が影響している可能性も。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/8/129494/

伝統医学に"共通言語" WHOが作成へ

(2010年12月7日 共同通信社)

世界保健機関(WHO)は、漢方やはりなどの伝統医学で使われる
病名や施術名などの用語をまとめた「伝統医学国際分類」作成に着手。
伝統医学に関する統計や研究、政策の基礎となる
世界の"共通言語"を作る初の試み。

都内で記者会見した計画の中心メンバーの1人、
慶応大の渡辺賢治漢方医学センター長によると、
伝統医学は世界で多くの人に利用されているが、
どんな治療にどの程度の効果があるかといったデータ収集や評価、
国際的な情報交換が進んでいない。

日中韓を中心とした東アジア起源の伝統医学について、
各国で使われている用語の共通点や相違点を整理。
2014年までに作業を終える見通し。

WHOは、西洋医学について「国際疾病分類(ICD)」という体系を
まとめており、現在は第10版。
15年までに改訂する見込み、伝統医学は第11版に組み入れることを目標。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/7/129406/